BorgWarner Inc. 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 8,305.1 7,436.6 11.7 -2014年のWahler社の買収と外国通貨安の影響を除いた売上高はおよそ8%増。
営業利益 963.7 855.2 12.7 -
エンジン部門
売上高 5,705.9 5,022.1 13.6 1)
ドライブトレイン部門
売上高 2,631.4 2,446.5 7.6 2)

要因
1) エンジン部門
-2014年のWahler社の買収と、円安、レアル安などの外国通貨安の影響を除いた同部門の売上高は、前年比およそ8%の増加。主としてターボチャージャーとエンジンタイミング部品の販売増が寄与した。

2) ドライブトレイン部門
-ウォン高などの外国通貨高の影響を除いた同部門の売上高は、前年比およそ7%の増加。主として4WDシステム、トランスミッション部品、DCTモジュールの販売増が寄与した。

買収

-Gustav Wahlerの買収を完了。Wahlerは、オンロードおよびオフロード車向けにEGRバルブ、EGRチューブ、エンジン用サーモスタットを生産し、世界 各国の自動車メーカーに供給している。BorgWarnerは、今回の買収に関して2013年12月に発表しており、2014年3月1日付で買収手続きを 完了した。買収されたWahlerは、BorgWarnerの排気システム (Emissions Systems) 部門に統合される予定。(2014年4月1日付プレスリリースより)

受注

-2014年のプレスリリースによる主な受注は以下の通り。
<エンジン部門>
 製品 搭載モデル
(エンジン)
備考
6.35mm逆歯サイレントチェーン 日産、スズキ、三菱、現代自動車、GM他 ジヤトコ製CVT 「Jatco CVT7」のオイルポンプ向け。ジヤトコ製「CVT7」は0.66~1.8Lエンジンの軽・小型FF車に搭載
ブースト圧制御用ウェストゲート付きB01ターボチャージャー Volkswagen 1.4L 4気筒ガソリンエンジン向け -
2ステージターボチャージャー「R2S」 Volvo 「Drive-E」 2.0L 4気筒ディーゼルエンジン向け -
マルチスパークイグニッションコイル Mercedes-Benz 「C-Class」、「E-Class」、「S-Class」 Daimler 6気筒および8気筒エンジン向けに独Muggendorf拠点で生産
プレッシャーセンサーグロープラグ (PSG) Volkswagen、Audi、Seat、Skoda Volkswagen 新型ディーゼルエンジン向け
HY-VOチェーン トヨタ Lexus 「GX」、「Land Cruiser Prado」、「4Runner」、「Tacoma」、「FJ Cruiser」用トランスファーケース向け -
「Eco-Launch」 ソレノイドバルブ GM -
エンジンタイミングシステム Volkswagen 「Jetta」、「Beetle」などの米国仕様モデル Audiが開発した第3世代の2.0Lおよび1.8L DOHC直列4気筒エンジン向けにメキシコのEl Salto拠点で生産

<ドライブトレイン部門>
 製品 搭載モデル
(トランスミッション)
備考
第5世代電気油圧式四輪駆動 (AWD) 用カップリング Lamborghini新型スポーツカー「Huracan LP610-4」 -
フリクションプレート Volkswagen 「Golf」、Audi 「A3 e-tron」 2014年モデル Volkswagenハイブリッド・デュアルクラッチトランスミッション「DQ 400e」向け
小型直動式可変力 (VFS) ソレノイド Chevrolet、Buick、GMC 2015年モデル GM前輪駆動車用6速オートマチックトランスミッション (GF6) 向け
2速パートタイム4WDトランスファーケース、HY-VOトランスファーケースチェーン トヨタ 「Tundra」 2014年モデル
2速パートタイム4WDトランスファーケースは米サウスカロライナ州Seneca工場で生産


受賞

-米国のイリノイ州Frankfort、ミシシッピ州Water Valley、ニューヨーク州Ithacaにある3拠点が、GMより2014年「Supplier Quality Excellence Award」を受賞。HY-VOトランスミッションチェーン (Ithaca拠点)、後輪駆動車用6速オートマチックトランスミッション向けのワンウェイクラッチ (Frankfort拠点)、前輪駆動車用6速オートマチックトランスミッション向け小型直動式可変力 (VFS) ソレノイドバルブ (Water Valley拠点) を生産し、GMに納入している。これらの製品は、Buick、Cadillac、Chevrolet、GMCのさまざまな車両に採用されている。(2014年11月21日付プレスリリースより)

-「Eco-Launch」ソレノイドバルブにおけるGMとの提携に関して、「Automotive News PACE Innovation Partnership Award」を受賞。この製品について、同社は複数の特許を出願中。GMはすでに、今後発表するモデルに「Eco-Launch」を採用する計画だという。なお、この製品は「2014 Automotive News PACE Award」も受賞した。(2014年4月8日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 336.2 303.2 265.9
売上に対する比率 4.0% 4.1% 3.7%

研究開発拠点

-米国のミシガン州Auburn Hillsにあるパワートレイン技術センターを拡張する。北米におけるプロジェクトのサポートと、同社の技術センターのネットワークを強化する目的。約46,000平方フィートを拡張し、プログラム管理、営業、エンジニアリングなどの担当者が勤務する。拡張工事は2015年はじめに完了する予定で、同拠点では最大200名を増員する計画。(2014年3月25日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

 (単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 563.0 417.8 407.4
売上に対する比率 6.8% 5.6% 5.7%

海外投資

<中国>
-36百万米ドルを投じて寧波鄞州 (Yinzhou) に工場を建設する。工場の敷地面積は約50,000平方メートル。建設は2段階に分けて実施する。排気システムの中国生産拠点として、主にEGR (EGRバルブ、EGRクーラーなどを含む)、高性能点火システム、サーモスタットおよび2次エアポンプなどを生産する。(2014年12月29日付け各種リリースより)

-中国浙江省の寧波 (Ningbo) 工場において、乗用車および商用ディーゼル車向けEGRバルブの累計生産数が150万ユニットを達成。同工場では、2010年にEGRバルブ、2013年にEGRクーラーとEGRモジュールの生産を開始し、欧州や中国を本拠とする複数の顧客に納入してきた。BorgWarnerは、今後数年間での需要拡大を見込んで、2016年から同拠点におけるEGRバルブの生産量を年間100万ユニットとする計画。(2014年9月16日付プレスリリースより)

-中国・江蘇省の太倉 (Taicang) で新工場を開設。建屋面積は161,500平方フィート (15,000平方メートル) で、同社にとっては中国で2カ所目のターボチャージャー工場。複数の自動車メーカーに納入する。2014年末までに従業員150名を雇用し、2018年までに500名まで増員する計画。BorgWarnerは、排出ガス規制の強化に伴い、中国における小型車用ターボチャージャー市場が2014年の420万ユニットから、2019年には860万ユニットまでおよそ倍増すると見込んでいる。(2014年9月5日付プレスリリースより)

<ポルトガル>
-ポルトガルViana do CasteloのLanhesesに新工場を開設。乗用車・商用車向けのEGRクーラー、EGRチューブ、グロープラグコントロールモジュールなど、複数のEGR関連製品の需要増に対応して生産能力を拡大する。新工場は、既存のValenca工場に比べて面積を50%超拡大し、26,000平方メートルとなった。今後さらなる拡張が可能になるという。2015年初めにValenca工場から新工場への移転を完了する計画。(2014年11月7日付プレスリリースより)

<米国>
-今後3年間で米国イリノイ州のDixon工場に9.4百万ドルを投じる計画を発表。この生産能力の拡大により、複数の顧客向けにEGRクーラー、チューブ、サーモスタットなど環境対応製品を最適に供給することが可能になる。これらの製品は、乗用車やオンロード/オフロードディーゼル車の排出ガス低減・燃費向上に貢献する。Dixon工場の敷地面積は135,000平方フィートで、現在の従業員数は210名。同社は今後、40名を新たに雇用する計画。(2014年8月14日付プレスリリースより)

<ブラジル>
-ブラジルItatiba市の新工場において、電子制御式ファンドライブ「Visctronic」の生産を開始。この「Visctronic」は必要な時にのみ作動する仕組みで、エンジンの冷却をする際にファンの速度を厳密に制御する。これにより、トラックやバス、オフハイウェイ車において効率的なエンジン冷却を可能にするほか、燃費向上・排出ガス低減にも貢献する。(2014年5月8日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-メキシコのEl Salto拠点においてエンジンタイミングシステムの生産を開始。第3世代の2.0Lおよび1.8L DOHC直列4気筒エンジン向けで、Volkswagenが同国Silaoに開設した新工場に納入する。Audiが開発したこれらのガソリンエンジンは、Volkswagen 「Jetta」および「Beetle」を含む米国仕様のモデルに搭載される。Volkswagenは、まず同工場で年間30万基超のエンジンを生産し、今後生産能力を拡大する計画。なおBorgWarnerは、欧州とアジアにおけるVolkswagenの生産拠点にもこのエンジンタイミングシステムを納入する予定。(2014年1月22日付プレスリリースより)