Dana Incorporated (旧 Dana Holding Corporation) 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 7,209 5,826 23.7 1)
当期純利益 116 653 (82.2) -
部門別売上高
ライトビークル 3,172 2,607 21.7 2)
商用車 1,412 1,254 12.6 3)
パワーテクノロジー 1,104 1,056 4.5 4)


要因
1) 売上高
-2017年12月期の全社売上高は、前年比23.7%増の7,209百万ドル。既存事業売上高は主に欧州・南米における小型トラック、中・大型トラック市場での販売増やオフハイウェー車の需要増により829百万ドル伸びた。
又、Brevini Fluid Power S.p.A., Brevini Power Transmission S.p.A., SIFCO, USM等の買収が542百万ドルの売上増を生んだ。 日本ラインツの売却が、2百万ドルの損出を出し利益を一部相殺した。

2) ライトビークル向け売上高
-2017年12月期の部門売上高は、3,172百万ドル。前年比21.7%増は、為替の影響やUSMの買収を除いても、グローバルでの生産量の増加や北米での有利なモデルミックスによるコンテンツの増加等により18%の売上増になった。また顧客の価格設定、コスト回収インパクト、商用車セグメントから小型車セグメントへのプログラムシフト等も売上を向上させた。


3) 商用車向け売上高
-2017年12月期の部門売上高は、前年比12.6%増の1,412百万ドル。為替の影響や買収効果を除き、北米、南米、欧州でより高い生産レベルにより約7%の売上増になった。一方、小型車両セグメントへのプログラム移行は売上減に影響した。

4) パワーテクノロジー向け売上高
-2017年12月期の部門売上高は、前年比4.5%増の1,104百万ドル。為替の影響や日本ラインツの売却を除き、強い市場需要や新規プログラムにより7%売上が伸びた。



買収

-同社は、U.S. Manufacturing Corporation (USM)のアクスルハウジングおよびドライブラインシャフト事業の買収が完了したと発表した。取引額は100百万ドル。今回買収した事業の従業員数は約800名で、同社のデトロイト地区での従業員数は4拠点で1,400名となる。ミシガン州Warrenにある120万平方フィートの施設は1940年から1997年まで戦車工場として稼働していた。同社はUSM独自の製造工程や知的財産権を獲得したことにより、既存の軽量化製品群の強化を図る。(2017年3月1日付プレスリリースより)

-同社は、イタリアBrevini Groupのパワートランスミッション部門およびフルイドパワー部門の買収が完了したと発表した。今回同社は株式80%を取得、残り20%は2020年までに取得する。100%取得時の買収額は325百万ユーロで、約100百万ユーロの負債が含まれる。(2017年2月2日付プレスリリースより)



最近の開発

-同社は、「SPL 350 Lite」ドライブシャフトの生産開始を発表した。同製品は、エンジンのダウンスピーディングを最適化する大型トラック向けのドライブシャフト。既存製品に比べ35ポンド軽く、同クラスでは最軽量となる。既存の「SPL 350」ドライブシャフトと部品を共有することができ、メンテナンスが簡素化されている。 (2017年2月27日付プレスリリースより)

-同社は、Spicer AdvanTEK 40タンデムアクスル向けに新しい車軸比2.47:1を発表した。同タンデムアクスルは、長距離トラックのエンジンダウンスピーディングを補完する。車軸比2.47:1は、EatonとCumminsが共同開発したSmartAdvantage Powertrainのダイレクトドライブバージョンに最適な比率となる。 (2017年2月27日付プレスリリースより)



受注

-同社は、2017年の受賞モデル各車に同社の技術が搭載されていると発表した。「North American Truck and Utility Vehicles」を受賞したホンダの2017年型「Ridgeline」には、同社のVictor Reinzカムカバーモジュールが3.5L V6エンジンに搭載、同じ賞を受賞したChryslerの2017年型「Pacifica」には、同社のVictor Reinzヒートシールドが装備されている。「Motor Trend Truck of the Year」を受賞したFordの2017年型「Super Duty」F-250~F-550モデルには、Spicerフロント・リアアクスルおよびSpicerプロペラシャフトが採用。6.7Lディーゼルエンジンには同社のチャージエア、トランスミッションオイル等が採用され、6.2Lガスエンジンには同社のバルブステムシール等が採用された。また、「Wards 10 Best Engines」を受賞したMercedes-Benz「C300 2.0L Turbocharged DOHC 4-cylinder engine」等の6車種のエンジンには、同社の技術が使われた。 (2017年1月13日付プレスリリースより)

-同社は、Navistarから高速道路、都市輸送、バスおよび商用車用のドライブライン部品に関して複数年契約の受注に合意したと発表した。今回の合意によって、Navistarは同社が現在展開する全てのドライブライン製品の供給を受けることになる。同社はNavistarのトラック全モデルのドライブシャフトのサプライヤーとなる。さらに両社は、Navistarのスクールバスプラットフォームおよび中型トラックプログラム「Durastar」用に延長保証パッケージを市場投入した。(2017年1月10日付プレスリリースより)



受賞

-同社は、「Ford World Excellence Award」を受賞したと発表した。Fordの品質、価値および革新の原則を実践し模範となったことが評価され、「Aligned Business Framework」カテゴリー部門を受賞した。(2017年5月22日付プレスリリースより)

-同社は、FCA USから「2017 Innovation Supplier of the Year」を受賞したと発表した。「Dodge Challenger SRT Demon」2018年モデルに採用されたエアインダクションシステムの熱交換器が評価されての受賞となった。「Dodge Challenger SRT Demon」は、水冷のインタークーラーを装備した初の量産車。(2017年5月15日付プレスリリースより)

-同社は、積層スチールトランスミッションポンプ用ガスケット「Victor Reinz」が2017年「Automotive News PACE Award」を受賞したと発表した。同製品は5層のガスケットで、高速トランスミッション搭載車のパフォーマンスと燃費効率を改善する。また耐久性を向上して接触ストレスを最小化し、高圧要件に対応する。(2017年4月4日付プレスリリースより)



2018年12月期の見通し

-同社は、2018年12月期の売上予測は7,500百万~7,700百万ドルと見込んでいる。



研究開発費

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 220 196 183
売上高に占める割合 (%) 3.1 3.4 3.0



研究開発拠点

-2017年12月、同社は8つの独立した技術エンジニアリングセンターを保有し、それ以外に8カ所で研究開発活動を行っている。



製品開発

[Rhombus TireAnalyticsタイヤソリューションと分析クラウドソリューション」
-同社は、新しい「Rhombus TireAnalyticsソリューション」を発表した。同製品はクラウド型プラットフォームで、商業トラックのオーナーやフリート車両のメンテナンス業者に、タイヤの交換・補修時期について事前に通知する機能を持つ。現在米国とカナダで利用することができ、携帯電話やタブレットなどのポータブルツールで情報を確認することが可能。また、オフハイウェイ車両向けに「Spicer Smart Suiteテクノロジー」を開発。コネクテッドカー機能を統合したプラットフォームで、ドライブトレインからの運転情報を機器の保守管理やメンテナンスコストの削減などに反映させる。 (2017年2月27日付プレスリリースより)



設備投資額

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
ライトビークル 279 208 140
商用車 31 34 33
オフハイウェイ 32 21 18
パワーテクノロジー 32 32 34
消去他 19 27 35
合計 393 322 260

-2018年12月期の設備投資額は約300百万予測。



国内投資

-同社は、米オハイオ州Toledoにある本社とテクニカルセンターの近くに、アクスル生産工場を開設したと発表した。「Jeep」を開発したWillys-Overland Motors跡地に建設された新工場の広さは30万平方フィートの広さ。FCA のToledo Assembly Complexで製造されるJeepの新型「Wrangler」を含む小型乗用車に部品を供給する。2020年までに4モデルをサポートし、350人以上を雇用する予定。(2017年10月25日付プレスリリースより)



海外投資

<中国>
-同社は、中国の重慶に広さ7,500平方メートルの部品生産工場を建設すると発表した。2018年後半に操業開始予定。分離AWD技術「Spicer SmartConnect」搭載のドライブユニットを生産する。新工場への投資額は13百万ドルで、2020年のフル稼働時には130名の雇用を見込む。同社にとって中国国内で15番目、重慶では初の工場となる。Spicer SmartConnectシステムは、2013年開設で50名超のエンジニアが勤務する江蘇省無錫市の技術センターでテスト、検証が行われた。(2017年5月18日付プレスリリースより)

<ハンガリー>
-同社は、46百万ユーロを投入してハンガリーのGyorにある最先端のギア生産拠点の建設に着手した。新工場の敷地面積は、13,000平方メートル、生産開始予定は2018年初め。2020年のフル稼働時には約200人の雇用を見込む。新工場では、Spicer AdvanTEKハイポイド、またはスパイラルベベルリングとピニオンギアのセットを生産する。同社は従来のバンジョー型やビーム型アクスル、更に全輪駆動システム向けのギアを生産している。同拠点では、将来的にアクスルのフルアッセンブリーも可能。同地域における新事業を推進するための措置で、ハンガリーでは4番目の拠点となる。同社が既にGyorに持っている拠点近くに新工場を戦略的に配置して、欧州の顧客に迅速かつ低コストで技術を提供する。ハンガリー投資推進局 (HIPA) は、新工場建設に対して開発奨励金と優遇税措置を提供した。 (2017年4月5日付プレスリリースより)