株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション 2007年度の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
(単位:
百万円)
2008年
3月期
2007年
3月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 312,012 260,732 19.7 ・国内市場では補修用自動車電池の販売数量が減少したが、産業電池及び電源装置が好調に推移したことに加えて、原材料価格高騰に対する販売価格の改定を国内、海外市場において実施したこと等により増収。
営業利益 12,384 6,789 82.4 ・人件費をはじめとした経費が減少したことに加え、主要原材料である鉛等の急激な価格高騰に対する価格改定効果等が寄与。
経常利益 9,946 5,517 80.3 ・円高に伴う為替差損の発生があったが、持分法損益の改善等があり増益。
当期純利益 2,670 4,130 (35.3) ・関係会社株式の売却益等を特別利益に計上する一方、固定資産売却損等を特別損失に計上、さらに法人税等調整額を含む税金費用を加味したことにより減益。
電池及び電源
売上高 277,004 220,582 25.6 ・国内自動車電池の売上高は、新車用では数量は若干減少したが、販売価格の改定により増加。補修用は、価格改定を行ったが、数量の減少もあり、厳しい状況だった。自動車関連機器はほぼ前年並。利益面では、合理化の推進や販売価格改定に取り組んだ結果、営業損失は大幅に縮小。海外の売上高は、各種電池における仲介貿易の伸長や価格改定の効果もあり、売上高は大きく増加。利益面では、価格改定の効果が浸透し、原材料価格高騰の影響は最小限。
営業利益 12,458 7,594 64.1



合弁事業
-同社、三菱商事、三菱自動車の3社が設立し、2009年1月から京都市南区の同社本社内で稼働する「リチウムエナジージャパン」は、EV(電気自動車)用リチウムイオン二次電池に関しては、世界最大規模の製造会社となる見通し。新会社は、生産要員が60人程度で年産20万セルを計画している。製造品目は同社の「LIMシリーズ」をベースに新開発した「LEV50シリーズ」を生産する。(2007年12月17日付日刊自動車新聞より)


第一次中期経営計画
(1)計画期間:2006年4月から2009年3月

(2)最終年度2008年度損益目標と経営指標
売上高:3,400億円
営業利益:130億円
経常利益:120億円

(3)事業戦略課題
①本社と管理間接部門のスリム化
②国内自動車電池事業の利益改善
③HEV・EV市場への本格的参入
④中国・アジア事業の拡大
⑤大型リチウムイオン電池事業の拡大

開発動向

2008年3月期における研究開発費の総額は4,768百万円。内、電池及び電源部門は4,341百万円。

研究開発体制

・電池及び電源の研究開発は、以下にて実施
-同社研究開発センター
-㈱ジーエス・ユアサ パワーサプライのインダストリー事業本部技術開発本部及び産業電池電源事業本部電源システム生産本部開発部
-㈱ジーエス・ユアサ テクノロジーの大型リチウムイオン技術部
-統一工業股份有限公司の研究グループ
-Yuasa Battery, Inc.の開発グループ
-Yuasa (Tianjin) Technology, Ltd.の技術開発部


製品開発
<鉛蓄電池>
-環境配慮型自動車用バッテリー「ECO.R(エコ.アール)シリーズ」を温室効果ガス(CO2)の削減や燃費向上を実現する新技術の採用により刷新。同社は、充電制御車に対応するバッテリー技術の開発にいち早く着手し、製品改良を続けてきた。新「ECO.R(エコ.アール)シリーズ」は、バッテリー部品の極板の添加物バランスを最適化することにより、充電受け入れ性能を同社従来品比で約10%向上させることに成功。第三者機関による「充電制御車」のテスト(10.15モードテスト)も実施し、同社従来品比で平均約2%のCO2削減と平均約2%の燃費向上が実証されているという。(2007年7月20日付プレスリリースより)

<自動車用新種電池>
-電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の開発が実用段階間近、同社EV用電池を搭載した三菱自動車工業㈱の「i MiEV」が電力会社を中心に試験走行中。引き続き改良と信頼性、安全性確認を行うと同時に、量産ラインの構築を実施。
-ハイブリッド自動車(HEV)用リチウムイオン電池の開発にも着手、出力性能と長寿命を両立した「EHシリーズ」は、4Ahと6Ahの2品種をサンプル展開中。大手自動車メーカーと連携しての搭載検討も順調に進んでおり、量産化準備のため、月産1万セル規模のモデルラインを導入し運転を開始。
-HEV用ニッケル水素電池の開発は、独自の内部抵抗低減技術と電極技術を総合したDサイズ円筒形ペースト式ニッケル水素電池(1800W/kg,6100W/L)の量産化準備を継続中。このHEV用電池の技術は、電動工具や非常灯向けのニッケル水素電池の開発にも展開。また、電子制御のバックアップ電源用として、高温環境下での長寿命化を実現した「タフィオン」など、リチウムイオン電池の特徴を用途別に活かした新製品開発を実施。

設備投資

2008年3月期における設備投資費の総額は8,937百万円。内、電池及び電源部門は7,506百万円。


設備の新設(抜粋) (単位:百万円)
事業所名 所在地 設備の内容 投資
総額
着手 完成
予定
完成後の
増加能力
ジーエス・ユアサ コーポレーション 京都市南区 研究開発設備 491 2008年
3月
2009年3月及び2009年4月以降 研究開発設備の拡充
(株) ジーエス・ユアサ パワーサプライ 京都市南区 自動車用・
鉛蓄電池等の製造設備
1,065 2008年
3月
同上 コスト低減
電源装置・産業用鉛蓄電池等の製造設備
1,632 2008年
3月
同上 コスト低減
統一工業股份有限公司
Ztong Yee Industrial Co., Ltd.
台湾
台南県
永康市
鉛蓄電池の
製造設備
759 2007年
12月
同上 生産能力の拡充
広東湯浅蓄電池有限公司
Yuasa Battery (Guangdong) Co., Ltd.
中国
広東省
鉛蓄電池の
製造設備
584 2007年
12月
同上 同上
Yuasa Battery (Thailand) Pub. Co., Ltd. タイ
バンコク市
鉛蓄電池の
製造設備
298 2007年
12月
同上 同上
Yuasa Battery, Inc. 米国
ペンシルバニア州
鉛蓄電池の
製造設備
684 2007年
10月
同上 同上