Eaton Corporation plc 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 19,747 20,855 (5.3) 1)
営業利益 2,958 3,133 (5.6) -
車両部門
売上高 3,153 3,682 (14.4) 2)
営業利益 474 645 (26.5) 3)


要因
1) 全社売上
-2016年12月期の全社売上高は、前年比5.3%減の19,747百万ドル。このうち為替変動のマイナス影響が約1%。減少は主にエンドマーケットの需要減退に伴うもの。

2) 自動車部門の売上高
-2016年12月期の自動車部門の売上高は、前年比14.4%減の3,153百万ドル。為替レートの悪化により損失が発生している。減少は主に北米Class 8トラック市場の不振によるもの。

3) 自動車部門の営業利益
-2016年12月期の自動車部門の営業利益は、前年から26.5%減の474百万ドル。リストラやコスト管理により一部相殺されたものの、販売数量の減少などが業績悪化に起因。

最近の動向

-同社とCumminsは、商用トラック向けの統合パワートレインのラインナップに新たな性能を追加したと発表した。これにより、さらなるダウンスピーディングが可能になる。2016年4月からCumminsのディーゼルエンジン「ISX15」には、新たに1,850ポンドフィートのトルクが加わる。このエンジンには、Eatonの10速トランスミッション「Fuller Advantage」、13速トランスミッション「UltraShift PLUS MHP」、18速トランスミッション「UltraShift PLUS MXP」のいずれかとの組み合わせが可能。(2016年2月28日付プレスリリースより)

受注

-Chevroletの中型トラック「Colorado ZR2」に電動ディファレンシャルロックを供給していると発表した。このディファレンシャルはフロントおよびリアの両アクスルに装着され、オフロードでの性能をアップさせる。同社はこの他にも自動リアディファレンシャルロックをChevrolet「Colorado」、「Silverado」、「Tahoe」および「Suburban」に供給している。(2016年12月15日付プレスリリースより)

見通し

-同社は、2017年12月期の有機的成長が前年度から横ばいで推移するものと予測している。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 589 625 647


-過去5年間で約29億ドルを研究開発費に投資。

研究開発拠点

-米国ミシガン州Marshall、イタリアTurin、ドイツBaden-Baden、インドPune、中国上海にエンジニアリング、研究開発センターがある。

-インドPuneにあるMagarpatta Cityにグローバルイノベーションセンター「Eaton India Innovation Center (EIIC)」を開設すると発表した。面積は39万平方メートル。EIICの設立は、エンジニアリング能力と最新のインフラの活用により、組織力強化を目指す戦略的プログラムとなる。EIICの設立により、Eatonのグローバル事業向けに、総合的な製品設計ライフサイクル管理システムを提供するエンジニアリング拠点が誕生するとしている。新センターは2016年4月中に稼働する予定。(2016年4月6日付プレスリリースより)

製品開発

TVS R2650ターボチャージャー

11月1日、ツインボルテックスシリーズ (TVS) のスーパーチャージャーに 「TVS R2650」 を追加すると発表した。「TVS R2650」 は同社が生産するスーパーチャージャーとしては過去最大で、エンジン高回転域での効率と性能を最大限にする新機能をいくつか備えている。最適化された4葉のツイストローターを採用し、容量は現行の2,300ccから2,650ccへ15%拡大、過給量は25%増加する。170度ツイストローブの採用でローターは小型化され、ピーク効率も維持されやすくなる。また長さと直径の比率を最適化することで密封性が向上。タイミングギアを厚くすることで耐久性を高めている。プレッシャーリリースポートは使用電力の削減に寄与する。Eaton Vehicle Groupの商品ディレクターBrian Contatは、新型 「TVS R2650」 について、高出力および高性能に加えて、比類ない耐久性を誇る大容量スーパーチャージャーであるとしている。(2016年11月1日付プレスリリースより)

EV用ヒューズ

優れた回路保護を実現するEV用ヒューズの「Bussmann」シリーズを発表した。この小型EV用ヒューズは、従来のEV用高速ヒューズに比べて最大48%の省スペース化と最大50%の軽量化を実現した。(2016年8月30日付プレスリリースより)

電子制御デファレンシャル

油圧を用いた電子制御式のトラクションとトルク配分制御機構を備えた新型電子制御デファレンシャル(eLSD)を2017年に発売すると発表した。前輪駆動、後輪駆動車ともに各車輪間のトルク配分を最適化してトラクションと車両運動性能向上に寄与するとともに、通常の4輪駆動システムに比べて約36キログラム軽量化した。北米の自動車メーカーの北米市場向け18年モデルで実用化入される予定。新製品は、既存のホイールハウス内への搭載が可能で、プロペラシャフトトンネルを不要とした。電子制御ユニット(ECU)で制御するDCモーターがピストンポンプを駆動することで、幅広い温度域で高い性能を保つことができる。既存のアンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクション制御など、車両に搭載されている安全システムとの互換性があるほか、ドライバーが選んだレベルに合わせてトラクションを調整することができる。(2016年8月1日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 497 506 632
車両部門 142 119 160

-2017年12月期は約5億2,500万ドルを設備投資する計画。