AB SKF 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万SEK)
  2012年
12月期
2011年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 64,575 66,216 (2.5) -
営業利益 7,333 9,612 (23.7) -
自動車部門
売上高 17,123 18,043 (5.1) 1)
営業利益 467 1,477 (68.4) -

要因
1) 自動車部門
-2012年12月期の売上高は、前年比5.1%減となった。本業の売上が3.4%減少したことに加え、為替差損 (1.7%) により売上高が押し下げられた。

受注

-同社はAudiとの間で部品の供給契約を締結した。同社の部品は複数のモデルに採用される予定。受注金額はおよそ10億スウェーデンクローナ (約116百万ユーロ)。今回の受注にはホイールエンド用の4種類のホイールベアリングユニットのほか、新型ダブルクラッチトランスミッション用の様々なベアリングが含まれる。同社のベアリングユニットにはアクティブABSシステム用のものがあり、Audiの「MLB Evo」プラットフォームを採用したコンパクトカーからSUVまで、様々なモデルに対応する柔軟な設計で費用効率性も備えている。また、トランスミッションとクラッチベアリングは、Audiの特殊なダブルクラッチトランスミッションに対応が可能となる。なお、これらの部品の納入は、同社のスペインおよびイタリア拠点から2013年に開始される予定。(2012年11月27日付プレスリリースより)

-スムーズなドア開閉を可能にするバス用アクチュエーターシステム「Bus Door Actuator」をVolvoに供給すると発表した。Volvoと共同開発したこのアクチュエーターは、従来の空気式ドアシステムに比べて80-90%の電力消費削減を実現するとともに、燃費は約2%向上。これは、空気圧でドアの開閉を行うバスに比べて、CO2排出量を年間1.9トン削減することになる。同社は、Volvoへの納入を2013年第1四半期に開始する予定。生産はスウェーデンのGothenburg拠点で行う。なお、Volvoは2012年9月にドイツHannoverで開催されたモーターショーにおいて、このアクチュエーターを搭載したハイブリッドバス「7900」を展示した。(2012年10月8日付プレスリリースより)

-Volvoの新型「V40」向けに、リアホイールハブベアリングユニットとフロントサスペンションベアリングユニットを供給する契約を締結したと発表。契約期間は、搭載車両のモデル終了までの7年間。同社はイタリアおよびフランスでこれらの部品の生産を行っており、既に納入を開始している。(2012年6月21日付プレスリリースより)

-Scaniaよりトラック向けのホイールエンドユニットおよびトランスミッション用ベアリングを受注し、Scaniaのブラジル工場へ供給すると発表。契約期間は3年間で、受注金額は約150百万スウェーデンクローナ (約17百万ユーロ)。同社はまず欧州から供給を行うが、2012年中にブラジルのCajamar工場において現地生産を開始する予定。(2012年2月7日付プレスリリースより)

-中国重型汽車 (China National Heavy Duty Truck Group Corporation: CNHTC) に供給するスプリットトラックハブユニットの生産を開始。同製品はフロントおよびリアトラックアクスルに使用される。

-Mazda 「CX-5」にAT用一体型ピストンシールを供給。

-トラックのリアアクスル用円錐ころ軸受をいすゞと日野に供給開始。

-2012年、同社はGMより次世代グローバルモデルおよびパワートレインプラットフォーム向けハブユニット軸受とトランスミッション軸受を受注。

企業買収

-General Bearing Corporation (GBC) の買収を完了したと発表。買収金額は約125百万米ドル。米国ニューヨーク州West Nyackを本拠とするGBCは、従業員1,750名を抱え、このうちの大部分が中国の4工場に勤務している。2011年の売上額は約155百万米ドル。トラック、トレーラー、自動車、産業機器など輸送市場向けに、メーカーおよびエンドユーザー用製品の生産を行っている。なおGBCは今後、SKF Group傘下の独立子会社として操業を続ける予定。(2012年8月3日付プレスリリースより)

事業提携

-2012年、同社と米国を拠点とするインホイールモーター製造メーカーProtean Electricと事業提携契約を締結。同社はProtean Electricのインホイールモーターにシール・センサー一体型ホイール軸受システムを供給する。今後、市場機会を探りながら、さらなる分野での協力関係を構築する。

海外事業

<インド>
-2012年、インドMysoreの新工場の操業が開始。自動車向け、工業向けのさまざまなタイプのシール製品を製造。

受賞

-SKF Sealing Solutions Koreaは、GMより「Supplier of the Year」を受賞した。同社がこの賞を受賞するのは、今回で3年連続となる。(2012年5月30日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万SEK)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社

1,607

1,481

1,184

先願特許数 421 325 251

研究開発拠点

-同社は以下拠点にテクニカルセンターを保有:
  • スウェーデン Gothenburg
  • オランダ Nieuwegein
  • 中国 上海
  • インド Bengaluru
-同社は中国市場への更なる投資に向け、上海市嘉定 (Jiading) 区に新たな複合施設「SKF Campus」を設立すると発表した。同施設には、乗用車用ホイールベアリングの生産工場を新設するほか、Global Technical Centre China (GTCC)、SKF Solution Factory、SKF Collegeなどの施設を移転・拡張する。GTCCでは製品開発、エンジニアリングサービス、冶金・化学研究、製造プロセス開発、試験および製品調査を行っている。(2012年9月10日付プレスリリースより)

製品開発

低フリクションハブベアリングユニット
-エネルギー効率に優れた自動車用ホイールエンド部品である低フリクションハブベアリングユニットを発表した。従来のハブユニットに比べて20%超の摩擦低減を実現するとともに、1kmあたり0.6gのCO2を削減する。年間走行距離14,500kmで換算すると、年間で9kgのCO2削減が可能になる。(2012年12月3日付プレスリリースより)

「eDrive」ボールベアリング
-新たに「eDrive」ボールベアリングを発表した。この製品は、深溝ボールベアリング「Energy Efficient (E2)」をベースに開発されたもので、EV・HV用の高出力密度電動モーターの特性に対応する。摩擦レベルを低下させるとともに放熱を行い、電動モーターの効率性と稼動速度を維持。これにより、EV・HVの走行距離伸張を可能にする。また、モーター効率性と出力密度の向上に加え、充電サイクルを減らすことでバッテリー寿命の延長にも貢献する。なお、この「eDrive」ボールベアリングは、ローター位置調整センサーベアリングユニット (Rotor Positioning Sensor-Bearing Unit) など、他のセンサーベアリングにも組み込むことが可能になる。(2012年5月21日付プレスリリースより)

フルオロエラストマーシール材料
-同社は世界で初めてフルオロエラストマー製シールを開発し、製造を開始した。200℃からマイナス30℃までの広範な耐熱性能と、高い耐油性を持つため、ドライブライン向けオイルと高い親和性を実現。

設備投資

設備投資額

(単位:百万SEK)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社 1,968 1,839 1,651

海外投資

<中国>
-同社は、中国の山東省済南 (Jinan) にベアリングおよびハブユニットの生産工場を開設したと発表。テーパーローラーベアリングやスプリットハブユニットを生産し、トラックおよび産業機器のほかアフターマーケット向けに供給する。投資額は約590百万スウェーデンクローナ (約69百万ユーロ)。同工場では約500名の従業員を雇用し、既に稼動を開始している。(2012年9月13日付プレスリリースより)

-同社は、中国市場への更なる投資に向け、上海市嘉定 (Jiading) 区に新たな複合施設「SKF Campus」を設立すると発表した。同施設には、乗用車用ホイールベアリングの生産工場を新設するほか、Global Technical Centre China (GTCC)、SKF Solution Factory、SKF Collegeなどの施設を移転・拡張する。GTCCでは製品開発、エンジニアリングサービス、冶金・化学研究、製造プロセス開発、試験および製品調査を行っている。土地・工場・移転に関わる投資額は約700百万スウェーデンクローナ (約83百万ユーロ)。新工場では主に自動車用ハブベアリングユニットを生産する。キャンパス全体の面積は45,000平方メートル。2015年に従業員約900名を雇用する計画で、このうち400名がGTCCに勤務する。2012年第3四半期に建設を開始し、完成は2013年第4四半期の予定。なお、同社は1912年に中国での事業を開始しており、現在は従業員7,000名超が18の工場に勤務している。(2012年9月10日付プレスリリースより)

-2012年、同社は中国でトランスミッション用製品の製造能力を増強。Shanghai Auto Gear Worksよりギアボックスを新規受注するなど、トランスミッションメーカー向けの深溝玉軸受を生産している。

<メキシコ>
-北米の需要が旺盛なことを受け、同社はメキシコPueblaの製造能力を増強した。