Tenneco Inc. 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2013年
12月期
2012年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 7,964 7,363 8.2 1)
純利益 222 304 (27.0) -
部門別売上高
クリーンエア 5,444 4,926 10.5 -
ライドパフォーマンス 2,520 2,437 3.4 -

要因
1) 全社
-2013年12月期の売上高は、前年比で8.2%増加 (601百万ドル) の7,964百万ドル。為替効果と触媒担体の売上を除いた場合、前年比で481百万ドルの増加。世界の小型車販売台数の増加、同社製品を採用する小型車の新プラットフォームの導入開始、商用トラック、オフハイウェイおよびアフターマーケット事業の売上が堅調に推移したことが主な要因。

事業再編

Gijon工場閉鎖、Sint-Truiden工場からの生産移管
-低迷が続く欧州の経済状況に対応するため、スペインGijonにあるライドパフォーマンス製品工場を閉鎖するほか、ベルギーSint-Truidenのライドパフォーマンス製品工場を再編すると発表。この2工場では、自動車メーカーおよび補修部品市場向けにショックアブソーバーを生産している。Gijon工場では従業員230名を雇用しており、現在行っている取引は他のライドパフォーマンス事業の拠点へ移管する予定。2014年第1四半期に移管が完了する見込み。また、Sint-Truiden工場でも労働集約型のライドパフォーマンス事業を他拠点に移管し、高度自動化生産・最終組立が可能な先端部品事業に注力する計画。これらの措置により、西欧地域で従業員約480名が削減されるとみられる。(2013年9月5日付プレスリリースより)

受注

-GM 「Chevrolet Malibu」と「Chevrolet Malibu Eco」の2013年モデルに、ライドパフォーマンス製品およびクリーンエア製品を納入していると発表。2.4L Ecotec4気筒、2.5L Ecotec 4気筒、新型の2.0L Ecotecターボなどのエンジンに吸排気系部品が採用。このほかにフロントストラットモジュール、リアショックアブソーバー、エキゾーストアイソレーターも納入している。「Chevrolet Malibu」向け部品の各製造拠点は以下の通り:
  • 排気系ホットエンドシステム:米国テネシー州Smithville、ネブラスカ州Seward
  • 触媒コンバーター:米国ミシガン州Litchfield
  • 排気系コールドエンドシステム:カナダ・オンタリオ州Cambridge、米国ネブラスカ州Seward
  • ライドパフォーマンス部品:米国ジョージア州Hartwell、オハイオ州Kettering
  • エキゾーストアイソレーター:中国蘇州
(2013年4月10日付プレスリリースより)

-電動バルブを含む同社の主要なクリーンエア部品がGM 「Chevrolet Corvette Stingray」の2014年モデルに搭載されたと発表。なかでも、「Corvette」の標準の排気システムには、サウンドチューニング用にTennecoの電動バルブがはじめて採用されている。この電動バルブは、8気筒モードからより燃費の良い4気筒モードへ切り替えができる可変気筒システム (Active Fuel Management) と連動するもの。可変気筒システムのほかに、オプションの排気管にも2つの電動バルブが搭載されている。(2013年4月3日付プレスリリースより)

見通し

-同社は、2014年のOEMメーカー向け売上が2013年12月期比で7-11%増加すると予測。同社の小型車市場での売上高成長率が、2014年小型車市場生産台数予測5%を上回る見通し。また、商用トラックおよびアフターマーケット市場は20-30%成長すると見ている。

受賞

-ポーランドのGliwice拠点および米国インディアナ州のLigonier工場がFordより2012年「World Excellence Award」を受賞。ライドパフォーマンス製品工場のGliwice拠点は、ショックアブソーバー部門で「Gold Award」を受賞。一方、クリーンエア製品工場のLigonier拠点は、品質保証の改善に関して「Recognition of Achievement Award」を受賞した。(2013年5月29日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 144 126 133

-2013年12月期は、研究開発費144百万ドルの内、19百万ドルを新規および未確立の製品・工程技術の研究・設計・開発に投じた。同101百万ドルは既存製品および車両プラットフォームの製造工程のエンジニアリングコストに使用された。残りの金額は既存製品および製造工程の改善・強化に投下された。

研究開発拠点

-クリーンエア部門は、4カ所のエンジニアリング/テクニカルセンターを保有。ライドパフォーマンス部門は7カ所のエンジニアリング/テクニカルセンターを保有している。2部門は3カ所のテクニカルセンターを共用している。

製品開発

電子制御排気音システム
-2013年フランクフルトモーターショーにソフトウェアベースの電子制御排気音システムを発表。同システムはオーディオ制御機器、アンプモジュールおよびラウドスピーカーで構成。排気システムに組み付ける必要がないため、ラウドスピーカーは振動や熱の影響を受けにくい。音響は車両ごとにプログラミングすることが可能で、走行スピード、回転数等の情報をもとに、テールパイプ付近から発せられる。

熱電ジェネレーター
-2013年フランクフルトモーターショーに、GenthermおよびOEMメーカー2社と共同で熱電ジェネレーター (Thermoelectric Generator: TEG) を発表。TEGは円筒形のカートリッジタイプの熱交換器で、片面は排気ガスに、もう一方はエンジンクーラントにさらされており、その温度差により電流を生み出し電力として使用。

クリーンエア技術
-2013年フランクフルトモーターショーに以下の最新クリーンエア技術・製品を発表:
  • 炭化水素をマニフォールドに直接供給:エキゾーストマニホールドに炭化水素気化器およびインジェクターを組み付ける。ディーゼル燃料の気化を容易にすることで、エンジン効率の向上を実現。
  • 小型ミックスゾーン:SCRとDPFが一体化されたモジュールで使用される。供給された尿素をアンモニアに効率よく転換させることで、余剰物質の発生を防ぐ。
  • 低圧EGR用電子制御バルブ:電子制御によるバルブが排気弁の位置を適宜調整することで、最適な背圧を実現。低圧EGRシステムに組み付けることで、最大50%のNOx排出を低減できる。
  • 電子制御排気音響バルブ:テールパイプに適応することで、適切な排気音を作り出し、騒音の低減を可能とする。また、シリンダーディアクティベーション機能を持つため、最適な排気制御を行なえる。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
クリーンエア部門 182 172 128
ライドパフォーマンス部門 72 91 90
合計 254 263 218

設備投資額見通し

-同社は、2014年12月期の設備投資額を275-300百万ドルと見込む。

海外投資

<インド>
-インドPune近郊のChakanに同社にとってインドで6カ所目の新工場を開設したと発表。工場面積は13,000平方メートル。排ガスコントロール製品およびシステムや、ライドコントロール製品をジャストインタイム生産システムにより納入する。主な顧客は、Pune地域に拠点を置くVolkswagen、GM、Tata、Mahindra & Mahindraなど。最新のコンバータキャニング技術を用いた新工場は、ロボット溶接・組立のほか、高度に自動化されたマフラー生産ラインなどを備える。ライドコントロール製品のモジュラー組立ラインは、Puneを拠点とする自動車メーカー向けに生産を行う。また、SML IsuzuやAg Tractorsなど商用車メーカー向けにはクリーンエア製品を納入する。現在、350名を超える従業員を雇用しており、エキゾーストシステムの日産能力は2,500ユニット超となる。(2013年10月17日付プレスリリースより)