OSRAM Licht AG 2017年9月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年9月期 2016年9月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 4,128 3,785 9.1% 1)
EBITDA 621 621 - -
部門別売上高
特殊照明 (Specialty Lighting) 2,312 2,135 8.3% 2)
光半導体 (Opto Semiconductors) 1,685 1,417 18.9% 3)

要因
1) 全社
-2017年9月期、同社純売上高は前期と比べ9.1%増の4,128百万ユーロ。為替の影響や変更を除き同社の純売上高は8.1%増。売上増は光半導体と特殊照明での強い需要によるもので一部デジタルシステムや照明ソリューションでの売上減により相殺された。

2) 特殊照明 (Specialty Lighting)
-2017年9月期、同セグメント売上高は8.3%増の2,312百万ユーロ。買収による1.8%のポジティブな影響と為替による0.2%の減収を除いても部門としては6.7%の成長を果たした。売上は全ての活動地域、特にアジア太平洋および欧州・中東・アフリカで伸びた。売上増は、特に自動車業界でのLEDの需要増による。

3) 光半導体 (Opto Semiconductors)
-2017年9月期、同セグメントは18.9%増の1,685百万ユーロ。為替の減収要素を除くと売上は19.1%伸びた。売上増は、全ての活動地域でのLEDコンポーネントや赤外線コンポーネントの需要増によるもの。

買収

-2017年7月、同社は自律走行車や運転支援システムのためのLIDAR (light detection and ranging)用独自のソフトウエアーアプリケーションを開発するケベック,カナダを本拠地とするLeddarTech社に戦略的株式投資を行った。

-2017年2月、同社はエネルギー効率の高い照明ソリューションの供給者である米Maneri-Agraz社のビジネスを取得した。

-2016年10月、同社は自動車のLED照明モジュールの製造者である米Novita社の買収を完了した。

事業再編

-同社はおよそ500百万ユーロで中国系コンソーシアムへのLedvanceの売却が2017年3月3日に完了したと発表した。同社は商標使用料として、今後数年間に100百万ユーロを受け取る見込み。Ledvanceの取扱事業は従来の一般照明と現代の画期的な照明技術。(2017年3月3日付プレスリリースより)

最近の開発

-同社の日本法人のオスラム(横浜市西区)は都内で記者会見を開き、ヘッドランプ向けLED発光デバイスなどで半導体事業の継続的な成長を目指していく方針を説明した。既存のLED向け以外では、ドライバーの居眠り感知システムやヘッドアップディスプレー(HUD)用の視線検知センサーなど、先進運転支援システム(ADAS)に照準を合わせ、自動車メーカーや部品メーカーに提案していく。LED発光素子は今後、BMWなどに供給しているヘッドランプ向けの需要が急速に増加する見通し。一般的なハロゲン系ランプは、上級車が段階的にLEDに置き換わり「2023年には約50%がLED化する」(同社マーケティング担当)と読む。(2017年1月7日付日刊自動車新聞より)

受注

-同社は照明システム用モジュール「SMARTRIX」の実用化に向け、Jaguar Land RoverとVarroc Lighting Systemsと提携すると発表した。第1世代のSMARTRIXシステムは、コンパクトSUVの新型ジャガー「E-Pace」に搭載される。Varroc Lighting Systemsと共同開発したOsramのLEDマトリクスモジュールは、アドバンストドライビングビーム機能により、悪天候時にも最適な夜間視認性を提供。製品寿命の長いシリコンレンズを採用したことで、照明システムの小型化・コンパクト化が可能になったという。(2017年9月21日付プレスリリースより)



研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年9月期 2016年9月期 2015年9月期
全社 364 334 286
全社売上高に占める割合 (%) 8.8 8.8 8.0

-2017年度、研究開発における人員は2,600名 (FTE:Full Time Equivalents:常勤換算 )。

研究開発施設

-同社は、ベルリン工場を自動運転技術開発および事業の中心拠点とする意向を明らかにした。同工場は、ここ数年に渡り高度先端技術センターへと変更される。この変換は成長持続のためZukunftskonzept OSRAM「Future Concept OSRAM」戦略に基ずく。(2017年7月26日付プレスリリースより)

研究開発活動

-同社Opto Semiconductorsは、FLINGOプロジェクトの運営において、4つの業界および研究機関パートナーと調整していると発表した。当プロジェクトは、LEDの効率と耐久性を改善するための新しい材料とプロセスの開発に取り組むもの。ドイツ連邦教育研究省は、欧州の競争力向上を目指すMERA.NET EUイニシアチブの一環として、2020年1月までFLINGO (Functional Inorganic Layers for Next Generation Optical Devices) プロジェクトを支援する。当プロジェクトでは、原子層堆積などの薄膜堆積方法、噴霧熱分解、高品質のLED光源を製造するためのゾル-ゲル・プロセスが研究、統合される。

-FLINGOプロジェクトメンバーのFraunhoferケイ酸塩 (Silicate) 研究所では、高感度のコンバーター材料の母体として使われる新しい無機層システムに関する知識を提供する。リスボン新大学のUninovaは、LEDのp型の接合部に必要とされる優れた透明性と導電性を備えた層の製造に強みを発揮する。フィンランドの薄膜技術企業Picosun Oyは、原子層堆積 (ALD) のプロセスおよび重層構造表面に確実に絶縁保護コーティングを施す新材料の開発を行っている。Vilnius大学の応用研究機関からは、非破壊材料特性の分析および開発に関する知識を得ることができる。同社Opto Semiconductorsは新しい薄層および層システムをLEDに適用し、市場化に向けた適合性のテストを行う。(2017年2月9日付プレスリリースより)



製品開発

世界初ハイブリッドLED
-同社は,世界初のハイブリッドLEDのプロトタイプ「Eviyos」を開発したと発表した。「Eviyos」は、マイクロ構造の発光チップと個別のピクセルコントロールを単一コンポーネントに統合。周囲をハイビームで照らすが、対向車や他の道路利用者が直接の光や標識などに反射した光に目がくらむことはない。コンパクトでパワフルなだけでなく、精密な制御とピクセル個々の調光性により、エネルギー効率にも優れる。2020年に発売を開始する計画。(2017年9月25日付プレスリリースより)

照明システム用SMARTRIXモジュール
-同社は、照明システム用モジュール「SMARTRIX」を開発したと発表した。「SMARTRIX」は、smartとmatrixを組み合わせた造語で、2017年秋に市場投入を予定。同製品はレンズの素材に樹脂の代替としてシリコンを採用し、熱や放射線に強く製品寿命も長くなっており、ガラスレンズと比較して低価格な点が特徴。さらにLEDに直接装着でき、製品の小型化も実現、ヘッドランプのデザインの幅も広げられるという。(2017年8月29日付プレスリリースより)

新ヘッドランプモジュール
-同社は、CES2017で発表されるRinspeedのコンセプトカー「Oasis」に照明技術を提供する。各ヘッドランプには、5つのマルチLEDモジュールを搭載。ロービームとハイビームには、デザインや機能に応じて6~10の同モジュールを使用することができる。また前方に補助LEDプロジェクションモジュールを2つ搭載し、夜間の安全運転のために車輌周囲がよく見える高品質の照明を装備している。(2017年1月5日付プレスリリースより)

ヘッドライト用エネルギー効率の高いレーザー照明
-同社は、CES 2017において、エネルギー効率のよいヘッドランプ向けレーザー照明を展示している。レーザー照明を搭載したヘッドランプの照射範囲は300メートルから600メートル。BMW「i8」、 BMW「7 series」、Audi「R8」、Audi「R8 LMX」に搭載済み。(2017年1月4日プレスリリースより)

高度なピクシルヘッドライト
-同社は、CES2017で他社と開発した制御可能な1,000ピクセル以上で構成されるLEDマトリックスチップを展示した。このLEDチップを複数使用するヘッドランプは、内蔵カメラが対向車や歩行者を認識すると自動で高解像度LEDの明かりを調整し、対向車や歩行者が眩しくないようにする。2020年までに市販化する予定。(2017年1月4日付プレスリリースより)

LIDARセンサー用4チャネルレーザー
-同社Opto Semiconductorsは 「electronica 2016」 で、全自動および半自動運転に用いるLIDAR (レーザー光による検知と測距) システムの実現を一歩近づける4チャネルレーザーを出展した。極短のパルス長と4つの並列出力チャネルを持つ試作品で、これまでにない物体認識方法を提供し、独自の縦方向の検出領域を持つ。この技術はMEMSを使用するLIDARセンサーに初めて採用される。レーザービームの方向を変える機構が必要ないため、消耗や破損が抑えられるという。(2016年11月7日付プレスリリースより)



設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2017年9月期 2016年9月期 2015年9月期
全社 537 349 246
-特殊照明 (Specialty Lighting) 57 69 72
-光半導体 (Opto Semiconductors) 443 239 148

-同社は、過去の会計年度に、無形資産や不動産、工場や設備での投資を50%以上537百万ユーロまで増やした。支出の大部分は不動産、工場、設備等で光半導体部門でLEDチップの生産能力を高めるため。

ドイツでの投資

-同社は、以前電球用の材料を生産していたシュバァーブミュンヘン工場をLED用の材料を生産する工場に転換した。この転換は成長を持続するためのZukunftskonzept OSRAM (Future Concept OSRAM)戦略に基ずいている。(2017年7月26日付プレスリリースより)

ドイツ以外での投資

-同社の最大のプロジェクトはマレーシアのクリム地区のLEDチップ工場の建設で、鍬入れ式は2016年3月に行われた。このプロジェクトは計画通り進んでおり工場開設は2018年第一四半期。又同社はドイツのレーゲンブルク、マレーシアのペナンおよび中国の無錫市での生産能力増加も行っている。