AB SKF 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万スウェーデンクローナ)
2017年12月期 2016年12月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 77,938 72,589 7.4 1)
営業利益 8,592 7,527 14.1 2)
-自動車部門
-売上高 23,966 22,001 8.9 3)
-営業利益 1,321 1,419 (6.9) -

要因

1) 全社売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比7.4%増の77,938百万スウェーデンクローナ。為替の影響で0.8%の好影響があった。構造変化により-1.6%の影響があった。全地域における販売数量の増加が、現地通貨での売上高8.2%増加に寄与した。

2) 全社営業利益
-2017年12月期の営業利益は、前年比14.1%増の8,592百万スウェーデンクローナ。本業の売上および生産量の増加、コスト削減プログラムにより増益となった。

3) 自動車部門売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比8.9%増の23,966百万スウェーデンクローナ。



BeyondZero ポートフォリオ戦略

-省エネやCO2削減など顧客の環境対策に貢献する製品とソリューションに注力。

-BeyondZero ポートフォリオ製品は下記の自動車部品。

  • シールドエネルギー効率深溝玉軸受 (Sealed Energy Efficient (E2) deep groove ball bearings)
  • トラック・トレーラー・バス用タイヤ空気圧モニタリングシステム (Tyre pressure monitoring systems for trucks, trailers and buses)
  • モーターエンコーダーセンサー軸受ユニット (Motor encoder sensor-bearing units)
  • ローターポジショニング軸受 (Rotor positioning bearing)
  • ローターポジショニングセンサー軸受ユニット (Rotor positioning sensor-bearing units)
  • 低摩擦エンジンシール (Low friction engine seal)
  • 軽量ハブ軸受ユニット (Low weight hub bearing units)
  • eDriveボール軸受 (eDrive ball bearings)
  • 低摩擦ハブ軸受ユニット (Low friction hub bearing units)
  • 高圧バルブステムシール (High pressure valve stem seal)
  • 低摩擦ドライブラインソリューション (Low friction driveline solutions)
  • 低摩擦 X-トラッカー (Low friction X-Trackers)
  • ハブ軸受ユニットシール (Hub bearing unit seal)
  • ターボチャージャーボール軸受ユニット (Turbocharger ball bearing units)
  • トラック用テーパーローラ―軸受 (Energy Efficient (E2) tapered roller bearings for trucks)
  • バスドアアクチュエーター (Bus door actuators)
  • 電気自動車用ソリューション (Solutions to fully electric vehicles)
  • 潤滑剤 (Low friction grease)



受注

-同社は、FCAが最近市場投入したSUV「Alfa Romeo Stelvio」に同社の第3世代ハブベアリングユニット「HBU3」が搭載されていると発表した。「HBU3」は、複列アンギュラ玉軸受で、必要な与圧を供給するに見合うリング及びボールを装備している。同社は、「Stelvio」に3種類の「HBU3」を供給している。具体的には、非従動輪向けに1つ、2輪駆動及び4輪駆動の従動輪向けに2つ供給しており、トルクの最大出力510hpを実現できるように設計されている。FCAは、同社にとって戦略的パートナーであり、「HBU3」の他にも、2.2Lディーゼルエンジン向けにバルブステムシールとリアクランクシャフトシールを供給している。 (2017年6月15日付プレスリリースより)

-同社は、同社の第3世代のフロントおよびリアのホイールハブベアリングユニット「HBU3」が、FCAのコンパクトSUVの新型Jeep「Compass」に採用されたと発表した。「HBU3」は、ハイレベルな性能と摩擦低減とを実現する軽量のホイールベアリングシステム。「Compass」向け「HBU3」は、韓国の釜山とブラジルCajamarにある工場で生産される。同社は、同車にエンジンとギアボックスシールも供給する予定。(2017年10月23日付プレスリリースより)



損害賠償請求の和解

-同社は、BMWが提訴した欧州委員会が定める欧州競争法違反に関する損害賠償請求について、両社の間で和解に至ったと発表した。BMWは2016年11月、同社を含むベアリングメーカー数社に対して訴訟を起こしていた。今回の和解は損害賠償責任の承認ではなく、両社の長年にわたる取引関係を継続するために行われた。(2017年8月3日付プレスリリースより)



事業提携

-常州光洋軸承股份有限公司は2017年7月20日、同社と戦略提携大枠合意書を結んだ。合意書によると、同社は既存の第三者サプライチェーンを利用し、ニードルローラベアリング の供給範囲を拡大する。光洋軸承は同社の顧客に対しニードルローラベアリングを供給する。両社は欧米、アジアの、EV及び新エネルギー車を含む自動車市場を共同で開拓する。(2017年7月25日付け会社公告より)



インドにおける事業

-同社 Indiaは、2016-2017年度の売上高が前年比38億ルピー減の280億ルピーだったと発表した。税引き後利益は前年比120百万ルピー減の2,438.9百万ルピー。同社は2015-2016年度より、会計年度を暦年から4-3月に変更している。2016-2017年度は会計期間12カ月、2015-2016年度は15カ月間であったため、前年比較は実数値に相当しない。(2017年5月26日付プレスリリースより)



研究開発費

(単位:百万スウェーデンクローナ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 2,395 2,246 2,372
売上に占める割合 (%) 3.1 3.1 3.1



研究開発拠点

-グローバルテクニカルセンター2拠点(中国、インド)に加えて、テクニカルセンター18拠点 (日本、米国、オランダ、スウェーデン、ドイツ、イタリア、フランス、オーストリアを含む) を保有。



製品開発

ロータリーポジションベアリング(RPB)
-同社は、すべてのベルト駆動型スタータージェネレーター (BSG) に適合し、12Vと48Vに対応可能な、新たなコンパクト設計のロータリーポジションベアリング(RPB)を開発したと発表した。ハイブリッド車市場の急速な成長に伴い、新規参入企業からのBSG需要が増加。同社は、コンパクトかつ強靭な構造を持ち、現在と将来のBSGに容易に統合できる、ユニバーサル設計の同RPBの供給を加速し、これに対応するとしている。(2017年12月11日付プレスリリースより)

ベルト駆動型スタータージェネレーター (BSG) システム
-同社は、48Vパワートレインシステムの一部を構成するベルト駆動型スタータージェネレーター (BSG) システムを開発したと発表した。このBSGの最新バージョンでは、電気自動車およびハイブリッド車向け、新型ローター位置決め軸受ベアリングが開発された。同ベアリングは、同期式または誘導式のトラクションモーターに適用することが可能。同社はまた、速度、負荷、耐熱性能を改善させながら、コンパクトな48Vベルト式オルタネータースターター (BAS) を実現した。 (2017年4月6日付プレスリリースより)

高性能RSHシール
-同社は、高性能RSHシールの設計を現行よりも大型の同社 Explorer深溝ボール軸受に展開する準備を進めていると発表した。RSHシールは、高度に最適化されたデュアルリップ構造によって条件の厳しい環境下でも高い保護力を発揮する。特に高湿度や、汚染された条件または粉塵の多い運転条件において、軸受の寿命が延び、交換頻度が低くなる。(2017年3月13日付プレスリリースより)



特許

-2017年、192件の先願特許を申請。



設備投資額

(単位:百万スウェーデンクローナ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 2,408 2,209 2,310
-自動車部門 594 520 394



海外投資

<インド>
-同社 Indiaは、過去3年間と比較して今後3年間は資本構成を倍増させると発表した。新製品投入に伴い、3年間の後半に設備投資によって生産能力を増強する。同社では、3つのプロジェクトに総額10億ルピーを投資する計画。同社は独自のテーパーハブユニットを生産、また乗用車用ベアリングおよび商用車用ピニオンベアリングも開発中。(Based on SKF India investor conference call Q4, FY 2016-17)

<マレーシア>
-同社は、45百万クローナを投資してマレーシアNilaiにおける球面ころ軸受(SRB)の生産能力を拡張すると発表した。この投資により、同社グループ生産能力の稼働率向上を目指す。新工場は2017年末に操業開始予定。(2017年3月30日付プレスリリースより)

<中国>
-同社は、70百万クローナを投資して大連にローラー工場を開設すると発表した。すでに投資を開始しており、2017年中にはローラーの生産が行われる見込み。(2017年1月16日付プレスリリースより)

<ドイツ>
-同社は、ドイツSchweinfurtにある大型ベアリングの生産工場に145百万クローナを追加投資すると発表した。投資の一環として、リセットタイムの短縮とバッチサイズのフレキシビリティを可能にする最新式の接続ソリューションを組み込んだ設備を導入する。今回の投資は2018年に完了予定で、リードタイムの50%削減を見込む。同社は最近3カ月間で、Schweinfurt工場に総額295百万クローナを投資している。(2017年1月16日付プレスリリースより)