AB SKF 2016年12月期の動向
業績 |
(単位:百万スウェーデンクローナ) |
2016年 12月期 |
2015年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 72,787 | 75,997 | (4.2) | 1) |
営業利益 | 7,527 | 6,968 | 8.0 | 2) |
-自動車部門 | ||||
-売上高 | 22,005 | 21,942 | 0.7 | 3) |
-営業利益 | 1,424 | 739 | 92.7 | - |
要因
1) 全社売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比4.2%減の72,787百万スウェーデンクローナ。欧州で売上が増加したものの、構造変化、為替の影響、北米・アジア・ラテンアメリカでの減収により全社でも減収となった。
2) 全社営業利益
-2016年12月期の営業利益は、前年比8.0%増の7,527百万スウェーデンクローナ。売上および生産量の減少、顧客ミックスの変化、販売価格上昇、会社売却、物価上昇の影響を受けたものの、単発品目のコスト低減、コスト削減プログラム、原料価格の低下が増益に寄与した。
3) 自動車部門売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比0.7%増の22,005百万スウェーデンクローナ。ハブ軸受ユニット、EV用パワートレイン部品の売上増が貢献した。
BeyondZero ポートフォリオ戦略
-省エネやCO2削減など顧客の環境対策に貢献する製品・サービスに注力。
-2016年12月期、BeyondZero ポートフォリオ製品およびサービスの売上は約6,800百万スウェーデンクローナに達する見込み。
-BeyondZero ポートフォリオ製品・サービスの主な対象製品 (自動車関連) は以下の通り。
- 密閉型高エネルギー効率深溝玉軸受 (Sealed Energy Efficient (E2) deep groove ball bearings)
- トラック・トレーラー・バス用タイヤ空気圧モニタリングシステム (Tyre pressure monitoring systems for trucks, trailers and buses)
- モーターエンコーダーセンサー軸受ユニット (Motor encoder sensor-bearing units)
- ローターポジショニング軸受 (Rotor positioning bearing)
- ローターポジショニングセンサー軸受ユニット (Rotor positioning sensor-bearing units)
- 低摩擦エンジンシール (Low friction engine seal)
- 軽量ハブ軸受ユニット (Low weight hub bearing units)
- eDriveボール軸受 (eDrive ball bearings)
- 低摩擦ハブ軸受ユニット (Low friction hub bearing units)
- 高圧バルブステムシール (High pressure valve stem seal)
- 低摩擦ドライブラインソリューション (Low friction driveline solutions)
- 低摩擦エックストラッカー (Low friction X-Trackers)
- ハブ軸受ユニットシール (Hub bearing unit seal)
- ターボチャージャーボール軸受ユニット (Turbocharger ball bearing units)
- トラック用テーパーローラ―軸受 (Energy Efficient (E2) tapered roller bearings for trucks)
- バスドアアクチュエーター (Bus door actuators)
- 電気自動車用ソリューション (Solutions to fully electric vehicles)
- 潤滑剤 (Low friction grease)
事業再編
-北米における生産体制を再編すると発表した。再編により、カリフォルニア州San Diego工場及びメリーランド州Baltimore工場は閉鎖される予定。また、ペンシルバニア州Hanover拠点の生産ラインをジョージア州Flowery Branch拠点へ移す計画で、これにより球面ころ軸受及び大型ころ軸受の生産をFlowery Branch工場に集中させる。生産基盤を強化し、効率性を高めることにより北米顧客への対応を強化する。同社ではこれら拠点の再編について18~24カ月要すると見ている。(2016年6月9日プレスリリースより)
受注
-フロントおよびリアホイールハブベアリングユニットがCadillac「CT6」の2016年モデルに採用されたと発表した。このハブベアリングユニットはGMと共同開発したもので、メキシコのPuebla工場で生産される。(2016年12月8日付プレスリリースより)
-Alfa Romeoの新型「Giulia」に同社のホイールハブベアリングユニット「HBU3」が採用されたと発表した。(2016年9月27日付プレスリリースより)
-Scaniaの次世代トラック向けにベアリング、シール、リニアアクチュエーターを納入している。対象となるのは、ギアボックスベアリング、プロペラシャフトベアリング、エンジンベアリング、シールが含まれる。また、リニアアクチュエーターを用いて調整しやすくしたウィンドディフレクターのほか、従来のホイールベアリングセットに比べて最大30%の摩擦低減を実現したトラック向けのフロントおよびリアホイールハブユニットも納入している。(2016年9月8日付プレスリリースより)
-FCA GroupのコンパクトSUVモデル「Jeep Renegade」向けに、フロントおよびリアホイール用のハブベアリングユニット、ショックアブソーバーシール、トランスミッションシール、エンジンシールを納入すると発表した。FCAは、2015年4月にブラジルのペルナンブーコ州Goianaに「Jeep」の生産工場を開設した。SKFは、同社のグローバルネットワークを利用しながら、同地でFCAをサポートする。SKFはすでに、「Jeep Renegade」とプラットフォームを共有するFiat 「500X」向けに同様の部品を納入している。同社は現在、イタリア、ドイツ、韓国、ブラジルの拠点でベアリングユニットおよびシールを生産している。(2016年2月23日付プレスリリースより)
受賞
-American Axle & Manufacturing (AAM) より「Supplier Recognition Award」を受賞したと発表した。SKFはAAMにグローバルで製品を納入している。ドライブラインシステムおよびドライブトレインシステム向けのシールやベアリングが対象となる。(2016年7月19日付プレスリリースより)
研究開発費 |
(単位:百万スウェーデンクローナ) |
2016年12月期 | 2015年12月期 | 2014年12月期 | |
全社 | 2,246 | 2,372 | 2,078 |
売上に占める割合 (%) | 3.1 | 3.1 | 2.9 |
研究開発拠点
-グローバルテクニカルセンター2拠点(中国、インド)に加えて、テクニカルセンター18拠点 (日本、米国、オランダ、スウェーデン、ドイツ、イタリア、フランス、オーストリアを含む) を保有。
製品開発
ハブベアリング・ユニットのインボードシール
-競合製品と比べて摩擦を50%低減するハブベアリング・ユニットのインボードシールを新たに開発、導入した。長期の使用に耐える卓越したシーリング性能と、車両全体の効率性向上を結合させる技術としている。堅牢なカセットシールは現行のABSエンコーダーを備え、外部リップ部と理想的な渦巻き状のデザインにより汚れを集めて主部ラジアルリップの外に流し出す。このラジアルリップは、低摩擦グリースと相まって、干渉や接触圧力の配分を平準化するとともに、静止状態での保護を確かなものにする。SKFシーリングソリューションの事業開発マネージャー、Ronnie Spolidoro氏は、「この洗練かつ堅牢なデザインにより、SKFのハブベアリングユニットシールとして、最も低いレベルまで摩擦を減らすことができた。これは0.1Nmほどの負荷時ベアリング摩擦になる」 としている。(2016年12月7日付プレスリリースより)
特許
-2016年、191件の先願特許を申請。
設備投資額 |
(単位:百万スウェーデンクローナ) |
2016年12月期 | 2015年12月期 | 2014年12月期 | |
全社 | 2,209 | 2,310 | 2,644 |
-自動車部門 | 520 | 394 | N/A |
2016年の事業再編のため2014年12月期の数字はN/A。
海外投資
<インド>
-インドPuneのChakanに集中ディストリビューションセンターを開設すると発表した。64,000平方フィートに及ぶこのIndia Distribution Centre (IDC) は、Maharashtra工業地帯に戦略的に配置され、主要な自動車メーカーにも近い。工場との連携を良くすることで在庫確認がより容易になるとともに、顧客に最短時間で供給することが可能になる。また、本施設はまもなく導入されるGST (物品・サービス税) にも対応する。同センターは最新の物流インフラと、SKFが世界規模で展開する物流オペレーションのベストプラクティスを結合させるものである。(2016年12月14日付プレスリリースより)
<ドイツ>
-ドイツのSchweinfurtの円筒ころ軸受工場の改修に150百万クローナを投資すると発表した。これはスウェーデンのGothenburg、米国のFlowery Branchに次いで、最近1年半に同社が発表した3番目に大きな設備投資となる。改修は2018年中頃までに完了する見込み。(2016年11月3日付プレスリリースより)
<北米>
-メキシコのZapopanに新たにシール製品工場を開設したと発表した。新工場はGuadalajaraにある既存のシール工場の近郊に位置し、主に北米にある自動車メーカー向けの生産拡大に貢献する。今後6カ月の間に生産量を増やしていく。同時に、現在閉鎖手続きを行っている米国オクラホマ州のHobart工場から生産を移転させる計画。(2016年3月30日付プレスリリースより)