(株) タチエス 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 283,662 250,940 13.0 -国内販売は減少したものの、海外での販売台数の増加や為替変動による円換算額増加等により、増収。
営業利益 6,883 1,672 311.7 -海外での売上高増加による利益貢献等により、増益。
経常利益 7,752 4,615 68.0 -
当期純利益 1,685 882 91.0 -
部門別売上高
-日本 116,276 117,472 (1.0) -軽自動車を中心に販売台数が減少し、減収。
-北米 51,733 51,359 0.7 -販売台数の増加や為替変動による円換算額増加等により、増収。
-中南米 65,875 53,554 23.0 -新規受注車種の販売台数の増加等により、増収。
-欧州 919 484 89.9 -新規受注の販売増加により、増収。
-中国 45,428 25,130 80.8 -新規受注車種獲得による大幅な販売台数の増加や為替変動による円換算額増加により、増収。
-東南アジア 3,428 2,939 16.7 -

国内事業

-鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)に高効率ラインを導入する。ロボットや検査装置による自動化を推進し、人員効率を高めて生産効率の30%向上を目指す。海外事業が拡大している中で、グローバルでの品質、競争力向上が受注拡大のために重要性を増している。生産の“マザー”と位置付ける国内工場の品質と生産性のレベルを一段と高めることにより、海外拠点のレベルアップにもつなげる。鈴鹿工場は主にホンダ車向けのシートを生産している。2ラインが稼働しており、今後も一定の生産数量が見込まれることから、ロボットの導入拡大などの設備投資を行い、自動化の推進によって生産性の向上を図る。2016年度に着手し、段階的に進める。主にシートフレームなどの溶接工程で自動化を推進する。同工程は組み立てに比べるとロボット化が進んでいるものの、人による作業が残っている部分もある。検査も含めて自動化することにより、工程全体の人員効率を高める。(2016年3月29日付日刊自動車新聞より)

海外事業

-完成シートの世界販売台数(搭載車両数ベース)を14年度実績比で100万台増となる440万台弱に引き上げる。15年度は前年度に比べ15%、50万台の大幅な増加となる見通しで、16年度も引き続き同水準の伸びを見込む。14年度の完成シートの世界販売台数は336万台だった。15年度にはメキシコや中国での新工場の立ち上げにより、主に日産やホンダへの販売が増えている。台数の増加により今期は2桁の増収と営業利益の大幅な増加を見込んでいる。16年度は前年度から、さらに50万台の販売増を見込んでいる。増加分の半分以上を中国で増やす見通しで、中国の販売台数は100万台を超え、15年度見通しの90万台を大きく上回る。同国では日産、ホンダに加え、吉利汽車や奇瑞汽車といった現地メーカーからの受注が増える。(2016年2月26日付日刊自動車新聞より)

受注
-2016年3月期のシートの主な受注

自動車メーカー 地域 モデル
ホンダ 日本 「S660」「FIT (US向け)」「CLARITY FUEL CELL」
米国・中南米 「HR-V」「PILOT (フレーム)」「RIDGELINE (フレーム)」
日産 米国・中南米 「MAXIMA」
中国 「QASHQAI」「MURANO」
欧州 「Navara」
民族系メーカー 中国 「帝豪EC9」「T7」「K50」

受賞

-2016年3月期の主な受賞:

顧客 表彰名 受賞者
Honda de Mexico, S.A. de C.V. Excellence in Quality and Delivery Award TACHI-S Mexicoグアダラハラ工場
東風日産乗用車公司 Regional Quality Award (China) 広州泰李汽車座椅有限公司 [TACLE Guangzhou Automotive Seat Co., Ltd.]

長期ビジョン「Global Challenge 177 [GC177]」

-Global Seat System Creator (グローバルでフレーム開発からシート生産まで行う) を目指す。

-3つの目標

  • 品質No.1
  • 営業利益率7%
  • 世界生産シェア7%

-グローバル対応

  • 主要地域での開発体制確立
  • 生産拠点の拡大・整備
  • 部品事業拠点の拡大

-競争力ある体質への変革

  • 提案力の強化
  • モノづくり力の強化
  • 変化への俊敏な対応

2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 270,000 283,662 (4.8)
営業利益 7,500 6,883 9.0
経常利益 10,400 7,752 34.2
当期純利益 5,000 1,685 196.7


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 4,274 4,252 4,716


-2017年3月期の研究開発費は、4,073百万円を予定。

研究開発拠点

タチエス技術・モノづくりセンター 東京都青梅市
アドバンスト・テクノロジー・センター 東京都青梅市
タチエス技術センター愛知 愛知県安城市
TACHI-S Engineering U.S.A. Inc. 米国ミシガン州
TACHI-S Engineering Europe S.A.R.L. フランス ヴェリジー・ビラクブレー市
福州泰昌汽車座椅開発有限公司
[TACHI-S Engineering China Co., Ltd.]
中国福州市
TACHI-S Engineering Latin America S.A. de C.V. メキシコ アグアスカリエンテス州
TACHI-S Engineering Vietnam Co., Ltd. ベトナム ホーチミン市

研究開発体制

-新製品の開発および新技術の基礎研究は、主に国内の技術・モノづくりセンターにおいて効率的な開発を行うとともに、米国・欧州の拠点および国内外の技術提携先企業等を通じて、先進技術や周辺技術の積極的な情報収集を実施している。また、蓄積された新製品・新工法技術は、同社直接または米国・欧州の拠点を通じて、グローバルに自動車メーカー各社や同部品メーカー各社に提案し、採用されている。

-国内において1999年8月に富士機工株式会社と、2006年11月には河西工業株式会社とそれぞれ業務提携を行い、機構部品および樹脂成形部品の技術開発力の向上、海外研究開発拠点の共同利用等、グローバルな視点での内装部品の商品力強化につなげる。

-日本国内において開発・生産・調達のモノづくりに関わる部門を集約すべく、2012年8月に東京都青梅市に技術・モノづくりセンターを開設。

-中国においては、2008年8月に福州泰昌汽車座椅開発有限公司 [Tachi-S Engineering China Co., Ltd.] を設立以降、同広東省広州市、同浙江省浙江市、同河南省鄭州市にも開発拠点を開設し、合計4カ所の開発拠点を保有している。

研究開発活動

シートおよびオリジナル機構部品開発
-自動車およびその他乗り物用シート、またシートのリクライニングデバイス、スライドレール、大移動量リフター、床下格納デバイス、RV車用シートのロングスライドレールおよびその付属機構、回転ユニット等の開発をシートシステムとして行い、得意先各社へ採用が進んでいる。

安全性向上技術開発
-安全性向上として、3点式シートベルト組込シート、サイドエアバック組込シート、乗員感知式スマートエアバック対応シート、頸部障害軽減システム等の開発をシートシステムとして行い、顧客から採用されている。また前後面、側面衝突に対応した安全シート構造の研究開発を行っている。

環境対応技術開発
-環境対策では、各種環境負荷物質の全廃に向けての対応や、自動車の燃費向上のため新材料、新構造技術を織り込んだ超軽量シートの開発等を行い、得意先各社へ提案し採用されている。

福祉車両商品の開発
-福祉車両用に操作性、乗降性に優れたヘルパーシートの開発を行い、得意先各社へ提案し採用されている。

原価低減商品の開発
-標準化、共通化を踏まえた低コスト次世代シートを開発し、国内外の得意先各社に採用されている。

生産技術開発
-接着成形シートの改良技術開発、ヘッドレスト、アームレストの一体発泡成形技術開発、シート組立の省力化・自動化技術開発、CAD/CAMによる型製作等を展開。また、多品種少量生産を可能にした混流ラインを開発し、車種数や商品構成の増加に対応している。

シートの研究分野
-より快適なシートの開発を目指し、「座り心地」評価と、あるべきシートの構造方式について自主研究を継続。さらに、短期間での性能、質量、コストのバランスの取れた設計のため、CAE解析を行い開発期間短縮、コストダウン等を貢献。

シートデザインの開発
-将来シートコンセプト、新商品のデザイン開発、コーポレートデザインなどシートを含め同社に関するあらゆる分野のデザイン開発を独自で取組み、得意先各社へ提案し採用されている。

標準フレーム
-多様な車種で共通して使うことができる汎用性の高い標準フレームを独自に開発、得意先各社へ提案し採用されている。

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 4,440 6,067 9,075


-2016年3月期の地域別設備投資額は以下の通り:

地域 主な内容 投資金額 (百万円)
日本 新規受注およびモデルチェンジ等に伴う生産対応設備のほか、業務管理システムの構築費用 1,309
北米 モデルチェンジ等に伴う生産対応設備の更新 1,021
中南米 工場建設に伴う投資のほか、新規受注及びモデルチェンジ等に伴う生産対応設備 989
欧州 新規受注に伴う生産対応設備 40
中国 新規受注および生産対応設備 1,033
東南アジア 生産対応設備 45


-2017年3月期の設備投資額は、8,833百万円を予定。

主な設備の新設計画

(2016年3月31日現在)
会社名/事業所名 設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着工 完成予定
武蔵工場 工場建物 450 2016年4月 2017年3月
愛知工場 自動車座席の製造設備 247 2016年4月 2016年11月
技術・ものづくりセンター 業務管理システム構築 179 2016年4月 2017年4月
栃木工場 自動車座席の製造設備 132 2016年6月 2016年10月
鈴鹿工場 自動車座席の製造設備 99 2016年12月 2017年10月
Industria de Asiento Superior S.A. de C.V. 自動車座席用製造設備 2,221 2016年4月 2017年12月
TACHI-S Engineering Latin America, S.A. de C.V. 開発事務所及び実験設備 1,051 2016年4月 2017年3月