アイシン精機_2009年3月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:億円) |
2009年 3月期 |
2008年 3月期 |
増減率(%) | 要因 | |
売上高 | 22,144 | 27,004 | (18.0) | -自動車部品事業では、ハイブリッドトランスミッションや小型車向け商品の開発・拡販に取り組んだものの、世界市場で販売台数が減少した影響を受け、前年度比18.4%減の2兆1,118億円となる。 -2009年3月期の同社単独売上高は7,147億円。製品別売上割合は以下の通り。 ボディ:35.1% ブレーキ/シャシー:22.3% ドライブトレイン:16.2% エンジン:15.3% その他:11.1% 合計:100.0% |
営業利益 | (34) | 1,804 | - | -原価改善活動に取り組んだものの、売上高の減少に加え、為替変動や原材料価格の上昇による影響、減価償却費の増加などにより赤字転落。 |
経常利益 | (49) | 1,863 | - | |
純利益 | (251) | 916 | - |
地域別業績 | (単位:億円) |
2009年 3月期 |
2008年 3月期 |
増減率(%) | 要因 | |
日本 | ||||
売上高 | 17,648 | 22,250 | (20.7) | -自動車販売台数の減少に伴い、オートマチックトランスミッションやブレーキコンポーネントをはじめ、自動車部品全般の生産数量が落ち込んだ。 |
営業利益 | (363) | 1,289 | - | -売上高の大幅な減少、減価償却費の増加。 |
北米 | ||||
売上高 | 3,165 | 4,160 | (23.9) | -自動車販売不振の影響を受けた顧客の減産に伴い、主要製品のオートマチックトランスミッションやドア部品、サンルーフなどの生産数量が大幅に減少。 |
営業利益 | (73) | 110 | - | |
欧州 | ||||
売上高 | 1,705 | 2,032 | (16.1) | -カーメーカーの生産台数の減少に加えて、為替変動が大きく影響。 |
営業利益 | 14 | 40 | (64.5) | |
その他 | ||||
売上高 | 2,465 | 2,455 | 0.4 | -中国での自動車生産台数が伸び悩んだことに加えて、タイ市場での国内販売台数の減少や為替変動の影響を受けた。 |
営業利益 | 347 | 373 | (7.2) |
製品群別 売上高 (自動車部品事業) | (単位:億円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 増減率(%) | |
エンジン | 2,214 | 2,599 | (14.8) |
ドライブトレイン | 9,068 | 11,704 | (22.5) |
ブレーキおよびシャシー | 4,550 | 5,351 | (15.0) |
ボディ | 3,985 | 4,775 | (16.5) |
情報関連 他 | 1,300 | 1,455 | (10.6) |
自動車部品 合計 | 21,118 | 25,885 | (18.4) |
海外動向
<ポーランド>
-同社とトヨタ紡織は共同出資でポーランドに自動車用シートフレームとシートカバーを生産する新会社「TBAIポーランド」を設立する。2011年春から年間30万台分の規模で生産を開始し、フランスのシート組立拠点に納入する。初年度に100億円の売上を見込む。新会社はトヨタ紡織の欧州統括会社、トヨタ紡織ヨーロッパが70%、アイシン精機の欧州統括会社、アイシン・ヨーロッパが30%を出資し、資本金8320万ズロチ(約42億円)で2008年11月に設立する。ポーランドの南西部、ドルヌィ・シロンスク県ノボグロジェッツェ市に11万2千平方メートルの用地を取得し、2万平方メートルの建屋を建設する。用地を含めた投資額は3千万ユーロ(約49億円)。(2008年9月27日付日刊自動車新聞より)
<タイ>
-タイにエンジン部品の生産を手掛ける新工場を立ち上げる。タイを始めとしたASEAN地域における自動車生産が増加基調にある中で、さらなる製品の高度化に対応するため既存の工場からエンジン部品の生産を分離させる。2008年12月に着工し、2009年11月から操業を開始。新工場では、タイミングチェーンケースやオイルポンプなどを生産し、2011年度に40億バーツ(約128億円)の売り上げを目指す。2008年9月中に新会社「アイシン・タイ・オートモティブ・キャスティング(ATAC)」をタイ・プラチンブリ県に設立する。資本金は16億8,100万バーツ(約54億円)で同社が97%、豊通タイランドが3%を出資する。(2008年9月17日付日刊自動車新聞より)
-アイシン化工はアイシン精機が保有するタイのブレーキパッド生産会社SEBT(ラヨン県)の株式75%を取得し、子会社化した。SEBTは2007年10月、アイシン精機が株式を取得していた。グループ内での生産性向上の一環として、国内でブレーキパッドの生産を担うアイシン化工がタイでも主体的に事業を運営する。(2008年6月5日付日刊自動車新聞より)
<米国>
-北米営業拠点アイシンワールドコープ・オブ・アメリカ(AWA)の開発部門を分離し、新会社「アイシンテクニカルセンターオブアメリカ」を設立。開発機能を独立させることで、現地の開発機能を強化する。同社は海外で先端技術の研究開発拠点を持つが、自動車部品の開発会社の設立はこれが初めて。トヨタ自動車の北米拠点のほか、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター向けの製品開発を強化する。新会社はアイシン精機が全額出資し、資本金500万ドル(約5億円)で設立した。2008年8月1日から業務を開始し、シート用部品やサンルーフといった製品の現地向けの適合開発業務を引き継ぐ。開発機能を分社することによって、開発業務全般の迅速化を図る。(2008年7月23日付日刊自動車新聞より)
事業計画
2015年グループ経営ビジョン
2015年までのグループ経営ビジョンを策定した。グループ売上高を世界の自動車部品業界でトップクラスとなる4兆円以上に拡大するほか、海外売上高比率を50%、ROI(投下資本利益率)を15%に引き上げる。同社が長期ビジョンに数値目標を設定したのは今回が初めて。(2008年9月1日付日刊自動車新聞より)
2009年度の展望
業績見込み (同社発表による) | (単位:億円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 増減率(%) | |
売上高 | 18,000 | 22,144 | (18.7) |
営業利益 | (650) | (34) | - |
経常利益 | (700) | (49) | - |
純利益 | (500) | (251) | - |
開発動向
研究開発費 | (単位:億円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 2007年3月期 | |
全社 | 1,159 | 1,153 | 1,037 |
自動車部品事業 | 1,115 | 1,103 | 984 |
研究開発体制
-システム化、モジュール化からITS関連製品の開発などの自動車部品技術を基盤に、燃料電池やレーザーをはじめとする先端技術研究など、グループ間での連携をとりながら研究開発活動を行っている。
-同社グループにおける、海外の主な研究開発会社は以下の通り。
会社名 | 所在地 | 事業内容 |
IMRA America, Inc. | 米国 | -技術開発およびその応用研究、試験と各種調査、情報収集 |
FT Techno of America, LLC | 米国 | -試験場の設計、建設管理、運営 -試験評価サービス |
AW Technical Center USA, Inc. | 米国 | -オートマチックトランスミッション、カーナビゲーションシステムの研究・開発 |
Aisin Technical Center of America, Inc. | 米国 | -北米向け自動車部品の設計・開発 |
IMRA Europe S.A.S. | フランス | -エネルギー・環境、知覚・知能、電磁気分野における先端技術の研究・開発 |
AW Technical Center Europe S.A. | ベルギー | -オートマチックトランスミッション、カーナビゲーションシステムの研究・開発 |
FT Techno Europe GmbH | ドイツ | -車両試験評価コーディネート |
<米国>
-北米営業拠点アイシンワールドコープ・オブ・アメリカ(AWA)の開発部門を分離し、新会社「アイシンテクニカルセンターオブアメリカ」を設立。開発機能を独立させることで、現地の開発機能を強化する。同社は海外で先端技術の研究開発拠点を持つが、自動車部品の開発会社の設立はこれが初めて。トヨタ自動車の北米拠点のほか、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター向けの製品開発を強化する。新会社はアイシン精機が全額出資し、資本金500万ドル(約5億円)で設立した。2008年8月1日から業務を開始し、シート用部品やサンルーフといった製品の現地向けの適合開発業務を引き継ぐ。開発機能を分社することによって、開発業務全般の迅速化を図る。(2008年7月23日付日刊自動車新聞より)
<日本>
-アイシン・コムクルーズは北九州市若松区の学術研究都市に「福岡開発センター北九州研究所」を開設した。大学との共同研究などを行い、自動車の制御・ソフトウエアに関する先進技術の研究に取り組む。同社は、組み込み用ソフトウエア開発専門会社として、2007年2月にアイシン精機などアイシングループ3社が出資して設立した。(2008年7月19日付日刊自動車新聞より)
近年の主な開発実績
-ハイブリッドトランスミッション
-小型・軽量ESC(横滑り防止装置)
-エンジン冷却用電動ウォーターポンプ
-クイックアクティブシート
研究開発活動
車車間通信システム
-同社は総務省からUHF帯の電波を利用した実験試験局の免許を取得し、同社の豊頃試験場(北海道豊頃町)で車車間通信システムに関する実験を開始すると発表。2012年3月まで車両の搭載位置や環境条件の違いによる電波伝搬特性に関する測定を行う。同社は総務省から実験用の765メガヘルツ帯の免許を取得し試験をスタートさせる。今後は約3年をかけて、コンパクトカーやミニバンなど車種に応じたシステムの送受信状況や積雪路面やトンネルなどの環境変化による通信状況のテストを行う。(2009年2月14日付日刊自動車新聞より)
デュアルクラッチトランスミッション(DCT)
-次世代のトランスミッションとして一部車種で採用が始まっているデュアルクラッチトランスミッション(DCT)を、同社グループで開発する方向で検討を始めた。DCTの開発では、ベースとなるMTの部分をエーアイ、電子制御をエィ・ダブリュが担当。クラッチやアクチュエーターはアイシン精機の技術を使い効率的に行う。既存のDCTよりも構造を簡素化するなど低コスト化を目指す方針。(2008年10月16日付日刊自動車新聞より)
設備投資
設備投資額
-2009年3月期は総額2,202億円の設備投資を実施。自動車部品事業においては、グループ合計で2,079億円を投資。そのうち同社が402億円、アイシン・エィ・ダブリュ(株)が447億円。
主な投資対象は以下の通り。
-同社半田工場のブレーキ関連ほか製造設備
-アイシン・エィ・ダブリュ 田原工場のドライブトレイン関連製造設備
設備の新設
-2009年3月期は総額2,202億円の設備投資を実施。自動車部品事業においては、グループ合計で2,079億円を投資。そのうち同社が402億円、アイシン・エィ・ダブリュ(株)が447億円。
主な投資対象は以下の通り。
-同社半田工場のブレーキ関連ほか製造設備
-アイシン・エィ・ダブリュ 田原工場のドライブトレイン関連製造設備
設備の新設
会社名 事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資 予定 総額 (百万円) |
着手 年月 |
完了 年月 |
完成後の 増加能力 |
同社 | |||||
-西尾工場 (愛知県西尾市) |
ドライブトレイン関連他製造設備 | 3,600 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
(注) |
子会社 | |||||
アイシン高丘(株) -本社工場 (愛知県豊田市) |
鋳造設備他 | 3,500 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
(注) |
アイシン・エイ・ダブリュ(株) | |||||
-本社工場 (愛知県安城市) |
ドライブトレイン関連製造設備 | 7,000 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
(注) |
-田原工場 (愛知県田原市) |
ドライブトレイン関連製造設備 | 3,600 | 2009年 4月 |
2010年 3月 |
(注) |