ジヤトコ (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

2012年3月期

受注

-中国で2011年5月に発売された東風日産の「Tiida」に、軽・小型FF車用副変速機付CVT (JF015E)が搭載されていると発表した。(2011年5月30日付プレスリリースより)

-ルノージャポンが2011年5月に発売した「Megane」に、同社製の中型FF車用ベルトCVT (JF011E)が搭載されていると発表した。(2011年5月27日付プレスリリースより)

海外事業

-2013年中頃までにメキシコと中国で無段変速機(CVT)の生産能力を順次拡充する計画を明らかにした。メキシコでは現在の年間70万台から120万台へ、中国では同73万台から同90万台へ増やす。またタイでは同50万台で新工場を稼働させる予定で、この時点での海外生産能力は同260万台に達する計画だ。さらに同社は、ロシアの自動車メーカー、アフトワズ向けに今年6月から、小型FF車用4速自動変速機(AT)の出荷を開始することも明らかにした。メキシコでは3月から、最新型「CVT8」の生産を開始、秋には「CVT7」の生産も開始する。13年からはハイブリッド車用の生産も開始する。中国・広州の工場では12年春に同38万台から73万台に能力を拡充するのに続いて、13年春には同90万台に増強する。同工場では11年から「CVT7」の生産を開始していた。いずれも、日産自動車向けを中心とするCVTの需要増大に対応するもの。投資額は非公表としている。タイでは新工場を建設中。13年中頃には同50万台で稼働を始める計画だが、すでに16年までに同70万台に拡大する予定を公表済み。ATを含めた海外生産比率は現在2割程度だが、売上高1兆円を目標に掲げる18年度には72%まで高める。仏ルノーが出資するロシアのアフトワズ向けには、同社の「グランタ」に搭載する4速ATの供給を始める。これに向けて、6月にはモスクワの東にあるトリアッチに営業サービス拠点を設立する予定だ。(2012年3月7日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-中国で副変速機付きCVT (無段変速機)の生産を開始したと発表した。副変速機付きCVTを海外で生産するのは今回が初めて。東風日産の「サニー」に搭載されることになっている。子会社のジヤトコ(広州)自動変速機で生産を開始した。同工場では、当初の生産能力を年間12万台、秋までに年間24万台まで高めていく予定だ。ジヤトコ広州はこれまで中型FF (前輪駆動)車用のCVTを生産していた。今回、同工場で副変速機付きCVTの生産を始めることにより、既存の富士、掛川地区と合わせてグローバル生産能力は年間100万台を超えることになる。(2011年4月23日付日刊自動車新聞より)

国内事業

-京都府八木町の八木工場で新型CVT (無段変速機)「CVT8」の出荷式を開いた。新型CVTは、初めてメキシコ工場との同時生産立ち上げに挑戦したユニットで、来月にはメキシコでの生産も始まる。八木工場では、まず北米で販売される日産車向けユニットの生産を手がけ、4月には国内向けの生産も始める。新型CVTの生産能力は、2013年度に日本とメキシコで合計200万台分とする計画。同社はこれまで4シリーズのCVTを展開していたが、今後は排気量2~3.5リットル級に対応する新型CVTと、軽自動車から排気量1.6リットル級の小型車に対応する「CVT7」の2シリーズで世界規模での需要拡大に対応していく。(2012年2月27日付日刊自動車新聞より)

事業方針

-2018年度にCVT (無段変速機)を含む自動変速機(AT)の年産能力を現状の2倍の1千万台に、売上高を2011年度の約1.8倍の1兆円にそれぞれ拡大することを目標にグローバル事業を強化する。中国を始めとした既存拠点の生産増強に取り組みながら、主要取引先の日産自動車を始めとした日系自動車メーカーの海外展開に合わせて未進出地域への工場新設を活発化する。同時により少ない設備投資、生産コストを実現した新興国向けCVTを商品化するなどして成長が見込まれる地域のニーズを吸収し、目標達成につなげる。(2011年8月9日付日刊自動車新聞より)

新会社

-タイ生産子会社、ジヤトコタイランド(チョンブリ県、アマタナコーン工業団地)で定礎式を実施した。同子会社はメキシコ、中国に続く3番目の海外生産拠点で、2013年半ばの生産開始を予定している。軽・小型FF (前輪駆動)車用の副変速機付きCVT「ジヤトコCVT7」を年間約50万台(生産立ち上がり当初)の能力で生産する。(2011年12月13日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発拠点

名称 所在地
本社 静岡県富士市
厚木開発センター 神奈川県厚木市
岡崎開発センター 愛知県岡崎市
茂木試験場 栃木県芳賀郡

研究開発活動

-2013年にタイでCVT (無段変速機)の適合開発業務を始める。現地生産車に搭載するための開発を行うもので、現地化により、日本を含めたグローバルの開発業務全体を効率化する狙いがある。中国でも11年から開発業務を開始しており、生産に続いて開発でも新興国での現地化が進む。同社は、タイで同国初となるCVTの生産を13年度半ばから始める計画。生産するのは軽自動車や小型FF (前輪駆動)車向けの「ジヤトコCVT7」で、生産開始当初は年間50万台分を生産する。現地生産の開始と並行して開発業務も開始し、タイ生産拠点の機能を高める。(2012年1月5日付日刊自動車新聞より)

製品開発

2.0-3.5リッターFF車用CVT/FF車用ハイブリッドシステム対応CVT
-2.0-3.5リッターFF車用のCVT「Jatco CVT8 (ジヤトコCVT8)」と、FF車用ハイブリッドシステムに対応した「Jatco CVT8 HYBRID (ジヤトコCVT8ハイブリッド)」を開発したと発表。Jatco CVT8は変速比幅7.0を実現し、フリクションを約40%低減することにより、従来のCVTと比較して約10%燃費を向上した。このJatco CVT8は、まず2012年に日産が北米で発売する車種を皮切りに、グローバルに供給される予定。また、「Jatco CVT8 HYBRID」は、1モーター2クラッチシステムをJatco CVT8に内蔵している。日産はこのJatco CVT8 HYBRIDを、2013年に北米市場に投入する新型ハイブリッド車に搭載する予定。Jatco CVT8とJatco CVT8 HYBRIDは、2012年初頭より順次、メキシコおよび日本で生産される。(2011年10月13日付プレスリリースより)

設備投資

海外投資

<タイ>
-タイのChonburiに軽・小型FF車用副変速機付CVTの生産工場を設立すると発表。新会社JATCO (Thailand) Co., Ltd.への投資額は約200億円で、敷地面積は約16万平方メートル。2013年半ばに生産開始し、年産能力は約50万台を予定している。同社の海外拠点としては、メキシコ、中国についで3拠点目。また、タイにおいてCVTを生産するのは同工場が初となる。この副変速機付CVTは2009年に生産が開始され、これまでの累計生産台数は約70万台。現在、日産 「Juke」・「March/Micra」、スズキ 「Swift」・「Wagon R」等に搭載されている。(2011年6月30日付プレスリリースより)