Autoliv, Inc. 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
2013年
12月期
2012年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 8,803 8,267 6.5 1)
営業利益 761 705 7.9 -
製品別売上高
エアバッグおよび関連製品 *1 5,686 5,392 5.5 2)
シートベルトおよび関連製品 *2 2,773 2,657 4.4
アクティブセーフティ 345 218 58.3

*1:ステアリングホイール、パッシブセーフティエレクトロニクス、インフレーターおよびイニシエーターの売上を含む。
*2:シート部品の売り上げを含む。

要因

1) 全社
-2013年12月期の売上高 (8,803百万ドル) は、前年比6.5%の伸びを見せた。これは2013年第4四半期の初めに予想した「5%以上」を上回る結果。要因としては通年で中国での売上が伸びたことと、アクティブセーフティ製品の売り上げが好調だったことが挙げられる。この2つの要因が本業の売上増の70%を占めている。

2) 製品別
エアバッグ
-エアバッグ製品の売上増の要因としては、ステアリングホイール、ニーエアバッグ、歩行者保護用エアバッグ、パッシブセーフティーエレクトロニクスの受注増。

シートベルト
-シートベルト製品の売上は、特に中国および南米で好調に推移。マイナス要因としては、Autoliv Mekan ABを2012年に売却したことによる売上減0.6%。

アクティブセーフティ
-アクティブセーフティの売上増はほとんどすべての部品分野で見られた。特にレーダー関連製品の売上増が顕著で、Mercedesが大半のプラットフォームに衝突警告システム (CPA) を採用したことが大きな要因。BMWにビジョンシステムが、Mercedesにナイトビジョンシステムが採用されたことも売上増に寄与した。

地域別
-2013年12月期の売上高 (8,803百万ドル) の内訳は、アジア (中国、日本、その他アジア) 34%、アメリカ 33%、欧州33%。 売上において初 めてアジアが首位となった。

主な受注

-2012年に実施したユーロNCAP (New Car Assessment Program) の衝突試験において、5つ星を獲得した8モデルに同社のパッシブおよびアクティブセーフティシステムが採用されていると発表した。今回選出されたモデルは、Renault 「Clio」、Volvo 「V40」、Fiat 「500L」、Ford 「Kuga」、Ford 「B-MAX」、現代 「Santa Fe」、BMW 「3 Series」、Ford 「Transit」。これらのモデルには、サイドエアバッグ、フロントエアバッグ、インフレーターカーテン、歩行者保護用エアバッグ、ステアリングホイール、パッシブセーフティエレクトロニクス、シートベルト、新型アクティブセーフティシステムなど、さまざまなAutoliv製品が搭載されている。 (2013年1月30日付プレスリリースより)

-同社の暗視システム「Night Vision」がBMWの歩行者照明システム「Dynamic Light Spot」に採用されたと発表した。この「Dynamic Light Spot」はAutoliv製のセンサーおよびカメラを用いて、車道の端にいる歩行者にスポットライトを当てるシステム。これにより、ドライバーは遠距離からでも潜在的な危険を認識することが可能になるとともに、道路から視線をそらすことなく歩行者を確認できる。 (2013年1月15日付プレスリリースより)

-その他の主な採用例
メーカー・モデル 搭載部品
Jeep 新型 「Cherokee」 インフレーターカーテン、サイドエアバッグ、プリテンショナー付きシートベルト、レーダーシステム
新型 「Mini」 エアバッグ付きステアリングホイール、ニーエアバッグ、インフレーターカーテン、サイドエアバッグ、プリテンショナー付きシートベルト、ビジョンシステム
Mercedes 新型 「S-Class」 エアバッグ付きステアリングホイール、骨盤エアバッグ、プリテンショナー付きアクティブシートベルト、ベルト内エアバッグ、ケーブルカッター、ナイトビジョン、レーダーシステム
Chevrolet 新型 「Silverado」 エアバッグ付きステアリングホイール、サイドエアバッグ
新型 「Range Rover Sport」 助手席用エアバッグ、サイドエアバッグ、プリテンショナー付きアクティブシートベルト、安全エレクトロニクス
Citroen 新型 「C4 Picasso」 エアバッグ付きステアリングホイール、助手席用エアバッグ、安全エレクトロニクス、プリプリテンショナー付きアクティブシートベルト、プリテンショナー付きシートベルト
BMW 新型 「X5」 プリテンショナー付きアクティブシートベルト、ナイトビジョン、ビジョンシステム
Peugeot 新型 「308」 エアバッグ付きステアリングホイール、助手席用エアバッグ、プリテンショナー付きシートベルト、安全エレクトロニクス
Nissan 新型 「X-Trail/Rogue」 インフレーターカーテン、サイドエアバッグ、安全エレクトロニクス

受賞

-Volvoより「Excellence Award」を受賞した。世界初の歩行者保護エアバッグの開発が評価されたもの。この新型エアバッグはVolvo 「V40/XC40」に初搭載され、ユーロNCAPの衝突試験において最高評価獲得に貢献した。 (2013年12月30日付プレスリリースより)

-Fiat Chryslerより「Supplier of the Year」を受賞した。同社は現在、Fiat Chryslerグループにレーダーシステム、エアバッグ、シートベルト、ステアリングホイール、セーフティエレクトロニクスを納入している。同グループ向けの売上高は、Autoliv全体の売上高の7%を占める。 (2013年11月18日付プレスリリースより)

2014年12月期の見通し

-同社は、2014年12月期の売上は前年比約5%の増加、営業利益は約9%の増加を予測。これらは生産能力の調整費用とアンチトラスト調査の費用を除外している。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
2013年
12月期
2012年
12月期
2011年
12月期
合計 634 598 568
売上高に占める割合 (%) 7.2 7.2 6.9

研究開発体制

-約5,000人のエンジニアが研究、製品開発、アプリケーションエンジニアリングに従事。
- 9カ国にテクニカルセンターを保有。
-どの研究開発プロジェクトも研究開発費の3%を超えない。

製品開発

ビジョンセンサーシステム
-新たにステレオビジョンセンサー (SVS) システムを開発した。これまでのモノビジョンシステム (MVS) では、1個のカメラが速度標識認識、車線逸脱警告、自動緊急ブレーキなどの機能に使用されている。これに、もう1つカメラを追加して連携させることで、車両の前方を3次元で捉えることが可能になる。これにより、1回の測定サイクルで車両正面にあるさまざまな物体までの距離や、それらの形状・大きさを計測できる。また、車両に接近する対象物の進行方向と速度の計測も可能。歩行者に接触する可能性があるかなどを判断し、ドライバーへの警告やブレーキの作動を行う。このシステムの視野は50度で、120mの距離にある物体まで測定できる。同社は、2015年に欧州高級車メーカーのモデル向けに、このSVSシステムの納入を開始する予定。 (2013年5月14日付プレスリリースより)

シートベルト
-Daimlerと共同で、新型シートベルト「Bag-in-belt」を開発したと発表。Mercedes-Benz 「S-class」 に初搭載される。この「Bag-in-belt」はシートベルトとエアバッグを組み合わせることで、正面衝突における乗員の胸郭への負荷をさらに軽減するもの。エアバッグ展開と同様に、ガス発生装置が多層構造のウェビングを膨張させることで、ベルトの表面積が3倍になる。これにより衝撃を分散させ、乗員が負傷するリスクを低減することができる。 (2013年1月16日付プレスリリースより)

アクティブセーフティとパッシブセーフティの融合-電子コントロールユニット
-世界初の統合慣性測定ユニットを開発した。拘束システムおよび横滑り防止装置 (ESC)、アンチロックブレーキシステム (ABS)、自動トラクションコントロール (ATC) といったブレーキコントロールを統合したもので、2014年に製品化される予定。

-次世代のコントロールユニットとして電子安全ドメインコントロール (Electronic Safety Domain Control: ESDC) を開発している。車周辺の環境をモニターし、車両の動作をコントロールするもので、安全に関わるすべてのセンサーとアクチュエーターをリンクさせる。

特許

-1カ国以上の国で登録されたパッシブセーフティに関する出願特許のうち、同社は8%を占める。 (2011年の公的統計による)
-同社保有の自動車安全およびそのためのキーテクノロジーに関する特許数は6,600件以上。 (2012年12月末時点)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
2013年
12月期
2012年
12月期
2011年
12月期
合計 379 360 357
売上高に占める割合 (%) 4.3 4.4 4.3

-同社は、2014年の設備投資額として売上高の4.5% - 5.0%を見込む。主に中国およびその他成長地域の生産能力の増強にあてる。

海外投資

<中国>
-約50百万ドルを投じて中国に繊維工場を建設すると発表した。中国およびその他アジア地域におけるエアバッグの需要増に対応する目的。同拠点は織物工場、エアバッグクッション工場、開発センターで構成。
・織物工場は、床面積8,000平方メートル超で、従業員数は約150名の見込み。
・ほぼ同じ面積の別の建物では、エアバッグクッションの生産を行う予定。上海の既存工場で、エアバッグモジュールの生産能力を拡大することに伴い、クッションの生産を同工場へ移転するもの。従業員数は約1,000名にのぼるとみられる。
・エアバッグクッションおよび繊維の開発センターも建設予定で、アジア地域における標準化設計に注力する。
(2013年6月28日付プレスリリースより)

<タイ>
-タイのChonburiにエアバッグ工場の建設を開始した。同社の既存のエアバッグ工場に隣接する。新工場の面積は4,800平方メートルで、投資額は3百万ドル。2013年9月に稼動する予定。 (2013年5月8日付プレスリリースより)