Autoliv, Inc. 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 10,073.6 9,169.6 9.9 1)
営業利益 847.7 727.8 16.5 2)
製品群別売上高
エアバッグ製品 5,255.8 5,036.2 4.4 3)
シートベルト製品 2,665.2 2,599.1 2.5 4)
パッシブセーフティ製品 1,031.0 923.2 11.7 5)
アクティブセーフティ製品 738.6 611.1 20.9 6)
ブレーキコントロールシステム 383.0 - - 7)

要因

1) 売上高
-2016年12月期の全社売上高は、前年比9.9%増の10,073.6百万ドル。為替の影響を除くと7.2%増。買収による貢献分は4.6%増。同社が事業を展開している全地域で売上が伸びた。

2) 営業利益
-営業利益は前期比16.5%増の847.7百万ドル。前年に生産能力の調整と独占禁止関連の費用を一時的に計上していたことが主な増益要因だが、これらの諸費用を除くと、研究開発費や投資費用、買収効果などの影響で営業利益率は前年を下回る。一方で、本業の売上増加がこれらの諸費用を一部相殺した。

3) エアバッグ製品
-エアバッグ製品の売上高は前年比4.4%増の5,255.8百万ドル。日本や欧州におけるインフレータブルカーテンの売上増加、欧州におけるステアリングホイールの増収が貢献した。

4) シートベルト製品
-シートベルト製品の売上高は前年比2.5%増の2,665.2百万ドル。特に欧州や中国での需要拡大が貢献するとともに、より付加価値の高いシートベルトシステムに対するグローバル傾向が後押しした。

5) パッシブセーフティエレクロトニクス製品
-パッシブセーフティエレクトロニクス製品の売上高は前年比11.7%増の1,031.0百万ドル。特に中国におけるエアバッグコントロールモジュールとリモートセンサーユニットの売上拡大が貢献した。

6) アクティブセーフティ製品
-アクティブセーフティ製品の売上高は前年比20.9%増の738.6百万ドル。北米におけるレーダー、欧州におけるカメラおよびレーダー製品の売上増加が貢献した。Mercedes-BenzとBMWからの需要拡大が増収につながった。

7) ブレーキコントロールシステム
-ブレーキコントロールシステムの売上高は383.0百万ドル。日信工業との合弁、Autoliv-Nissin Brake Systems (ANBS) が2016年第2四半期に稼働を開始したことで、同製品分野への参入を果たした。

合弁事業

-2016年9月、同社はVolvo Carsと次世代自動運転ソフトウェア開発の合弁会社設立に合意したと発表した。合弁会社はスウェーデンGothenburgに本社を置き、経営陣は両社の代表によって構成される。2017年初頭に業務開始予定で、まず両社から200人を集め、中期的には600人以上に増員する予定。Volvoモデル向けの先進運転支援システム (ADAS) および自律走行システムの開発や、Autolivによるグローバル自動車メーカーへの販売も行い、収益は両社で分配する。両社はADASシステムに関するそれぞれの知的所有権を新会社に譲渡する意向。2019年までに最初のADASシステム関連製品の供給を行い、2021年までに自律走行関連の技術提供を行う計画。(2016年9月6日付プレスリリースより)

-2016年4月、日信工業との合弁会社 「Autoliv-Nissin Brake Systems (ANBS)」 の設立手続きが完了したと発表した。ANBSは、Autolivのブレーキ制御システム事業と日信工業から分割された自動車用ブレーキ事業を統合して設立された。日本、中国、米国に生産拠点を持つ。今後は、パッシブセーフティエレクトロニクス、ADAS製品、ブレーキ制御システムを扱うAutolivのエレクトロニクス (Electronics) 部門に属することになる。本事業の事業価値は総額約582億円 (約524.4百万ドル)。Autolivは、297億円 (約264百万ドル) で同合弁会社の株式51%を取得した。(2016年4月1日付プレスリリースより)

受注

-2016年の主な受注

メーカー/モデル名 搭載部品
Mercedes-Benz 「E-Class」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール, 助手席用エアバッグ, ニーエアバッグ, プリテンショナー付きシートベルトおよびエアバッグ内蔵ベルト, ADAS用コントロールユニット, 77GHzレーダーシステム, ステレオカメラ・単眼カメラシステム
Volvo 「S90」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール, インフレータブルカーテン, プリテンショナー付きアクティブシートベルト, セーフティエレクトロニクス, ケーブルカッター, バッテリーセーフティスイッチ
Volvo 「V90」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール, インフレータブルカーテン, プリテンショナー付きアクティブシートベルト, セーフティエレクトロニクス, ケーブルカッター
Volvo 「XC90」 ドライバーエアバッグ, ステアリングホイール, インフレータブルカーテン, パッシブセーフティエレクトロニクス, プリテンショナー付きアクティブシートベルト, バッテリーセーフティスイッチ
ホンダ 「Freed」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール, プリテンショナー付きシートベルト, ブレーキコントロールシステム
「Mazda 3」/「Axela」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール, 助手席用エアバッグ, サイドエアバッグ, インフレータブルカーテン, セーフティエレクトロニクス
ホンダ 「CR-V」 24GHzレーダーシステム, ドライバーエアバッグ, ステアリングホイール, 助手席用エアバッグ, サイドエアバッグ, ブレーキコントロールシステム, プリテンショナー付きシートベルト
Ford 「F-Series Super Duty」 サイドエアバッグ, インフレータブルカーテン, ポジショニングシステム, セーフティエレクトロニクス
トヨタ 「CH-R」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール, サイドエアバッグ, インフレータブルカーテン, プリテンショナー付きシートベルト
BMW 「5 Series」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール, 助手席用エアバッグ, プリテンショナー付きシートベルト, ナイトビジョンシステム, ケーブルカッター
Chrysler 「Pacifica」 ドライバーエアバッグ, インフレータブルカーテン, ニーエアバッグ, プリテンショナー付きシートベルト, 24GHzレーダーシステム
ホンダ 「Civic」 24GHzレーダーシステム, ドライバーエアバッグ, ステアリングホイール, 助手席用エアバッグ, サイドエアバッグ, インフレータブルカーテン
Tesla 「Model X」 バッテリースイッチ, ガルウィングドア搭載サイドエアバッグ


-同社はCadillacのドライビング体験イベント 「Truth + Dare」 において夜間時視覚支援システム 「Night Vision」 を紹介する。同社が独自に開発した 「Night Vision は 「Cadillac CT6」 に採用されている。フロントグリル内に搭載された赤外線カメラにより、気温の変化を感知し、暗闇や霧、煙の中でも路上の物体の識別を可能にする。 (2016年7月19日プレスリリースより)

受賞

-米国ミシガン州Auburn Hillsにある子会社、Autoliv ASPのエアバッグについて、トヨタより 「Award of Excellence」 を受賞。(2016年3月16日付プレスリリースより)

-GMより、2015年 「Supplier of the Year」 を受賞。(2016年3月10日付プレスリリースより)

2017年12月期の見通し

-2017年12月期の売上高は前年比約2%増と予測。本業での売上増加が4%、為替の影響や買収活動に伴う減収分が2%と見ている。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
2014年
12月期
研究開発費 651 524 536
売上高に占める割合 (%) 6.5 5.7 5.8


-研究開発費総額の2%を超える単一プロジェクトは無い。

-2016年12月期は、納入先からの受注関連プロジェクトで研究開発費全体の76%を占める。残り24%は、新規開発プロジェクト、既存製品の改良、システム標準化およびコスト削減に向けたプロジェクト。

-2017年12月期の研究開発費は、全社売上高の6.5~7.0%程度と予想している。

研究開発体制

-研究開発要員は約7,900名 (2016年末時点)。

研究開発拠点

-以下10カ国に22のテクニカルセンターを保有:

  • 中国
  • フランス
  • ドイツ
  • インド
  • 日本
  • ポーランド
  • ルーマニア
  • 韓国
  • スウェーデン
  • 米国

研究開発活動

-米国ラスベガスで開催されるCES 2017で、学習機能を備えたインテリジェント車両システムの実演を行う。LIV (Learning Intelligent Vehicle) と称する車両で、最初のバージョンでは人工知能 (AI) 技術を使用する。今後のバージョンではオンラインとオフラインの機械学習が組み込まれ、様々なデータソースを活用し、ドライバーと固有の関係を構築する。(2016年12月20日付プレスリリースより)

-同社は自動運転に関する国際研究プログラム「ADAS&ME」への参加を表明。このプログラムはスウェーデンのNational Road and Transport Research Institute (VTI) の主導により、世界11カ国、30パートナーが参加する。(2016年11月11日付プレスリリースより)

-同社は交通・車両安全性の分野での連携を強化し、スウェーデンの産業プロジェクト 「Vehicle ICT Arena」 においてコアパートナー (core partner) になったと発表した。コアパートナーは他に、Combitech、Ericsson、Volvo Cars、Volvo Groupがいる。このプロジェクトには、自動車メーカーやサプライヤー、エンジニアリング会社、研究機関、大学などが参画し、主に自動車のIT化に関する革新的なオープンプラットフォームの開発を目指す。同社はこれまでプレミアムパートナー (premium partner) として同プロジェクトに参画していた。(2016年2月10日付プレスリリースより)

特許

-2016年12月時点、自動車安全および主要な支援技術に関する6,700件以上におよぶ広範な特許を保有。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
2014年
12月期
合計 499 450 453
売上高に占める割合 (%) 5.0 4.9 4.9


-2017年12月期の設備投資額は、売上高の5~6%程度と予想している。