Dana Holding Corporation 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2011年12月期 2010年12月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 7,592 6,109 24.3 1)
修正EBITDA 765 553 38.3 -
地域別売上高
北米 3,385 2,960 14.4 2)
欧州 2,094 1,579 32.6
南米 1,334 839 59.0
アジア・太平洋 779 731 6.6

要因
1)
-2011年12月期の売上高は、24.3%増(1,483百万ドル増)。複数の通貨が全体的にドル高になったこと(192百万ドル)、買収と事業売却効果(256百万ドル)、2011年2月に締結したSIFCOとの戦略的事業提携および2011年6月に取得したAxle Indiaの買収効果(404百万ドル)が主な増加要因。2010年3月に売却した構造製品(148百万ドル)の売上減少で一部相殺された。

2)
<北米>
-2011年12月期の売上高は、為替と事業売却の影響調整後で前年比17%増(500百万ドル)。主に小型車および中・大型トラック市場における生産量の増加が寄与。

<欧州>
-2011年12月期の売上高(為替差損を除く)は、前年比26%の増加。主に中・大型車市場における生産量が前年比30%以上の増加、小型車における生産量が同約5%増加したことが寄与。

<南米>
-2011年12月期の売上高は、為替とSIFCOとの戦略的事業提携効果(390百万ドル)を除いた場合、生産量の増加が寄与し、前年比15%の増加。

<アジア・太平洋>
-2011年12月期の本業売上伸び率は、生産量が前年比横ばいであったこと、東日本大震災およびタイの洪水の影響により1%の増加にとどまった。

見通し
-2012年12月期の売上高は、前年比5%以上成長し、8,000百万ドル以上を見込む。

企業買収

-Axles India, Ltd. (AIL)の商用トラック向けアクスル事業の一部を取得することで合意したと発表。AILは、同社およびインド企業2社(Wheels India、Sundaram Finance Group)による合弁会社。今回の買収により同社は、AILのアクスルドライブヘッド事業およびアクスル最終組立事業を100%所有する。AILは今後も、Danaを含む顧客向けにアクスルハウジングの生産を続ける。今回の手続き完了は、2011年第2四半期の予定。取得金額は13百万米ドルで、Danaは年間約50百万米ドルの売上増を見込んでいる。(2011年4月25日付プレスリリースより)

売却

-合弁会社2社(米国のGetrag CorporationおよびスウェーデンのGetrag All Wheel Drive)に対する持分を、Getrag Corporate Groupへ売却完了したと発表。売却金額は136百万米ドル。この2社は、リアアクスルユニット、パワーテイクオフユニット、小型車用の四輪駆動システムを生産している。(2011年9月30日付プレスリリースより)

-同社は、Getragとの合弁会社2社に対する持分をGetrag Corporate Groupへ売却することで合意したと発表。今回の売却に含まれるのは、米国のGetrag Corporationと、スウェーデンのGetrag All Wheel Drive。Dana が株式49%を保有するGetrag Corporation は、リアアクスルユニット、パワーテイクオフユニット、タイミングギアなどを生産している。一方、Getrag All Wheel Driveは四輪駆動システムやシャシー部品を生産。Getrag Dana Holding GmbHとVolvoによる合弁会社で、Getrag Dana Holdingが株式60%を保有している。売却手続きは、2011年9月に完了する見込み。なお、この取引はGetrag・GKN plc間の取引の一部にあたり、Danaによる売却手続きが完了すると同時に、Getragは今回の取得分を他の事業と共にGKNへ売却する予定。(2011年7月28日付プレスリリースより)

合弁事業

-中国合弁会社の東風徳納車橋(Dongfeng Dana Axle: DDAC)の株式46%を東風汽車より取得し、出資比率を50%に引き上げたと発表。今回の取引金額は124百万米ドル。東風徳納車橋は湖北省襄陽(Xiangyang)市を本拠とし、東風汽車へトラック用アクスルを納入している。2005年に設立され、現在はドライブアクスル、ステアアクスル、タンデムアクスル、ハブリダクションアクスルなどアクスル製品一式を、中国市場において小型・中型・大型トラックおよびバス向けに供給している。なお、DDACは2010年に約10億米ドルの売上高を記録している。(2011年7月5日付プレスリリースより)

海外事業

-南米市場におけるトラック・バス用のステアアクスルに関する販売権を、ブラジルのSifco S.A.より獲得したと発表。これによりDanaは同市場において、商用車向けドライブライン(フロントアクスル、リアアクスル、ドライブシャフト、サスペンション部品など)のフルラインサプライヤーとなる。同社は今回の契約に1億5,000万米ドルを投入。権利獲得により年間売上が3億5,000万米ドル増加し、Danaの南米市場における売上高は10億米ドル以上に拡大する見込み。(2011年2月8日付プレスリリースより)

事業提携

-同社とEatonは、両社のマーケティングに関する提携を2012年半ばまでに終了すると発表。今後6ヶ月の間に、それぞれの販売・サービス体制を整える。Eatonは、RoadrangerブランドのEatonと同社の全製品に関して、2012年半ばまでサービスおよびサポートを続ける。一方、同社は顧客に対して直接サービスを行うサポート体制を構築する計画。(2011年12月6日付プレスリリースより)

受注

-2011年、10億ドル以上の受注を獲得。その内40%程度は競合他社よりシェアを獲得。
メーカー・モデル 搭載部品
Blue Bird Corporation ドライブアクスル

GM Chevrolet 「Volt」 (1.4L DOHC 直列4気筒/111kW)

-EV用電池冷却プレート
-バッテリークーラー
-サーマルバイパスバルブ
Audi 「S4」 (3.0L TFSI DOHC V6スーパーチャージャー) シリンダーヘッドガスケット
BMW 「335i」 (3.0L N55 DOHC 直列6気筒ターボ) シリンダーヘッドガスケット

Chrysler Dodge 「Avenger」 (3.6L Pentastar DOHC V6)

-エキゾーストシステムガスケット
-フューエルクーラー
Ford 「Mustang GT」 (5.0L DOHC V8) -オイルパンガスケット
-カムカバー
-エキゾーストシステムガスケット
-エンジンオイルクーラー
-バルブステムシール
Ford 「Edge」 アクティブ/パッシブウォームアップユニット
Ford 「Focus」 電池冷却システム
Ford 「Transit Connect」 電池冷却システム
Tesla 「Roadster Sport」 電池冷却システム
Volkswagen 「Jetta」 (2.0L DOHC 直列4気筒) -シリンダーヘッドガスケット
-エキゾーストマニホールドガスケット
-EGRガスケット

Volvo 「S60」 (3.0L DOHC 直列6気筒ターボ)

-フューエルクーラー
-ヒートシールド

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
全社 155 132 119

-カナダのオンタリオ州より2百万米ドルの助成金が授与されると発表した。同社が行っている電気自動車・ハイブリッド車用のリチウムイオン電池冷却システムの開発・生産を対象とするもの。Oakvilleのエンジニアリングセンターにおける熱交換製品の研究開発、Cambridge工場における生産、同州の複数大学との電池冷却システムに関する共同開発などがこれに含まれる。また、同社は今後5年間で、Oakville拠点およびCambridge拠点に最高37百万米ドルを投資する意向。(2011年8月24日付プレスリリースより)

研究開発拠点

-テクニカルセンター:15拠点。

-中国の江蘇省無錫(Wuxi)市にテクニカルセンターを着工開始したと発表。同センターでは、商用車用ドライブシャフト、ライトデューティービークル(LDV)用アクスルおよびドライブシャフト、シーリング・熱交換製品(電気自動車用バッテリークーラーを含む)などの研究・開発を行う。2011年末までに稼動開始が見込まれる。施設の面積は13万平方フィート(1.2万平方メートル)で、200名近くの従業員が勤務する予定。(2011年5月10日付プレスリリースより)

製品開発

-アクティブ/パッシブウォームアップユニット「Long」の新製品群を発表した。2012年モデルのFord「Edge」に納入している。サーマルバイパスバルブと、このアクティブウォームアップユニットを組み合わせることで、反応速度を向上させた。また、オンタリオ州Oakville(カナダ)にある同社のエンジニアリングセンターでの初期試験では、最大4%の燃費向上を実証した。なお、このユニットは、米国ミシガン州のRochester Hills拠点およびSt. Clair拠点で生産を行う予定。(2011年10月18日付プレスリリースより)

-軽量型フィンを新たに開発した。電気自動車の充電中に、リチウムイオン電池パックの最適冷却を可能にし、バッテリーの寿命を延長するもの。柔軟性のあるアルミ製フィンが各セルの表面まで空気の流れをつくることで、密集している電池から熱を取り除く。このアッセンブリーは、同社のフランスGuiscard工場で生産される予定。なお、同社はこれまでに電池冷却システムを16車種のハイブリッド車・電気自動車に納入している。GM「Chevrolet Volt」、Ford「Focus」、Ford「Transit Connect」、Tesla「Roadster Sport」がこれに含まれる。(2011年7月21日付プレスリリースより)

-タンデムドライブアクスル「Spicer Pro-40」の新製品を開発した。40,000ポンド(約18トン)の大型車向け。これは同社の「Spicer DS404」に比べて、100ポンド(約45kg)の軽量化に成功した。「Spicer Pro-40」の対象車両は、オーバードライブトランスミッション(9速、10速、12速、13速)、ディーゼルエンジン(最大475馬力・最大トルク1750ポンドフィート)を搭載し、且つ最大連結車両重量が80,000ポンド(約36トン)の商用トラック。なお、このアクスルは2011年中に出荷開始となる見込み。(2011年3月31日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
小型車両 71 61 30
パワーテクノロジー 34 17 29
商用車 49 15 23
オフハイウェイ 21 10 4
構造製品 - 2 9
除去、他 21 15 4
合計 196 120 99