AB SKF 2015年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万スウェーデンクローナ)
  2015年
12月期
2014年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 75,997 70,975 7.1 1)
営業利益 6,968 7,801 (10.7) -
-自動車部門
-売上高 19,908 18,330 8.6 2)
-営業利益 575 571 0.7 -


要因
1) 全社売上高
-2015年12月期の売上高は、前年比7.1%増の75,997百万スウェーデンクローナ。為替の影響を除くと、2.6%の減収。主な減収要因は、北米とアジアにおける販売量の減少。

2) 自動車部門売上高
-2015年12月期の売上高は、前年比8.6%増の19,908百万スウェーデンクローナ。為替の影響を除くと、0.3%の増収。ハブ軸受ユニットの売上が順調に伸び、市場シェアの拡大に成功。

2016年全社財務目標

  • 売上高: 為替の影響を除き、前年比5%増。
  • 営業利益率: 12% (2015年実績:9.2%)

BeyondZero ポートフォリオ戦略

-省エネやCO2削減など顧客の環境対策に貢献する製品・サービスに注力。

-BeyondZero ポートフォリオ製品・サービスの売り上げは2011年の2,500百万スウェーデンクローナから2016年には10,000百万スウェーデンクローナまで拡大する計画。
-2015年のBeyondZero ポートフォリオ製品およびサービスの売り上げは前年比8.0%増の5,930百万スウェーデンクローナ。

-BeyondZero ポートフォリオ製品・サービスの主な対象製品 (自動車関連) は以下の通り。

  • 密閉型高エネルギー効率深溝玉軸受 (Sealed Energy Efficient (E2) deep groove ball bearings)
  • トラック・トレーラー・バス用タイヤ空気圧モニタリングシステム (Tyre pressure monitoring systems for trucks, trailers and buses)
  • モーターエンコーダーセンサー軸受ユニット (Motor encoder sensor-bearing units)
  • ローターポジショニング軸受 (Rotor positioning bearing)
  • ローターポジショニングセンサー軸受ユニット (Rotor positioning sensor-bearing units)
  • 低摩擦エンジンシール (Low friction engine seal)
  • 軽量ハブ軸受ユニット (Low weight hub bearing units)
  • eDriveボール軸受 (eDrive ball bearings)
  • 低摩擦ハブ軸受ユニット (Low friction hub bearing units)
  • 高圧バルブステムシール (High pressure valve stem seal)
  • 低摩擦ドライブラインソリューション (Low friction driveline solutions)
  • 低摩擦エックストラッカー (Low friction X-Trackers)
  • ハブ軸受ユニットシール (Hub bearing unit seal)
  • ターボチャージャーボール軸受ユニット (Turbocharger ball bearing units)
  • トラック用テーパーローラ―軸受 (Energy Efficient (E2) tapered roller bearings for trucks)
  • バスドアアクチュエーター (Bus door actuators)
  • 電気自動車用ソリューション (Solutions to fully electric vehicles)
  • 潤滑剤 (Low friction grease)

業務提携

-2015年8月、同社の米国子会社であるGeneral Bearing Corporation (GBC) は、常州光洋軸承股份有限公司 [Changzhou Guangyang Bearing Co., Ltd.] と 「ニードルローラー軸受に関する戦略的提携の枠組み合意書」 を締結した。常州光洋軸承股份有限公司はGBCに北米自由貿易地域で販売する製品を提供する。GBCは北米自由貿易地域の市場開拓と受注獲得を担い、製品設計と開発に協力する。2社が共同で販売する製品のブランドは 「HYATT-CTC」 とする。GBCは主にテーパーローラ軸受、ボール軸受の開発、生産、販売を行っている。 (2015年8月17日付け会社公告より)

受注

-2015年の主な受注

納入先 モデル 製品 納入
開始
時期
吉利汽車 (Geely) 次世代モデル
ホイールハブ軸受ユニット、MacPhersonサスペンション用軸受ユニット (MSBU) 2017年
上期
MAN、Scania
トラック ホイールエンドユニット 2015年
9月
Volkswagen メキシコ製 「Golf VII」
*VolkswagenのMQBプラットフォーム
ホイールハブ軸受ユニット、MacPhersonサスペンション用軸受ユニット (MSBU) 2015年
第1四半期
ホンダ インドネシア製 「Jazz」 ホイールハブ軸受ユニット 2015年下期
上海汽車変速器有限公司
「Shanghai Automobile Gear Works Co., Ltd. (SAGW)]
経由、
上汽GM、上汽GM五菱、海馬汽車
新型ギアボックス
トランスミッション用軸受、トランスミッションシール -
Koenigsegg
スーパーカー 「Regera」、「Agera RS」、「ONE:1」 フロント・リアホイール軸受ユニット -
PSA Citroen 「C4 Cactus」、Peugeot 「2008」 フロント・リアホイール軸受ユニット、MacPhersonサスペンション用軸受ユニット (MSBU)、
クラッチ軸受ユニット、エンジンシール、ギアボックス軸受
-
Volvo
次世代モデル ホイールハブ軸受ユニット -
FCA
Fiat 「500X」 フロント・リアホイール軸受ユニット、ショックアブソーバー・エンジン・トランスミッション向けのシール

受賞

-2015年の主な受賞

授与者 受賞工場 受賞名
PSA
フランスSaint-Cyr工場、スペインTudela工場 Best Plant Award
上海汽車変速器有限公司 「Shanghai Automobile Gear Works Co., Ltd. (SAGW)]
*2014年に戦略的提携契約を締結
中国 Best Supplier Award
南京高速歯輪製造有限公司
[Nanjing High Speed Gear Manufacturing Co., Ltd.]
中国 2014 Best Supplier Award

研究開発費

(単位:百万スウェーデンクローナ)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 2,372 2,078 1,840
売上に占める割合 (%) 3.1 2.9 2.9

研究開発拠点

-世界18カ所 (中国上海市、インドBengaluru、米シカゴ、スウェーデンGothenburg、オランダNieuwegein等) にテクニカルセンターを保有

特許

-2015年、461件の先願特許を申請。(2014年は488件)

開発プロジェクトに参加

-スウェーデンGoteborgにある同社 「Automotive Development Centre」 は、EUが出資する開発プロジェクト 「EVE:Innovative Engineering of Ground VEhicles with Integrated Active Chassis Systems (アクティブシャシーシステムを統合した地上車両の革新的エンジニアリング)」 へ参加している。このプロジェクトでは、安全性・燃費・運転快適性を向上させる新たな車両部品の開発を目指す。また、オンロード・オフロードモビリティに使用するブレーキ、アクティブサスペンション、タイヤ空気圧制御システム向けのハードウェアサブシステムの開発も行う。さらに、パートナー間で統合シャシーシステム用の分散型ネットワーク車両試験プログラムも独自に構築する計画。11の機関や企業が参加しており、欧州委員会の研究イノベーションプログラム 「Horizon 2020」 の一環となる。 (2015年3月31日付プレスリリースより)

開発方針

-低摩擦、軽量化、小型化、材料の開発 (例としてポリマー素材のハブ軸受)、センサーの融合

製品開発

第3世代ハブ軸受ユニット 「HBU3」
-予圧範囲を縮小した第3世代のハブ軸受ユニット 「HBU3」 の最新バージョンを発表した。この製品は乗用車やバン向けで、摩擦を最大で10%低減しがならCO2排出を最小限にできるという。内部部品の設計の見直しや生産・組立プロセスの改善により、予圧範囲の縮小を実現した。 (2015年4月27日付プレスリリースより)

低ノイズステアリングコラム用軸受
-騒音レベルを大幅に低減する新しいステアリングコラム用軸受を開発したと発表した。この予圧付与ワイヤ・ステアリングコラム軸受 (P-WSCB) は、Tier1サプライヤー向けで、自動車メーカーの低騒音仕様に対応する製品となる。ワイヤ軌道輪の間にギャップを持たせることで軸受外輪に自由度を与え、ハウジングとのしまりばめを実現する。このギャップの最適化により、軸受の騒音を低減した。また、内輪の表面粗さの軽減、鋼球の高グレード化、グリース封入量の最適化もノイズ低減に貢献する。この新しい軸受は、高性能車や電気自動車での採用が見込まれるという。 (2015年3月10日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万スウェーデンクローナ)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 2,063 1,852 1,746
-自動車部門 559 635 630

国内投資

-スウェーデンのGothenburgにある拠点に190百万スウェーデンクローナ (約21.9百万ドル) を投じて、球面ころ軸受の生産ラインをアップグレードすると発表した。世界水準の生産プロセスの開発を目指す同社の計画の一環となる。今回のプロジェクトは、2016年末までに完了する見込み。 (2015年4月17日付プレスリリースより)

海外投資

<インドネシア>
-Jakarta拠点に新たに生産ラインを開設した。新ラインでは、単列深溝玉軸受と複列アンギュラ玉軸受の2種類の製品ラインを生産できる。このフレキシブル生産システムにより、同社はホンダ 「Jazz」 向けにホイールハブ軸受ユニットを受注した。2015年下期から2017年まで納入する。(2015年4月22日付プレスリリースより)

再編 (自動車部門)

  • 米国のシール工場が閉鎖され、メキシコに生産移管。
  • スウェーデンのキット事業が閉鎖され、フランスに生産移管。
  • フランスの部品工場が閉鎖され、生産を外注化。