横浜ゴム (株) 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 625,245 601,629 3.9 -
営業利益 59,066 56,647 4.3 -
経常利益 55,803 59,503 (6.2) -
当期純利益 40,502 35,007 15.7 -
タイヤ事業
売上高 497,572 479,522 3.8 -国内新車用タイヤは、低燃費タイヤの新車装着活動を強化した結果、プレミアムカーやエコカー向けタイヤの新車装着を数多くの車種で獲得。
-国内市販用タイヤの販売は、販売量、売上高ともに前期並みで推移。
営業利益 48,577 46,021 5.6 -

買収

-不二精工(岐阜県羽島市)が分社化するタイヤビード製造子会社の全株式を譲り受けることで合意したと発表。これにより分割会社は同社の完全子会社となる。株式を引き受けるのは、不二精工が同社向けにタイヤビードを製造する亀山工場(三重県亀山市)。不二精工が今年10月に同拠点の会社分割を実施した後、来年1月に同社に株式譲渡する。同社では、従来からタイヤ生産に必要なタイヤビードの一部を不二精工から購入している。今後は子会社から調達することで、製造コストの圧縮につなげる考えだ。(2014年8月9日付日刊自動車新聞より)

再編

-2014年4月1日付で米国の工業品生産販売子会社2社を統合し、新たに「Yokohama Industries Americas Inc.」を設立。統合したのは、自動車用ホースの組立販売、自動車窓枠用シーラントの生産販売、その他工業製品の販売を行うYH Americaと自動車用ホースなどの生産販売を行うSAS Rubber Company。新会社は本社をケンタッキー州に、生産拠点をケンタッキー州、サウスカロライナ州、オハイオ州に置く。2013年度実績で、統合した2社合計の売上高は約220億円 (214.9百万ドル)、従業員数は約1,200名。(2014年4月18日付プレスリリースより)

受注

-2014年の主な新車装着用 (OE) タイヤの受注:

製品名 搭載モデル 装着サイズ
「GEOLANDAR G98」 スバル 「Legacy Outback」 225/65R17 102H
「BluEarth E52」 トヨタ 「Esquire」 195/65R15 91S
「BluEarth E51」、「GEOLANDAR G91」 トヨタ  「Lexus NX」 「BluEarth E51」 (225/60R18 100H)、「GEOLANDAR G91」 (225/65R17 102H)
「BluEarth E70」、「S73 BluEarth」 トヨタ  「Vitz」 「BluEarth E70」 (175/70R14 84S)、「S73 BluEarth」 (165/70R14 81S)
「BluEarth E52」、「dB E70」 トヨタ  「Voxy/Noah」 「BluEarth E52」 (195/65R15 91S)、「dB E70」 (205/60R16 92H)
「BluEarth-A」 マツダ 「Demio」 185/65R15 88S
「C.drive2」 Daimler Mercedes-Benz 「GLA-Class」 -
「Geolandar SUV」 Chrysler 「Jeep Cherokee Trailhawk」 245/65R17 107H
「Geolandar G91」 日産 「X-Trail」 225/65R17102H
「ADVAN Sport V105 N-0」 Porsche 「Panamera」 -

2015年12月期見通し

(単位:億円)
  2015年12月期
(予想)
2014年12月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 6,730 6,252 7.6
営業利益 640 590 8.4
経常利益 545 558 (2.3)
当期純利益 360 405 (11.1)

*業績予想の前提:
為替レート: USD/円 115円、EUR/円 130円
原材料:天然ゴム 198円/1kg

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

中期経営計画

中期経営計画 「GD100 (グランド・デザイン100)」 (2006年3月期-2017年12月期)
-中期経営計画で長期財務目標売上高1兆円、営業利益1,000億円、営業利益率10%を掲げている。2012年12月期よりフェーズⅢを開始、数値目標 (3年間累計) として売上高1兆8,000億円、営業利益1,500億円、営業利益率8.3%を掲げた。2014年12月期までの3年間の実績は売上高1兆7,866億円、営業利益1,654億円、営業利益率9.3%となり、売上高は若干目標を下回ったものの、他の2つは目標を上回った。

-2015年度から2017年度を最終年度とするGD100フェーズⅣをスタート。フェーズⅣはGD100の集大成であり、次の100年における飛躍に向けた布石を打つフェーズとなる。フェーズⅣでは財務目標として、2017年度に売上高7,700億円、営業利益800億円、営業利益率10.4%の達成を目指している。

タイヤ成長戦略
1) グローバルOE (新車装着) 市場への注力
-低燃費技術により新車装着用タイヤの納入本数を増加させ、その中でも特に海外市場における納入比率を高め、2020年には倍増させる計画。

2) 大需要・得意市場でプレゼンス向上
-フェーズⅣでは、特に大需要地である北米市場、得意市場であるロシアを中心に地産地消を進め、流通網も含めた供給体制を強化・拡大し、販売力を強化。
-グローバルで通用する強いブランドの育成・強化を図り、YOKOHAMAファンの育成に努める。
-ポストGD100を見据えて、タイヤ年間生産能力の増強も進める。フェーズⅣの期間に総額1,200億円を投じ、全世界のタイヤ年間生産能力を、2014年度末の約6,800万本から2017年度末までに約7,400万本、2020年度末には約8,900万本まで引き上げる計画。北米、ロシア、欧州、中国などでのタイヤ工場の新設・拡張を検討。

3)  生産財タイヤ事業の拡大に向けた戦略
-生産財タイヤの事業拡大に向け、意思決定の迅速化を目的として、タイヤ生産財事業本部を設立する。
-2015年下期に操業開始予定のトラック・バス用タイヤの北米新工場により、さらなる地産地消を促進するほか、今後も需要が見込まれる49インチ以上の鉱山・建設車両用大型ラジアルタイヤの開発・拡販に取り組む。

MB (工業品) 成長戦略
1) 自動車部品ビジネスのグローバル展開
-現在、自動車用配管は6カ国、自動車窓枠用接着剤は4カ国に生産拠点を設置し自動車部品ビジネスを展開。今後は、全世界の自動車メーカーのニーズに対応できる生産供給体制の拡充に努める。

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 13,438 12,632 12,824
-タイヤ事業 8,985 8,007 7,792
-研究開発本部 1,349 1,471 1,610

研究開発体制

-基盤技術に関する研究開発は研究本部が、直接製品にかかわる研究開発はタイヤ事業、工業品事業、その他の技術部門が担当。

<タイヤ事業>

拠点名 所在地
RADIC研究開発センター 神奈川県平塚市
D-PARC 総合タイヤテストコース 茨城県久慈郡
T*MARY 冬季タイヤテストコース 北海道上川郡
Tire Test Center of Asia 総合タイヤテストコース タイ ラヨーン県


-北海道旭川市に冬用タイヤテストコース用地を取得すると発表。今後、冬用の乗用車用およびトラック・バス用タイヤの各種試験路を建設し、2015年末から運用を開始する計画。一部の夏用タイヤテストも同所で実施する。同社はこれまで、上川郡鷹栖町に保有するテストコース「T*MARY」で冬用タイヤのテストを行ってきた。新たに取得する土地の面積は約86ヘクタールで「T*MARY」に比べておよそ4倍の広さとなる。新テストコースの完成に合わせ、「T*MARY」は閉鎖する予定。(2014年11月13日付プレスリリースより)

共同開発

-韓国のクムホタイヤと「共同研究開発契約」および「ライセンス及び技術交換契約」を5月31日に締結したと発表。次世代のタイヤ関連技術などを共同で研究開発していく。資本などの提携については引き続き協議していく。(2014年6月3日付日刊自動車新聞より)

新R&Dセンター

-タイと米国にタイヤの開発センターを新設する。日本に加えて海外での開発体制を構築することで、地域ニーズに適した製品の供給を目指す。現在、開設準備を進めており、設計に関する機能や権限を日本から順次移管していく。グローバルでの生産を加速する中、開発拠点の新設により納入先の要求を反映しやすい環境を整えることで、新規受注の獲得に結びつける狙いだ。(2014年4月28日付日刊自動車新聞より)

新技術

流体音響シミュレーション
-同社研究本部と藤井孝蔵教授 (宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所) らの研究チームは、世界で初めて、限りなく実スケールに近いレベルで路面上を回転するタイヤ周りの空気の渦流れ構造 (乱流) とそこから発生する音響波 (騒音) を捉える流体音響シミュレーションに成功。同技術は2014年5月にドイツのエッセンで開催されたタイヤトレードショー「ライフェン2014」で「イノベーションアワード」を受賞。

自動車ガラス用高剛性接着剤
-自動車用ガラス接着剤のゴム物性を高め、高剛性にすることにより、車体に直接固定されているガラスにその重量を負荷させ、車体の剛性を総合的に向上させる接着剤を開発。

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 55,300 33,500 28,100
-タイヤ事業 50,500 29,300 25,000

海外投資

<インド>
-インド・ハリアナ州のバハドゥールガール工業団地に建設した乗用車用タイヤ工場で開所式を開催したと発表。新工場は2007年に設立した100%子会社ヨコハマ・インディアの生産拠点として建設し、14年7月から稼働している。敷地面積は約10万平方メートルで投資額は44億円。従業員は約350人。15年までに年間70万本の生産体制を確立する計画。乗用車用タイヤを生産し、インド国内で補修用として販売する。(2014年11月8日付日刊自動車新聞より)

<タイ>
-2015年末までにタイ工場での新車向けタイヤの生産比率を現状の3割から5割以上に引き上げる。同国では13年末に開発テストコースを拡張したほか、開発拠点も新たに設置する。受注に応じて生産能力の拡大も視野に入れる。タイでは中長期的に自動車生産の拡大が予測されている。現地で自動車メーカーと共同開発できる体制が整うことで、新規受注に結びつける。(2014年5月27日付日刊自動車新聞より)

<中国>
中国で乗用車用タイヤの生産能力を増強すると発表。トラック・バス用タイヤ生産会社の蘇州優科豪馬輪胎が現在のタイヤ工場隣接地に、新たに工場を増設して乗用車用タイヤを生産する。増設工場は今年4月から操業開始する予定で、2017年末までに年間生産能力を600万本まで増強する計画。総投資額は約265億円。蘇州優科豪馬輪胎は、06年にトラック・バス用タイヤ専門の生産販売会社として設立した。現在の生産能力は年間34万本。横浜ゴムでは、01年に設立した杭州優科豪馬輪胎で乗用車用タイヤを生産しており、11年まで4期にわたる拡張を実施し、現在の生産能力は年間510万本に達している。(2014年1月24日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画 (タイヤ事業)

(2014年12月31日現在)
事業所
(所在地)
設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
平塚製造所
(神奈川県平塚市)
生産設備 8,618 2014年
1月
2015年
12月
-
三重工場
(三重県伊勢市)
生産設備 5,125 2014年
1月
2015年
12月
-
三島工場
(静岡県三島市)
生産設備 3,071 2014年
1月
2015年
12月
-
新城工場
(愛知県新城市)
生産設備 6,206 2014年
1月
2015年
12月
-
尾道工場
(広島県尾道市)
生産設備 1,718 2014年
1月
2015年
12月
-
蘇州優科豪馬輪胎有限公司
[Suzhou Yokohama Tire Co., Ltd.]
(中国江蘇省)
生産設備・その他の設備 26,500 2013年
7月
2017年
12月
乗用車用タイヤ
600万本
Yokohama Tire Philippines, Inc.
(フィリピン クラーク特別経済区)
生産・その他の設備 11,000 2013年
5月
2016年
6月
乗用車用タイヤ
250万本
Yokohama Tire Manufacturing Mississippi, LLC's (YTMM)
(米国ミシシッピ州)
生産・その他の設備 31,376 2013年
11月
2015年
8月
トラック・バス用タイヤ
100万本