業績

(単位：百万円)

	2013年 3月期	2012年 3月期	増減率 (%)	要因
全社
売上高	535,779	556,914	(3.8)	-
営業利益	21,079	44,867	(53.0)	-原材料価格低下に伴う評価減等が影響。
経常利益	21,251	44,288	(52.0)	-
当期純利益	12,955	17,886	(27.6)	-事業構造改善費用3,268百万円を特別損失として計上。
高級金属製品
売上高	219,920	229,211	(4.1)	1)
営業利益	17,655	17,710	(0.3)	-
電子・情報部品
売上高	142,150	155,359	(8.5)	2)
営業利益	(864)	24,895	-	-
高級機能部品
売上高	171,986	170,891	0.6	3)
営業利益	10,188	9,294	9.6	-

要因
1) 高級金属製品
主要製品別の売上状況
<金型・工具用材料>
-工具鋼は、自動車および建設機械用金型の需要が低調に推移したことが影響し、減少。

<産業機器・エネルギー関連材料>
-自動車関連材料は、燃費向上および環境親和関連製品が好調だったが、国内のエコカー補助金制度終了による自動車販売の減少や欧州市場の停滞の影響を受け、全体として減少。

<各種ロール>
-国内の鉄鋼需給は造船・自動車・産業機械等で低迷したが、中国をはじめとする新興国向けの需要が底堅く、前年並み。

2) 電子・情報部品
主要製品別の売上状況
<マグネット>
-希土類磁石は、国内の自動車用電装部品は順調に推移したが、原材料価格の下落、FA関連および家電用部品の落ち込みを補えず、減少。
-フェライト磁石は、自動車用電装部品は順調に推移したが、家電用部品の需要回復が鈍く、前期並み。

<軟質磁性材料>
-ソフトフェライトは、太陽光発電用部品や自動車用電装部品等への供給が増加し、伸長。

3) 高級機能部品
主要製品別の売上状況
<高級ダクタイル鋳鉄製品>
-国内ではエコカー補助金制度や新型車の投入効果等もあり、乗用車の販売が堅調。米国でも乗用車の需要が引き続き旺盛に推移した。

<耐熱鋳造部品>
-国内では自動車エンジンのダウンサイジング化による需要があり、好調に推移。一方で、主要市場である欧州の景気低迷が続き、減少。

<アルミホイール>
-国内のエコカー補助金制度による乗用車販売の増加、輸出用車種の増産、および米国の乗用車の需要が引き続き旺盛に推移したことにより、伸長。

日立電線との経営統合

-2013年7月1日、同社と日立電線は事業合併し、経営統合を果たした。同社を存続会社とし、日立電線は電線材料セグメントの事業カンパニーとなった。両社は産業・情報インフラから自動車、エレクトロニクス関連市場において事業領域を拡大し、高機能材料メーカーとしてグローバルで競争力を高める。

事業提携

住友化学と排出ガス浄化用フィルター事業で提携
-日立金属と住友化学は、新しいタイプの排出ガス浄化用フィルター事業の提携に向けて検討開始することで基本合意したと発表した。両社は、粒子状物質の捕集効率が高く、圧力損失も低いことから、燃費性能の高いパティキュレート・フィルター (PF) の共同開発に成功。今後、両社が共同開発したPFの性能をさらに高めていくとともに、試作ラインを共同で設置し、量産化することを検討する。2013年度末をめどに最終合意することを目指して、事業提携の協議を進めていく。(2013年2月19日付日刊自動車新聞より)

インドのVIKASグループと自動車用鋳物で提携
-同社グループのNam Yang Metals Co., Ltd.は、インドを本拠とするVIKASグループのRPS VIKAS Castings Pvt. Ltd.およびGarima Vikas Metals Pvt. Ltd.との間で自動車用鋳物について技術・販売提携契約を締結した。日立金属グループで生産する自動車用の高靱性ダクタイル鋳鉄｢HMN｣は、高強度で靱性が高い特長があることからサスペンション部品を中心に使われている。最近では、従来製品よりも2割以上も軽量化したサスペンション部品を開発し、採用が拡がっている。今回の提携に基づいて、日立金属は2月からVIKASグループへの技術支援を開始し、サスペンション部品の生産委託体制の構築を開始する。2016年度の販売目標は、サスペンション部品で年間20億円を目指す。(2013年2月7日付プレスリリースより)

台湾の榮剛材料科技股份有限公司と高級特殊鋼で提携
-台湾の榮剛材料科技股份有限公司 [Gloria Material Technology Corporation] (GMTC) と高級特殊鋼の生産・販売・技術・投資の相互協力に関して業務提携すると発表。(2012年5月8日付プレスリリースより)

海外事業

米国で省ジスプロシウム磁石の量産化
-米国の生産拠点「Hitachi Metals North Carolina, Ltd.」で、レアアースの一種であるジスプロシウムの使用量を半分以下に抑え、且つ従来並みの性能を確保した省ジスプロシウム磁石を量産する方針を明らかにした。ハイブリッド車 (HV) や電気自動車 (EV) などの駆動用モーターに使うジスプロシウムは、レアアースの中でも特に希少で、生産地が中国に集中している。現在は原料を中国から調達し、日本国内で省ジスプロシウム磁石を生産している。米国では、環境規制の強化などを受けて、HVやEVの生産が今後増える見通しで、省ジスプロシウム磁石の需要拡大が見込めることから、米国でも省ジスプロシウム磁石を生産し、現地の一次サプライヤーや自動車メーカーに供給する。ジスプロシウムを米国で調達し、中国に一極集中しているリスクを分散することで、為替リスクの回避と生産拠点の分散によるサプライチェーンの安定化を図る。(2012年10月30日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位：百万円)

	2013年3月期	2012年3月期	2011年3月期
高級金属製品	5,192	5,182	5,187
電子・情報部品	3,514	4,299	4,707
高級機能部品	2,370	2,672	2,330
全社	11,076	12,153	12,224
-対売上高比率	2.1%	2.2%	2.3%

研究開発体制

-同社の研究開発体制は以下の通り：

• ディビジョンラボ制を導入しており、各カンパニーはそれぞれの事業戦略に伴い、各カンパニーの研究開発部門で開発を推進。
• 次世代の主力となる新製品・新技術や基盤技術は、株式会社日立製作所の各研究所と連携して開発を実施。
• 将来の新製品に繋がる新材料・新技術シーズの発掘には、海外を含めた大学等の社外機関と共同開発。

-2013年3月31日現在、653名が研究開発に従事。

研究開発拠点

拠点名	所在地
生産システム研究所	埼玉県熊谷市
冶金研究所	島根県安来市
磁性材料研究所	大阪府三島郡
素材研究所	栃木県真岡市
電線材料研究所	茨城県日立市

主な研究開発実績

部門	開発実績
電子・情報部品	-EV用および太陽光発電用の低損失リアクトル
高級機能部品	-低燃費高出力ダウンサイジングエンジン用耐熱鋳鋼製品の拡充 -軽量足回り部品向けダクタイル製品の拡充

技術供与契約

(2013年3月31日現在)

相手方 (国名)	契約品目	契約内容	期間
Advanced Technology & Materials Co., Ltd. (中国)	微細結晶軟磁性合金	微細結晶軟磁性合金に関する非独占的実施権の許諾	2005年10月1日から 契約対象特許の終了日まで
-TDK株式会社 (日本) -信越化学工業株式会社 (日本)	希土類磁石	希土類磁石に関する非独占的実施権の許諾	1988年3月24日 (基本発明の権利取得日) から、 許諾した特許出願の権利が消滅するまで
MCP Canada Limited Partnership (カナダ)	希土類磁石	希土類磁石に関する独占的実施権の許諾	2007年8月10日から 契約対象特許の終了日まで
Thinova Magnet Co, Ltd. (中国)	希土類磁石	希土類磁石に関する非独占的実施権の許諾	2012年11月14日から 契約対象特許の終了日まで
Beijing Zhong Ke San Huan High-Tech Co., Ltd. (中国)	希土類磁石	希土類磁石に関する非独占的実施権の許諾	2013年3月8日から 契約対象特許の終了日まで
Beijing Jingci Magnet Co. (中国)	希土類磁石	希土類磁石に関する非独占的実施権の許諾	2013年3月25日から 契約対象特許の終了日まで
Advanced Technology & Materials Co., Ltd. (中国)	希土類磁石	希土類磁石に関する非独占的実施権の許諾	2013年3月26日から 契約対象特許の終了日まで
Ningbo Yunsheng Co., Ltd. (中国)	希土類磁石	希土類磁石に関する非独占的実施権の許諾	2013年4月26日から 契約対象特許の終了日まで

相互援助技術契約

(2013年3月31日現在)

相手方 (国名)	契約品目	契約内容	期間
MCP Canada Limited Partnership (カナダ)	希土類磁石	希土類磁石に関する特許実施権の交換	2000年8月22日から 契約対象特許の終了日まで

設備投資額

(単位：百万円)

	2013年3月期	2012年3月期	2011年3月期
全社	26,688	24,300	20,369
-高級金属製品	10,336	11,191	8,272
-電子・情報部品	8,368	6,848	6,560
-高級機能部品	7,015	5,660	4,685

-2013年3月期の主な設備投資

事業部門	投資目的・内容
高級金属製品	国内における高付加価値製品の生産体制の構築、合理化投資
電子・情報部品	希土類磁石の海外生産統制の構築、国内製造技術改善投資
高級機能部品	自動車部品の海外増産投資、配管機器製品の海外生産体制の構築

設備の新設計画

(2013年3月31日現在)

事業セグメント	予定金額 (百万円)	投資目的・内容
全社	32,000	-
-高級金属製品	16,000	合理化設備の新設と既存ラインの生産性向上
-磁性材料	6,000	合理化設備の新設と既存ラインの生産性向上
-高級機能部品	8,500	合理化設備の新設と既存ラインの生産性向上