日本板硝子 (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 606,095 521,346 16.3 -
営業利益 734 (17,258) -
当期純利益 (17,630) (34,324) -
自動車用ガラス事業
売上高 305,114 245,022 24.5 1)
個別開示項目前営業利益 11,154 4,755 134.6

事業概況

1) 自動車用ガラス事業
-自動車用ガラス事業の売上高は主として円安による為替効果により増収を確保。

<欧州>
-事業売上高の46%を占める。
-新車向け (OE) 部門の売上高が現地通貨ベースで前年をわずかに上回った。営業利益は主にリストラの実施に伴うコスト削減効果により増益を達成。補修用 (AGR) 部門の業績も需要の増加により改善。

<日本>
-事業売上高の17%を占める。
-売上高と営業利益はともに増加。円安が自動車輸出を下支えし、OE部門の販売数量が前年より増加、AGR部門も安定的に推移した。

<北米>
-事業売上高の24%を占める。
-売上高と営業損益は改善。OE部門の販売数量が前年を上回り、AGR部門では冬季の厳しい天候による需要の増加が業績に寄与。

<その他の地域>
-数量の増加により売上高は前年を上回ったものの、南米における数量の伸びは年度末に近づくにつれて鈍化。

NSGグループの長期戦略ビジョンおよび中期経営計画

<戦略ビジョン>
-今後の進むべき方向として「VA (Value-added) ガラスカンパニー」に変容・変革することを戦略ビジョンとし て設定。

-ガラス市場において成長性がある分野は、高度な形状や機能をもつ付加価値製品であり、NSG グループは、高機能ガラス分野のみならず、建築用ガラス、自動車用ガラス分野でも多くの付加価値製品群を有する。
 
-保有する経営資源を高付加価値 (VA) 製品の開発と、その拡販に注力する。VA ガラスカンパニーに変容した後は、よりスリムな総資産、より景気に左右されにくい構造、収益性の高い企業になることを目指す。

<中期経営計画 (MTP) :2014 年4月~2018年3月>
-この4年間の主目標は財務サステナビリティの確立であり、戦略ビジョンの描く VA 製品へのシフトを図る。

-主要アクションとして、売上高における VA 品比率の向上を進め、既存設備の稼働率を最大化する。

-財務戦略として、事業収益性を高め、フリー・キャッシュ・フローを拡大し、ネット借入と金融費用の削減を図る。
 
目指す2018年3月期の姿
  2018年3月期
(目標)
2014年3月期
(実績)
売上高 6,700億円以上 6,061億円
営業利益 (注) 600億円 224億円
EBITDA 1,000億円 544億円
ネット借入 3,000億円 3,791億円
ROE 10%以上 -
注:無形資産償却と個別開示項目前営業利益

製品採用

-2013年、トヨタ自動車が第43回東京モーターショーに出展したパーソナルモビリティー「トヨタi-ロード」のフロントウインドーシールドに、合わせガラスが採用されたと発表。採用されたのは、自動車用ガラスのフロントウインドーシールドとしては世界最薄厚となる、車外側2ミリメートル+車内側1ミリメートルの合わせガラス。同社はシミュレーションとプロセス技術を駆使し、フロントウインドーシールドガラス薄板化の技術を確立することに成功した。透視性を含めた各国法規など、自動車ガラスに要求される品質を確保した上で、従来標準仕様品と比べて23%の軽量化を達成した。今後、市販車への採用を目指す。(2013年11月27日付日刊自動車新聞より)

受注

-2013年、PSAの新型3気筒EBエンジンのカム駆動に同社グループの高強度グラスコードを使用したタイミングベルトが採用されたと発表。Peugeot 「208」をはじめ搭載車種は今後拡大する見込み。この高強度グラスコードを使用したタイミングベルトは、FordのEcoBoostエンジンや Volkswagenの「MQB」プラットフォームに組み込まれるエンジンにも採用されている。このうち、Fordでは「Fiesta」と「Focus」 に搭載され、今後は「Mondeo」にも展開される予定。Volkswagenでは「Polo」、「Golf」、「Jetta」などに使用されている。 (2013年1月9日付プレスリリースより)

株式売却

-2013年、米国のFMC Wyoming Corporationにおける同社保有株式 (出資比率6.25%) すべてをFMC Corporationに譲渡すると発表。売却金額は80百万ドル (約76億円)。日本板硝子は、ガラス原料であるソーダ灰の供給源確保の一方策として1995年にFMC Wyomingに出資している。(2013年3月28日付プレスリリースより)

2015年3月期の見通し

 (単位:百万円)
  2015年3月期
(見通し)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 620,000 606,095 2.3
営業利益 21,000 734 1,861
当期純利益 1,000 (17,630) -

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 7,900 7,300 8,000
自動車用ガラス事業 2,800 2,800 3,300

研究開発活動

自動車用ガラス事業
-日本では紫外線カットの機能を高めた新しいコーティングガラスの需要が高まっており、研究開発部門は生産能力の拡大に寄与する製品や工程の開発を支援している。
-欧州では既存の熱線付き前面ガラスに赤外線を反射するソーラーコントロール機能や最新型のヘッドアップディスプレイ機能を組み合わせた製品の開発を開始。

設備投資

設備投資額

 (単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 31,600 26,000 34,700
自動車用ガラス事業 10,700 13,500 18,800

自動車用ガラス事業

-主に米国における自動車用ガラス向けフロート窯の定期修繕にかかわる支出。

生産能力の増強

-2013年、紫外線を約99%カットするSuper UV cutガラスの国内生産能力を現状の2倍に増強すると発表。稼動は2013年11月を予定している。この製品は、自動車のフロントドアに使用され、トヨタの「Alphard」や「Estima」などに標準採用されている。(2013年6月13日付プレスリリースより)