アイシン精機 (株) 2018年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 3,908,937 | 3,562,622 | 9.7 | -オートマチックトランスミッションや車体部品の販売好調 ーアート金属工業株式会社の子会社化 |
営業利益 | 253,808 | 228,691 | 11.0 | -売上増・為替差益 |
経常利益 | 268,171 | 237,311 | 13.0 | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 134,551 | 126,653 | 6.2 | |
アイシン精機グループ | ||||
売上高 | 1,472,370 | 1,353,101 | 8.8 |
-車体部品の販売好調 |
営業利益 | 78,031 | 80,593 | (3.2) | -原材料価格の上昇 ー研究開発費・償却費の増加 |
アイシングループの事業再編
-マニュアルトランスミッション、制御ブレーキ、車体部品の3事業を再編する。
- マニュアルトランスミッション事業: トヨタの開発・生産機能を、アイシンAIに集約
- 制御ブレーキ事業: トヨタ、デンソー、アイシン精機の開発・生産機能を、アドヴィックスに集約
- 車体部品事業: アイシン精機がシロキ工業を完全子会社化
組織の再編
バーチャルカンパニー(VC)体制の発足
-2017年2月、グループ会社と共同で4月1日に発足するバーチャルカンパニー(VC)体制の詳細を発表した。事業軸で四つのカンパニーをグループ横断的に設置し、連携して研究開発や事業展開していく。カンパニーの責任者として4人のプレジデントを任命した。「パワートレインVC」に尾崎和久アイシン精機取締役・専務役員(6月にアイシン・エィ・ダブリュ社長に就任)、「走行安全VC」に小木曽聡アドヴィックス社長、「車体VC」に西川昌宏アイシン精機専務役員、「情報・電子VC」に植中裕史アイシン精機専務役員がそれぞれ就く。(2017年2月25日付日刊自動車新聞より)
2019年3月期の見通し |
(単位:億円) |
2019年3月期 (予想) |
2018年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 39,800 | 39,089 | 1.8 |
営業利益 | 2,550 | 2,538 | 0.5 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,330 | 1,345 | (1.2) |
地域別売上高見通し |
(単位:億円) |
2019年3月期 (予想) |
2018年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
日本 | 23,490 | 23,007 | 2.1 |
北米 | 5,530 | 5,730 | (3.5) |
欧州 | 3,490 | 3,504 | (0.4) |
中国 | 4,060 | 3,777 | 7.5 |
アジア他 | 3,230 | 3,069 | 5.2 |
研究開発費 |
(単位:億円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
アイシン精機グループ | 745 | 720 | 689 |
アイシンAWグループ | 803 | 692 | 658 |
アドヴィックスグループ | 201 | 180 | 193 |
アイシン高丘グループ | 12 | 12 | 12 |
その他 | 66 | 71 | 73 |
合計 | 1,829 | 1,677 | 1,626 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
アイシン精機グループ | 122,582 | 102,805 | 105,570 |
アイシン高丘グループ | 19,606 | 15,781 | 23,077 |
アイシンAWグループ | 87,383 | 72,319 | 123,236 |
アドヴィックスグループ | 19,082 | 39,771 | 23,730 |
その他 | 12,133 | 13,378 | 19,996 |
消去 | (473) | (6,607) | (1,422) |
合計 | 260,315 | 237,449 | 294,188 |
-2018年3月期、主に新商品・改良商品への投資、生産能力の増強及び新技術・新商品等の研究開発のため2,603憶円の設備投資を行った。
国内投資
-アイシン精機と子会社のアドヴィックス(愛知県刈谷市)は、制御ブレーキ製品を生産するアドヴィックスの半田工場(愛知県半田市)を拡張すると発表した。既存工場を増築し、これまでアイシン精機の半田工場(同)内で製造していたブレーキ関連製品をアドヴィックスに集約し、生産性の向上と物流効率化を図る。同時に、車の電動化や自動運転技術の進展に伴う制御ブレーキ製品の需要増に対応するため、生産能力を増強する。アドヴィックスの半田工場は、制御ブレーキ製品の主力生産拠点として回生協調ブレーキやESC(横滑り防止装置)モジュレーターなどを生産している。第一工場は、アイシン精機が建設し、アドヴィックスへ貸与している拠点で、2016年に竣工し、ESCや電子制御ブレーキなどを製造する。第二工場は、エアサスペンションシステムなどを造るアイシン半田工場/半田電子工場の1階部に位置し、ESCやハイドロブースターといった製品を生産している。(2017年12月7日付日刊自動車新聞より)
ー同社とアドヴィックスは、愛知県半田地区で生産している制御ブレーキ製品、電動ポンプ、モーター、ECUなどの生産体制の強化を目的に、アドヴィックス半田工場を拡張し、半田地区の生産体制を再編すると発表した。投資額は約220億円。アイシン精機が建設し、アドヴィックスに貸与する。拡張による増築面積は61,600平方メートル。2019年1月に竣工し、回生協調ブレーキやESCモジュレータなどの制御ブレーキ製品を生産する予定。(2017年11月24日付プレスリリースより)
ーアイシン精機は、昨年から増築工事を行っていた西尾ダイカスト工場南棟が稼働したと発表した。2018年3月までに全7ラインが操業する予定。西尾ダイカスト工場の既存の生産能力は約10万トンで、今回増築した南棟が1.3万トン。全体では1割強の能力増強になる。子会社アイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)の乗用車用オートマチックトランスミッション(AT)の生産が年1千万台レベルまで急拡大しているため、AT用トランスミッションケースなどアルミダイカスト部品の供給を増やすため、工場を増設した。投資額は115億円。(2017年8月28日付日刊自動車新聞より)
ー同社は1日、愛知県刈谷市の本社地区に新たな実験棟「Vラボ」を開設したと発表した。設備投資額は建屋のみで45億円。段階的に設備を導入して、順次稼働する。新設したVラボでは「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクテッド」など、次世代成長領域の先行開発に焦点を当て、アイシングループ各社と新商品・新技術の開発を推進する。まずセンサーとアクチュエーターを組み合わせた駐車支援システム「インテリジェントパーキングアシスト」のシステム開発に重点を置く。(2017年8月3日付日刊自動車新聞より)
海外投資
<米国>
-アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュは、米国シリコンバレーを中心に技術を発掘しているフェノックスベンチャーキャピタルをパートナーとして約55億円のベンチャー投資ファンドを設立した。アイシングループは、世界最先端技術へのアクセススピード加速や自動車産業の底上げにつながる提携を促進するため、ベンチャー投資ファンドを設立した。約55億円のファンドがターゲットとする投資分野は、自動運転やゼロエミッション、コネクテッドカーをキーワードとした世界中の自動車関連技術全般や、人工知能 (AI) 、AR/VR (拡張現実/仮想現実) などの最先端技術分野、ハードとソフトの融合をキーワードとした分野など。(2018年3月10日付日刊自動車新聞より)
ーAisin Drivetrain(ADI)は、16百万ドルを投じて米国インディアナ州Crothersvilleの拠点を拡張すると発表した。2018年末までに最大47名の新規雇用を見込む。ADIはアイシン精機の米国子会社で、トランスミッション、パワーステアリングコラム等の自動車用部品を製造するサプライヤー。同社の部品はトヨタ「Avalon」やレクサス「ES」などに採用されている。2008年以降、ADIはインディアナ州の拠点に約80百万ドルを投資している。アイシン精機は、ADIのほかインディアナ州にAisin USA Manufacturing、Aisin Chemical Indiana、ATTC Manufacturing、ADVICS Manufacturing Indiana、Aisin Logistics、INTAT Precisionなど子会社10社を保有している。(2018年2月7日付 Indiana Economic Development Corp.のリリースより)
ーアイシン精機子会社のエフティテクノは、5百万ドルを投じて米ミシガン州Fowlerville近郊に運転支援システム(ADAS)および自動運転技術のテストトラックを新設すると発表した。新テストトラックは、車両との通信を行う停止信号、高速道路ランプ、5車線交差点、4方向停止交差点、カスタマイズ可能な迂回路とマルチユース・ダイナミックパッドなどの設備を新設するという。(2018年2月6日付 Detroit Free Pressより)
ーアイシン精機は、子会社のアイシン・エィ・ダブリュ (愛知県安城市) と共同でスタートアップ企業などに投資するファンドを米国シリコンバレーに設立すると発表した。電動化、人工知能、情報通信の分野で高い技術を持つスタートアップ企業と連携して先進技術を積極的に活用する。新会社「フェノックス・ベンチャー・カンパニー XX」は2月に設立する。出資総額は約55億円で、アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュがそれぞれ49.5%ずつ、投資運用会社が1%を出資する。アイシングループが投資ファンドを設立するのは初めて。米国、アジア、欧州を中心とするスタートアップ企業に投資する。(2018年1月24日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2018年3月31日現在) |
投資予定額 (百万円) |
主な設備投資の内容 | |
アイシン精機グループ | 184,000 | ボディ関連製造設備、エンジン関連製造設備等 |
アイシン高丘グループ | 24,500 | 鋳造設備等 |
アイシンAWグループ | 155,000 | ドライブトレイン関連製造設備等 |
アドヴィックスグループ | 36,000 | ブレーキおよびシャシー関連製造設備等 |
その他 | 8,100 | ドライブトレイン関連製造設備等 |
消去 | (17,600) | - |
合計 | 390,000 | - |
-2019年3月期の設備投資予定額は、前年比49.8%増の3,900億円。新商品・改良商品への投資、生産能力の増強及び新技術・新商品等の研究開発のため。