Tenneco Inc. 2015年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2015年
12月期
2014年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 8,209 8,420 (2.5) 1)
純利益 303 270 12.2 -
部門別売上高
-クリーンエア 5,723 5,811 (1.5) 2)
-ライドパフォーマンス 2,486 2,609 (4.7) 3)

 

要因
1) 全社売上高
-2015年12月期の売上高は前年比2.5%減の8,209百万ドル。為替による影響と触媒担体の売上を除くと、前年比4.9%増となる。増収要因として、北米・欧州・インド・中国で乗用車販売台数が増加したこと、北米・南米でアフターマーケット向け販売が増加したことが挙げられる。また、欧州・中国・日本で新プラットフォームが導入されたことも売上増加につながった。一方、南米・中国で商用車および工業用車両の販売が低迷したことで、売上高が部分的に押し下げられた。

2) クリーンエア部門の売上高
-クリーンエア部門の2015年12月期売上高は、前年比1.5%減の5,723百万ドル。北米では、アフターマーケット向けおよびライトビークル向けの販売が好調だったが、商用車向けの販売低迷や製品ミックスの影響を受けて、売上高が部分的に押し下げられた。欧州・南米・インド地域における増収は、欧州での全般的な販売好調によるもので、南米での販売不振や欧州アフターマーケット向け販売減による減収要因を相殺した。アジア太平洋地域での増収要因は、中国でのライトビークル生産台数の増加や、中国・日本での新規受注によるもの。いずれの地域も為替の悪影響を受けており、とくに欧州・南米・インド地域で損失を与えた。

3) ライドパフォーマンス部門の売上高
-ライドパフォーマンス部門の2015年12月期売上高は、前年比4.7%減の2,486百万ドル。北米では、アフターマーケット向け販売が好調だったものの、ライトビークルおよび商用車の販売不振により売上高は低迷した。欧州・南米・インド地域は、欧州での全般的な販売好調により増収となった。アジア太平洋地域は、中国でライトビークル生産台数が増加したため増収となったが、オーストラリアでの販売が落ち込んだことで部分的にマイナスとなった。いずれの地域も為替による悪影響を受けている。

受注

クリーンエア
-2015年9月、Volkswagenが米国でのディーゼル車の販売停止を発表したことを受けて、同社はVolkswagenのMQBプラットフォーム向けにグローバルで製品を納入していることを認めた。このプラットフォームは、北米で 「Jetta」、「Beetle」、「Golf」 などに搭載されている。同社は北米において、これらのモデルのガソリン車向けに排ガスコントロール部品を納入しているほか、ディーゼル車向けにマフラーおよびテールパイプを納入している。なお、これらのディーゼルエンジンに、同社のホットエンドの排ガスコントロール部品は採用されていないという。(2015年9月21日付プレスリリースより)

-2015年7月、GMの中型トラック 「Chevrolet Colorado」 および 「GMC Canyon」 の2015年モデル向けに、クリーンエア製品を納入していると発表した。これらのモデルに搭載された4気筒および6気筒のトラック用エンジンプラットフォームに、エキゾーストシステム一式が採用されたもの。両エンジンに同社のコンバーターとマフラーが、6気筒エンジンにレゾネーターが搭載されている。これらのエキゾーストシステムのエンジニアリングおよび試験は、米国のミシガン州Grass Lakeにあるクリーンエア製品のグローバルエンジニアリングセンターで行われた。同社は、南アフリカのPort Elizabeth工場でコンバーターを生産し、米国テネシー州のSmithville工場で最終組み立てを行っている。(2015年7月28日付プレスリリースより)

ライドコントロール
-2015年9月、Ford 「Focus RS」 の2016年モデルに、同社の 「Dual Mode」 サスペンションシステムが搭載されたと発表した。Monroe Intelligent Suspensionの製品である 「Dual Mode」 は、ショックアブソーバーにインテリジェントバルブを使い、路面状況など必要に応じて減衰力を調整することができる。ドライバーは、ダッシュボードのボタンを押して、標準モードとスポーツモードを切り替えることができるという。この 「Dual Mode」 は、「Focus RS」 のフロントおよびリアダンパーに搭載される予定。(2015年9月16日付プレスリリースより)

-2015年4月、Fordの新型 「Focus」 および 「C-MAX」 に高性能ダンパーが搭載されたと発表した。両モデルともFordの 「C-Car」 プラットフォームを採用している。同社のツインチューブバルブシステム 「Multi-Tuned Valve (MTV)」 は、コスト効率が良く幅広いチューニングオプションが設定されている。従来のバルブに比べて衝撃吸収性能や耐久性を向上させており、ボディーコントロールと快適性の最適なバランスを実現する。(2015年4月15日付プレスリリースより)

2016年12月期の見通し

-全社売上高は約5%増加する見通し (為替の影響を除く)。増収要因として、ライトビークルの販売好調、新規受注プログラムによる増強、商用車向けプログラムでの追加受注、アフターマーケット部門の伸び率拡大などを挙げている。また、ライトビークル向け新規制の影響により、2017~2018年はさらに伸び率が加速すると見ている。

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
合計 146 169 144


-2015年12月期の研究開発費は、新製品・工程の研究、設計、開発に17百万ドル、既存製品・工程向けに111百万ドル、現行製品・工程の改良に18百万ドルを投資。

研究開発拠点

-クリーンエア部門は5カ所、ライドパフォーマンス部門は7カ所のエンジニアリング/テクニカルセンターを保有。また、両部門で3カ所のテクニカルセンターを共用している。

研究開発活動

-2015年3月、EUが出資する開発プロジェクト 「EVE:Innovative Engineering of Ground VEhicles with Integrated Active Chassis Systems (アクティブシャシーシステムを統合した地上車両の革新的エンジニアリング)」 への参加を発表した。このプロジェクトでは、安全性・燃費・運転快適性を向上させる新たな車両部品の開発を目指す。また、オンロード・オフロードモビリティに使用するブレーキ、アクティブサスペンション、タイヤ空気圧制御システム向けのハードウェアサブシステムの開発も行う。さらに、パートナー間で統合シャシーシステム用の分散型ネットワーク車両試験プログラムも独自に構築する計画。11の機関や企業が参加しており、スウェーデンGoteborgにあるSKFの 「Automotive Development Centre」 も含まれる。「EVE」 プロジェクトは、欧州委員会の研究イノベーションプログラム 「Horizon 2020」 の一環。(2015年3月31日付プレスリリースより)

製品開発

2015年フランクフルトモーターショー出展製品
-2015年フランクフルトモーターショーで以下の最新技術を展示。(2015年8月27日付プレスリリースより)
クリーンエア製品

  • ミキサー付き液体尿素SCR後処理システム: ディーゼルエンジン用エキゾーストシステムの安定性能を保証
  • ガソリン直噴エンジン向けのガソリン粒子フィルター
  • 電子可変式背圧コントロールバルブ: ディーゼルエンジンの低圧EGRシステムや、ガソリンエンジンの排気音チューニング用に適用

ライドパフォーマンス製品

  • 連続可変セミアクティブサスペンションシステム 「CVSA2」: 高級車、スポーツカー向け
  • アダプティブサスペンションシステム 「Dual Mode」: 小型車・中型車向け

ガソリン粒子フィルター
-2015年3月、同社のディーゼル粒子フィルター技術を用いて、2017年モデルのライトビークル向けにガソリン粒子フィルターを開発すると発表した。このフィルターは、GDIエンジンの粒子排出量を削減し、2017年9月に施行される欧州排出ガス基準 「Euro 6c」 の達成に貢献するとみられる。(2015年3月31日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
クリーンエア 212 223 181
ライドパフォーマンス 82 92 71
その他 1 2 2
合計 295 317 254

設備投資額の見通し

-2016年12月期の設備投資額は300百万~330百万ドルと見込んでいる。

海外投資

<メキシコ>
-2015年3月、メキシコのCelaya拠点においてライドコントロール製品事業を拡大したと発表した。北米でのライトビークルメーカーからの新規受注増加に対応するほか、メキシコおよびラテンアメリカ市場で今後見込まれる受注にも対応していく。同工場では、ライトビークル・商用トラック向けにショックアブソーバーなどライドコントロール製品を生産している。今回の投資額は9百万ドル。1万平方メートル超を拡張して、新たに倉庫やオフィススペース、2本の生産ラインを追加し、既存の生産スペースの再配置を行った。2016年は、従業員約150名を新たに雇用する計画。(2015年3月24日付プレスリリースより)