河西工業 (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 122,478 119,469 2.5 1)
営業利益 6,290 7,346 (14.4) -
経常利益 6,012 6,925 (13.2) -
当期純利益 4,221 2,792 51.2 -

要因
1) 売上高
<日本>
-国内の自動車生産が東日本大震災の被害から復旧し、回復傾向にあることを受け、売上高は前年比1.0%増加。

<北米>
-北米の自動車生産台数は回復過程にあるが、主に円高の影響を受け、売上高は前年比1.5%の減少。
-営業利益は売上高の減少、新車立上げに伴う開発費および生産準備費用の負担のため、赤字に転落。

<欧州>
-主要得意先の販売が堅調であったが、為替の影響により、売上高は前年比0.7%の減少。

<アジア>
-タイの洪水の影響があったが、中国市場での販売が堅調に推移したこと、ASEAN地域の売上増加も奏功し、売上高は前年比36.7%の増加。

事業方針

-同社は円高を活用し、海外からの調達率を現行の20%から40%に引き上げる。2012年度から活動を本格化し、材料や構成部品で早期に海外調達を増やす。主に韓国や東南アジア諸国からの採用を増やすことでコストと品質を確保し、国内工場のコスト競争力を高める。同社では日本から海外に輸出する部品はほとんどないが、急激な円高で11年度は営業利益で5億~6億円のマイナス影響がある見込み。企業の収益力を示す営業利益率への影響はないものの、逆に円高を活用することで原価低減を推進し、国内生産のコスト競争力を高める。主な調達先として見込んでいるのは、ウォン安で調達コストが大幅に下がっている韓国で、ボルトなどを含め材料や構成部品の調達を検討している。また、インドネシアやマレーシアといった東南アジアの国々からも小物部品の調達ができないか検討する。 (2012年1月25日付日刊自動車新聞より)

海外事業

-タイ生産拠点「河西テックシー」で集中生産する方針だったサンバイザーをタイ以外の国にも分散する。東日本大震災やタイの大洪水を踏まえ、効率を重視した一極集中の生産体制から、リスク分散を重視した体制へと見直す。分散化にあたっては、自社の拠点に加え、業務提携先であるスペインの内装部品メーカー、グルッポ・アントリンの生産拠点を活用する。中国やメキシコに加え、インドやブラジルでの生産を計画している。2013年をめどに各地での生産開始を目指す。(2011年11月21日付日刊自動車新聞より)

事業提携

-スペインの自動車部品メーカー、グルッポ・アントリン (GA)と世界10拠点で相互補完関係を結ぶ。主要取引先の日産自動車が新興国での生産を拡大するため、海外の部品メーカーと協力し供給体制を整備する。中国、インド、ロシア、南米、アフリカのGAの生産拠点を活用し製品を供給する。新中期経営計画では、2015年度に売上高を10年度比25%増の1500億円とし、営業利益率は10年度実績の6.1%から10%への引き上げを目指す。地域別の売上高比率は日本が10年度の48%から33%に低下する一方、アジアが7%から22%に上昇する。(2011年5月26日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

<インド>
-同社とGrupo Antolin-Irausaは、2012年2月に折半出資による合弁会社をインドChennaiに設立すると発表した。新会社「ANTOLIN KASAI TEK CHENNAI PRIVATE LIMITED(仮称)」では、自動車用内装部品の製造・販売を行う。資本金は700百万ルピー(約1,190百万円)。2014年に売上額649百万ルピー(約1,100百万円)を見込んでいる。(2012年1月30日付プレスリリースより)

<中国>
-中国河南省開封市に合弁会社「開封河西汽車内飾件有限公司」(仮称)を2012年1月に設立すると発表した。現地の部品メーカー、海南釣達汽車飾件有限公司(海南省海口市)と現地子会社の広州河西汽車内飾件有限公司(広東省広州市)と共同出資し、自動車用内装部品を生産する。合弁会社は資本金6千万人民元(約7億5千万円)で設立し河西工業が10%、広州河西が50%、海南釣達が40%を出資する。14年度に2億4千万人民元(約30億円)の売り上げを計画している。(2011年11月4日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

 

2013年3月期の業績予想

(単位:百万円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 142,000 122,478 15.9
営業利益 8,000 6,290 27.2
経常利益 7,700 6,012 28.1
当期純利益 3,200 4,221 (24.2)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 879 570 567

-研究開発費用はすべて日本に投資。

研究開発体制

-研究開発は、同社の先行・製品工法開発部を中心に実施。

研究開発活動

軽量化
-ドア、ピラー、天井、トランクトリム等すべての部品において軽量化が最重要開発テーマ。高品質、軽量、低コストを両立できるような製品開発を推進している。

安全性
-車室内の側面衝突安全性に寄与するエネルギー吸収部品を、同社独自の設計構造とすることで、高性能を低コストの射出成形部品で実現し、量産車に採用された。

地球環境保全
-VOC (揮発性有機化学物質)の削減のため、粘着材、水溶性接着剤、ホットメルト等への変更、塗装から樹脂基材へ着色剤の練り込み等の代替工法への変更や各種材料の脱VOCを推進。
-樹脂部品への植物由来樹脂(ポリ乳酸)の適用や塩化ビニール材のTPO (オレフィン系熱可塑性エラストマー)、TPU (ウレタン系熱可塑性エラストマー)への代替を推進。

車内快適性
-内装部品の防音性能の更なる向上を狙い、四駆シャシーダイナモを用いた実車実験、残響室等を用いた材料実験を踏まえ、音響理論やCAEを駆使して高性能な製品設計を実施。
-快適な車室内温度環境を目指し、天井内装品等の断熱性能の向上開発を実施。

魅力&便利商品
-ドア表皮やドアウエストオーナメントに代表されるような加飾部品、さわり心地の良い表面処理など美しく、やわらかく、しっとりしたドア内装品、擦り傷の目立ちにくい樹脂を用いたピラーやトランク・ルームの開発を推進。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
日本 2,697 - -
北米 1,942 - -
欧州 291 - -
アジア 1,166 - -
全社 6,097 4,463 4,266

設備の新設

(2012年3月31日現在)
会社名
事業所名/
所在地
設備の内容 投資予定額
(百万円)
着手 完了
予定日
本社工場
(神奈川県寒川町)
自動車内装部品組立設備、金型、治工具等 2,610 2012.04 2015.03
三重河西(株)
(三重県津市)
自動車内装部品組立設備、治工具等 395 2012.04 2015.03
群馬河西(株)
(群馬県明和町)
自動車内装部品組立設備、治工具等 341 2012.04 2015.03
九州河西(株)
(大分県宇佐市)
自動車内装部品組立設備、治工具等 261 2012.04 2015.03
M-TEK Inc.
(米国テネシー州)
自動車内装部品組立設備、治工具等 1,497 2012.04 2015.03
Kasai Mexicana S.A. de C. V.
(メキシコ グアナファト州)
自動車内装部品組立設備、治工具等 527 2012.04 2015.03
R-TEK Ltd.
(英国タイン&ウェア郡)
自動車内装部品組立設備、治工具等 393 2012.04 2015.03
広州河西汽車内飾件(有)
[Guangzhou Kasai Automotive Interior Trim Parts Co.,Ltd.]
(中国広州市)
自動車内装部品組立設備、治工具等 448 2012.04 2015.03
蕪湖河西汽車内飾件(有)
[Wuhu Kasai Automotive Interior Trim Parts Co., Ltd.]
(中国蕪湖市)
工場用土地、建物、自動車内装部品組立設備、治工具等 392 2012.04 2015.03
Kasai Teck See Co.,LTd.
(タイ アユタヤ県)
自動車内装部品組立設備、治工具等 312 2012.04 2015.03