Bosch Group (China) [Bosch Group (中国事業)] 2011年12月期の動向

ハイライト

事業概況

-近年は研究開発の現地化を促進、中国市場向けに現地化した製品の開発及び生産を拡大。
-ディーゼルシステム、ガソリンシステム、自動車エレクトロニクス、電動システム、シャシーシステムの分野で事業を展開。
-2011年、中国事業の成長は軟調に推移。売上が前年比13%増の423億元に達した。その内、自動車部の売上が同7%増の249億元に達した。(2012年4月付けプレスリリースより)

上海に新本社を開設

-Bosch Chinaが上海に新本社を開設したと発表。同グループにとって、アジア・太平洋地域の最大拠点となる。約980百万中国元(約103百万ユーロ)を投資 する。床面積は78,000平方メートル超。2011年末までに約1,500名の従業員が勤務し、2012年末までにさらに500名を増員する見込み。新社屋にはBoschの全部門が入居し、先端素材研究所などの研究開発施設も設置される予定。(2011年4月20日付プレスリリースより)

受賞

-同社子会社「聯合汽車電子有限公司(United Automotive Electronic Systems)」は下記の各賞を受賞。
1. 上海GM (Shanghai GM) 2011年度優秀サプライヤー賞
2. 上海VW (Shanghai VW) 2011年度優秀サプライヤー賞
3. 上汽GM五菱 (SAIC-GM-Wuling)  2011年度優秀サプライヤー賞
4. 奇瑞汽車 (Chery Automobile) 2011年度ベスト協力サプライヤー賞
5. 上海汽車 (SAIC Motor) ベストサプライヤー賞
6. 一汽海馬汽車 (FAW Haima Motor) 2011年度優秀サプライヤー賞
7. 長安スズキ (Changan Suzuki) 2011年度優秀サプライヤー賞
8. 東風柳州汽車 (Dongfeng Liuzhou Motor)  2011年度優秀サプライヤー賞
9. 北汽福田 (Beiqi Foton)  2011年度優秀サプライヤー賞
10. 哈爾浜東安汽車動力(Harbin Dongan Auto Engine)  2011年度優秀サプライヤー賞
11. 東安三菱(Dongan Mitsubishi) 2011年度優秀サプライヤー賞
12. 哈飛汽車 (Hafei Motor) 2011年度優秀サプライヤー賞
13. 瀋陽航天三菱(Shenyang Aerospace Mitsubishi) 2011年度優秀サプライヤー賞
14. 重慶長安新能源汽車有限公司(Chongqing Changan New Energy Auto) 2011年度優秀サプライヤー賞
15. 長安汽車 (Changan Automobile) 2011年度研究開発貢献賞
16. 江淮汽車発動機 (Jiang huai Automotive Engine) 2011年度共同開発貢献賞
17. 江淮乗用車 (Jiang huai Automotive) 2011年度品質貢献賞
18. 華晨中華 (Huachen Zhonghua) 2011年度研究開発貢献賞
19. 重慶力帆乗用車 (Chongqing Lifan Motors) 2011年度技術貢献賞
(2012年2月24日付けプレスリリースより)

受注

-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は2011年末、上海VW、一汽VWから次世代エンジンEA211TSI及びEA888GEN3用ガソリン直噴射システム(高圧ポンプと高圧インジェクター)とEA211TSIエンジン用コントローラーを受注した。受注額は2013年から2018年までの間で80億元にのぼる見込みである。なお、2012年の初め、長安福特から次世代エンジンフェーズセンサーPG-U1.1、長安汽車からエンジンGDI、上海GMからS3システム、上海VWから次世代エンジンEVおよびDV-Eを受注した。(2012年1月7日付けプレスリリースより)


自動車エレクトロニクス
新しい受注
-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」はフォルクスワーゲンより新世代デュアルクラッチトランスミッションDQ380用電子コントロールモジュールを受注した。年間受注額は平均5億元になる見込み。このDQ380は欧州及び中国で生産されるVWとアウディに搭載される。また同社はGMよりボディコントロールモジュール、イモビライザー、RFアンテナ受信機などの車体電子部品を受注した。2014年に量産開始予定で、毎年2億元の売上を見込んでいる。(2011年12月6日付けプレスリリースより)

開発動向

研究開発体制

-上海(Shanghai)、無錫(Wuxi)、蘇州(Suzhou)、重慶(Chingqing)および長沙(Changsha)の5カ所にテクニカルセンターを保有し、中国市場に特化した先端技術の研究開発を行う。中国のニーズにすばやく対応するため、開発研究者の現地採用を強化。

-2008年11月に冬季自動車性能試験センターを内蒙古牙克石 (Yakeshi, Inner Mongolia)に開設。

テクニカルセンター

所在地 設立年 名称 業容
1.上海 1995年 聯合汽車電子有限公司技術中心
(United Automotive Electronic Systems Co., Ltd.Technology Center )
ガソリンエンジンシステムの研究開発
2.無錫 2005年 博世柴油技術中心
(Bosch Diesel Technology Center)
ディーゼルエンジンシステムの研究開発
3.蘇州 2005年 博世(蘇州)技術中心
(Bosch Suzhou Technoligy Center)
自動車電子技術及びブレーキシステムの研究開発
4.重慶 2006年 聯合汽車電子有限公司(重慶)技術中心
(United Automotive Electronic Systems Co., Ltd. Chingqing Technology Center)
ガソリンエンジンシステムのマッチング技術サポート等
5.長沙 2012年
<建設中>
<仮>博世(長沙)技術中心
(Bosch Changsha Technoligy Center)
電動システム、、スターターモーターの研究開発

試験センター
所在地 設立年 名称 業容
1.内蒙古
牙克石
2007年 博世 (呼倫貝爾) 汽車測試技術中心有限公司(Bosch (Hulunbeier) Automotive Winter Testing Co, Ltd.) 寒冷気候条件下でのABS、ESP、TCS等各種アクティブセーフティーシステムの走行テスト
2.東海 2010年 博世(東海)夏季汽車測試技術中心(Bosch (Donghai) Automotive Test & Technology Center Co., Ltd.) ABS、ESPなどのセイフティ技術と製品の研究開発及び評価測定テスト

ECUソリューション
所在地 設立年 名称 業容
上海 2005年 易特馳汽車技術(上海)有限公司(ETAS Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd.) ECU開発、ソリューション

試験センターの拡張

-博世汽車柴油系統股份有限公司(Bosch Automotive Diesel Systems Co.,Ltd.)は2011年11月25日に、ディーゼルシステムの研究開発拠点である江蘇省無錫市のテクニカルセンター「柴油技術中心(Diesel Technical Center)」の拡張工事を完了した。同センターは、今後中国市場に特化した高性能なクリーンディーゼルエンジンの開発に注力する意向。博世汽車柴油系統股份有限公司は2010年9月にこの拡張工事を本格化した。(2011年11月30日付プレスリリースより)

-既存の生産拠点と試験センターの拡張を行い安全システム分野の強化を進めている。建設中の「博世汽車部件(蘇州)有限公司」第2工場は近々完成 し、稼働を開始する。内蒙古の冬季試験センターでは2本目の走行テストコースの建設を年内に開始する。2010年10月に定礎式を行った東海県の夏季試験 センターでは2012年末に第一期工事が完了する予定。また中国で需要が益々高まっているABSとESPはモジュール化により性能を進化させた新世代型が年内に国産化される見通し。(2011年4月20日付プレスリリースより)

製品開発

-無錫威孚高科技股份有限公司との合弁会社「博世汽車柴油系統股份有限公司」は乗用車および軽型商用車用の新しいエコノミー型高圧コモンレールシステ ムCRS1-16を2011年下半期より正式に販売する。国Ⅳ排ガス基準に対応しており、特に微型バン、微型トラックに適している。同社は更に商用車用排 ガス後処理システムDenoxtronic 6を2012年に販売する予定である。国Ⅳまたはそれ以上の排ガス基準に対応しており、異なる走行環境でのいろいろなニーズに合わせたオーダーメード仕様 が可能である。(2011年4月20日付プレスリリースより)

技術提携

-2011年10月、ボッシュグループは、長城汽車と戦略的提携契約を締結したと発表。エンジンマネジメントシステムやシャシー・ブレーキなどの研究開発に関して、長城汽車と協業する。ボッシュと長城汽車は、2005年に協業を開始。2006年に、共同でディーゼルエンジン用電子制御式高圧コモンレールシステムを開発した。このシステムを搭載したエンジンは、長城汽車の「Haval」シリーズに採用。さらに、2011年5月からボッシュのコモンレールシステムが、「Wingle 5」のディーゼルエンジン「Green Static 2.0T」に採用されている。ボッシュのコモンレールシステムにより燃料経済性が大幅に引き上げられるとしている。(2011年10月8日付プレスリリースより)

-2011年2月、湖南省長沙市において湖南江麓容大車輌伝動股份有限公司(江麓容大:Hunan Jianglu & Rongda Vehicle Transmission Limited Company)と小型乗用車用無段変速機CVTの共同開発に関する合意書を結んだ。同社が技術指導を行い、江麓容大は同社から部品を購入し生産する。共同開発した製品の知的財産権は江麓容大が所有する。開発するCVTはボッシュの最新技術を採用し、モジュール化してトルクコンバーターやハイブリッド動力系統などの搭載も可能な、顧客ニーズに適応できる製品とする。また変速機の効率を高めるだけでなく、15%の軽量化、20%のコストダウンを実現する。現在中国の自主ブランド車のCVT搭載率は10%に満たない状況であるが、ボッシュは2016年までに22%まで拡大すると予測 している。なお、江麓容大は2003年設立。中国で初めてCVTを自主開発し、年産能力5万台を有するトランスミッションメーカー。(2011年2月26日付各種リリースより)

シャシーシステム

- 「博世底盤控制系統」は四川省成都市経済開発区に位置している新工場「博世汽車部件(成都)有限公司」の定礎式を本格的に行った。新工場の敷地面積は約 127,000平方メートル(190ミュー)。総投資額は1.37億米ドル(約8.8億元)。初期工事の投資額は4,380万米ドル(約2.8億元)。 2013年年初完成する見込み。成都新工場の初期工事が完成した後、年間生産能力がABS/ESP®システム140万セットおよび車輪速度センサー 1,900万セットに到達する計画。(2012年2月14日付けプレスリリースより)

-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は柳州工場でフューエルディストリビューターアセンブリ生産ラインの稼働を開始し、2011年10月30日、そ のラインオフを祝う式典を行った。この製品はもともと同社の無錫工場で生産されていたが、上汽GM五菱を始めとする南方地域の顧客への即納体制を確立する ため柳州工場に移管されたものである。柳州工場の年産能力はフューエルディストリビューターアセンブリ110万個、オイルポンプブラケットアセンブリ70 万個となる予定である。(2011年12月7日付けプレスリリースより)

-2011 年4月20日、ハイブリッド車及び電気自動車用の回生ブレーキシステム「HAS hev」の生産を年内に中国で開始すると発表した。このシステムは車輪の回転エネルギーを最大限に電気エネルギーに変えバッテリーに蓄積するもので、航続 距離を伸ばすと同時に燃費を向上させ二酸化炭素の排出を大幅に引き下げる。またハイブリッド車と電気自動車の動力系統分野においては、2010年、合弁会 社「聯合汽車電子有限公司」に電力駆動業務部を設立し重要部品の技術開発を進めてきており、2012年の国産化を目指している。2013年にはボッシュの 部品を搭載した新エネルギー車が量産される見通しである。(2011年4月20日プレスリリースより)

聯合汽車電子有限公司関係

- ボッシュは2011年9月8日、蘇州新工場を正式にオープンした。総投資額約2億元をかけたこの工場は主にABS、ESP、センサーなどシャーシコント ロールシステム部品を生産する。建築面積はボッシュの既存蘇州工場の2倍強となる29,000平方メートル。新工場にはテクニカルセンター、車両 テストコースが隣接しており、各種機能が一つのエリアに集約されている。主要製品の生産のほか将来的にはヨーレートセンサー、エアバッグECU、エアバッ グセンサーなどその他の製品の物流センターとしての機能もはたしてゆく。(2011年9月9日付けプレスリリースより)

-「聯合汽車電子有限公司」は2011年3月21日に蕪湖工場のラインオフを祝う式典を行った。(2011年3月21日付けプレスリリースより)

設備投資

国内投資

<博世汽車柴油系統股份有限公司(Bosch Automotive Diesel Systems Co.,Ltd.)>
-2012年3月、ボッシュの子会社「博世汽車柴油系統股份有限公司(Bosch Automotive Diesel Systems Co.,Ltd.)」は2012年3月に第二の生産拠点を青島ハイテク技術開発区に建設する。敷地面積は11万平方メートル。2013年7月1日より施行される中国Ⅳ排ガス基準を見据え、高圧コモンレールシステムインジェクタを生産する。建設は2期に分けて行う。投資額はそれぞれ約8億元。このコモンレールシステムを採用するディーゼルエンジンは同類のガソリンエンジンに比べ燃料消費量を30%、CO2排出量を25%低減できる。(2012年3月16日付け各種リリースより)

<無錫威孚高科技集団股份有限公司(Weifu High-Technology Group)>

-連結会社「無錫威孚高科技集団股份有限公司(Weifu High-Technology Group)」は2012年2月に非公開株式Aにより資金調達を行い次のプロジェクトに投資を行う。

1. WAPS(コモンレール式アキュムレータ分配システム)の研究開発および産業化とコモンレール式ディゼールシステム部品の生産能力拡大 (投資額 650百万元)

2. 排気ガス後処理システムの産業化 (投資額 260百万元。子会社無錫威孚力達催化浄化器有限公司が実施)

3. 工程研究院プロジェクト (投資額 70百万元)

4. 新しい生産拠点「威孚工業園(Weifu Industrial Park)」の建設 (投資額 650百万元)

5. 自動車動力電池および電池材料の研究開発 (投資額 100百万元)

6. 企業買収 (投資額 343.815百万元)

(2012年2月28日付け会社公告より)

<無錫>
-2011年12月、ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は無錫新工場の建設を開始した。現在輸入品が主となっている高圧直噴射システムを中国市場のニーズに合わせ低コストで生産する。2011年8月に着工し、11月に主要構造物の施工が完了した。竣工は2012年の中ごろを予定している。新工場の敷地面積は5.15万平方メートル。建築面積は2.93万平方メートル。完成後の年産能力は高圧ポンプ91万個、高圧インジェクター770万個、高圧レールアセンブリ29万セット。年間売上高は12億元となる見込みである。(2011年12月20日付けプレスリリースより)


<南京>
-2011年9月、博世汽車部件(南京)有限公司(Bosch Automotive Products (Nanjing) Co., Ltd.)は南京経済技術開発区にボッシュにとって世界最大となるスパークプラグ工場を建設する。9月6日鍬入れ式が行われた。総投資額は11億元超、2013年完成予定、スパークプラグの年産能力は1億個となる。このほかブレーキパッドを年間8,000万個、自動車診断システムを年間2.5万セット生産する。新工場では3,000人を超える従業員の雇用を予定している。(2011年9月13日付け各種リリースより)

<成都>
-2011年8月、ボッシュは総額96百万ユーロ(約8.8億元)を投じて成都経済開発区にシャーシー制御システムの生産拠点を建設することで、開発区側と正式契約を結んだ。建設は3期に分けて行い、まず第1期として2013年の稼働開始を目指す。主にABS/ESPシステム、センサーなどの生産、販売を行う。すべて完成すれば中国市場全体をカバーできる生産能力を有し、年産20億元以上に達する見込み。(2011年8月27日付け各種リリースより)


エコロジー技術開発への投資

-創業125周年に当たり、ドイツ、中国、インドおよび米国の大学と研究機関に対し、今後10年で5000万ユーロを拠出し研究開発の支援を行うことを 表明している。このうち中国では4つの大学および中国科学院に対し10年間で5百万ユーロを助成しエコロジー技術の分野で提携をする。具体的には、同済大学 (Tongji University)、上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)と電気自動車用モーター、電子制御部品、回生ブレーキ、電池などの研究開発を行うほか、復旦大学(Fudan University)、清華大学(Tsinghua University)とリチウムイオン電池の電気自動車における標準化の研究と改善を行う。(2011年5月プレスリリースより)