Knorr-Bremse AG 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 5,494.3 5,830.6 (5.8) 1)
純利益 549.7 644.8 (14.7) -
商用車用システム部門
売上高 2,523.2 2,491.8 1.3 2)



要因
1) 売上高
-2016年12月期の全社売上高は、前年比5.8%減の5,494.3百万ユーロ。中国の鉄道事業および北米の貨物輸送事業部門の不調が主な原因。受注額は56.7億ユーロから57.2億ユーロに増加した。

2) 商用車用システム部門の売上高
-同部門の2016年12月期売上高は、前年比1.3%増の2,523.2百万ユーロ。北米および南米の売上高が約20%落ち込んだが、欧州およびアジアのトラック・トレーラー事業が好調で減収が相殺された。

買収

-同社はドイツWulfrathに本拠地を置くtedrive Steering Systems GmbHを買収すると発表した。ブレーキシステム大手であるKnorr-Bremseは、この買収により最先端のステアリングシステムを製品ラインナップに加えるとともに、次世代統合ユニットや自動運転に向けた新機能の供給を目指す。tedrive Steering Systemsはドイツの他、トルコ、ロシア、米国に拠点を有し、従業員数は約320名。世界の自動車市場向けにステアリングシステムを開発、製造、販売している。同社のラックアンドピニオン式ステアリングギアシステムやボールナット式ステアリングギアシステム等の製品は、あらゆるセグメント向けに供給されている。(2016年6月1日プレスリリースより)

-同社は、Robert Boschの日本法人ボッシュより商用車用トランスミッション部品事業を取得すると発表した。従業員約120名が含まれる。この買収により、Knorr-Bremseはアジア市場向けにギアシフトユニットやクラッチアクチュエーター、トラック・バス用トランスミッション制御ユニットなどの現地開発・現地生産が可能になるという。特に自動マニュアルトランスミッション (AMT) およびデュアルクラッチトランスミッション (DCT) 分野における競争力拡大に貢献する。(2016年6月27日付プレスリリースより)

-同社は、ドイツWulfrathを本拠とするステアリングシステムメーカーtedrive Steering Systemsの買収を完了したと発表した。ステアリングシステムの製品ラインナップを拡大するとともに、商用車部門におけるシステム能力を強化する。この買収によりKnorr-Bremseは、Knorr-Bremse Systems for Commercial Vehicles GmbHの傘下に新たな事業部門「Center of Competence (CoC) Steering」を設置する。tedrive Steeringの従業員数は約320名。ドイツWulfrathの生産2拠点のほか、トルコのIstanbul、ロシア連邦のタタールスタン共和国Nabereznyje Chelny、米国のミシガン州Wixomに生産・販売拠点や技術センターを保有している。(2016年9月12日付プレスリリースより)

-Haldexは8日、Knorr-Bremseによる公開買付け (TOB) を受け入れる方針を表明した。先月5日にZFがHaldex買収を断念したことを受けた措置。今回の発表前は、ZFが提示した価格がKnorr-Bremseより5スウェーデンクローナ低かったにもかかわらず、ZFによる買収を受け入れる方針を示していた。これは、Knorr-Bremseによる買収は競争当局の審査が6カ月以上に長引く恐れがあり、取引成立についても不確実と見ていたため。ZFは買い付け期間が終了した2016年10月3日時点でHaldexの株式4,238,980株 (全体の9.59%) を取得した。ZFはHaldex株式の過半数取得を条件としていたが、これに達しなかったため、追加取得を行わないことを表明した。ZFは現在、Haldexの筆頭株主で保有比率は21.67%。Haldexは、Knorr-Bremseが規制当局から承認を取得し、必要な条件を満たした上で、Knorr-Bremseのオファーを受け入れる方針。(2016年11月8日付プレスリリースより)

-ZFは完全子会社のZF Internationalを通じて、同社が保有するHaldexの株式所有割合を11月30日付で20.11%に縮小したと発表した。ZFはKnorr-BremseによるHaldex株式の公開買付けを受け入れ、保有株式を1株当たり125スウェーデンクローナですべて売却する意向。ZFはこれまでHaldexの株式21.67%を保有する筆頭株主だった。(2016年11月30日付プレスリリースより)

-同社グループは、Vosslohの電動システム事業部門であるVossloh Kiepeを買収すると発表した。Vossloh KiepeはドイツのDusseldorfに拠点を置く電動トラクションシステムメーカー。Vosslohの100%子会社で、2015年の売上高は約250百万ユーロ、従業員数はおよそ800名。Vosslohは鉄道インフラ事業の主要グローバルサプライヤーで、2015年の売上高は約950百万ユーロ(電動システム部門を除く)、従業員数はおよそ4,100名。(2016年12月21日付プレスリリースより)

受注

-同社グループ傘下のBendix Commercial Vehicle Systemsは、Navistarより「Diamond Supplier」に認定されたと発表した。Navistarは2015年、北米トラックメーカーとして初めて衝突緩和システム「Bendix Wingman Fusion」を搭載した。さらに、Navistarの「ProStar」および「DuraStar」には、エアディクスブレーキ「Bendix ADB22X」も採用されたという。(2015年3月21日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 328.4 347.3 295.5
売上に占める割合 (%) 6.0 6.0 5.7

製品開発

運転支援システム
-2015年秋までに欧州商用車の新車に自動緊急ブレーキシステム (AEBS) と車線逸脱警告システム (LDWS) の搭載が義務づけられるのを受け、同社は量産開始に向けて、これら2つのシステム開発に注力する。

シングルシリンダーコンプレッサー
-アルミ鋳造シングルシリンダーコンプレッサーの開発を継続。非アルミ鋳造コンプレッサーと比べると、約40%軽量化される。

燃費低減システム (ESS)
-燃費低減システムの開発を継続。2016年の量産開始に向けて、燃料使用量および油汚染を低減することに注力している

スクリュー型コンプレッサー
-ハイブリッドバスや電気バス用スクリュー型コンプレッサーの拡充を継続。このコンプレッサーの低ノイズ特性は電動車両に適している。また、回生ブレーキエネルギーによる駆動で燃費も削減する。

高速精密メカトロニックバルブ
-インテークおよびエキゾーストマニホールドに使用し、ディーゼルエンジンの効率を向上させる。

熱管理機能付きコンプレッサー
-長時間の稼働が可能で圧縮空気の純度を最大化し、ウォータージャケットを冷却する。

一体型パーキングブレーキ用アプリケーション
-大型車両向けに開発された、従来のパーキングブレーキに代わるElectronic Air Control system(EAC)機能付き一体型パーキングブレーキ用アプリケーション。


設備投資費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
商用車用システム部門 82.4 81.1 57.7
鉄道車輛システム部門 103.6 117.6 93.7
その他 8.6 11.5 9.2
全社 194.6 210.2 160.6


-2016年12月期は設備投資額の69.7%にあたる135.6百万ユーロを欧州およびアフリカに投資。主な投資内容はハンガリーBudapest工場の拡張、フランスReims近郊のTinqueuxの子会社の工場新設、ドイツMunichの開発センター新設など。