Autoliv, Inc. 2015年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
2015年
12月期
2014年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 9,169.6 9,240.5 (0.8) 1)
営業利益 727.8 722.6 0.7 2)
製品群別売上高
エアバッグ製品 5,036.2 5,019.3 0.3 3)
シートベルト製品 2,599.1 2,800.1 (7.2) 4)
パッシブセーフティエレクロトニクス製品 923.2 932.0 (0.9) 5)
アクティブセーフティ製品 611.1 489.1 24.9 6)

 

要因

1) 売上高
-2015年12月期の全社売上高は、前期と比べ0.8%減の9,169.6百万ドル。各地域での本業による売上は伸びており、為替の影響を除いた本業による売上高の成長率は前期比8%増。

2) 営業利益
-営業利益は前期比0.7%増の727.8百万ドル。本業による売上増、商品構成の改善、原材料の節約が寄与。この増加は同社の能力増強のためへの投資と一部相殺。

3) エアバッグ製品
-2015年12月期のエアバッグ製品の売上高は前期比0.3%増の5,036.2百万ドル。為替の影響を受けるが、交換用インフレター、インフレータブルカーテン、ステアリングホイールの増収が同セグメントの売上増を導く。

4) シートベルト製品
-前期比7.2%減の2,599.1百万ドル。欧州、北米での売上増や、より先進的、高付加価値製品の需要があるもマイナスの為替影響により売上減。

5) パッシブセーフティエレクロトニクス製品
-前年比0.9%減の923.2百万ドル。中国、韓国における売上増があるも為替のマイナス影響により売上減。

6) アクティブセーフティ製品
前年比24.9%増の611.1 百万ドル。この増加はMercedes-Benzからのドライバーアシスタンスシステム、 BMWからのビジョンシステムの受注によるものから生じた。為替のマイナス影響は部分的にこの増加を相殺。

海外事業

<中国展開>
-同社は、2014年の中国での売上高は前年比8.3%増の15.2億米ドルだったと発表した。現在、同社の中国拠点の供給先は中国国内の顧客のみになっているが、今後は欧米など世界の市場へ販路を拡大したいとしている。(2015年3月16日付け各種リリースより)

買収

-2015年8月、M/A-COM Technology Solutions (MACOM) より自動車事業の買収を完了したと発表した。今回買収したMACOMの「Automotive Solutions」部門の買収金額は約1億ドル。2019年までの収益目標に向けた達成度に応じて、同社はさらに最大30百万ドルを支払う可能性がある。「Automotive Solutions」部門は、米国のマサチューセッツ州Lowellに位置し、自動車向けの組み込み式GPSモジュールの設計・開発・生産を行っている。同社は、2015年末までに同部門をLowellにある同社の拠点へ統合する計画。(2015年8月17日付プレスリリースより)

合弁事業

-同社は、ブレーキシステムのサプライヤーである日信工業と合弁会社を設立することで合意したと発表した。新会社は、グローバルライトビークル市場向けにブレーキコントロールおよびブレーキアプライシステムに関する事業に従事する。出資比率は同社が51%、日信工業が49%。手続きは2016年第1四半期はじめに完了する見込み。この合弁会社は、日本、中国、米国に生産拠点を置き、技術、販売、生産、管理などの部門に約2,000名を雇用する計画。また、3カ所のエンジニアリング拠点と2カ所のテストコースを保有し、1,200を超える特許やその他の知的財産を利用できる。新会社の事業価値は約650億円を見込んでいる。(2015年9月9日付プレスリリースより)

主な受注

-その他、2015年の主な受注:

Maker / Model Parts Supplied
BMW 「7-Series」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール、助手席用エアバッグ、プリテンショナー付きシートベルト、ナイトビジョンシステム
ホンダ 「Civic」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール、助手席用エアバッグ、サイドエアバッグ、インフレータブルカーテン、レーダーシステム
Volvo 「XC90」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール、インフレータブルカーテン、プリテンショナー付きアクティブシートベルト、セーフティエレクトロニクス
Mercedes-Benz 「GLC-Class」 プリテンショナー付きアクティブシートベルト、レーダーシステム
Audi 「A4」 サイドエアバッグ、インフレータブルカーテン、プリテンショナー付きアクティブシートベルト
Renault 「Megane」 ドライバーエアバッグ付きステアリングホイール、サイドエアバッグ、インフレータブルカーテン、セーフティエレクトロニクス、プリテンショナー付きシートベルト
起亜 「Sportage」 ドライバーエアバッグ、助手席用エアバッグ、サイドエアバッグ、インフレータブルカーテン、プリテンショナー付きシートベルト、セーフティエレクトロニクス
ホンダ 「Pilot」 インフレータブルカーテン、サイドエアバッグ、プリテンショナー付きシートベルト、レーダーシステム
現代 「Tucson」 ドライバーエアバッグ、助手席用エアバッグ、サイドエアバッグ、インフレータブルカーテン、セーフティエレクトロニクス、プリテンショナー付きシートベルト


-VWは、同社の水素を用いたインフレーター(ガス発生装置)を日本で2015年7月16日に発売した新型「Passat」の助手席用エアバッグに採用した。環境に無害なことに加えて、火薬式に比べてガスの膨張時間が短く大型のエアバッグに適している。(2015年7月17日付日刊自動車新聞より)

受賞

-同社は、同社スペインのLa Pobla de Vallbona工場がFordより2014年「Safety Supplier of the Year」および2014年「Gold Supplier of the Year」を受賞したと発表した。同工場では、運転席・助手席用エアバッグ、サイドエアバッグ、インフレーターカーテンエアバッグなどの試験および生産を行っている。(2015年6月4日付プレスリリースより)

-同社は、トヨタより「Global Contribution Award」を受賞したと発表した。同社がこの賞を受賞するのは、今回で4回目となる。さらに、「Superior Value Improvement Award」も授与された。同社は現在、エアバッグやシートベルト、ステアリングホイールをトヨタに納入している。また、日本・北米・欧州・中国にあるAutolivの技術センターは、自動車安全分野の設計工学に関する専門技術や衝突試験能力を活用してトヨタをサポートしている。(2015年3月12日付プレスリリースより)

2016年12月期の見通し

-同社は、2016年12月期の売上増加率は本業での売上成長率約5%の見込みに伴い、前年比約2%増と予測。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2015年
12月期
2014年
12月期
2013年
12月期
研究開発費 (Net) 524 536 489
売上高に占める割合 (%) 5.7 5.8 5.6


-総研究開発費 (Gross) の2%を超えるプロジェクトはなし。

研究開発体制

-6,000人以上 (全従業員数の約11%) のエンジニアが研究、製品開発、エンジニアリングに従事。

研究開発拠点

-以下10カ国に21のテクニカルセンターを保有:

  • 中国
  • フランス
  • ドイツ
  • インド
  • 日本
  • ポーランド
  • ルーマニア
  • 韓国
  • スウェーデン
  • 米国

 

研究開発活動

-同社は、世界初となる大規模な自動運転プロジェクト 「Drive Me」 への参加を発表した。同プロジェクトでは、スウェーデンGothenburgの公道において、Volvoの自動運転車100台がレジャーや通勤など日常の運転条件下で使用される予定。既存のパートナーには、Volvo Car Group、スウェーデン交通庁、Lindholmenサイエンスパーク、Gothenburg市、チャルマース工科大学が含まれる。このプロジェクトは2013年に立ち上げられた。今回の一般人による試験は2017年に開始される予定。(2015年9月30日付プレスリリースより)

製品開発

「Electronic Horizon」モジュール
-同社は、見通し外にある道路状況や情報を安全・効率化システムに伝達する 「Electronic Horizon」 モジュールの市場導入を発表した。2015年7月に発表したMACOMの自動車事業買収により実現したもの。 「Electronic Horizon」 は、デジタル地図データベースやGNSS (GPS)、慣性センサーからの道路データを用いて正確な車両の位置を特定するほか、ソフトウェアアルゴリズムにより安全性やエネルギー効率性を認識する。これにより、車両前方の道路の状況を予測することができるという。このクレジットカードサイズのモジュールは、自動車の安全仕様に準拠し、他の車載システムから独立して作動するよう設計されている。(2015年10月7日付プレスリリースより)

「トリチェリ・ブレーキ (Torricelli brake)」システム
-同社は、自動緊急ブレーキ (AEB) の停止距離を大幅に短縮する全く新しい真空ブレーキシステム「トリチェリ・ブレーキ (Torricelli brake)」を発表した。緊急ブレーキ作動時に真空の作用で吸引することにより、車両の底面に取り付けられたプレートを路面と密着させる。これにより、最高時速70kmで制動距離を最大40%短縮できるという。(2015年6月11日付プレスリリースより)

特許

-2015年12月時点、自動車安全およびその他支援技術に関する6,600件におよぶ広範な特許を保有。

2016年12月期の見通し

-同社は全社売上高の6.0%-6.5%の研究開発費を見込む。

設備投資額

(単位:百万ドル)
2015年
12月期
2014年
12月期
2013年
12月期
合計 450 453 379
売上高に占める割合 (%) 4.9 4.9 4.3


-同社は、2016年の設備投資額を売上高の約5%と見込む。