大豊工業 (株) 2013年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2013年 3月期 |
2012年 3月期 |
増減率 | 備考 | |
全社 | ||||
売上高 | 86,102 | 81,809 | 5.2 | - |
営業利益 | 3,219 | 3,565 | (9.7) | - |
経常利益 | 3,461 | 3,887 | (11.0) | - |
当期純利益 | 3,297 | 2,005 | 64.4 | - |
自動車部品関連事業 | ||||
売上高 | 72,365 | 70,905 | 2.1 | - |
営業利益 | 6,699 | 7,483 | (10.5) | - |
主な受注
-ディーゼル乗用車向けEGR (排出ガス再循環装置) バルブの初受注を獲得した。日本の大手乗用車メーカーが欧州の次期排出ガス規制ユーロ6に対応するために開発中の小型ディーゼルエンジン (DE) 向けに供給するもので、2015年度から篠原工場で生産を開始。生産規模は月1万5千個。現在、EGRバルブの生産、供給はトラック用の大型DE向けにとどまる。乗用車向けの立ち上げ以降は生産を子会社の大豊岐阜に拡大することも視野に入れている。(2012年11月15日付日刊自動車新聞より)-2012年、子会社の日本ガスケットは樹脂製歯車を開発。2013年5月より、Lexus 「IS Hybrid」のエンジンに採用。
買収
-中国のアルミ軸受素材メーカー「常州恒業軸瓦材料有限公司」[Hengye Bearing Materials Co., Ltd (Changzhou)]を買収し、完全子会社化した。中国には既に軸受工場を設置しているが、素材メーカーを傘下に加えることで現地で一貫生産体制を構築する。エンジンベアリング生産体制の再構築
-日本国内のエンジンベアリング生産について、工場ごとの役割分担を見直す。現在は細谷工場、九州工場、生産子会社大豊岐阜を主な量産工場としている。これに対し、以下の通り生産体制を再構築する。将来的に国内需要が縮小することも視野に入れたもので、同社は、中長期的に世界の自動車需要の拡大に合わせてエンジン軸受の生産、販売を拡大する方針を打ち出している。(2012年9月24日付日刊自動車新聞より)- 細谷工場:新製品、新生産技術を立ち上げるエンジニアリング拠点
- 九州工場:補給部品の生産拠点
- 大豊岐阜:量産主力工場
2014年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2014年3月期 (予想) |
2013年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 90,000 | 86,102 | 4.5 |
営業利益 | 4,000 | 3,219 | 24.3 |
経常利益 | 3,700 | 3,461 | 6.9 |
当期純利益 | 2,300 | 3,297 | (30.2) |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
中期経営計画
-2013~2015年度 (2014年3月期~2016年3月期) を対象期間とする中期経営計画「VISION2015」を策定。以下3つの方針のもと、2015年度 (2016年3月期) の売上高1,100億円、営業利益率6.5%を目指す。- 製品・製造領域のグローバルな拡大:軸受のグローバル市場を的確に把握し、適時・適地に適切な製品を供給
- 製品技術・生産技術の革新:トライボロジーを軸に軸受から潤滑システムへ技術領域を拡大
- 人財力の強化
-非軸受事業の拡大
- EGRバルブ:2013年3月期のEGRバルブの売上高は1,600百万円。現在は大型車を中心に供給しているが、今後はディーゼル乗用車への製品領域を拡大し、2015年度の売上高2,300百万円を目指す。
- バキュームポンプ:2013年3月期のバキュームポンプの売上高は650百万円。低燃費車、ディーゼル向けに機種を拡大していく。2015年3月期には大型乗用車向けに新機種の供給する計画。2016年3月期には新興国向け低価格車用のバキュームポンプをタイで現地生産するなどし、売上高3,000百万円を目指す。
- 樹脂歯車:2012年12月に樹脂歯車の量産を開始。2013年3月期の売上高は30百万円。2013年5月よりLexus 「IS Hybrid」に採用されるなど、車種を拡大し2016年3月期の売上高1,500百万円を目指す。
受賞
-トヨタ自動車より「2012年度技術開発賞」を受賞。従来工程数の40%削減を達成した製法「RRライン」が評価された。開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
全社 | 3,202 | 3,020 | 2,496 |
自動車部品関連事業 | 2,910 | 2,810 | 2,398 |
研究開発体制
-トライボロジー (摩擦/磨耗/潤滑技術) をはじめとする基礎研究部門、製品開発部門、生産技術開発部門を愛知県豊田市の「技術開発センター」に集約し、様々な課題に対応できる体制を確立。-その他に、摩擦技術研究センター、エンジン試験センター、生技開発センターを有している。
研究開発活動
自動車部品関連事業<軸受事業>
-主力の軸受分野で全製品の生産を高効率化する次世代ラインの開発に着手した。2012年に量産を開始した新工法「RRライン」は成形、加工工程のスペースを約4割削減して効率化を図ったが、1500cc以下の小型エンジン用軸受のみに対応している。これに対し、大型用軸受にも対応可能な新ラインを構築する。RRラインは主に成形、加工を対象としていたが、今回は材料投入から準備、成形、加工、検査まで全工程の生産設備を見直す。グループ会社大豊精機に用意した実証ラインで最適仕様を検討し、2015年頃までに実用化を目指す。(2013年1月25日付日刊自動車新聞より)
-カーエアコン用コンプレッサー向けの特殊軸受では、低コスト新シュー・新斜板を開発・量産化し、コスト競争力を強化。
<ダイカスト事業>
-ダイカスト製品では、軽量化に有効な薄肉鍛造技術、およびCAE (流動解析) から冷却・湯流れを最適化し、機械加工レスによる原価低減を行ない量産化。
<組付製品>
-2005年10月からスタートした商用車の新長期排気規制に対応し、精密制御かつ大流量を確保した電子制御式EGRバルブを開発・量産開始。2009年の国内ポスト新長期排気ガス規制、および2010年の米国排ガス規制US10に対応したEGRバルブも量産しており、同製品は日野自動車より2年連続で技術開発賞を受賞。
<エンジン内の潤滑マネジメント技術>
-同社は、エンジン軸受で蓄積した摩擦工学のノウハウを活用し、エンジン内の潤滑マネジメント技術の確立に乗り出す。新規参入分野として、ピストンを冷却するために吹きかける油量を調整する可変型のオイルジェットを開発する。これにより、内燃機関のなかで潤滑油の量や流れを最適化し、燃費改善に結びつける。(2012年10月12日付日刊自動車新聞より)
<その他>
樹脂製歯車
-2012年、ガスケット製造で培った「抄造技術」を用いた樹脂製の歯車を開発。従来の他社製品と同等の耐久力を維持しながら、コスト10%の低減、摩耗量70%の低減を実現。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
全社 | 4,763 | 6,123 | 2,456 |
自動車部品関連事業 | 4,397 | 4,789 | 2,391 |
自動車部品関連事業
-同社では新製品切替や、生産設備の能力増強を目的とした設備投資を実施。国内、海外の投資は以下の通り:
- 国内の連結子会社:新製品切替や生産設備の能力増強を主体とした設備投資を実施。主な子会社として、大豊岐阜 (株) で軸受製品製造設備への生産能力増強を目的とした投資を中心に実施。
- 海外:新製品切替、生産能力増強、新工場建設のための投資を実施。主な子会社として、PT. Taiho Nusantaraによる工場拡張のための投資。
海外投資
<タイ>-タイ子会社Taiho (Thailand) Co., Ltd.にエンジン用バキュームポンプを生産する新工場を建設すると発表。新工場はプラチンブリ県304工業団地に建設。敷地面積は約4万平方メートルで、工場面積は約4500平方メートル。建設費用に土地代を含めて約7億円を投じ、設備導入など15年までの総投資額は約10億円を予定する。2014年2月に稼働、初年度の生産規模は月産1万8千個とし、15年には月産4万2千個へ引き上げる計画。タイを中心とする東南アジア諸国連合 (ASEAN) 市場に高品質で価格競争力の高い製品を供給することで、ASEANでの売り上げ拡大につなげる。(2012年10月31日付日刊自動車新聞より)
設備の新設
-2014年3月期、同社グループの設備投資予定額は9,500百万円。主な内訳は以下の通り。事業所名 | 主要設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
目的 |
本社および本社工場 (愛知県豊田市) |
ダイカスト製品製造設備等 | 181 | 新製品切替・維持更新 |
細谷工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 2,160 | 新製品切替・維持更新 |
篠原工場 (愛知県豊田市) |
組付製品製造設備等 | 1,752 | 新製品切替・維持更新 |
九州工場 (鹿児島県出水市) |
軸受製品製造設備等 | 112 | 新製品切替・維持更新 |
幸海工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 499 | 新製品切替・維持更新 |
大豊精機 (株) 本社および本社工場 (愛知県豊田市) |
軸受製品製造設備等 | 15 | 拡張・能力増強 |
(株) ティーイーティー 春日井工場 (愛知県春日井市) |
加工設備 | 94 | 新製品切替・維持更新 |
大豊岐阜(株) 本社および本社工場 (岐阜県可児郡) |
軸受製品製造設備等 | 318 | 新製品切替 |
日本ガスケット (株) 滋賀工場 (滋賀県米原市) |
ガスケット製品製造設備 | 353 | 新製品切替 |
Taiho Corporation of America 本社および本社工場 (米国 オハイオ州) |
軸受製品製造設備等 | 10 | 維持更新 |
PT. Taiho Nusantara 本社および本社工場 (インドネシア 西ジャワ州) |
軸受製品製造設備等 | 23 | 新製品切替 |
Taiho Corporation of Europe 本社および本社工場 (ハンガリー Ujhartyan) |
軸受製品製造設備等 | 95 | 新製品切替 |
韓国大豊 (株) [Taiho Corporation of Korea] 本社および本社工場 (韓国 Daegu) |
軸受製品製造設備等 | 111 | 新製品切替 |
大豊工業 (煙台) 有限公司 [Taiho Kogyo Corporation of Yantai] 本社および本社工場 (中国 煙台市) |
軸受製品製造設備等 | 26 | 維持更新 |
常州恒業軸瓦材料有限公司 [Hengye Bearing Materials Co.,Ltd (Changzhou)] 本社および本社工場 (中国 常州市) |
軸受製品製造設備等 | 188 | 新製品切替 |