Federal-Mogul Holdings LLC 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 増減率
(%)
要因
売上高 7,434 7,419 0.2 1)
当期純利益 90 (110) - -
部門別売上高
-パワートレイン 4,463 4,450 0.3 -
-モーターパーツ 3,215 3,253 (1.2) -


要因
1) 売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比0.2%増の7,434百万ドル。主な増収要因は、販売量の増加で143百万ドル、そのうち買収による売上増が91百万ドル。一方で、為替影響による減収分は107百万ドルだった。

事業再編

社名変更
-2017年2月14日付で、Federal-Mogul Holdings CorporationからFederal-Mogul Holdings LLCに社名変更。

分社化計画を中止
-2016年1月、モーターパーツ部門の分社化計画を中止したと発表。同社は2014年9月、パワートレイン部門とモーターパーツ部門を分離独立した上場企業にする計画を発表していた。

買収

-2016年12月1日付で、Icahn Enterprises L.P. (IEP) の子会社であるIEH BA LLC (Beck Arnley) を買収。買収額は14百万ドル。Beck ArnleyはプレミアムOE部品およびフルイド製品を北米における海外ブランド車に供給。Beck Arnleyの製品はアフターマーケットにおける海外ブランドへの供給を補完するとともに、新たな製品ラインナップ (フルイド製品、エンジンマネジメント、冷却部品、電装部品、電子部品など) も追加される。

-2016年5月26日付で、メキシコ市場を主体に供給している同国のフィルター製造事業を買収。買収額は25百万ドル。

売却

-2016年12月、モーターパーツ部門のブラジル子会社について、株式80.1%を1レアルで売却することに合意。2017年後半に売却が完了する予定。

-2016年12月、モーターパーツ部門のワイパー関連事業を8百万ドルで売却することに合意。2017年前半に売却が完了する予定。

-2015年、パワートレイン部門の子会社1社について、株式100%を1ユーロで売却することに合意。同子会社には2015年12月31日までに12百万ドルを拠出。2016年1月1日付で売却完了。

事業動向

-2016年、需要が拡大しているDuroGlideピストンリング技術を量産化、乗用車および商用トラック向けに供給。

-2015年にTRWのバルブトレイン事業を買収したのに続き、インドで複数の合弁事業に投資。また、タイと中国でアフターマーケットの車両修理事業に注力する合弁事業を新設。

海外事業

<メキシコ>
-メキシコでフィルター製造事業を買収。主にメキシコ市場およびBeck Arnley向けに供給している。Beck Arnleyは2016年に買収、モーターパーツ部門としてプレミアムOE部品およびフルイド製品を北米における海外ブランド車に供給している。

<インド>
-欧州排出ガス基準 「Euro 6」 に対応する自動車用エンジン部品を、インドの自動車メーカーおよびエンジンメーカー向けにも発売したと発表した。インドでは、2020年までに排ガス基準 「BS 6」 への対応が求められている。Federal-Mogulはすでに、欧州で 「Euro 6」、北米では同等の排ガス基準に対応するエンジン向けに部品を量産している。(2016年2月4日付プレスリリースより)

受注

-「Ward's 10 Best Engines 2016」 に選出されたエンジン10基全てに同社製品が採用されたと発表した。これらのエンジンは、2016年モデルの車両に搭載される。
・BMWの3.0L DOHC直列6気筒ターボ:「340i」
・GMの3.6L DOHC V-6:「Chevrolet Camaro」および「Cadillac ATS」
・GMの1.5L DOHC 4気筒/120kW電気モーター:「Chevrolet Volt EREV」
・Fordの5.2L DOHC V-8:「Shelby GT350 Mustang」
・現代の2.0L DOHC 4気筒/50kW電気モーター:「Sonata PHEV」
・日産の3.5L DOHC V-6:「Maxima」
・FCAの3.0L DOHC V-6ターボディーゼル:「Ram 1500 EcoDiesel」
・スバルの2.0L DOHC水平対向4気筒ターボ:「WRX」
・トヨタの1.8L DOHC 4気筒/53kW電気モーター:「Prius HEV」
・Volvoの2.0L DOHC 4気筒ターボ/スーパーチャージャー:「XC90」
これらのエンジンには、ピストン、リング、ライナー、バルブシート、バルブガイド、バルブトレイン、ベアリング、イグニッション、シール、ガスケット、システム保護製品など、さまざまなFederal-Mogul Powertrainの製品が採用されている。(2016年1月13日付プレスリリースより)

受賞

-2016年 「Volkswagen Group Award」 を受賞 (2016年6月2日付プレスリリースより)

-Delphiより、2015年 「Pinnacle Award」 を受賞。米国テキサス州のEl Paso工場で生産しているシステム保護製品の品質・性能・納入が評価されたもの。(2016年5月18日付プレスリリースより)

-2016年 「Volvo Group Purchasing Supplier Award」 を 「Delivery Excellence」 部門で受賞。Volvoトラックの大半に使用されているエンジンベアリングの納入実績が評価されたもの。これらのベアリングは、ポーランドのGdanskにあるFederal-Mogul Powertrainの工場で生産されている。(2016年2月24日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 192 189 192
売上高に占める割合 (%) 2.6 2.5 2.6

研究開発拠点数

(2016年12月31日現在)
北米 欧州・中東・アフリカ その他地域
テクニカルセンター 6 10 2

研究開発拠点

<米国>
-イリノイ州 Skokie
-ミシガン州 Ann Arbor
-ミシガン州 Plymouth
-ミズーリ州 St. Louis
-ペンシルベニア州 Exton
-テネシー州 Smithville

<海外>
-ブラジル:Araras
-ドイツ:Burscheid、Nuremberg、Wiesbaden、Bad Camberg、Glinde
-ベルギー:Aubange
-英国:Chapel-en-le Frith, Coventry
-チェコ: Kostelec
-ポーランド: Gorzyce
-中国:上海

製品開発

-同社はBMEP (正味平均有効圧) が高いガソリンエンジン向けに新たなスパークプラグを開発した。このコールドタイプの新型プラグは、材料の最適化、独自の電極形状、電極表面積の最大化により、サーマル特性の向上を実現。市場化されている他の技術に比べて、電極の耐久性が高く、耐用年数も長いとしている。(2016年11月15日付プレスリリースより)

-同社はピストンリング用GOETZEダイヤモンドコーティングの新製品 「GDC60」 を開発した。従来の 「GDC50」 に比べてダイヤモンド含有量を高めたほか、リグ試験において摩擦係数を最大7%低減している。さらに、最初のエンジン試験では最大10%の摩擦減少を実現できる可能性を示したという。(2016年8月10日付プレスリリースより)

-世界初となるピストン冷却技術を開発。ディーゼルエンジン用ピストン 「Monosteel」 のクラウン内に永久密封構造の冷却液室を施した。「EnviroKool」 とよばれるこの技術は、耐酸化性合金鋼や保護コーティングを施したクラウンと連動し、100℃を超えるクラウン内でも安全な動作を可能にするという。(2016年7月12日付プレスリリースより)

-2種類のピストンスカートコーティング技術を発表。新技術はガソリンエンジン用「EcoTough-New Generation」およびディーゼルエンジン用「EcoTough-D」。従来型のEcoToughコーティング技術をもとに、エンジン摩擦、摩耗、ノイズをさらに低減させている。また、最新型のターボチャージャー付き小型エンジン部品に求められる高い負荷抵抗性能や耐温度性能も実現した。(2016年3月30日プレスリリースより)

特許

-2016年12月31日時点、全世界で6,300件以上の特許と申請中の特許を保有しており、このうち1,200件が米国で登録されている。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
パワートレイン 262 301 268
モーターパーツ 116 131 130
全社 3 8 20
合計 381 440 418


-2017年12月期の設備投資額は、400百万ドルから440百万ドルの見通し。

海外投資

<中国>
-2016年、中国江西省南昌市のシール工場を拡張。環境規制の厳格化に対応していくOEMの需要拡大に応えるもの。

<ルーマニア>
-2015年末、ルーマニア南東部にワイパー生産工場を新設。欧州全域のOEおよびアフターマーケットに供給する。

-ルーマニアにある既存のブレーキ工場で生産能力を拡大中。また、メキシコ、東欧、アフリカにおける生産拠点にも投資している。