Tenneco Inc. 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 8,599 8,209 4.8 1)
純利益 433 303 42.9 -
部門別売上高
-クリーンエア 6,069 5,723 6.0 2)
-ライドパフォーマンス 2,530 2,486 1.8 3)

要因
1) 全社売上高
-2016年12月期の売上高は前年比4.8%増の8,599百万ドル。為替による影響と触媒担体の売上を除くと、前年比6.8%増となる。ライトビークル販売台数の増加、新規プラットフォームの導入や商用トラック販売拡大に起因するクリーンエア製品の販売増加が貢献した。一方、ライドパフォーマンス部門における北米アフターマーケット製品の販売減少、商用トラックやオフハイウェイ向け製品の販売低迷によって増収分の一部は相殺された。

2) クリーンエア部門の売上高
-クリーンエア部門の2016年12月期売上高は、前年比6.0%増の6,069百万ドル。北米ではライトビークルや新規プラットフォーム向けの販売が好調であったが、商用車やオフハイウェイ車両向け、またアフターマーケット向け製品の販売低迷により一部相殺された。欧州・南米・インド地域では、全てのセグメントで需要が拡大し増収となった。アジア太平洋地域でも全セグメントで需要が伸長し増収。一方、為替の影響による部門全体の損失は140百万ドルに達した。

3) ライドパフォーマンス部門の売上高
-ライドパフォーマンス部門の2016年12月期売上高は、前年比1.8%増の2,530百万ドル。北米では製品ミックスが改善されたが、全てのセグメントで販売台数が落ち込んだ影響で減収。欧州・南米・インド地域は、ライトビークル向けとアフターマーケット販売の好調により増収となったが、商用トラックとオフハイウェイ車両向け販売不振の影響も受けた。アジア太平洋地域では、ライトビークル向け販売の拡大により増収。為替の影響による部門全体の損失は90百万ドルであった。

再編

-2016年3月、スペインGijonの工場を独投資ファンドQuantum Capital Partners A.G.に売却した。その後Quantum Capital Partnersは、同社との3年契約に基づき同社に製品を供給する。

受注

クリーンエア部門
-同社はFordの中型トラック 「F-650/F-750」 の2016年モデル向けに製品を納入していると発表した。現在生産中のこのモデルには、Fordの6.7Lディーゼルエンジン 「Power Stroke」 または6.8L V10ガソリンエンジンが搭載されている。「Power Stroke」 エンジン向けのSCR後処理システムを含むTennecoのエキゾーストシステム一式とエラストマーリーフスプリングアイブッシュが両エンジンに採用された。同社は2015年に米国インディアナ州のJeffersonville工場においてこの排ガスコントロールシステムの生産を開始。このシステムには、同社のLigonier工場 (インディアナ州) とSeward工場 (ネブラスカ州) で生産された部品が使用されている。製品エンジニアリングおよび開発はミシガン州Grass Lakeにあるクリーンエア製品のエンジニアリングセンターで行われた。エラストマーブッシュは、オハイオ州Milanの技術センターで開発され、メキシコのReynosa工場で生産が行われている。(2016年9月21日付プレスリリースより)

-同社はラグジュアリークロスオーバー 「Lexus RX」 の2016年モデル向けに、排ガスコントロールシステムを納入していると発表した。フロントパイプASSYやYパイプ、アンダーボディコンバーター、マフラー、テールパイプASSYなど、ホットエンドおよびコールドエンドを納入する。製品エンジニアリングおよび開発は、トヨタの日本のエンジニアリングチームと共同で行った。同社はこの排ガスコントロールシステムをカナダ・オンタリオ州のCambridge工場で生産している。車両の最終組み立ては、同州にあるLexusの工場で行われている。(2016年2月8日付プレスリリースより)

ライドコントロール部門
-同社のサスペンションシステム 「Monroe Intelligent Suspension」 が、BMW 「3 Series」 にオプション搭載される 「Adaptive M Suspension」 に採用されたと発表した。同社は現在、BMWの 「1 Series」、「2 Series」、「3 Series」、「4 Series」、「X3」向けに、連続可変セミアクティブサスペンション (CVSAe) を納入している。このダンパーはスペインErmuaにあるTenneco Innovacionで設計された。同じくErmuaにある工場で生産されている。(2016年3月30日付プレスリリースより)

-同社の連続可変セミアクティブサスペンションシステム (CVSAe) がInfinitiのセダン 「Q50」 の2016年モデルおよび新型クーペ 「Q60」のステアリングシステム 「Dynamic Digital Suspension (DSS)」 に採用されたと発表した。日本メーカーの高級ブランドでCVSAeを採用したのはInfinitiが初めてとなる。同社はスペインErmuaにある工場において、Infiniti向けCVSAeの生産を行う予定。「Q50」 および 「Q60」 は、日産の栃木工場で生産されている。(2016年3月30日付プレスリリースより)

-同社はRenaultが新たに発売したDセグメントセダン 「Talisman」 向けに、連続可変セミアクティブ (CVSAe) サスペンションを納入していると発表した。CVSAeは、「Monroe Intelligent Suspension」 の製品ラインナップに含まれており、Renaultの 「Multi-Sense」 システムにオプション搭載される。(2016年3月29日付プレスリリースより)

受賞

-エキゾーストシステムについて、トヨタより「Award of Excellence」を受賞。(2016年3月16日付プレスリリースより)

-GMより2015年「Supplier of the Year」を受賞。(2016年3月10日付プレスリリースより)

2017年12月期の見通し

-2017年12月期、全社売上高は前年比約5%増加する見通し。また、2018~2019年の同社売上伸び率は自動車生産の成長率を3%~5%上回ると予測。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 154 146 169


-2016年12月期の研究開発費は、新製品・工程の研究、設計、開発に15百万ドル、既存製品・工程向けに128百万ドル、現行製品・工程の改良に11百万ドルを投資。

研究開発拠点

-2016年12月末時点、クリーンエア部門は5カ所、ライドパフォーマンス部門は7カ所のエンジニアリング/テクニカルセンターを保有。また、両部門で3カ所のテクニカルセンターを共用している。

-2016年にドイツZwickauにあるテスト拠点を拡張。

-2016年4月、日本のテクニカルセンターを拡張したと発表した。横浜市にある同センターは、一連の製品テスト機能を備え、エンジニアリングおよび製品開発サービスを提供する。ライトビークル、商用トラック、オフハイウェイ機器などに向けて、クリーンエア製品およびライドパフォーマンス製品の分野をサポートする。面積は6,800平方メートルで、技術者・研究者を含み従業員18名が勤務している。(2016年4月22日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
クリーンエア 225 212 223
ライドパフォーマンス 114 82 92
その他 4 1 2
合計 343 295 317

設備投資額の見通し

-2017年12月期の設備投資額は360百万~390百万ドルと見込んでいる。

国内投資

-2016年8月、米国のテネシー州Spring Hillにおいて、新たにクリーンエア製品工場を開設したと発表した。GMのSpring Hill工場に納入する。新工場の面積は117,000平方フィートで、2016年内に生産を開始する予定。Smithville工場 (従業員数650名) に続き、同州で2番目のクリーンエア製品工場となる。開設時の従業員数は約20名。2019年までに約175名に増員する計画。(2016年8月11日付プレスリリースより)

-2016年8月、米国のミシガン州Lansingにクリーンエア製品工場を開設したと発表した。GMのクロスオーバーモデル用プラットフォーム向けに生産する。面積70,000平方フィートの新工場では、同州Litchfield工場で生産したエキゾーストシステムの組み立てを行う。これらの製品は、GMのLansing工場で生産される 「GMC Acadia」、「Buick Enclave」、「Chevrolet Traverse」 などのモデルに搭載されるという。(2016年8月4日付プレスリリースより)

海外投資

-2016年にメキシコPueblaおよび英国Birminghamにある生産拠点を拡張。