Delphi Automotive PLC 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万ドル)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 17,023 16,463 3.4 1)
営業利益 1,847 1,684 9.7 -

要因
1) 売上高
-2014年12月期の売上高は、前年比3.4%の増加。一部、製品価格減少の影響があったものの、北米およびアジア太平洋地域での売上増が寄与した。

売却

-2015年2月、サーマルシステム事業をMahleに約727百万ドルで売却すると発表。2015年第3四半期に手続きが完了する見込み。

企業買収

-メディアコネクティビティ製品を生産するUnwired Technologyを買収すると発表。これにより、同社のデータ・メディアコネクティビティ事業を拡大する。Unwiredのコネクティビティ製品は、スマートフォンおよびタブレットと車載インフォテインメントシステムの間で双方向のデータ接続を可能にすることで、車載機器への安全なアクセスを実現する。買収手続きは、2014年第4四半期に完了する見込み。(2014年9月30日付プレスリリースより)

-急速に拡大する自動車用電気コネクター事業の製品ライン拡充に向けて、ガラス用コネクターを生産するAntaya Technologiesを買収すると発表。Antayaは、北米最大手の自動車ガラス用コネクターメーカーで、中国および欧州でも顧客基盤を拡大している。また、自動車メーカー各社が鉛フリーの部品の採用を増やしていることに伴い、鉛フリーコネクターも供給している。電力用端子、アンテナASSY、キーレスエントリーシステム、タイヤ空気圧モニタリングシステムのほか、カスタムコネクターなど、さまざまなガラス用製品を生産している。買収手続きは、2014年第4四半期に完了する見込み。(2014年9月22日付プレスリリースより)

事業提携

-亜新科工業技術有限公司の子会社「北京亜新科天緯油泵油嘴股份有限公司 [ASIMCO Tianwei Fuel Injection Equipment (Beijing) Co., Ltd.]」とフューエルインジェクションシステムの購買契約を結んだと発表。今後、北京亜新科天緯油泵油嘴からグローバル規模でインジェクター、インジェクションノズルなどをの供給を受ける。

生産関連

電子走査レーダー (ESR) の累計販売数が100万個に到達
-2009年の生産開始以来、グローバル市場での電子走査レーダー (ESR) の累計販売数が100万個に到達。現在、自動車メーカー8社に納入している。1つのユニットで2種類のエリアをカバーすることで、対象物を正確に検出できる。同社の最新世代のESRは、長距離で前方200メートル、短距離で前方60メートルまでカバーする。視野角はそれぞれ20度と90度。(2014年8月21日付プレスリリースより)

受注

-2014年パリモーターショーに展示されるVolvo 「XC90」に同社製品が採用されたと発表。「XC90」は、交差点での衝突を防ぐ自動ブレーキシステムを搭載した世界初のモデルとなる。このシステムには、レーダーとカメラを統合した「RACam」が搭載されている。また、同モデルには、第2世代の76GHz短距離レーダーも採用された。(2014年10月2日付プレスリリースより)
>>>一体型レーダー・カメラ 「RACam」 (2014 ITS World Congress Detroitに出展)
>>>短距離レーダー (360度検知) (2014 ITS World Congress Detroitに出展)

-2014年ジュネーブモーターショー展示車に供給された同社製品:
OEM モデル名 製品名
Audi S1 SRS (安全拘束システム) コネクター、エレクトリカルセンター、ラジエーター、超音波アラーム、トランスポンダー、イモビライザー
TT LEDモジュール、トランスポンダーアンテナ、イモビライザー部品、超音波センサー、傾斜センサー、SRSコネクター、コンプレッサー、ラジエーター、インタークーラー
BMW 2-Series Active Tourer アンテナ、SRSコネクター、パワートレイン冷却モジュール (ラジエーター、コンデンサー、インタークーラー)、ハイブリッド車用インバーター、ハイブリッド車用充電器
4 Series Gran Coupe ルーフモジュール、各種コネクター
Citroen C1 熱交換器、コンデンサー
C4 Cactus 各種スイッチ、アンテナ、トレイラー用車体制御機器、可変バルブ機構、イグニッション用ペンシルコイル、SRSコネクター
Ferrari California T デュアルゾーンHVACを含むエアコンシステム、レシーバードライヤー一体型コンデンサー、小型容量可変型コンプレッサー、コントロールボックス、ソフトウェア/快適制御、ワイヤーハーネスおよびエレクトリカルセンターを含むパワー/シグナル分配システム
Ford Focus 各種コネクター、アンテナ、走査レーダーを用いたアダプティブクルーズコントロールシステム、車室内モーションセンサー、アラームシステム
Mercedes-Benz C-Class 乗員検知システム、アラームシステム、DABチューナー、テレビチューナー、衛星デジタル音声ラジオサービス受信チューナー/アンテナ、SRSコネクター、イグニション、パワートレイン制御機器、ディーゼルコモンレール
S-Class Coupe 乗員検知システム、アラームシステム、DABチューナー、テレビチューナー、衛星デジタル音声ラジオサービス受信チューナー/アンテナ
Peugeot 108 熱交換器、コンデンサー
308 SW バルブ機構、イグニッション、ガソリン直噴システム、フューエルデリバリーモジュール、キャニスター、ワイヤーハーネス、車体制御機器、アイドリングストップシステム用DC/DCコンバーター、SRSコネクター、スイッチ、超音波アラームモジュール
Qoros 3 Hatch SRSコネクター、エンジンハーネス、アラームシステム、超音波車室内保護システム (侵入者発生の際に警告)
Renault Twingo ヒューズ、リレーボックス
Volkswagen Polo SRSコネクター、ディーゼルコモンレール、エレクトリカルセンター、ラジエーター、超音波アラーム、トランスポンダー、イモビライザー、アラームシステム

中国事業の見通し

-中国での売上高を2012年を基準として2020年までに4倍とする目標を発表。2012年の同社の中国における売上高は2,300百万米ドル (36,600百万元) で、2013年は2012年比18%増の2,700百万ドル。中国市場における売上高は現在、同社の全世界における売上高の16%を占めているが、2020年にはこれを25%まで引き上げることを目標とする。現在同社は中国に28の生産拠点、3つのテクニカルセンターを置き、2,900名のエンジニアを擁している。これに加え、山東省煙台に100百万米ドルを投じディーゼル噴射システムの生産工場を開設する。今後18か月以内に新たに2つの工場を建設する予定である。(2014年4月29日付け各種リリースより)

受賞

-同社のコネクターのメカニカルアシストシステム「ErgoMate」が「2014 Automotive News PACE Award」を受賞。Delphiがこの賞を受賞するのは、今回で17回目となる。(2014年4月8日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:億ドル)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 13 13 12

-同社は2015年12月期の研究開発費に13億ドルを投じる計画。

研究開発体制
-2014年12月31日現在、全世界に20,000名を超える科学者、エンジニア、技術者が研究開発に従事している。

-全世界に15の研究拠点を保有。

  • 北米:5拠点
  • 欧州、中東およびアフリカ:5拠点
  • アジア太平洋:4拠点
  • 南米:1拠点

技術提携

-Ottomatikaと提携し、自動運転の実現に貢献するシステムを共同で開発すると発表。カーネギーメロン大学からスピンオフしたOttomatikaは、高度な自動運転用ソフトウェアを提供している。DelphiのアクティブセーフティシステムとOttomatikaの自動運転ソフトウェアを組み合わせることで、市街地や高速道路での走行において車両が人間に近い意思決定ができるようにする技術プラットフォームを開発する予定。このプラットフォームは、ソフトウェアの更新に合わせて柔軟に拡張やアップグレードが可能。路車間 (V2X) 通信もサポートする。DelphiはOttomatikaへ投資し、この提携を支援する考え。(2014年11月20日付プレスリリースより)

-Westport Innovationsと、Westportの高圧直噴システム「Westport HPDI」に関して共同開発を行うと発表。同製品を大型エンジン向けの天然ガスシステムとして確立する。両社の技術を統合し、複数のエンジン製造メーカー向けに高圧天然ガスフューエルインジェクターを共同で開発・生産する。両社が開発する最初の製品は、Westportが最近発表した燃料システム「HPDI 2.0」の主要部品となる見込み。今後4年以内にインジェクターの年産能力を10万ユニット超とすることを目指し、投資を行っていく。(2014年3月3日付プレスリリースより)

製品開発

車車間 (V2V)・路車間 (V2I) 通信技術
-ドライバーへの警告機能を大幅に向上させた車車間 (V2V)・路車間 (V2I) 通信技術を発売すると発表。このワイヤレス車両通信技術は、既存の先進運転支援システム (ADAS) 機能を拡張するもの。車から別の車へ無線信号で交通データを送信し、視界から外れた場所や車のセンサーが届かない範囲も含めて、路上で発生しうる危険をドライバーへ警告することが可能になる。これにより、路面の状態、道路工事、緊急車両の警告、停止中や徐行運転の車両、渋滞、事故、信号・標識などさまざまな交通状況を事前に知らせることができるという。2016年から北米市場向けにグローバルでこのシステムの生産を開始する計画。(2014年9月5日付プレスリリースより)

ディーゼルコモンレールシステム
-小型車および中型車向けのディーゼルソレノイドインジェクター、燃料ポンプ、ECU、レールを含むディーゼルコモンレールシステムの新製品を発売する。新製品では噴射圧2,500バールに対応し、燃料のリークを減少、さらに1サイクルあたり9回の燃料噴射が可能となった。2014年内に大手欧州自動車メーカーの新型エンジンに採用される予定。(2014年5月8日付プレスリリースより)

設備投資

部門別設備投資額

 (単位:百万ドル)

2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
電気・電子アーキテクチャー 326 293 238
パワートレインシステム 315 224 304
電子・安全 89 64 66
サーマルシステム 76 77 63
排除およびその他 49 24 34
合計 855 682 705

地域別設備投資額

 (単位:百万ドル)

2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
北米 237 199 210
欧州/中東/アフリカ 320 281 308
アジア太平洋 269 174 155
南米 29 28 32
合計 855 682 705

海外投資

<中国>
-上海のパワートレイン工場でガソリン直噴射 (GDI) 高圧燃料ポンプの生産を開始し、現地生産を本格化させたと発表。この製品は高精度、低騒音、低燃費などを特徴としている。2014年後半には、同製品の生産ラインを増設する予定。(2014年9月17日付け各種リリースより)

-蘇州工業園 (Suzhou Industrial Park) に「德爾福電子 (蘇州) 研発中心 [Delphi Electronics (Suzhou) Technical Center]」を開設。同テクニカルセンターの面積は現在1,500平方メートルだが、将来3,000平方メートルまで拡大することが可能。設計、実験室の面積は1,000平方メートルとなる予定。エンジニアは現在150名近くを擁しているが、2014年末までに約200名まで増員する計画。(2014年5月21日付け各種リリースより)

-天津武清開発区 (Wuqing Development Area, Tianjin) に世界最大クラスのワイヤーハーネス生産拠点を建設すると発表。生産拠点の敷地面積は40,000平方メートル、延べ床面積は22,000平方メートルで総投資額は100百万元。自動車ワイヤーハーネス、車載電話、車載インフォテインメントシステム用など各種ワイヤーハーネスを生産する。主な供給先はMercedes-Benz、長城汽車など。(2014年5月19日付け各種リリースより)