大豊工業 (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 | 備考 | |
全社 | ||||
売上高 | 107,288 | 98,221 | 9.2 | - |
営業利益 | 6,629 | 4,675 | 41.8 | - |
経常利益 | 6,297 | 4,973 | 26.6 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,772 | 3,194 | 18.1 | - |
自動車部品関連事業 | ||||
売上高 | 88,427 | 81,470 | 8.5 | - |
営業利益 | 10,245 | 8,125 | 26.1 | - |
中期経営計画
VISION2020
-トライボロジーをコアに、軸受をはじめとした環境に貢献する製品を迅速に生み出し、グローバルに顧客へ提供する。
中期経営方針(2017年3月期期 - 2019年3月期)
-技術・品質・原価の徹底追及により、世界トップの競争力を持つ企業となる。
-人財・組織づくりとリソースの最大活用により、グローバル基盤をさらに強化する。
VISION2020と新中期経営計画の位置付け
-2017年度3月期に過去最高業績を達成し、以降、持続的成長を図りながら、収益力体質の強化を目指す。
各製品の方向性
製品 | 方向性 | |
軸受 |
エンジンベアリング |
-グローバルシェアUPに向けた更なる拡販の推進 |
ブシュ、ワシャ | -グローバル生産体制の確立、現地生産化による拡販の推進 | |
コンプレッサー用部品 | -シュー、斜板を基軸としたグローバル展開と先を見据えた開発推進 | |
軸受以外 | ダイカスト製品 | -新工法(回転鋳抜等)、設備コンパクト化等による減価低減を生かした拡販活動推進 |
システム製品 | -バキュームポンプのコスト低減とグローバル対応 -同社グループ現有技術を生かした将来技術への着手 |
|
ガスケット | -グローバル拡販強化 | |
設備・金型 | -同社グループ一体活動による相乗効果の創出 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予想) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 109,000 | 107,288 | 1.6 |
営業利益 | 6,900 | 6,629 | 4.1 |
経常利益 | 6,400 | 6,297 | 1.6 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,900 | 3,772 | 3.4 |
-売上高・利益ともに過去最高、利益率向上を目指す。
製品別売上高 | (単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
軸受製品 | 45,200 | 44,637 | 1.3 |
システム製品 | 15,600 | 13,537 | 15.2 |
ダイカスト製品 | 9,500 | 9,886 | (3.9) |
ガスケット製品 | 15,000 | 14,386 | 4.3 |
設備/金型 | 17,900 | 18,638 | (4.0) |
-2017年3月期の軸受製品売上高は452億円で全体の41.5%を占める見通し。
-軸受製品ではグローバルシェアアップに向けた拡販、現地生産化による拡販を計画。
-システム製品ではバキュームポンプ売上拡大を予測。
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
部品共通化
-2014年1月、同社はトヨタ自動車の部品共通化構想「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー (TNGA)」に対応し、エンジン軸受の共通化を推進すると発表した。トヨタはTNGAの一環として2015年度以降に新型エンジンを導入する方針。同ユニットに照準を合わせて、設計、仕様を絞り込んだ軸受を開発する。エンジン軸受は、ベースとなる裏金の表面に加工を施して耐熱性や耐摩耗性などの性能要件を引き出していく。裏金に使用するアルミ合金には黄銅系とリン青銅系の30~40種類があり、エンジンごとに複数の種類を使用していた。これに対し、新型は素材を1種類のみに限定し、寸法のバリエーションも絞り込む。素材の集中購買や量産効果の向上を実現し、コスト競争力を高める。
設備の新設
-国内にエンジンベアリングを製造する工場を新設すると発表した。子会社の大豊岐阜(岐阜県御嵩町)の第3工場となる。2017年4月の建屋完成後、第2工場から軸受の加工ラインを順次移設する計画で、同年夏の操業開始を目指す。第2工場の余剰スペースには、大豊グループとして初となる軸受材料の研究開発専用ラインも設ける。研究開発のスピードアップと将来の需要拡大を見据えた生産能力を確保することで、収益増を図る。新工場の投資額は約15億円で、16年9月中に着工する。建屋面積は約9800平方メートルとなり、第2工場にあった生産設備を移設する形でエンジン軸受を生産する。(2016年9月7日付日刊自動車新聞より)
-100%子会社である大豊岐阜株式会社が同社敷地内に第3工場を建設すると発表した。エンジンベアリングなど自動車部品の生産能力拡大、新製品の生産スペース確保、軸受の新材料開発設備の設置を目的としている。工場面積は9,800平方メートルで、投資額は総額約15億円となる見込み。2016年9月に着工し、2017年4月に完成を予定している。(2016年8月31日付プレスリリースより)
-最新鋭の生産ラインに比べて3~4割程度のコンパクト化を可能にするエンジン軸受の新たなラインの開発に着手した。2016年度からスタートする新中期経営計画の期間中に、新ライン導入のめどをつける。同社は複数の加工工程を集約するなどし、生産ラインの長さを44メートルから22メートルへと半減した「RR(良品廉価)ライン」を開発した。すでに、国内工場の一部で導入を始めているほか、インドネシアや中国の現地工場でも順次、RRラインへ切り替えていく計画となっている。このRRラインをさらにコンパクト化する。大型設備となっているプレス工程で生産機器を最適化するなどし、さらなるスリムな生産ラインの実現に道筋をつける。ライン1本当たりの生産能力を落とさずにコンパクト化することにより、グローバルで機動的な生産体制の強化につなげる狙いだ。(2015年11月16日付日刊自動車新聞より)
-2017年3月期、同社グループの設備投資予定額は11,000百万円。主な内訳は以下の通り。
事業所名 | 主要設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
目的 |
本社および本社工場 (愛知県豊田市) |
ダイカスト製品製造設備等 | 509 | 新製品切替・更新 |
細谷工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 888 | 新製品切替・拡張・能力増強 |
篠原工場 (愛知県豊田市) |
組付製品製造設備等 | 862 | 新製品切替・拡張・能力増強 |
九州工場 (鹿児島県出水市) |
軸受製品製造設備等 | 474 | 新製品切替・拡張・能力増強 |
幸海工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 235 | 新製品切替・合理化 |
大豊精機 (株) 本社および本社工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 380 | 拡張・能力増強 |
(株) ティーイーティー 春日井工場 (愛知県春日井市) |
加工設備 | 197 | 拡張・能力増強 |
大豊岐阜(株) 本社および本社工場 (岐阜県可児郡) |
軸受製品製造設備等 | 440 | 新製品切替 |
日本ガスケット (株) 滋賀工場 (滋賀県米原市) |
ガスケット製品製造設備 | 142 | 拡張・能力増強 |
Taiho Corporation of America 本社および本社工場 (米国 オハイオ州) |
軸受製品製造設備等 |
236 |
新製品切替 |
PT. Taiho Nusantara 本社および本社工場 (インドネシア 西ジャワ州) |
軸受製品製造設備等 | 29 | 拡張・能力増強 |
Taiho Corporation of Europe 本社および本社工場 (ハンガリー Ujhartyan) |
軸受製品製造設備等 | 15 | 新製品切替 |
韓国大豊 (株) [Taiho Corporation of Korea] 本社および本社工場 (韓国 Daegu) |
軸受製品製造設備等 | 67 | 新製品切替 |
大豊工業 (煙台) 有限公司 [Taiho Kogyo Corporation of Yantai] 本社および本社工場 (中国 煙台市) |
軸受製品製造設備等 | 409 | 新製品切替 |
常州恒業軸瓦材料有限公司 [Hengye Bearing Materials Co.,Ltd (Changzhou)] 本社および本社工場 (中国 常州市) |
軸受製品製造設備等 | 86 | 拡張・能力増強 |
Taiho Corporation of Thailand 本社および本社工場 (タイ、パトムタニ県) |
軸受製品製造設備等 | 7 | 新製品切替 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 6,548 | 10,393 | 7,591 |
自動車部品関連事業 | 6,266 | 9,809 | 6,439 |
自動車部品関連事業
-新製品切替や生産能力増強、維持更新を目的とした設備投資を実施。国内、海外の投資は以下の通り:
- 国内の連結子会社:大豊岐阜 (株) による軸受製品製造設備への新製品切替や生産能力増強を目的とした投資を中心に実施。
- 海外子会社:大豊工業 (煙台) 有限公司 [Taiho Kogyo Corporation of Yantai]による軸受製品製造設備への新製品切替や生産能力増強目的の投資を中心に実施。
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 3,398 | 3,209 | 3,268 |
自動車部品関連事業 | 3,067 | 2,999 | 3,064 |
研究開発体制
-トライボロジー (摩擦/磨耗/潤滑技術) をはじめとする基礎研究部門、製品開発部門、生産技術開発部門を愛知県豊田市の「技術開発センター」に集約し、さまざまな課題に対応できる体制を確立。その他に、摩擦技術研究センター、エンジン試験センター、生技開発センターを有している。
研究開発活動
軸受製品
-エンジン用軸受では、ハイブリッドやアイドリングストップのエンジンに同社の樹脂コーティング軸受が採用され、頻繁な起動停止に対応し、低燃費化に貢献。
-低摩擦効果が得られる樹脂コーティング付きクランクワッシャーを開発・量産化。
-油量を制御する新溝形状エンジン用軸受けを開発・量産化。
-ブッシュでは、高性能新アルミ軸受材料、高性能新カーボン軸受材料を開発中。
-カーエアコン用コンプレッサー向けの特殊軸受では、高性能、軽量新シュー・低コスト新斜板を開発・量産化。
ダイカスト製品
-CAE (流動解析) を用いて冷却・湯流れを最適化し、薄肉鋳造および鋳造精度向上を実現、高精度で低コストな製品を提供。
システム製品
-EGRバルブを応用し、ターボチャージャーの多段化に必要となる高温排ガスの切替えバルブの量産を開始。