Knorr-Bremse AG 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:  百万ユーロ) 2010年度 2009年度 増減率 要因
売上高(全社) 3,712 2,761 34.4
営業利益
(全社)
239 99 141.4  
商用車用システム部門売上高 1,701 1,222 39.2 1)

 

要因
1)
2010年の商用車システム部門の売上高は、世界の商用車市場全体の回復を受け増加基調となり、1,700.7百万ユーロとなった。2010年、同部門は中国市場での拡大に注力。同部門の活動は活発化したが、2010年の欧州・北米市場は不況前のレベルには届かなかった。

-2009年の大きな落ち込みの後、2010年は同社商用車部門売上高はすべての地域で大幅な伸びをしめした。中国におけるトラック市場は前年比47%増となり、北米市場では2006年からの下降基調が止まった。加えて、西欧のトラック生産が32万ユニットとなり全体の60%を超えた。この傾向により、同社商用車部門も今までとは異なった地域で増加している。

合弁企業

-Knorr-Bremse Asia Pacific (Holding) Ltdと中国の重慶卡福汽車制動轉向系統(Chongqing CAFF Automotive Braking & Steering Systems Co. Ltd.)は、商用車用ブレーキシステム部品およびパワートレイン部品を生産する合弁会社を設立した。新会社の名称はKnorr-Bremse CAFF Systems for Commercial Vehicles Chongqing Ltd.。Knorr-Bremseが66%、Chongqing CAFFが34%を出資する。この新会社では、エアドライヤーやバルブなどのブレーキ部品、トランスミッション部品やクラッチ制御部品を生産する。アルミ ダイカスト部品の製造から機械加工、表面処理、組立までを1拠点で行う計画。 (2011年1月20日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

  2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度
(単位:百万ユーロ) 175 153 171 159 141

-同社の重点地域戦略に沿い、2010年はインド、中国の新興国における生産能力増強に向けた開発が行われた。2010年末日時点で、同社の1,999名がR&Dに従事している。(2009年は1,885名)

製品開発

ハイブリッドバス用スクリューコンプレッサー
-2010年春に同社はハイブリッドバス用スクリューコンプレッサーの生産を開始した。新設計の同製品は、英国の5000台におよぶ交通機関刷新プログラムを受注したVolvoに採用。この中の何台かは2012年のオリンピックに合わせて納入される。さらに、同社では同様のプロジェクトをその他の商用車メーカーと進めているとされる。スクリューコンプレッサーは、2つのシンクロカウンター、大型インレットバルブ、小型アウトレットバルブで構成され、大容量の空気の圧縮が可能となる。既存のコンプレッサーと異なり、これらの製品はエンジンからの出力ではなく、搭載された電気モーターで駆動される。このため、振動が少なく、静かな動作が可能となっている。

新型軽量ディスクブレーキ
-エアディスクブレーキの開発を継続。さまざまな分野の自動車、地域ごとの違いに対応できるよう開発を進めている。最新のディスクブレーキでは、軽量化を進めており、トラック全体の重量から100kgの削減が可能で、燃費の向上、排ガスの削減につながるとしている。

AEBS自動緊急ブレーキシステム
-AEBS(Automatic Emergency Braking System:自動緊急ブレーキシステム)の開発を継続。2010 IAA Commercial VehiclesにおいてGerman Association of the Automotive Industry VDAの主催によりデモを開催し、成功をおさめた。

タイヤ空気圧・温度モニターシステム(TPMS)
タイヤ空気圧・温度モニターシステム(TPMS)を北米市場に続き欧州市場において立ち上げた。

ブレーキパッド・リテーナ
-同社は、ProTecSとともに新しいブレーキパッド・リテーナの生産を開始した。既存のエアディスクブレーキSN6、SK7、SN7の置き換えでさまざまアプリケーションで使用可能。スプリングとブレーキパッドの接続を溶接点で行っている。

設備投資

設備投資費

各年12月期
(単位:百万ユーロ)
2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度
商用車用システム部門
(Commercial Vehicle Systems)
50.4 33.4 64.2 72.3 69.5
鉄道車輛システム部門
(Rail Vehicle Systems)
61.2 66.6 65.8 67.9 36.8

 

海外投資

-2010年6月、チェコLiberecに商用車システム部門の新工場を開設した。閉鎖されるHejnice工場に代わる拠点で、ブレーキシリンダー、クラッチブースター、フットブ レーキバルブ、ハンドブレーキバルブ、フィルターカートリッジなどを生産する。Budapest工場と同様に最先端の生産ラインおよび搬送のコンセプトが採用されている。

-インドでは、Tata AutoComp Systems Ltdと合弁で運営していたKnorr-Bremse Systems for Commercial Vehicles India Private Ltd.の全株式を取得した。また、2010年6月にはチェコのLiberecに商用車システム部門の新工場を開設する計画。(2010年3月25日付プ レスリリースより)