Tenneco Inc. 2018年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
  2018年
12月期
2017年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 11,763 9,274 26.8 1)
純利益 111 265 (58.1) -
部門別売上高
-クリーンエア 6,707 6,216 7.9 2)
-ライドパフォーマンス 1,949 1,807 7.9 3)
-アフターマーケット 1,221 1,251 (2.4) 4)
-パワートレイン 1,112 - - 5)
-モーターパーツ 774 - - 5)

 

要因
1) 全社売上高
-2018年12月期の売上高は前年比26.8%増の11,763百万ドル。増加の主な原因はFederal-Mogulの買収によるもので、増加分は20.3%を占める。買収の影響を除くと6.5増となる。その他ライトビークルの販売増、他のセグメントにわたる一般収益の増加、および新規プラットフォームの導入などが好調の要因。

2) クリーンエア部門の売上高
-クリーンエア部門の2018年12月期売上高は、前年比7.9%増の6,707百万ドル。全セグメントにおける販売増と新規プラットフォーム追加が成長に貢献したが、価格の値下げやオーストラリアの顧客の生産終了などにより部分相殺された。また、為替換算の影響により45百万ドルの増加があった。

3) ライドパフォーマンス部門の売上高
-ライドパフォーマンス部門の2018年12月期売上高は、前年比7.9%増の1,949百万ドル。販売増と新規プラットフォーム導入により、138百万ドルの売上増。また、為替差損の影響により400万ドルの損失となった。

4) アフターマーケット部門の売上高
-アフターマーケット部門の2018年12月期売上高は、前年比2.4%減の1,221百万ドル。販売数やプロダクトミックスの減少および為替の影響により、全セグメントの売上高が減少したが、顧客価格の改善により一部相殺された。

5) パワートレインおよびモーターパーツ部門の売上高
-パワートレインおよびモーターパーツ部門の2018年12月期売上高は、それぞれ1,221百万ドルと774百万ドル。これら2部門の売上高は、Federal-Mogulの買収によるもの

買収

-同社は、自動車・モータースポーツ産業用にプレミアムサスペンションや部品を開発するスウェーデン企業Ohlins Racing (Ohlins) を買収すると発表した。これにより、新車装着用 (OE) 先進インテリジェントサスペンションシステムの開発を加速し、商品化までの時間短縮を図る。また、OhlinsのプレミアムOEやアフターマーケット向け自動車・モータースポーツ用製品を加えることで、さまざまなモビリティ市場における製品ラインナップを幅広く強化する。関係当局の承認などを経て、買収手続きは2019年第1四半期に完了する見通し。買収額は約160百万ドル。(20181115日付 プレスリリースより)

Federal-Mogulの買収
-同社は、Federal-MogulIcahn Enterprisesから54億ドルで買収すると発表した。買収資金は、現金や同社の株式などで賄うという。買収後、統合事業を分割し、アフターマーケット&ライドパフォーマンスとパワートレイン技術に特化した2つの上場会社を設立する予定。買収は2018年後半に完了し、新会社設立は2019年後半になる見通し。(2018410日付プレスリリースより)

-同社は、2018年912日に開かれた臨時株主総会で、Federal-Mogul買収案が承認されたと発表した。規制当局の買収承認も得たという。この日の総会では、Federal Mogul買収に伴う新株発行など、会社提案の3議案すべてが賛成率90%以上で承認された。Federal-Mogulの買収は、2018101日に完了する見通し。(2018912日付プレスリリースより)

-同社は、Federal-Mogulの買収が完了したと発表した。これを受け、計画通りに統合事業を分割し、アフターマーケット&ライドパフォーマンスとパワートレイン技術に特化した2つの上場会社を設立する。分社化完了は2019年末になる見通し。(2018101日付 プレスリリースより)


事業再編

-同社は、カナダ・オンタリオ州Owen Soundと米ジョージア州HartwellにあるOEM向けライドコントロール工場を閉鎖すると発表した。業務効率を強化し、市場動向や生産量の変化に対応すべく生産拠点を再編成する計画の一環。まず、オハイオ州Ketteringにあるライドコントロール工場への事業移管を2018年に開始し、2020年第2四半期末頃に同2工場の閉鎖完了を目指す。この再編により、2020年末から年間20百万-25百万ドルの経費削減を見込む。事業再編とその関連費用は、2018年第4四半期に20百万-30百万ドルと、総額70百万-85百万ドル程度となる見通し。(20181026日付 プレスリリースより)

受注

-同社は、Volvoの2018年型コンパクトSUVXC40」に、Monroeインテリジェント・サスペンションシリーズの連続可変セミアクティブ (CVSAe) アダプティブサスペンション技術を供給すると発表した。路面・走行条件を継続感知し、ダンピングレベルをリアルタイムで調整、快適な乗り心地と優れたハンドリング性能を提供する同技術は、Volvoの中型SUVXC60」やフルサイズSUVXC90」など、40モデル以上に採用されている。CVSAeサスペンションシステムは、スペインErmua工場からVolvoに出荷される予定。(20181018日付 プレスリリースより)

-同社は、JaguarのコンパクトSUVE-Pace」にサスペンション技術を供給すると発表した。従来型のフロントストラットとリアショックアブソーバーが標準装備に、Monroeインテリジェント・サスペンションシリーズの連続可変セミアクティブ (CVSAe) サスペンションシステムがアダプティブダイナミクス・パッケージに含まれる見通し。フロントストラットとリアショックアブソーバーはポーランドGliwice工場とチェコHodkovice工場から、CVSAeサスペンションシステムはスペインのErmua工場から供給する。(2018926日付 プレスリリースより)

-同社は、北米ダイムラートラック(DTNA)の大型(クラス8)トラックの新型 「Freightliner Cascadia」に調整トルクばねを供給すると発表した。メキシコReynosaにある工場で生産する。高捻り剛性が特徴の同社の調整トルクブッシュは、米オハイオ州Milanにある工場で設計・生産されている。(2018117日付 Mexico-Nowより)

-同社は、日本で生産されるスズキの「Swift Sport」と、インドで生産されるマルチスズキの「Dzire」に、Multi-Tuned Valve (MTV) サスペンションを供給すると発表した。Dzire向けサスペンションはインドのBawal工場で生産し、「Swift Sport」向けサスペンションは、ポーランドのGliwice工場とチェコのHodkovice工場で生産する。「Swift」には、Tennecoのフロントストラットとリアダンパーも搭載される予定。(2018116日付プレスリリースより)

 

2019年12月期の見通し

-2019年12月期、全社売上高は182億~184億ドルを予測。

 

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
合計 204 158 154


-2018年12月期のエンジニアリングおよび研究開発費は、主にFederal-Mogulの買収により、前年度比29.1%増加した。

研究開発拠点

-2018年12月末時点、全社で40カ所のエンジニアリングおよび技術施設を保有。クリーンエア部門はグローバルで5カ所、ライドパフォーマンス部門は7カ所、パワートレイン部門は14カ所、モーターパーツ部門は11カ所の施設を有する。またクリーンエア部門とライドパフォーマンス部門は3カ所のエンジニアリングおよび技術施設を共有している。

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
クリーンエア 197 222 209
ライドパフォーマンス 120 142 88
アフターマーケット 35 28 25
パワートレイン 58 - -
モーターパーツ 41 - -
その他 56 27 23
合計 507 419 345

-設備投資費は主に新施設、既存製品のアップグレード、新製品投入、インフラおよび設備改善に費やされた。

-2019年12月期の設備投資額は730~780百万ドルと見込んでいる。