Grammer AG 2007年度の動向

ハイライト

業績

(百万ユーロ) 2007年度 2006年度 増減率(%) 要因
全社
売上高 998.1 881.0 13.3 -
EBIT 32.1 38.9 (17.5)
自動車部品
売上高 657.7 574.8 14.4 下記(1)参照
EBIT 10.7 22.7 (52.9)

(1) 自動車部品部門の2007年度売り上げは657.7百万ユーロで、全社売り上げの65.9%を構成する。EBITは前年比で大幅に減益となった。製品立ち上げ時に製品関連の問題が米国市場で主に発生したこと、短い準備期間でプロジェクトのデジタル化を実施したことなどが、相当額の追加コストを発生させた。


自動車部品部門の事業概要
-2007年度の受注は車両のモデルチェンジを背景として堅調に推移。2007年に生産開始となった量販車種のひとつである新型Mercedes-Benz Cクラスにはクラッシュアクティブヘッドレストを供給。このクラッシュアクティブヘッドレストはBMW 5/6シリーズ及びX3/X5モデル用にも供給された。センターコンソール製品開発については、ドイツのメーカーと契約を締結。

-アジアにおける事業展開も順調。TianjinとChangcyunの生産工場が立ち上げから1年がたち、BMWとAUDIが新たな顧客として加わった。

-アジアの新拠点拡張プランを展開中。上海工場を将来的にGMのEpsilonプラットフォーム搭載モデル車用にセンターコンソール生産工場とすること、また日本国内に物流拠点を設けアジアの自動車メーカーとの供給契約を拡大するといった重点目標を設定。

-自動車部品部門の収益体制を長期的に強化する目的で、同社はさらなる収益性とコスト効率の改善を図るための対策を実施。生産工程と体制の改善活動に加え、世界的視野に基づいた最適な生産網づくりを展開。Serbiaの新工場建設を含めたプロジェクトへの投資を続行。

-ドイツにおける穏やかな自動車需要の成長も他地域で見られるようにその勢いが衰え始めている。複数の東欧通貨レートが第3四半期に入り上昇基調。こうした背景は、労務費とインフラコストの高騰とあいまって同社の多くの生産工場におけるコストアップ問題の原因となっている。顕著な物価高騰と継続的な米国ドル安問題も同社にとってマイナス要素と考えられる。


売却
-2007年5月、イタリアの子会社Grammer s.r.l. (Amberg市)の売却を発表。この売却により、欧州市場におけるバス用シート事業の拠点を同社は手放したことになる。同社は、このたびの売却で、グループとしてコア事業により集中できる体制が整うとしている。当該子会社の売却手続は、2007年6月末までに完了する見通し。売却するバス用シート事業は、鉄道車両用シート事業とで一部門を形成しているが、同社の乗用シート部門の中で最も規模が小さく、バス・鉄道車両用シート部門の売上は、グループ全体売上の5%程度。


展望
-大手ドイツメーカーの世界各地での新車生産開始に合わせた部品供給は、国内市場の強化と併せて同社の自動車部品部門にとり2008年度の最大課題。新製品の首尾よい立ち上げと売上拡大、新製品立ち上げによる増益に期待をかける。ただし、製品移行期においては販売高に若干の落ち込みが見られる見込み。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ) 2007年度 2006年度
全社 50.2 46.1

新製品開発
-高さ調節機能付きドアアームレストとセンサー制御付きクラッシュアクティブヘッドレストを開発。Mercedes-BenzのC/Eクラスなどの市販車にすでに採用されている。BMWもクラッシュアクティブヘッドレストを5,6,7シリーズに搭載を決定している。この安全対策部品は車両事故の際、乗員をむち打ち症から保護する。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

2007年12月期 2006年12月期 2005年12月期
全社 34.6 32.1 33.2
自動車部品 14.9 16.6 17.9

海外投資
<中国>
-2006年5月末に、TianjinおよびChangchunで、新工場を開設。
両工場では、AudiおよびVW向けにアームレストとヘッドレストを製造。また、2007年からは、VW Passat用のセンターコンソールも製造する。