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  • Miba AG 2008年1月期の動向

    ハイライト

    業績

    (単位: 百万ユーロ)

    2008年
    1月期
    2007年
    1月期
    増減率
    (%)
    要因
    全社
    売上高 387.7 366.5 5.8% -

    税引前利益

    54.5 48.4 12.6% -
    部門別売上

    焼結部品部門

    159.9 160.0 -0.4% (1)

    ベアリング部門

    159.6 145.2 9.9% (2)

    摩擦材部門

    69.9 62.5 11.8% (3)

    要因
    (1) 焼結部品部門
    - スペイン及びイタリアの焼結工場処分による売上損失を調整した、焼結部品部門の売上は31%増。 この増加は市場成長率を大幅に上回るものとなった。
    -要因として前年度に、焼結カムシャフトギヤまたはダブルクラッチトランスミッション用シンクロナイザーハブやドッグリングなどの高応力部品 の分野で技術的に高度な新プロジェクトが量産に移行したことが挙げられる。
    -2007年度のEBITDAは、スペインの生産拠点の売却によって大幅に減少した結果、7.1百万ユーロとなった。

    (2)ベアリング部門
    -ベアリング部門は前年度、特に極東地域において高い需要が持続した恩恵を受け、ダイナミックな成長を維持。また、商用車および船舶などの重要目標セグメントでは、新規の受注が記録的なレベルに達した。その結果、2007/08年度の売上高は、156.3百万ユーロの新記録を達成。これは前年度比で約10%増となる。ベアリング部門の売上高は総売上高の40.3%を占め、事実上初めて焼結グループの売上高と並んだ。
    -同期間のEBITDAは、38.9百万ユーロの高水準を維持。
    -Laakirchen(オーストリア)にあるベアリング部門最大の生産拠点は、2007/08年度に10%増加。
    増大する顧客の需要に効率的に対応するために、10百万ユーロを投資して生産拠点を大幅に拡張し、新設備を導入した。また、同部門は、トラックベアリングという新主力事業での、さらなる成長に向けた準備を進めている。

    (3)摩擦材部門
    -農産物に対する需要の高まりを受け、特に米国のトラクター市場の需要が大幅に増大。 摩擦材部門は、風力発電機および高速鉄道車両向けブレーキ用途製品並びに商用車セクター向けクラッチ製品の各領域で2桁台の伸びを記録。
    -2007年度のEBITDAは、新摩擦コーティング材の生産工場をVrable(スロバキア)に移転したことで開設費用が不要になったため、1.3百万ユーロから6.4百万ユーロに増加。
    -受注で高い伸びを記録したことで、昨年度は摩擦部門の全工場で稼働率が上昇。特に、納入先からの強い需要に対応するため、Roitham(オーストリア)の親工場は昨年度通期にわたって高い稼働率を記録。 この拠点の売上高は、前年度比で約16%増加した。 生産工程を体系的に開発し、多数の主要顧客向け新製品の生産を開始した結果、生産性は再び上昇した。

    売却
    2007年8月1日付けで、Ripollet(スペイン)の子会社、Miba Sinter Spain S.A.(現Sintermetal S.A.)を売却。 この売却により、焼結部門は生産拠点に関する新たなコンセプトを実行。このコンセプトは、顧客への世界的な供給システムを支援することを目的としており、ハイテク製品指向の戦略を明確にした。
    生産拠点数を削減することによって、焼結部門は生産性を向上させることができる上に、品質水準をさらに高めることができた。

    開発動向

    研究開発費用

     (百万ユーロ)

    2008年1月期 2007年1月期 2006年1月期 2005年1月期
    研究開発費 16 18.5 17.5 11.3
    売上に対する割合 4% 5% 5% 3.5%

    研究開発組織
    -EU委員会の調査では、欧州で研究に力を入れているトップ500社、オーストリアで研究開発に力を入れているトップ10社のひとつに上げられている。
    -2006年度の取得済み特許件数は前年比で23%増加。

    新製品開発
    焼結部門(Sinter Group)
    2007/08年度、Densgrad(R)と呼ばれる表面高密度化技術と新しい高密度化処理を開発した。この処理方法は、乗用車エンジン用ギアの製造に用いられ、この処理を行うことで、高い応力耐性と静粛性を備え、さらには重量を最適化したギヤの製造が可能になる。 新しいMiba Denscomp(R)プレス技術は、最新の乗用車ディーゼルエンジン用焼結ベアリングキャップの量産で導入された。この技術により、部品の最大強度を経済的に実現し、高い精度で複雑な形状に成形できる。

    ベアリング部門(Bearing Group)
    2007/08年度に、ベアリング部門は重防食無鉛ベアリングタイプの研究に注力し、電気メッキおよび合成塗料を改良した。 この開発例として、タイプ69が挙げられる。これはSYNTHECコーティングを施した無鉛スパッターベアリングで、現在トラックおよび高性能エンジンに使用されている高強度ベアリングである。

    設備投資

    部門別投資

    (百万ユーロ)

    2008年1月期 2007年1月期 2006年1月期 2005年1月期 2004年1月期
    焼結部品部門 (Sinter Group) 18.9 15.1 16.8 14.5 9.9
    ベアリング部門 (Bearing Group) 11.9 9.8 8.5 5.5 5.5
    摩擦材部門 (Friction Group) 4.0 5.3 17.6 2.0 5.5
    その他 1.2 1.7 3.9 2.7 3.5
    設備投資 合計 36.0 31.9 46.8 24.7 24.4

    焼結部品部門(Sinter Group)
    1) 焼結部品の生産拠点としては欧州最大の拠点、Vorchdorf(オーストリア)のハイテク工業団地の能力増強を図るために、合計14百万ユーロを投じて新設備を導入。2007年度 は、この地区だけでも21%の売上増を記録した。

    2) Dolny Kubin(スロバキア)の焼結部品工場でも、隣接するMetalsint工場を買収し、大規模な拡張を実施した。 この生産施設では、ハイテク製品に特化するために製品ラインの最適化を図っている。

    3) 中国における初の生産工場、Miba Precision Components China(MPCC)が2007/08年度に操業を開始。新設された同工場では焼結部品とベアリングの両方を生産する。 また、焼結部品の分野では、エンジン部品の量産が開始された。

    ベアリング部門(Bearing Group)
    新会社、Miba Precision Components China(MPCC)の蘇州工場では、主に商用車向けベアリングを生産する。 現地生産を行うことで、中国の主要エンジンメーカーおよび車両メーカーとの緊密な関係を築く。 同地域はダイナミックな市場成長を遂げていることから、ベアリング生産能力の大規模な増強が検討されている。


    摩擦材部門(Friction Group)
    2007/08年度、スチールディスクの生産をSheffield(イギリス)からVrable(スロバキア)に移転し、2007年11月には、英国の生産拠点の操業を停止した。顧客の受注に可能な限り効率的に対処するため、新工場で競争力の高い量産体制を敷いた。
    Vrable工場は、Roithamで必要となるスチールディスクの80%を供給する予定。

    全社
    高まる需要に効率的に対応するため、2008/09年度にも工場および設備に対して大規模な投資を予定しており、その総額は約40百万ユーロにのぼる見込み。 そのなかでも最大の投資先は米国で、約15百万ユーロを投じて既存のベアリング工場の能力増強および焼結部品の生産拠点建設を実施する。 これらの投資を実施することで、同社は米国市場に新技術を導入すると同時に、欧州の顧客を支援することが可能になる。