Cummins, Inc. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 増減率 (%) 要因
全社売上高 20,428 17,509 16.7 1)
営業利益 2,365 1,928 22.7 -
部門別売上高
エンジン 8,953 7,804 14.7 2)
コンポーネント 5,889 4,836 21.8 3)


要因
1) 売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比16.7%減の20,428百万ドル。全事業部門の売上増と為替の影響が増収要因。

2) エンジン部門
-2017年12月期、エンジン部門の売上高は、前年比14.7%増の8,953百万ドル。増収要因は北米の需要増による大型トラック用エンジンの397百万ドル、世界の産業市場での需要増によるオフハイウェイ用エンジンの365百万ドル。また北米での需要増による中型トラックやバス市場向け売上の241百万ドル、さらに小型自動車市場でFCAや小型商用車向けの販売増の146百万ドルなどが挙げられる。

3) コンポーネント部門
-2017年12月期、コンポーネント部門の売上高は、前年比21.8%増の5,889百万ドル。インドでの製品需要増や北米、中国でのトラック用向けの排ガスソリューションの販売増が437百万ドル、また中国、メキシコ、インドでの需要増によるエレクトロニクス、フューエルシステムの販売増が166百万ドル、2017年第3四半期のEaton Cummins Automated Transmission Technologies合弁事業が164百万ドル、さらにターボテクノロジーや濾過システムの需要増によりそれぞれ143百万ドルなどが挙げられる。

最近の動向

-同社グループ傘下のCummins Turbo Technologiesは、これまで中国と英国から輸入していた大型商用車向けディーゼルエンジン用ターボチャージャーをブラジル国内で現地生産すると発表した。同社は新型ターボチャージャー生産のため、600,000ブラジルレアルを投資してGuarulhos工場を拡張する。新生産ラインは2018年2月稼働開始予定で、全工場の生産能力の40%にあたる年間44,000基のターボチャージャーを生産する。最初の製品はScaniaのDLC5およびDLC6 13Lエンジンに搭載され、VolvoおよびIvecoの9-16Lエンジンにも採用予定。(2017年9月18日付 Fenabraveプレスリリースより)

買収

-同社は、EVや電動バイク用バッテリーを提供するBrammoを買収すると発表した。電子事業を強化し、競合他社との差別化を図るのが狙い。2002年に設立されたBrammoは、モバイル・固定向け蓄電池技術の開発など、幅広い分野で高い技術力を有している。買収は2017年末に完了する見通し。(2017年10月16日付プレスリリースより)

2018年12月期の見通し

-2018年12月期の売上高は、前年比4%~8%増と予想している。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 752 636 735
-エンジン事業 279 226 428
-コンポーネント事業 240 208 236

研究開発体制

-世界に20カ所以上の技術センターを保有。

-同社は、メキシコSan Luis Potosiの工場に隣接する場所に研究開発センターを新設したと発表した。広さ25,000平方フィートの施設は、リビルトエンジン製造の技術を持ち、将来的成長のためSan Luis Potosiで効率的なキャンパスを作り上げる大規模計画の一環となっている。新センターは、コア・リバースエンジニアリング、レーザー蒸着に代表される付加製造用のロボットおよびマニュアル製造技術、溶射・溶接技術および後処理やメカトロニクスなどの再生製品製造技術を有する。(2017年8月22日付プレスリリースより)

技術提携

-同社は、GILLIGと車両電動化で提携すると発表した。GILLIGはカリフォルニア州Livermoreに本拠を置く大型路線バスメーカー。両社は1回の充電で200マイルを走行するGILLIGのゼロエミッション電動バスの開発に注力する。このバスはダイレクト・ドライブ駆動モーターを装備し、最大トルク3,500Nmで、回生ブレーキシステムを装備し、プラグインタイプの充電方式を採用する。両社は1950年代から協業を継続しており、現在はGILLIGのCommuter / Trolleyバスシリーズに同社のクリーンディーゼル製品等が採用されている。(2017年10月9日付プレスリリースより)

製品開発

燃料効率の良いパワートレイン
-Eaton Cummins Automated Transmission Technologiesは、メキシコのトラック産業の需要に応えるべく、燃費効率に焦点を当てて開発したパワートレインを発売すると発表した。Eatonの新たな18速自動トランスミッション「UltraShift PLUS MXP」は、同社のディーゼルエンジン「ISX15」との組み合わせにより、メキシコ特有の運転条件下で優れた持久力と燃費効率を実現するという。この新たなパワートレインのパッケージは12月に発売され、2018年第1四半期から生産が開始される予定。Eaton Cummins Automated Transmission Technologiesは、Eatonと同社の折半出資による、中・大型商用車向け自動トランスミッションの合弁会社。(2017年11月15日付プレスリリースより

エンジン、エアー、燃料とオイルフィルターの監視システム
-同社は、ブラジルで開催された商用車の国際見本市「Fenatran」で、エンジン、エアー、燃料、オイルフィルターを監視するシステムを公開した。エンジン向けシステムは、故障の予兆を検知し、即座にドライバーや車両管理者に通知。車両メーカーからのアドバイスを提供するとともに、位置情報サービスでドライバーを特定し、最短距離にある同社の拠点や担当者の連絡先を案内する。遠隔診断システムは、ブラジルで現在試験運用されており、主要トラックメーカーに提供される予定。また、エアーや燃料、オイルフィルターをモニターし、データをコンピューターやスマートフォンのアプリに送信する「Fleetguard FIT」技術も発表した。(2017年10月18日付各種リリースより)

EV、レンジエクステンダー型電動パワートレイン
-同社は、米ジョージア州Atlantaで開催されたAPTA(米国公共交通協会)の展示会で、乗り合いバス向け電動化技術を披露した。新しいパワートレインは、フル・バッテリーEV(BEV)にも航続距離延長型の電気自動車(REEV)にも利用可能で、コンパクトなエンジン発電機付き。同社の高密度バッテリーエンクロージャーを使用したエネルギー貯蔵システムは、屋上とシャシーの両方に搭載できる。BEVバスには、70kWhの標準サイズのバッテリーエンクロージャーを8つ使用し、1回の充電で224マイル走行できる計560kWhの蓄電能力を提供。REEVシステムには、バッテリーエンクロージャー3つ(210kWh)を使用し、航続距離は84マイル。両システムには、連続トルク出力1,850 Nm (1,365 lb-ft)の、同一のトラクションモーターとパワーエレクトロニクスが採用されている。(2017年10月9日付プレスリリースより)

12速自動AT
-Eaton Cummins Automated Transmission Technologiesは、米ジョージア州Atlantaで開催された北米商用車ショー(NACV)で、大型商用車向けの12速自動トランスミッション「Endurant」を披露した。「Endurant」の最大トルクは1,850 lb-ft、重量は競合製品と比べ最大で105ポンド軽い。Eatonと同社が合弁会社を設立して以来、初めての製品となる「Endurant」は、同社の「X15 Efficiency Series」エンジンと共にPeterbiltとKenworthのトラックに10月から搭載される予定。(2017年9月24日付プレスリリースより)

商用車用電動パワーソリューション
-同社は、最新のパワーソリューションや電動セミトラック向けのエネルギー製品などを発表した。クラス7の電動コンセプトトラック「Urban Hauler Tractor」とともに、エネルギー効率と密度を向上し、航続距離の延長と充電時間の短縮を実現した最新のバッテリーパックを発表した。コンセプトトラックは同社のB4.5もしくはB6.7発電用エンジンを搭載して航続距離を延長、従来のゼロエミッションディーゼルハイブリッドエンジンと比較して燃費効率を50%向上している。また、AgilityのBlue-IQ技術を採用し、クラス8トラックに搭載されている低排ガスエンジンも発表した。同社は現在、エタノール、メタノール、ガソリンを燃料としてディーゼルエンジンと同様の性能を持つ高効率なエンジンを開発中としている。(2017年8月29日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 506 531 744
-エンジン事業 188 200 428
-コンポーネント事業 127 143 137

-2018年12月期の設備投資額は、730百万~760百万ドルと予測しており、主に製品販売や施設整備で約半分が米国以外。

米国以外での投資

<メキシコ>
-同社は、メキシコSan Luis Potosi州の生産拠点にエンジン生産増強のため44百万ドルを投資すると発表した。今回の投資により、米国、メキシコおよび南米市場向けの4-10Lエンジンの生産を拡張する。過去5年と比較して、エンジン生産基数は6%増加しているという。(2017年11月17日付 Mexico-Nowより)