Johnson Matthey Plc 2015年3月期の動向

業績

(単位:百万ポンド)
2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 10,059.7 11,155.2 (9.8) -
営業利益 532.8 448.2 18.9 -
部門別売上高
排気コントロールテクノロジー 3,321.4 2,898.9 14.6 1)
貴金属製品 5,690.2 7,243.2 (21.4) 2)
新規事業 92.2 76.6 20.4 3)


要因
1) 排気コントロールテクノロジー
-2015年3月期の売上高は、前年比14.6%増の3,321.4百万ポンド。

<小型車用触媒>
-小型車用触媒事業の2015年3月期の売上高は、前年比5%増の1,058百万ポンド。欧州の排ガス規制ユーロ6bの導入、中国における自動車生産が堅調に推移したことが売上高伸長に寄与。

<大型ディーゼル車用触媒>
-大型ディーゼル車用触媒事業の2015年3月期の売上高は、好調な米国トラック市場、欧州および中国における規制強化の好影響を受け、前年比14%増の724百万ポンド。

2) 貴金属製品
-2015年3月期の売上高は、前年比21.4%減の5,690.2百万ポンド。Anglo Platinumとのプラチナ等の供給契約を変更したことによる、プラチナの取得コスト増が主な減収要因。その他にも、貴金属の平均価格の低迷や市場の弱含み等が挙げられる。

<貴金属>
-貴金属事業の2015年3月期の売上高は、工業用製品の売上減が影響し、前年比4%減の133百万ポンド。

<先端ガラステクノロジー>
-先端ガラステクノロジーユニット事業の2015年3月期の売上高は、前年比5%減の82百万ポンド。主な要因は、加飾セラミックカラー製品市場からの撤退が挙げられる。自動車ガラス用の掩蔽エナメルや銀ペーストの需要は昨年に引き続き堅調に推移した。

3) 新規事業
-2015年3月期の売上高は、前年比20.4%増の92.2百万ポンド。

<バッテリーテクノロジー>
-バッテリーテクノロジー事業の2015年3月期の売上高は、前年比23%増の84百万ポンド。主な要因は汎用パワーツール、電動バイクのバッテリーシステムの需要増。自動車市場向けバッテリーシステムの売上も伸長。

<燃料電池>
-燃料電池事業の2015年3月期の売上高は、昨年前半に膜電極を生産する顧客が倒産したことが影響し、前年比微減の6百万ポンド。

企業買収

-Clariant AGより電池材料事業を買収することで合意。買収金額は75百万ドルで、手続きは2015年はじめに完了する見込み。Johnson Mattheyは今回、カナダ・ケベック州のCandiac工場をはじめ、ドイツMoosburgに位置する研究開発センターやパイロットプラントをこれまでの受注分も含めて買収し、Clariantのエネルギー貯蔵事業を全て取得する。同事業の従業員数は約100名で、リチウムイオン電池市場に自動車・非自動車向けのリン酸鉄リチウム正極材料を供給している。(2014年10月29日付プレスリリースより)

-2014年10月、中国の江蘇省常州 (Changzhou) にあるA123 Systemsの正極材工場の買収を26億ドルで完了。同工場では、A123がこれまで自社のさまざまな製品に使用してきたリン酸鉄リチウムイオン (LFP) を生産しており、従業員数は80名。今回の買収に伴い、Johnson MattheyはA123にLFPを全量納入する長期供給契約を締結した。A123は、引き続き電池材料に関する知的財産を保有し、Johnson MattheyはA123のLFP 「Nanophosphate」をA123向けにのみ生産を行う。(2014年10月7日付プレスリリースより)

海外事業

<インド>
-Manesar工場において自動車用触媒の累計生産数が25百万ユニットに達したと発表した。同社は、これまで15年にわたってインドで排ガス浄化触媒の生産を行っている。(2014年10月28日付プレスリリースより)

2016年3月期の業績見通し

-同社は2016年3月期の業績は、前期比で微増と予測。

-排気コントロールテクノロジー部門は1桁台後半の成長を予測。要因として、2015年9月のユーロ6b導入、中国における生産台数増が2016年3月期も継続すると見込む。大型ディーゼルトラック用触媒の需要増も伸長すると見ている。

-貴金属製品部門の売上高は前年比で減少と予測。非自動車関連事業の売却、プラチナ群金属の取引条件の悪化が見込まれる。製品製造事業ユニットの売上高は引き続き安定すると見ている。

-新規事業部門は、バッテリーテクノロジー事業ユニットが2015年3月期に行った買収が寄与すると見込むため、同部門の損失幅は改善される見通し。

研究開発費

(単位:百万ポンド)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 169.9 152.3 136.0

研究開発費内訳 (%)
部門 2015年3月期 2014年3月期
排気コントロールテクノロジー 42 44
プロセステクノロジー 20 19
貴金属製品 6 6
精製化学製品 10 8
新規事業 5 7
本社研究 17 16
合計 100 100



研究開発体制

-約1,600人が研究開発に従事。

研究開発人員内訳 (%)
部門 2015年3月期 2014年3月期
排気コントロールテクノロジー 37 38
プロセステクノロジー 19 20
貴金属製品 7 6
精製化学製品 7 8
新規事業 9 7
本社研究 21 21
合計 100 100


-英国、中国、日本で排気コントロールテクノロジー製品の試験/検査能力を強化している。

研究開発拠点

-排気コントロールテクノロジー部門は以下8カ国にR&Dセンターを保有:

  • ブラジル
  • 中国
  • ドイツ
  • 日本
  • 韓国
  • スウェーデン
  • 英国
  • 米国

-バッテリーテクノロジー事業ユニットは英国、ドイツおよびシンガポールにバッテリー素材専門の研究開発施設を保有。

-燃料電池事業ユニットの研究開発は、英国のSonning Common拠点にて行なわれている。

設備投資額

(単位:百万ポンド)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
排気コントロールテクノロジー 69.2 72.1 75.6
プロセステクノロジー 49.7 59.5 42.0
貴金属製品 31.6 40.0 35.1
精製化学製品 35.7 26.2 21.5
新規事業 6.5 8.0 3.6
コーポレート 19.1 12.5 13.5
合計 211.8 218.3 191.3

国内投資

排気コントロールテクノロジー
-2015年3月期の主な設備投資は、小型・大型車両に関する法規制による需要増に対応するための、欧州の自動車用触媒の製造拠点の増強。

-2014年3月期に引き続き、英国のフィルター製造工場の能力増強を実施。

海外投資

排気コントロールテクノロジー
<マケドニア>
-マケドニアの触媒工場の生産能力増強プロジェクトが完了。今回の工場拡張は、今後数年後に導入される新しい欧州規制による需要増への対応を見越したもの。

<中国>
-2014年3月期に引き続き、中国の製造拠点の拡張を実施。

設備投資額見通し

-今後数年間の設備投資額は毎年約280百万ポンドを計画。