Tenneco Inc. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 9,274 8,599 7.8 1)
純利益 274 424 (35.4) -
部門別売上高
-クリーンエア 6,517 6,069 6.9 2)
-ライドパフォーマンス 2,757 2,530 9.0 3)

要因
1) 全社売上高
-2017年12月期の売上高は前年比7.8%増の9,274百万ドル。為替による影響と触媒担体の売上を除くと、前年比6.8%増となる。売上増は、主に北米や欧州での新規プラットフォームの導入や、全地域における全ての車両区分でのOEM供給の伸びの貢献によるもの。欧州・南米・アジア太平洋地域での補修用ライドパーフォーマンスの売上増は、クリーンエア部門での補修ビジネスの売上減や北米でのライドパーフォーマンス部門での減収により相殺された。

2) クリーンエア部門の売上高
-クリーンエア部門の2017年12月期売上高は、前年比6.9%増の6,517百万ドル。北米では、新規プラットフォームに伴うOE小型車、商用車、オフハイウェイ車両および他の車両の販売好調により104百万ドルの伸びであった。欧州や南米においては、全ての車両において販売の改善により222百万ドルの売上であったが、一部欧州での補修用販売減により相殺された。最後にアジア太平洋地域での97百万ドルの売上増は、中国およびインドでのOE小型車や商用車向けの販売増や日本でのオフハイウェイや他の車両向け販売増の組合せによる。これらの増収はオーストラリアでのOE小型車の販売減により一部相殺された。さらに為替の影響で52百万ドルの売上増。

3) ライドパフォーマンス部門の売上高
-ライドパフォーマンス部門の2017年12月期売上高は、前年比9.0%増の2,757百万ドル。北米では補修用向け販売減により25百万ドルの売上減であったがOE小型車、商用車や新規プラットフォームでの販売増により一部相殺された。欧州や南米では、全てのセグメントでの販売量の増加や欧州での新規プラットフォーム導入により122百万ドルの増収。アジア太平洋地域では中国やインドでのOE小型車向けの販売量の伸びや補修用販売増により72百万ドルの増収。これらの増収はオーストラリアでの販売減により一部相殺された。為替の影響で30百万ドルの売上増。



再編

-2017年6月、同社はオーストラリアO'Sullivan Beachのクリーンエア工場をGMやトヨタの車両生産の終了に伴い閉鎖した。



最近の開発

-2017年9月、ミシガン州Northville Townshipに23百万ドルを投じてカスタマーセンターを建設すると発表した。今後5年間で400名の新規雇用を見込む。延床面積100,000平方フィート、3階建ての建屋で、同社の北米営業部門、金融部門、IT部門などのスタッフが従事する。2018年後半に竣工予定で、現在ミシガン州MonroeとGrass Lakeで働く約300名の従業員が移転する。同社世界で90超の生産施設を有し、従業員数は約31,000名。(2017年8月28日付 Detroit Free Pressより)

-北米SUV市場向けに連続可変セミアクティブサスペンション(CVSA)ラインナップを拡張したと発表した。道路状態の変化に対応して瞬時にダンパーを調整するCVSA技術は、世界で40以上のモデルに採用されている。(2017年6月29日付プレスリリースより)



受注

クリーンエア部門
-2017年、米ジョージア州Atlantaで開催される北米商用車ショー(NACV)で、燃費の改善や車のパフォーマンス向上に貢献する最新製品を披露すると発表した。キャビンダンパーやアクスルダンパー、シートダンパーなどのライドパフォーマンス製品に加え、最新のSCRシステム「XNOx Liquid Urea Selective Catalytic Reduction (SCR)」などのクリーンエア製品が出展される予定。(2017年9月25日付プレスリリースより)

-同社は、Land Roverの新型「Discovery」にクリーエアシステムを供給すると発表した。供給されるのは、最新のSCR(選択的触媒還元システム)、ディーゼル微粒子除去フィルター(DPF)とマフラー。同社の英国サウスウェールズ州Merthyr Tydfilにある工場で生産される予定。(2017年5月18日付プレスリリースより)

-同社は、Mercedes Benz 「E-Class」、「C-Class」2016年モデルおよび「S-Class」2017年モデルに搭載されているDaimler NRMエンジンに、クリーンエア技術を供給していると発表した。Daimlerによると、この4気筒ディーゼルエンジンは、燃費効率を向上する後処理技術により、燃費とCO2排出量を約13%削減しているという。(2017年1月10日付プレスリリースより)

ライドコントロール部門
-同社は、2017年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した新型SUV Peugeot「3008」に、同社のMulti-Tuned Valve (MTV) サスペンションが搭載されていると発表した。この技術は、従来のパッシブバルブに比べダンパーの性能と耐久性が向上しているため、車体コントロールと運転者の快適性の間で最適なバランスを可能にしている。また、クランプディスク機能を備え、衝撃緩衝について幅広いオプションを提供し、どのような道路環境下でも優れたノイズ特性やパフォーマンスを実現している。 (2017年5月25日付プレスリリースより)



受賞

-同社は、FCA USより「Diversity Supplier of the Year」を受賞したと発表した。FCA USはイノベーション、品質、保証、コスト、納品などを評価した北米の16社のサプライヤーに今回の賞を授与した。(2017年5月4日付プレスリリースより)

-同社は、トヨタ自動車の北米現地法人Toyota Motor North Americaから「Excellent Supplier Diversity award」を受賞したと発表した。同社はダイバーシティサプライヤーとしてトヨタから3年連続で同賞を受賞している。Tennecoの主なブランドには「Monroe」、「Walker」、「XNOx」、「Clevite Elastomer」などがある。(2017年4月11日付プレスリリースより)



2018年12月期の見通し

-2018年12月期、全社売上高は前年比約5%増加する見通し。2019年12月期は6%~8%, 2020年12月期は5%~7%を予測。



研究開発費

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
合計 158 154 146


-2017年12月期の研究開発費は、新製品あるいは実績のなかった製品、工程の研究、設計、開発に21百万ドル、車両プラットフォーム用の既存製品や工程に全研究開発費のうち128百万ドル、そして残り9百万ドルを現行製品・工程の改良に投資。

研究開発拠点

-2017年12月末時点、クリーンエア部門はグローバルで5カ所、ライドパフォーマンス部門は7カ所のエンジニアリング・テクニカルセンターを保有。また、両部門で3カ所のテクニカルセンターを共用している。


製品開発
2017年北米商用車ショーの展示製品
-同社は、米ジョージア州Atlantaで開催される北米商用車ショー(NACV)で、燃費の改善や車のパフォーマンス向上に貢献する最新製品を披露すると発表した。キャビンダンパーやアクスルダンパー、シートダンパーなどのライドパフォーマンス製品に加え、最新のSCRシステム「XNOx Liquid Urea Selective Catalytic Reduction (SCR)」などのクリーンエア製品が出展される予定。(2017年9月25日付プレスリリースより)

次世代エレクトリックバルブ
-同社は、独フランクフルトの2017年国際モーターショー (IAA)で、低圧EGRシステムやシリンダー休止、エンジンのサウンドコントロールなどに使用できる次世代の電動バルブを発表した。最適な圧力状態を実現するダイナミック・フラップ制御や故障時のフェールセーフ機能、さまざまなエンジン構造に柔軟に対応可能なモジュール設計を採用した。エンジンのサウンドコントロールやシリンダー休止に加え、EGRや熱回収など、広範な用途に適用できるとしている。(2017年9月13日付プレスリリースより)

電子制御式サスペンションシステム「DRiV」
-同社は、電子制御式サスペンションシステム「DRiV」を開発したと発表した。「DRiV」は、費用対効果が高く統合しやすい設計が特徴のダンパーシステムを採用し、揺れや弾みを軽減。モジュラー設計のため複雑なECU (電子制御ユニット) は不要で、電子部品やセンサー、ソフトウェア制御システムはダンパー内に収納した。また、サイバーセキュリティやCANバスとの通信を供給するゲートウェイモジュールは簡略化した。最大で16の減衰力特性が提供可能な「DRiV」のソフトウェアアルゴリズムは、ダンパーの制御力向上を実現するとしている。(2017年6月29日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
クリーンエア 224 225 212
ライドパフォーマンス 161 114 82
その他 0 4 1
合計 385 343 295



設備投資額の見通し

-2018年12月期の設備投資額は380~410百万ドルと見込んでいる。



海外投資

-2016年にメキシコPueblaおよび中国常州の生産拠点を拡張した。また補修用ライドコントロール製品の需要増に伴い、ポーランドGliwice工場での生産も拡大した。