Leoni AG 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2012年
12月期
2011年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 3,809.0 3,701.5 2.9 -中国および米国における高級車向けの売上が力強い伸長を見せた。
-合弁会社であったDaekyeung (現:LEONI Wiring Systems Korea) の買収効果が寄与。
EBIT 235.8 237.1 (0.5) -
ワイヤリングシステム部門
売上高 2,206.4 2,023.8 9.0 -乗用車、商用車ともにワイヤーシステムおよびケーブルハーネスの売上が堅調であったこと。
-EV、HV向け電気機械部品の売上増も寄与。
EBIT 134.5 146.2 (8.0) -
ワイヤー・ケーブル部門
売上高 1,602.6 1,677.7 (4.5) -経済全般、各セクターの景気動向が軟調に推移していること、また銅価格の低下が売上を押し下げた。
EBIT 101.3 90.9 11.4 -

 

受注

-同社は、PSA Peugeot Citroenより「Core Supplier」に選出されたと発表。同社は1975年から、PeugeotおよびCitroenのモデルにハーネスやワイヤーシステムを納入している。現在、フランス・ルーマニア・ロシア・モロッコ・チュニジアの複数拠点において、約8,000名の従業員が製品を開発・生産。フランス・スペイン・オーストリア・ロシア・スロバキアのPSAグループ拠点向けに供給している。また現在、同社のワイヤーシステムはPSAグループの乗用車10モデルに、標準ハーネスは同グループのエンジンおよびバッテリーに採用されている。対象となるモデルは、欧州仕様のPeugeot 「207」、「307」およびCitroen 「C5」、「C4」のほか、新型のPeugeot 「208」やCitroen「DS4」、「DS5」など。また、2013年からはブラジル市場へも部品の供給を開始する予定。最近拡張したItu工場ではハーネスの生産を行い、PSAグループのPorto Real工場に納入する。中国の上海工場では、PSAの中国合弁会社 (長安PSA汽車) 向けに、ハーネスを開発・生産している。さらに、ロシアではNaberezhnye Chelny拠点で生産したワイヤーシステム一式が、Peugeotの新型「408」に搭載される予定。(2012年6月5日付プレスリリースより)

ワイヤリングシステム部門

<環境保全技術関連>
-欧州自動車メーカーからユーロ6 (Euro VI) 対応の環境対応エンジン向けケーブルハーネスを受注。

<Electromobility事業ユニット>
-大手ドイツ自動車メーカーより小型車向けのバッテリーケーブルおよびワイヤーシステムの開発・量産契約を獲得。また、スポーツカー用プラットフォームの全量で高電圧ワイヤーシステムを受注。
-ドイツの高級車メーカーから新型EV用充電ケーブルを受注。

<部品事業ユニット>
-ドイツの高級車メーカーから、次世代小型車用の電力分配器を新規で受注した。

企業買収

-2012年5月、同社はドイツ・ミュンヘンを拠点とするFCT electronic GmbHの研究開発チームおよび関連資産を買収し、Connectivity事業ユニットを設立した。同買収は、低圧・高圧セグメント対応のプラグおよびコネクターシステムの事業拡大を目的にしている。

-2012年1月、韓国のワイヤーシステムメーカーDaekyeung T&G Co., Ltd.を完全子会社化し、LEONI Wiring Systems Korea Inc.に統合した。Daekyeungは2012年12月期の決算では連結化され、同年の売上は120.5百万ユーロ。Daekyeungは海外拠点として中国に4拠点を保有し、同国に置いて地場系および外資自動車メーカーを顧客に持つ。

工場閉鎖

ワイヤリングシステム部門
-2012年、同社はチュニジアのワイヤーシステム生産工場を閉鎖。同地域における生産拠点は3拠点に絞られた。また、ポーランド拠点の閉鎖も検討している。

受賞

-2012年の主な受賞は以下の通り:
部門/拠点 授与者
ワイヤリングシステム部門 フランス、モロッコ、ルーマニア、ロシア、チュニジア拠点 PSA Peugeot Citroen Core Supplier
ワイヤリングシステム部門 スロバキア Trencin拠点 GM GM Supplier Quality Excellence Award
ワイヤー・ケーブル部門 メキシコ LEONI Cable S.A. de C.V. 矢崎総業 Green Supplier of the Year

2013年12月期の見通し (同社による予測)

全社
-2013年12月期の売上高は、3,700百万ユーロと予測。同EBITは170百万ユーロと予測。
-グローバリゼーションを推進するため、主要市場に販売拠点だけではなく生産拠点を新設する方針。注力する地域は韓国を含むBRIC諸国。2016年までに同地域での売上を1,000百万ユーロにする。

ワイヤリングシステム部門
-2013年12月期の売上高は、2,100百万ユーロ予測。

-BRIC諸国やNAFTA諸国などの新興国に事業リソースを引き続きシフトしていく。また、インド市場にも注力していく方針。

ワイヤーケーブル部門
-2013年12月期の売上高は、1,600百万ユーロと予想。中国および米国における特殊自動車用ケーブル事業、また2013年3月に生産を開始するインド拠点が売上に寄与すると予測。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
合計 93.6 84.1 75.9

研究開発人員

  2012年12月末 2011年12月末 2010年12月末
合計 1,329 1,042 1,116

研究開発拠点

ワイヤリングシステム部門
-中国、ドイツ、フランス、英国、韓国、米国で研究開発を行っている。
-同部門の本拠地ドイツ Kitizingenでは基礎研究とプロジェクト支援を実施。
-Connectivity事業ユニットは、FCT electronic GmbHの買収により、ドイツ Munichにおいてプラグおよびコネクターシステムの研究開発を実施。

ワイヤーケーブル部門
-主にドイツおよびスイスで研究開発を実施。
-同部門内に研究開発課を設置しており、先進開発およびアプリケーション開発プロジェクトに注力している。

製品開発

高電圧電力配分器
-2012年、同社はContinental AGと共同でEVおよびHV用高電圧電力配分器を開発。同製品はアプリケーションに応じて柔軟に配置することが可能なため、開発期間とシステムコストの低減を実現した。現在は試作車でテストされており、今後は大量生産に移る予定。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
ワイヤリングシステム部門 98.7 76.3 57.5
ワイヤー・ケーブル部門 49.5 53.7 43.4
その他 6.0 7.4 2.2
合計 154.2 137.4 103.1

-2012年第1四半期の設備投資額が、前年同期の21.9百万ユーロの2倍超となる55.1百万ユーロに増加したと発表。これは、BRIC諸国 (ブラジル・ロシア・インド・中国) における需要増加に対応したもの。買収・出資に関しては、前年同期の2.3百万ユーロから25.3百万ユーロへ増加。その大部分は、韓国合弁会社Daekyeungの株式残り50%の取得に投じられている。また、不動産・工場・設備などの固定資産に対する投資も、前年同期の19.6百万ユーロに比べて51%以上増の29.7百万ユーロとなった。その他に同社は、ブラジル、ロシア、東欧、北米において、ワイヤーシステム工場の設立および既存工場の拡張を行っている。さらに、中国、メキシコ、スロバキアで自動車用ケーブルの生産能力を拡大するとともに、メキシコではインフラケーブルの生産能力を拡大した。(2012年5月15日付プレスリリースより)

海外投資

ワイヤリングシステム部門
<ルーマニア>
-2012年、同社はルーマニアのBistrita拠点でダッシュボードケーブルハーネスの製造ラインの自動化を開始。今まではほぼ手作業で製造していたが自動化により、効率化を実現。

<ブラジル>
-同社はブラジル拠点の設備拡張を実施。商用車用ケーブルハーネス専用の製造拠点であったが、乗用車用ワイヤーシステムの製造ラインを新設した。

<ロシア>
-ロシア近郊のNizhny Novgorodに新規に製造拠点を開設。同国の既存拠点の事業を移管した。

ワイヤーケーブル部門
-同社はインドの主要自動車メーカーが拠点とする、インド Pune北部に新工場を開設し、2012年末に操業を開始した。当初は自動車用ケーブルを製造するが、2013年後半には大型石油化学工場、鉄道、太陽光産業向けのケーブル生産を開始する見込み。

-同部門はNAFTA地域も注力しており、メキシコに自動車用特殊ケーブルの生産ラインを新設している。

設備投資額見通し

-2013年12月期、同社は設備投資額に190百万ユーロを投じると予測。
-ワイヤリングシステム部門には113百万ユーロが配分され、アジア、NAFTA地域、北アフリカおよび東欧の生産拠点開設に投じられる予定。また、重点投資は以下の通り:
  • ロシアのZavlozhye拠点の拡張
  • 中国に新工場の開設
  • ルーマニア拠点のダッシュボードケーブルの製造ラインの拡張
  • ドイツKitzingenの研究拠点 (Center of Expertise) の設備更新
-ワイヤー・ケーブル部門には、64百万ユーロが投じられる予定。