GKN 2009年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ポンド)
  2009年
12月期
2008年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 4,223 4,376 (3.5) -
営業総利益 129 201 (35.8) -
自動車部品事業(GKN Driveline、その他自動車部品)
売上高 1,869 2,207 (15.3) 1)
粉末冶金事業(Powder Metallurgy)
売上高 512 618 (17.2) 2)

要因
1)
自動車部品事業
<GKN Driveline>
-第1四半期、経営改善を行う前の売上高は43%の減少。
-為替差益の352百万ポンドを除いた売上高は628百万ポンド、24%の減少。
<その他自動車部品>
-売上高は、自動車市場の景気悪化により前年に比べ59百万ポンド減少の117百万ポンド。
-為替差益は、12百万ポンド。

2)
粉末冶金事業
-為替差益の87百万ポンドを除いた売上高は、前年に比べ193百万ポンド、27%の減少。
-売上高は欧州や北米で大幅に減少したが、アジア・太平洋や南米での主要製品売上高が下半期のインド、中国、ブラジルでの好業績に支えられ、前年と比べ5%増加。
<GKN Sinter Metals>
-上半期、サプライチェーン全体の在庫調整により生産量が縮小、深刻な状況に直面。
-北米での生産量は、第2四半期、General MotorsやChryslerの再建計画により在庫調整が行われたことが影響した。
<Hoeganaes>
-売上高は、前年と比べ31%減少。自動車市場の売上縮小や前年と比べコストが低下し、原材料サーチャージが減少したことが要因。
-市場の悪化とは対照的に、北米や欧州でシェアを拡大した。

受注

-2009年のプレスリリースによる主な受注は以下の通り。
メーカー・モデル 搭載部品
スズキ「Wagon R」 Viscodrive(R)カップリング
Jaguar「XKR」 電子トルクマネージャー「ETM(R)」
Jaguar「XFR」 電子トルクマネージャー「ETM(R)」
Mazda「Mazda3 MPS」 「スーパーLSD」
トヨタ「Passo Sette」 ビスカスカップリングユニット(VCU)
ダイハツ「Boon Luminas」 ビスカスカップリングユニット(VCU)
Peugeot「3008 HYbrid4」 リアドライブアクスル
Citroen「DS5 HYbrid4」 リアドライブアクスル
Ferrari「California」 遊星ポンプ
Tata「Nano」 粉末冶金部品

粉末冶金事業
-燃費向上や排出ガス削減の傾向が高まる中で、エンジン内の可変バルブタイミング、オートマチックトランスミッション(AT)内の高性能ギアセットやデ ファレンシャルギヤが粉末冶金から製造され需要が増加。新規受注は、約75百万ポンドとなった。また、競合企業からさらに年間25百万ポンドにのぼる現行 製品の受注獲得に成功した。

海外事業

-GKNドライブラインは、日本と中国で4WD車用ユニットの生産相互補完を開始する。2011年秋から、日本の栃木工場(栃木県栃木市)で生産する小型 4WD商用車向けの駆動力配分機構を中国・華晨汽車に供給する。規模は年間3万台分の見通し。合わせて中国の上海工場で生産するディファレンシャルユニッ トを日本に輸入、近く日産自動車に納入する。海外向けの大型4WD車「パトロール」に搭載される予定。こうした役割分担によって金型などの生産資材の重複 投資を解消するとともに、量産効果を引き出し競争力を高める。(2009年9月15日付日刊自動車新聞より)

-GKNドライブラインは、日本のグループ会社4社を統合し2010年1月1日に新会社「GKNドライブラインジャパン」を発足することを決定。統合によって開発やオペレーションを効率化し、競争力を高める。(2009年11月24日付日刊自動車新聞より)

-2009年12月、上海納鉄福伝動軸有限公司(Shanghai GKN Drive Shaft Co., Ltd.)は、中国の武漢(Wuhan)にドライブシャフトの新工場を開設。
>>>詳細は、設備投資へ

合弁事業

-上海汽車(SAIC)は中国における合弁事業契約を50年間延長する。両社は1988年、上海納鉄福伝動軸有限公司(Shanghai GKN Drive Shaft Company Limited : SDS)を設立している。(2009年9月15日プレスリリースより)

リストラクチュアリング

-英国国内のドライブライン部品事業をバーミンガムのErdington工場に集約すると発表。この計画に基づき、2009年末までにHamsteadの 鍛造部品工場を、2010年半ばまでにWalsallの自動車部品工場を閉鎖することが決定している。また、自動車用構造部品を生産している Telford工場の人員を、2009年内に150名削減する方針。(2009年2月17日付プレスリリースより)

自動車部品事業
-GKN Drivelineは、英国で1工場を閉鎖。2010年中に2工場が統合される予定。

-南アフリカで合弁会社を清算。また、中国での事業を上海納鉄福伝動軸有限公司(Shanghai GKN Drive Shaft Co., Ltd.)に集中させるため、吉林省にある合弁会社の株式を売却。

-2010年の終わりまでに日本の工場を閉鎖。

開発動向

研究開発活動

自動車部品事業
-GKN Drivelineの2009年12月期の研究開発費は、57百万ポンド。(2008年12月期は、63百万ポンド)既存製品への新しいアプリケーションやハイブリッド車・電気自動車用のドライブライン製品に焦点をあてた。
-新製品発売への動きは低調だったものの、GKN Drivelineは応札した新型ドライブシャフトプロジェクトのうち85%の獲得に成功。
-GKN Drivelineは、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)向けの動力伝達システムの開発を活発化する。仏PSA(プジョー・シトロエン)に 2011年から供給するHV向けの駆動ユニットに続き、電気駆動の効率改善や駐車時のパークロック機構を兼ね備えるギアド・システムを順次、実用化する。 日本法人を中心に開発する方針で、差動制限装置(LSD)を組み込むなど4WD車の駆動配分ユニットで培ったノウハウを活用し機能を高める。こうして新規 ニーズの吸収に取り組み、電気駆動関連を新たな柱に育成する。(2009年11月24日付日刊自動車新聞より)

製品開発

自動車部品事業
-GKN Drivelineは操縦性や燃費の向上、排出ガスを削減に貢献する以下のような多くの製品を開発。
-Face Spline:通常、ホイールハブに等速ジョイント(CVJ)サイドシャフトを固定する際に用いる従来のステム設計よりも効率的でコストを抑えた等速ジョイントサイドシャフト用特許取得済ハブコネクション。
-電気アクスル:次世代ハイブリッド車・電気自動車に搭載する製品で、四輪駆動、燃費向上、排出ガスフリーを特徴とする。
-直接トルクフロー技術:重量、組立時間、スペース、コストを削減できるようにプロペラシャフトとトランスミッションを連結する新しいデザインソリューション。
-Electronic Limited Slip Differential (eLSD):パワーホイールへの高速最適トルク配分により牽引力や安定性を実現するアクティブカップリングと一体化したリアアクスルデファレンシャル。
-低コスト自動車サイドシャフト:発展途上国で成長するモビリティに適した特有のエンジニアリング・ソリューション。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ポンド)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
全社 153 204 192
自動車部品事業 74 110 94
粉末冶金事業 10 35 38

国内投資

-今後3年間で英国Erdington工場に7百万ポンドを投資し、生産設備のアップグレードを行う。(2009年2月17日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-上海納鉄福伝動軸有限公司(Shanghai GKN Drive Shaft Co., Ltd.)は、中国の武漢(Wuhan)にドライブシャフトの新工場を開設。投資額は230百万元(34百万米ドル)。東風汽車、東風シトロエン、東風日 産、東風ホンダなど、華南地域の自動車メーカーに製品を供給する。2010年は年間50万本のドライブシャフトを生産する予定。また、2011年は100 万本、2012年には200万本の生産を計画している。Shanghai GKNは上海汽車(SAIC)の合弁企業。なお、武漢の新拠点は同社にとって、中国で11番目の生産拠点となる。(2009年12月1日付プレスリリース より)