Aptiv PLC (旧 Delphi Automotive PLC) 2018年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ドル) |
2018年 12月期 |
2017年 12月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 14,435 | 12,884 | 12.0 | 1) |
営業利益 | 1,473 | 1,416 | 4.0 | - |
要因
1) 売上高
-2018年12月期の売上高は、前年比12%増の14,435百万ドル。売上増は、主にすべての主要地域における販売数量の増加、ならびに2018年6月のKUMおよび2018年10月のウィンチェスター買収による。 また、すべての主要地域における市場で売上高が伸びた。
買収
-Snow Phipps Groupの関連会社からのWinchester Interconnectの買収が完了したと発表。Winchester Interconnectは、米国を拠点に過酷な環境向け相互接続ソリューションを提供する企業。(2018年10月24日付 プレスリリースより)
-韓国のKUMの買収が完了したと発表。KUMは韓国の蔚山に本拠を置き、過酷な環境に対応した車両向けのコネクターおよびケーブル管理ソリューションを製造するプロバイダー。買収によりKUMはAptiv のアジア太平洋事業部門に統合され、Aptivはアジア太平洋地域でのポジション強化と製品ラインナップ拡張を目指すという。(2018年6月14日付プレスリリースより)
業務提携
-Affectivaとの商業提携契約を発表。Affectivaは米国ボストンのMITメディアラボのスピンオフ企業で、知覚AI分野の開発を行っている。提携により、高度な学習アーキテクチャから派生した革新的でスケーラブルなソフトウェアを提供し、先進的な安全ソリューションにおける知覚能力の強化を図る。Affectivaの特許取得済みソフトウェアは、リアルタイムで車両乗員の複雑な認知状態を識別するためのマルチモードの車内センシングソリューション。また、商業的提携をさらに支援するために、AptivはAffectivaへの少数投資を行った。(2019年1月3日付プレスリリースより)
ー自動運転バスを使用した世界初のモビリティオンデマンド(AMoD)輸送システムの実現に向け、米主要都市と提携すると発表。この提携により、既存のバスルートはよりスマートかつ効率的になり、住民の利便性は高まる見通し。同システムは現在、実証段階にあり、2019年初めに実際の顧客を乗せるサービスを開始する予定。(2018年1月8日付プレスリリースより)
最近の動向
-グローバル本社を英国からアイルランドDublinに移転すると発表。アイルランドの有利な規制環境により、Dublinは技術拠点として継続的な成長を遂げており、世界有数の大学や、公共インフラへのアクセスが移転の重要なファクターになったという。グローバル本社では、IT、サプライチェーンマネジメント、金融関連の数百名の従業員が勤務する予定。(2018年5月2日付 IDA Irelandプレスリリースより)
受注
-長城汽車の新世代Haval (哈弗) とWEYブランドに新しいインテグレートコックピットソリューションを提供すると発表。Aptivが提供するシングルチップインテリジェントコックピットソリューションは、フルカラー液晶インストパネル、ヘッドアップディスプレイ、センタースタックなどの車載エレクトロニクスシステムのあらゆる機能を同時にコントロールすることが可能。このソリューションには異なるレベルのファンクションセーフティとネットワークセキュリティソリューションも統合されている。従来のマルチチップ型に比べコストを大幅に下げることができるうえ、マルチスクリーンインタラクティブなど全方位のインテリジェントネットワーク体験を提供することができる。例えばインストパネルとセンタースタック、ヘッドアップディスプレイとインストパネル、車載インターネットとセンタースタックのインタラクティブなどである。(2018年8月6日付けリリースより)
2019年12月期の見通し
-2019年12月期の売上を14,600~15,000百万ドルの間、営業利益を1,720~1,800百万ドルの間と予想。
研究開発費 |
(単位:億ドル) |
2018年12月期 | 2017年12月期 | 2016年12月期 | |
合計 | 1,155 | 882 | 788 |
-Mobileye N.V.と完成品としての完全自動運転用プラットフォームをOEMやパートナー企業向けに提供するための共同研究について提携を行っている。 2019年採用開始、2021年から2022年の生産開始を目指す。
研究開発体制
-2018年12月31日現在、全世界で約18,600名の従業員が研究開発に従事している。
研究開発施設
-全世界に15の主要研究拠点を保有。
- 北米:8拠点
- 欧州、中東およびアフリカ:2拠点
- アジア太平洋:5拠点
ーCES 2019に先立ちラスベガスに技術センターを開設したと発表。Boston、シンガポール、Pittsburghに続く主要自動運転ハブとして機能する130,000平方フィートの新センターは、研究開発、データ管理、技術デモンストレーション設備などを備える包括的施設だという。Aptivは2018年5月から、配車サービスのLyftと提携してラスベガス周辺の1,600カ所超の目的地への自動運転サービスを展開しており、これまで25,000回を超えるサービスを提供している。(2018年12月17日付プレスリリースより)
ーミシガン州経済開発公社(MEDC)は、同社が20百万ドルを投じてミシガン州Troyの研究開発センターを改築すると発表。拡張後、約500名のエンジニアとスタッフを配置する予定。(2018年11月27日付MEDCプレスリリースより)
ー9月、安波福蘇州[Aptiv Electronics (Suzhou) Co., Ltd.]の研究開発センターの新社屋が完成し、拡張工事が完了した。同時にAptiv PLCは中国電信[CHINA TELECOM]との提携による5G V2E研究所を同センター内にオープンさせた。同センターでは5GのV2V(車と車の通信)、V2P(車と人の通信)などの技術検証や測定試験を行う。Aptiv蘇州研究開発センターは2014年に設立され、アクティブセーフティ、インターネットとネットワークセキュリティ、インフォテインメントシステム、ユーザーエクスペリエンスのソフトウェア、ハードウェア開発に注力している。(2018年9月21-22日付け複数メディア報道より)
-同社は、マサチューセッツ州ボストンSeaport地区に技術センターを新設すると発表した。ペンシルバニア州Pittsburgh、カリフォルニア州Mountain Viewに次ぐ技術センター開設となる。同社は、技術的に熟練した労働力、ワールドクラスの大学、政府が掲げる「Go Boston 2030」技術イニシアチブ等が決め手となり、新センター建設地にボストンを選択したという。同社が買収した自動運転用ソフトウェア企業のnuTonomyは最近、ボストンSeaport地区で自動運転パイロットプログラムを開始した。(2017年12月12日付プレスリリースより)
技術動向
-データをより効率的に使用するためのEdge対応クラウド技術を発表した。エッジ対応クラウドは、大きなデータをより大きな好機にするためのデータ戦略と技術を提供し、自動車メーカーのコネクテッドカーに対する投資対効果の向上を図る。また、ネットワークの極端なデータをリアルタイムで集約して分析することで、価値の高い情報を抽出し、生のデータを自動車メーカーに送り返す必要がなくなり、データ転送と保管のコストを大幅に削減する。高価値のデータのみがクラウドに集約されるため、Aptivはインサイトを迅速に統合、供給でき、自動車メーカーのエンジニアは問題をより早く解決できるという。(2018年10月19日付プレスリリースより)
ー電動バイク、電気自動車 (EV) 、セミトラックなどの次世代車両電動化を可能にする高電圧製品を開発していると発表した。大型商用車のフル電動化に必要な高電圧にも対応可能という。Aptivは、高性能で、低コストに量産可能な製品を設計。現在、同社の高出力製品は、電動パワートレインから付属装置、バッテリーパックまで、電動乗用車・小型トラック全体をカバーしている。高電圧製品の需要に対応し、同軸ケーブルAssyや密封・遮蔽接続システム、配電ソリューションを提供する。(2018年8月29日付プレスリリースより)
ー高度な安全性、ユーザーエクスペリエンス、データと配電、コネクテッドサービスの4つの主要分野で一連の技術とシステムインテグレーションの専門知識を提供すると発表した。独Hanoverで開催するIAA国際商用車ショーに最新技術を出展する。トラック用のアクティブ・セーフティシステムは後方衝突を防止する。緊急自動ブレーキはドライバーよりも0.5秒早く反応するという。また、ドライバーに注意を喚起する車線逸脱警告システムも開発。死角に隠れた自転車や歩行者を検出するためにレーダーを使用する情報システムが事故を未然に防ぐ。さらに、ドライバーが迅速かつ容易に情報を見ることができる「Multi-Layer Display」も発表する。(2018年8月23日付プレスリリースより)
ー配車サービスのLyftと提携した30台の自動運転プラットフォーム搭載車両による自動運転サービスが、2017年5月のサービス開始以降5,000回に達したと発表した。自動運転のハードウェアとソフトウェアはAptivが開発し、配車と支払処理はLyftが行っている。サービスに使用される車両にはシステム故障時のためのバックアップドライバーがいるが、不具合の頻度や総走行距離数などは明らかにされていない。Lyftはまた、Aptivの子会社であるNuTonomyともボストン州Massachusettsでの自動運転プログラムで協業している。(2018年8月22日付プレスリリースより)
ー広汽新能源汽車有限公司[GAC New Energy](以下、広汽新能源)のEVプラットフォーム向け先進運転支援システムを製造すると発表した。具体的には、ソフト、ハードウェアを含むセンサー及びコンピューティングプラットフォームの総合ソリューションで、製品はインテリジェント前方視認カメラ(Mobileyeと共同開発)、中距離レーダー、短距離レーダー、アクティブ・セーフティ複数ドメインコントローラー、ドライバー疲労モニタリングシステム、関連ソフト及びアルゴリズムなどに及ぶ。このシステムは広汽新能源の次世代EVに交通渋滞や高速道路での自動クルーズなどを実現する先進運転支援機能を提供する。(2018年8月21日付けリリースより)
ー独自のコンピューターとデータ、配電網からなるスマートモビリティ構造を開発したと発表した。フレキシブルで拡張性があり、必要なすべての安全基準を満たしているという。Aptivは、アクティブセーフティやインフォテインメントから自動運転システムまで、今日の自動車には様々な機能が搭載されているが、ソフトウェアとハードウェア、処理能力といった車の構造のみが唯一制限されていると指摘。同社のスマートモビリティ構造は、この問題を解決するとしている。同構造は、停電やネットワーク障害、コンピューターの故障を想定した設計で、ルート変更に加え、自動運転車を安全に停止させる意思決定能力もあるという。(2018年1月11日付プレスリリースより)
部門別設備投資額 |
(単位:百万ドル) |
2018年12月期 | 2017年12月期 | 2016年12月期 | |
シグナル & パワーソリューション | 534 | 477 | 458 |
先進安全性とユーザーエクスペリエンス | 245 | 196 | 131 |
排除およびその他 | 67 | 25 | 68 |
合計 | 846 | 698 | 657 |
地域別設備投資額 |
(単位:百万ドル) |
2018年12月期 | 2017年12月期 | 2016年12月期 | |
北米 | 314 | 301 | 237 |
欧州/中東/アフリカ | 300 | 234 | 253 |
アジア太平洋 | 220 | 151 | 163 |
南米 | 12 | 12 | 4 |
合計 | 846 | 698 | 657 |