Lear Corporation 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 20,467.0 18,557.6 10.3 1)
純利益 1,380.9 1,040.5 32.7 -
部門別売上高
シート 15,873.0 14,356.7 10.6 2)
Eシステム 4,594.0 4,200.9 9.4 3)


要因
1) 売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比10.3%増の20,467.0百万ドル。北米、欧州、アジア市場での新規受注による増収が1,400百万ドルであった。さらに、Antolin Seating買収により売上高は350百万ドル押し上げられた。

2) シート部門
-2017年12月期の部門売上高は、前年比10.6%増の15,873.0百万ドル。新規受注による増収が1,200百万ドル、Antolin Seating買収により350百万ドル増加した。

3) Eシステム部門
-2017年12月期の部門売上高は、前年比9.4%増の4,594.0百万ドル。新規受注による増収が210百万ドル、関連会社の支配権取得による増収分が113百万ドル、プラットフォームの生産台数の増加による増収分が45百万ドルとなった。

買収

-イスラエルのEXO Technologiesを買収。EXO Technologiesは、自動運転車やコネクテッドカー向けの高精度なGPSシステムを開発する企業。イスラエルのTel Avivと米カリフォルニア州San Mateoに活動拠点があり、地上の基地局がなくても既存のGPS受信機にセンチメートルレベルの高精度で位置情報を提供する技術を持つ。最終的な買収条件は明らかにされていない。(2017年12月11日付プレスリリースより)

-Grupo Antolinの自動車用シート事業の買収が完了。取引額は286百万ユーロ。Grupo Antolinのシート事業の売上高は年間約300百万ユーロ、欧州および北アフリカの5カ国で事業展開している。同事業部門はフランスに本社を置き、12カ所の生産拠点と2カ所の研究開発センターを持つ。従業員数は2,273名。(2017年4月28日付プレスリリースより)

受注

-米ワイオミング州から車車間(V2V)、路車間(V2I)通信用の路側ユニットおよび車載ユニットを提供する独占的パートナーに選ばれたと発表。ワイオミング州は、米国運輸省のコネクテッドビークルパイロットサイトの一つとして指定されており、特に悪天候時のトラック運転や高速道路運転の主要試験サイトとなる。Learは、このパイロットプログラムに関連するすべての安全アプリケーションを提供すると共に、DSRC(専用狭域通信)、高精度GPS、Wi-Fi、セキュリティシステム等を装備したLocomate Roadstar E-システムを供給するという。 (2017年3月20日付プレスリリースより)

2018年12月期の見通し

-同社は2018年12月期の見通しについて、売上高 215億ドル、純利益12.4億ドルと予想している。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 148 144 127

技術提携

-同社とHoneywellは、自動車サイバーセキュリティソフトウェアソリューションおよび自動運転車両開発で提携すると発表。両社は、車両走行時に生成される1億行以上のデータの識別、検証を行うシステム等を共同で開発した。Honeywellのソフトウェア・グローバルセキュリティセンターが車載ネットワークの通信を監視し、Learの電子ゲートウェイとセキュリティモジュールが機械の故障や車両へのハッキングを検出し、報告する。これら取得したデータは、分析および改善のためHoneywellのセキュリティセンターに送信される。(2017年9月12日付プレスリリースより)

研究開発活動

シート
-電子センサーや電動アジャスターシステム、独自開発したアルゴリズムを活用し、アクティブセンシングシステムや快適シートシステムを開発した。乗員のシートポジションに合わせ、シートのクッション、サポート圧を常時自動的に最適化する。さらに、シートセンサーを使った生体情報モニタリング技術も開発した。

-インテリジェントシート 「INTU Seating」 シリーズは、運転者や搭乗者の特徴を検知し、その情報を車内外の通信ネットワークを用いてユーザーや自動車メーカーに供給する次世代シートシステム。乗員の座り方のニーズや好みを、姿勢、健康面、快適性、安全性に配慮しながら直感的に予測し調整することができるという。

-アダプティブシート・ソリューション「Drop & Go」の提供を開始。シートの電動化によりフレキシブルなカーゴを実現。多数のシートをさまざまな位置で配置したり、シート撤去により広大な荷室が得られる。

-「ProActive Posture」 シートは、TheraMetric分析メソッドを採用した「MySeat by Lear」技術を活用したシートで、より良い姿勢と体に優しいシートポジションを提案する。「Lear Crafted Comfort Connect」 および 「Advanced Comfort Systems」 は、クッション、シートバック、サイドボルスターを調整することにより、姿勢を正しく補正するとともに、高水準の快適性およびデザイン性を提供する。

-先端材料を採用したシートを開発。新しいファブリック「TeXstyle」は耐久性を向上し、SoyFoamを採用したシートは24%が再生可能材料となっている。

Eシステム
-照明分野でも高度な電子制御技術を開発。「Matrix LED Control System」 は、最大100個のLEDの明るさを調整したり、オン・オフ切り替えを可能にする。

-11kWのEV用ワイヤレス充電システムを開発。プラグを使わずに、高出力で安全にEVを充電することがことできる。

-車載診断ポートより侵入するサイバー攻撃から車両を保護するファイヤーウォールモジュール (専用ソフトウェア含む) を開発。また、OTA (無線ソフトウェア更新) システムを加えたことにより、V2X製品ラインナップを増強した。

研究開発拠点

-世界20カ所に先端技術センターおよび製品エンジニアリングセンターを持つ。米国ミシガン州Southfieldのグローバルイノベーション・テクノロジーセンターが同社の研究開発の中核拠点。

研究開発体制

-2017年12月31日現在、全世界に5,500名の従業員が研究開発に従事している。

特許

-2017年12月末現在、特許および出願数は約2,200件。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
シート部門 398.3 341.6 317.2
Eシステム部門 176.3 162.4 134.4
その他 19.9 24.3 34.2
合計 594.5 528.3 485.8


-2018年12月期の設備投資額は630百万ドルと予想。

国内投資

-米インディアナ州Hammondに30百万ドルを投じて工場を新設する。FordのSUV向けにシートを生産する。2019年4月に操業開始予定で、2020年モデル車を製造する。Hammondの新工場では約875名の新規雇用を見込んでおり、今後既存のHammondおよびPortageの拠点を統合する計画があるという。(2017年11月2日付 Detroit Newsより)

-ミシガン州FlintのBuick Cityの管理棟の跡地に29.3百万ドルを投じてシート工場を開設する。広さは150,000平方フィート。Michigan Strategic Fund委員会は、435名の雇用をサポートするための4.35百万ドルの助成金を承認した。新工場は2017年秋に建設を開始、2018年春の操業開始を予定しており、同地区での自動車部品製造は1999年以来となる。(2017年8月22日付プレスリリースより)

海外投資

<メキシコ>
-同社は、メキシコArteaga工場の生産強化を発表した。同工場の従業員数は現在700名で、2017年末までに300名を新規雇用して1,000名に増員し、生産強化を図る。(2017年10月9日付 Mexico-Nowより)

-同社は、メキシコ国内に45番目となる工場をZacatecas州Caleraに開設したと発表した。21百万ドルを投資した新工場の名称はLear Mexican Trim Operationsで初期の従業員数は1,300名、シートカバーを生産する。2018年には9.5百万ドルを追加投資して工場を拡張し、600名を新規採用する予定。同社は過去4年間でメキシコ国内に11工場を開設している。2017年末までにメキシコ国内の従業員数は総勢56,000名に達する見込み。(2017年5月20日付 Mexico-Nowより)

<中国>
2017年8月、自動車シートトリムプロジェクトの調印・着工式を行った。当プロジェクトの総投資額は1億ドル。第1期工事のEagle Ottawa皮革プロジェクトは、2018年2月に、ほかの第2期工事は2018年6月に正式稼働する予定。フル稼働後、年間売上高30億元が見込まれる。(2017年9月1日付け会社公告より)