河西工業 (株) 2019年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
  2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 227,257 224,036 1.4 北米、日本及びアジアセグメントにおける新規立ち上げ車種の売上が寄与
営業利益 10,470 13,966 (25.0) 新車立ち上げ準備費用の増加や、新拠点設立費用の増加
経常利益 11,081 14,420 (23.2) -
当期純利益 4,536 7,709 (41.2) -

 

北米事業

ー最大の売上高規模である北米事業をテコ入れする。米国工場の再編と設計拠点の統合を進めるほか、同社主力事業の一つである天井部品事業の収益性向上を図る。同社の北米事業は2019年3月期決算で売上高が伸長する一方、材料費や労務費の高騰で収益性が低下傾向にある。昨年から取り組む社内合理化効果と合わせ、20年3月期業績以降で北米事業の収益性回復を急ぐ。テネシー州に展開する2工場を中心に、各工場の部品担当品目の変更など、工場の再編による固定費削減を進める。また、米国に展開する3カ所の設計開発拠点を統合する。19年の年末頃までにミシガン州とテネシー州の設計開発拠点を既存のオハイオ州ダブリンの拠点に集約し、開発効率の向上を図る。天井部品の約80%を北米で生産・販売しており、少品種大量生産を行っている。従来、日本の生産方式でこれに対応してきたが、北米の受注特性に見合った生産方式に変更することで、天井部品事業の収益構造の改善を図る。メキシコでは、今年度に過去最高となる8車種の新規立ち上げを予定する。(2019年6月28日付日刊自動車新聞より)

ー2019年3月期の同社の売上高のうち、北米は99,454百万円で全社売上高の43.7%を占める。SUVの需要拡大及び新車効果により前年比2.3%増。

 

中国事業

ー中国市場において武漢市が将来的に主戦場になると見込み、武漢地区で生産拠点を新設する。すでに東風河西で日産自動車向け部品供給を展開しているが、新たにジョイントベンチャー(JV)方式で生産工場を立ち上げ、国内外のブランドからの新規受注獲得を目指す。2021年の受注獲得に向け、早急に武漢地区での生産体制を増強する。同社の中国生産拠点は、東風河西が武漢大連襄陽に3拠点、直営最大拠点である広州河西が1拠点、開封河西1拠点の全5拠点を展開する。今後武漢に新設を予定する生産ラインは、広州河西の子会社である開封河西のパートナー企業とのJV方式での設置を検討し、既存の土地と建屋を借りる方向で進める予定。(2019年6月12日付日刊自動車新聞より)

  

欧米事業

Roechling Automotiveは、河西工業にドイツWolfsburg-Hattorf工場を売却する契約を締結したと発表した。2001年設立の13,000平方メートルのWolfsburg工場は自動車用ドアおよびサイドパネルを製造している。Roechling Automotiveは近年、空力、推進および新モビリティ関連事業に注力しているため、今回の工場売却に至ったという。同工場の従業員数は約170名で、河西工業は全事業および従業員を引き継ぐ予定。(201957日付プレスリリースより)

ー欧州市場での事業拡大戦略の一環で、モロッコに3月に新会社を設立する。新会社は当面、ルノーのモロッコ工場にサンバイザーを供給する。ルノービジネスに特化した拠点としては同社初となる。将来的には、欧州に隣接する立地を生かして、欧州市場における他メーカーへの拡販に向けた活動拠点と位置付ける。新会社「KASAIKOGYO MOROCCO SARL AU」は同社の100%出資子会社とし、モロッコ王国タンジール市に設立予定。資本金は1億7500万円。事業内容は自動車用内装・外装部品の販売、輸出入などで、当面はルノービジネスを展開する。生産開始は2020年央を予定している。 (2019年3月15日付日刊自動車新聞より)

ー2019年3月期、同社の欧州売上高は前年比3.3%減の15,056百万円。主要車種の生産終了や減産の影響を受けた。

 

その他事業動向

ー国内生産事業を集約する子会社を新たに立ち上げる。生産性の向上を目的に、同社の国内事業と国内グループ会社3社を統合した新会社を立ち上げ、同社直営2工場を含めた国内全8工場を新会社の管轄下に置く。河西工業本体はグローバル本社として海外業務全般を統括する。新会社は2019年秋口の発足を予定する。(2019年5月16日付日刊自動車新聞より)

 

2020年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2020年3月期
(予想)
2019年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 210,000 227,257 (7.6)
営業利益 8,500 10,470 (18.8)
経常利益 8,500 11,081 (23.3)
親会社株主に帰属する当期純利益 4,000 4,536 (11.8)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
全社 1,436 1,543 1,375

電動化・自動運転・コネクテッドに対応して、IUI (インテリア・ユーザー・インターフェース) と軽量化に軸足を置いた次世代製品開発に注力する。IUIをベースとした天井モジュールの製品化を目指すほか、天井やドアトリムなどへのセルロースナノファイバー (CNF) の採用を視野に入れた軽量化開発を進める。天井モジュールは2023年までの実用化を目指す。(2018年11月19日付日刊自動車新聞より)
 

設備投資額

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
日本 4,331 6,659 7,300
北米 5,620 4,621 4,458
欧州 1,782 741 664
アジア 1,124 944 1,619
合計 12,859 12,967 14,043

-重要な設備の新設、改修に係る、2020年3月期の投資予定額は12,000百万円。

ー国内外で生産体制を拡充する。内装部品は重量がかさむため、供給先に近い場所で最終組み立てを行うことで、物流コストの低減を図って競争力を強化し、持続的な受注確保につなげる構え。北米では、日産の工場敷地内にインサイト工場を新設して、日産の中型セダン向け部品を生産する。北米地域では日産の中型セダンのほか、ホンダとスバルの大型SUVなど、2018年度内に生産が立ち上がる新型車計6車種向けの部品を受注している。生産能力を増強して部品の供給体制を整える。日本国内では九州地区で生産能力を増強する。製造子会社の九州河西が、福岡県苅田町の日産自動車九州の工場に隣接する場所に生産拠点を新設する。敷地面積は約1万7千平方メートルで、19年央に操業開始する予定だ。日本ではスバルのSUVやホンダの小型商用車、日野自動車の中型トラックなど、18年度に生産が立ち上がる新型車計6車種の部品を受注している。(2018年6月29日付日刊自動車新聞より)

長期経営計画

-2014年、長期経営ビジョン 「KR10 (Kasai Realize 10)」を策定。対象期間は2014年から2023年。テーマとして 「グローバルで統一したモノづくりにより、優秀な品質を提供する」、「ONLY1技術を生み出し、No.1技術に進化させる」、「自動車業を主軸に新規ビジネスに挑戦する」 を掲げており、最終年度の数値目標は以下の通り:

  • 売上高:3,000億円
  • 営業利益率:8%
  • 内装トリムのグローバルシェア:10%