Harman International Industries, Inc. 2011年6月期までの動向

ハイライト

近年の動向

企業買収

-2011年2月、音楽・信号処理技術の開発メーカー3dB Research Ltd(カナダ)を買収したと発表。3dB Researchは、複雑な波形をリアルタイムに分析し、音楽構造を検出・把握するmusIQ技術を保有している。今回の買収はHarmanにとって、音声信号処理、特に音楽処理や効果音生成に関する技術力の強化に繋がる。(2011年2月18日付プレスリリースより)

受注

<2011年>
-2011年5月、東風乗用車(Dongfeng Passenger Vehicle)の新型ミッドサイズセダン「Aeolus」に、オーディオシステムを納入すると発表。今回納入する10スピーカー付きサラウンドオーディ オシステムには、パワードサブウーファーおよびオーディオアンプが含まれる。(2011年5月19日付プレスリリースより)

-2011年4月、比亜迪汽車(BYD)の新型電気自動車「E6」に同社のオーディオシステムを供給すると発表した。北米を含む世界市場向けの多目的車が対象。8チャンネルアンプ、サブウーファーおよび10スピーカー付きのオーディオシステムは、2012年発売の車両に初搭載される。(2011年4月19日付プレスリリースより)

-2011年4月、吉利汽車(Geely)の新型ミッドサイズセダン「Emgrand EC8」にオーディオシステムを納入すると発表。今回納入する10スピーカーオーディオシステムには、パワードサブウーファーおよびオーディオアンプが含まれる。(2011年4月19日付プレスリリースより)

-2011年4月、比亜迪汽車(BYD)とDaimlerの中国合弁会社による新型電気自動車に、オーディオシステムを納入すると発表した。このオーディオシステムは、2013年発売の中国仕様車にまず搭載される。最上級グレードには、5.1chサラウンド音声・8chアンプ・サブウーファー・12スピーカーが搭載。また、次のグレードには8chアンプ・サブウーファー・8スピーカーが搭載される予定。(2011年4月19日付プレスリリースより)

-2011年4月、Volkswagenグループよりアジア市場向け次世代インフォテインメントシステムを追加受注したと発表。Volkswagenグループには他に、Audi、Seat、Skodaが含まれる。同社は既に、欧州・米国市場向けの次世代インフォテインメントシステムを受注済み。今回の受注により、同グループからの受注総額は16億米ドルに達する。(2011年4月12日付プレスリリースより)

-2011年3月、同社とDaimlerは、新型カーナビゲーションシステム「Becker MAP PILOT」を発表した。このシステムはMercedes-Benzの新型モデル「SLK」および「C-Class」に搭載。ステアリングホイールのコントローラー、ターン・プッシュ式コントローラー、音声コマンドによって作動する。ナビゲーション経路は中央ディスプレイおよびインストルメントクラスターに表示。音声案内は車載スピーカーから再生される。また、このナビゲーションユニットは車両から取り外して、地図データや追加機能のアップデートが可能。(2011年3月1日付プレスリリースより)

<2010年>
-2010年6月、Magneti MarelliとともにBMW向けインフォテインメントシステムのサプライヤーに選定された。エントリーレベルのシステムを納入するもの。このシステムは Magneti Marelliのオープンプラットフォーム技術と、同社のコネクティビティおよびモバイルオフィス技術を融合。iSpeech、ワイヤレスコネクティビティ、モバイルオフィス、ナビゲーション、テレマティクスなどの機能が搭載される。アジア向けは同社が生産・販売を行う一方、欧州向けは Magneti Marelliが供給する。(2010年6月28日付プレスリリースより)

-2010年3月、「Lexus LFA」向けにMark Levinson Premium Surround systemを供給すると発表した。このシステムでは、同社のGreenEdge技術や高効率トランスデューサー(HiE)、高圧アンプによって 実現された諸技術を使うことで、新型D級パワーアンプを動作させる。スピーカー12個からなる12チャンネルシステムで、総出力は1,002ワット。高剛性カーボンファイバー製コーンを備えた180×250mmのフルレンジウーファー、高効率・低指向性の圧縮ホーンツイーター、90mm指向性制御ミッドレ ンジスピーカーが、音響設計された密封筺体に納められている。(2010年3月1日付プレスリリースより)

<2009年>
-2009年12月、Chryslerの新型「SRT Series」にオーディオシステムを供給する。「300」、「Dodge Charger」および「Challenger」のSRT仕様車向け。2012年モデルに採用される。(2009年12月21日付プレスリリースより)

-2009年9月、マルチメディアに対応した「COMAND」インフォテインメントシステムをDaimlerに供給すると発表。「Mercedes-Benz」の新型「S-Class」と「C-Class」に搭載される。同社のGreenEdge技術を採用し、軽量化および消費電力低減を実現したという。(2009年9月9日プレスリリースより)

-2009年7月、過去約2年間で、計13の車載用オーディオプラットフォーム、インフォテイメントプラットフォームを開発したと発表。これらのプラットフォームは、Audi、BMW、Chrysler、Mercedes、Porsche、PSA Peugeot、Citroen、Hyundai、SsangYongなどに採用されている。(2009年7月30日プレスリリースより)

-2009年5月、Mercedes Benz「S class」向けに、「Logic 7」ディスクリートサウンドシステムを納入していると発表。15個のスピーカーを搭載し、アンプの出力は600ワット。(2009年5月25日付プレスリリースより)

-2009年5月、サウンドシステムがBMWの「MINI 50 Camden」(限定モデル)に標準搭載されると発表。また、同じく限定モデルの「MINI 50 Mayfair」にはオプションとして採用された。(2009年5月25日付プレスリリースより)

売却

-2010年6月、傘下のQNX Software Systems (カナダ)をResearch In Motion Limited (カナダ)に売却した。売却額は200百万米ドル。(2010年6月8日付プレスリリースより)

事業提携

-2010年4月、中国の東軟集団股份有限公司(Neusoft Corporation)と車載エレクトロニクスの開発に関して提携契約を締結したと発表。東軟集団はITソリューションサービスプロバイダー大手。両社は共同で、中国・遼寧省の瀋陽(Shenyang)とドイツのHamburgに研究開発拠点を設立した。(2010年4月23日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万米ドル)
  2011年6月期 2010年6月期 2009年6月期
全社 304.6 322.7 325.1

商標・特許

-2011年6月30日現在、世界で1,874件の商標登録を取得、414件が申請中。また、世界でさまざまなオーディオ、インフォテインメント、ソフトウェアに関する特許を2,531件取得、1,732件を申請中。

研究開発体制

-2009年9月、中国の上海にオフィスおよびR&Dセンターを開設。また、蘇州(Suzhou)工場で新型インフォテインメントシステムを生産し、世界市場に供給する。このシステムは同社のOSソフトウェア「QNX」を使用し、フォーマットにかかわらず映画・音楽などのマルチメディアを認識・再生可能。また、インターネットラジオやソーシャルネットワーキングサイトにワイヤレスで接続で利用できる。(2009年9月29日プレスリリースより)

-2008年9月、Wipro Technologies(Wipro LimitedのグローバルITサービス部門)と共同で、インドにエンジニアリングセンターを設立すると発表。新設するHarman India Development Centerは、国内2ヵ所(Bangalore/Chennai)にあるWiproの既存施設内に拠点を置く。同社は、この新センター開設により、自動車向けなどのオーディオ、インフォテインメント製品の開発体制を強化する。同センターでは、同社製品用のソフト/ハード両方の開発を行う。(2008年9月2日付プレスリリースより)

技術提携

<2011年>
-2011年1月、Sierra Wirelessと共同で、自動車での4Gブロードバンド接続の実現に向けて協業する。カナダを拠点とするSierra Wirelessは、モバイルコンピューティング製品・M2M(機器間)通信製品を生産している。Harmanは、Sierra WirelessのLTE通信モジュールWireless AirPrimeにより、車内でのワイヤレス接続環境を実現させる計画。(2011年1月5日付プレスリリースより)

<2009年>
-2009年4月、Lotus Engineeringとノイズマネジメントシステムを共同開発することで合意。この契約により、アクティブノイズコントロール技術に関するLotusの全特許を、同社が使用可能となる。Lotus Engineeringは、Lotus Carsの自動車エンジニアリング・コンサルタント部門を担当。 (2009年4月16日付プレスリリースより)

<2008年>
-2008年5月、Navteqとの契約期間を延長したと発表。NAVTEQは、カーナビゲーションシステムなどLBS(位置情報サービス)市場全般にサービスを提供しているデジタル地図データ大手。このたびの契約延長により、同社の一部門で車載用システムを手掛ける Harman/Beckerは、2015年までNAVTEQのデータを利用できる。両社は、Harman/Beckerが開発する次世代インフォテインメ ントシステムにNAVTEQの豊富な地図コンテンツを活用することやロシア、中国、韓国など新興市場での事業展開でも協力することで合意。(2008年5 月12日付プレスリリースより)

-2008年1月、Seagate TechnologyとSeagateの特許技術「D.A.V.E」を採用した車載用マルチメディアシステムの開発に乗り出すと発表。「D.A.V.E」は無線通信に対応し、各種機器を介して取得した情報を保存できる技術。自動車メーカーは「D.A.V.E」を使用したアプリケーションツールの開発によりカスタマイズしたマルチメディアシステムを提供できる。同社はクライスラー向けに設計したMyGigマルチメディアシステムにD.A.V.Eを採用しており、SeagateはCESの期間中、同社ブースでこの技術を展示・紹介する。無線経由で映画(通常/HDモード)、テレビ番組、音楽、ゲームといったさまざまなデジタルデータコンテンツを保存、再生、共有することが可能なプラットホーム「D.A.V.E」を使用することで、自動車メーカーではドライバー・同乗者の多様なニーズに対応する独自のインフォテインメントシステムを供給することが可能となる。(2008年1月8日付プレスリリースより)

製品開発

<2011年>
-2011年3月、サラウンド音声技術「QuantumLogic」を発表した。QuantumLogicにより、あらゆるステレオ音声やマルチチャンネル音声をサラウンド7.1chに変換することが可能となる。この技術は、Ferrari「FF」に採用された同社サラウンドシステム「JBL Professional」の中核をなしている。なお、Ferrari「FF」には同社の地図・矢印表示付GPSナビゲーションシステム(ハードディスクベース)も搭載されている。(2011年3月1日付プレスリリースより)

-2011年1月、電力消費と発熱を抑えた車載オーディオシステム「GreenEdge」を開発した。このシステムは最新式のアンプとスピーカーを採用。従来のオーディオに比べて、小型軽量化およびエネルギー効率の向上を実現している。(2011年1月10日付プレスリリースより)

-2011年1月、Lotus Engineeringと共同で、「HALOsonic」ノイズマネジメントシステムを開発した。ハイブリッド車および電気自動車向け。擬似エンジン音を発生させることで、車両の接近を歩行者に知らせるシステム。また車内では、運転速度に応じた擬似エンジン音により、運転者にフィードバックを与える。(2011年1月10日付プレスリリースより)

-2011年1月、同社自動車部門は、スマートフォンで受信したSMSやe-mailをHarmanのインダッシュヘッドユニットに転送する技術を開発した。これらのメッセージはインフォテインメントシステムのスクリーン上に表示されるか、テキストトゥスピーチ機能によって読み上げられる。なお、テキストトゥスピーチ機能は既に、Harmanの市販インフォテインメントシステムで実用化されている。一方、スピーチトゥテキスト機能は2012年発売の車両から採用となる見込み。(2011年1月5日付プレスリリースより)

-2011年1月、Toyota Motor Engineering and Manufacturing, North Americaと共同で、車載マルチメディアシステム「Toyota Entune」を開発した。米国ラスベガスで開催されるConsumer Electronics Show (CES)で発表する。Bluetooth対応の電話に「Entune」アプリをダウンロードすると、Bing、iheartradio、MovieTickets、OpenTableなど様々なアプリに車内のタッチパネル画面からアクセス可能となる。このシステムは2011年中に、一部のトヨタ車向けに初めて搭載される予定。(2011年1月4日付プレスリリースより)

<2010年>
-2010年6月、エントリーレベルの高級車向けインフォテインメントシステムを開発中。アジアの新興市場などをターゲットとしている。マルチメディア機能の統合を簡素化するためSystem-On-a-Chip (SOC)」方式を採用。(2010年6月1日付プレスリリースより)

-2010年、Nokiaと共同で、携帯電話(スマートフォン)を車載インフォテインメントシステムに統合したシステムを開発する。このシステムでは、スマートフォンのコンテンツを車載ディスプレイに表示したり、携帯電話と車両間での情報交換が可能となる。また、GPS機能を利用した情報検索にも対応する予定。(2010年5月17日付プレスリリースより)

-2010年5月、英ロータスエンジニアリングと共同開発したハイブリッド車(HV)などの電気駆動システム搭載車向けの擬似エンジン音発生装置を都内で公開した。実物の内燃機関と同様に、アクセル開度に合わせて擬似音の大きさ、音色が変化するシステムで、エンジンフード内とカーオーディオのスピーカーを通じ車内外に発音する機構とした。こうした工夫によって、モーター走行時にも歩行者が従来同様に車両の接近をつかめるようにして、安全性の向上につなげた。すでに2010年内に欧州メーカーが搭載を開始する計画としており、今後は日系などの受注開拓を本格化する。(2010年5月14日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万米ドル)
  2011年6月期 2010年6月期 2009年6月期
全社 108.4 60.2 79.9
自動車部門 74.8 40.8 59.5

海外投資

<中国>
-2008年11月、中国蘇州(Suzhou)に新工場を開設したと発表。蘇州工場では、車載用オーディオシステム、インフォテインメントシステムなどを生産する。主要納入先は、Shanghai General Motors、Hyundai、Ssangyong、Kiaなど。また、同工場ではプレミアムオーディオシステム、コネクティビティシステム、エンターテインメントシステムの生産も行い、中国のみで販売されるロングホイールベースのBMW 5シリーズに供給する予定。(2008年11月17日付プレスリリースより)

<ハンガリー>
-2009年10月、ハンガリー政府からの開発助成金を活用し、同国Szekesfehervarに位置する生産拠点を強化すると発表。その計画の一環として、自動車向けの音響機器モジュールおよびエレクトロニクスモジュールを製造する新工場を建設する。(2009年10月9日プレスリリースより)