日本発条 (ニッパツ) (株) 2013年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2013年 3月期 |
2012年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 507,985 | 440,752 | 15.3 | - |
営業利益 | 30,020 | 22,493 | 33.5 | - |
経常利益 | 34,907 | 23,884 | 46.2 | - |
当期純利益 | 20,333 | 16,741 | 21.5 | - |
懸架ばね事業 | ||||
売上高 | 103,213 | 90,334 | 14.3 | -国内外での自動車増産 |
営業利益 | 10,245 | 6,814 | 50.4 | - |
シート事業 | ||||
売上高 | 208,773 | 175,714 | 18.8 | -国内外での自動車増産 |
営業利益 | 13,543 | 8,134 | 66.5 | - |
精密部品事業 | ||||
売上高 | 123,373 | 99,961 | 23.4 | -国内外での自動車増産 |
営業利益 | 2,919 | 3,508 | (16.8) | -HDDの減産 |
合弁会社
<インド>-インド南部・チェンナイ市近郊に、仏フォルシアなどとの合弁で自動車用シートの生産会社を設立したと発表した。工場を建設し、2013年12月に生産を始める。同社がインドにシートの生産拠点を設けるのは初めて。新会社「NHK F. Krishina India Automotive Seating Private Limited」はニッパツが51%、現地部品メーカーのクリシュナグループが30%、フォルシアが19%を出資。チェンナイ市近郊のオラガダム工業団地に敷地面積8千平方メートル、延べ床面積3,500平方メートルの工場を建設する。フォルシアとは日産自動車向けのシート供給で提携しており、インドでも日産向けにシートを供給する予定。(2013年3月14日付日刊自動車新聞より)
<タイ>
-同社のタイ子会社とGrupo Antolinは、自動車用ヘッドライナーの生産に向けて、タイに合弁会社を設立することで合意した。新会社「NHK Antolin Thailand Co., Ltd.」はBangkokに設立され、Ford、日産、ホンダ、GM、いすゞ、三菱など大手自動車メーカー向けに部品の供給を行う予定。従業員約100名を雇用し、2014年の売上額は23百万ユーロを見込む。(2012年11月5日付プレスリリースより)
主な受注
-Volkswagen (VW) から乗用車用の懸架ばねを受注した。VWの米テネシー州の工場に納入するもので、2013年1月から供給を始める。VWとはシート、懸架ばね事業を通じ初の取引となる。VWから現行「Passat」向けのコイルばねを受注した。同社は懸架ばね事業で日系自動車メーカー以外ではGM、Fordなどと取引があるが、欧州自動車メーカーとの取引は初めてとなる。ケンタッキー州の既存のばね工場で生産し納入する。米国で初受注したことを機に、供給地域の拡大を目指し、VWへの営業活動をさらに活発化する。(2012年11月21日付日刊自動車新聞より)海外事業
新興国におけるシート事業拡大-新興国でシート事業を拡大する。提携先の仏フォルシアと共同で、インドとインドネシアに日産自動車向けのシート生産拠点を近く新設する。日産が新興国で生産する低価格車向けに製品を供給する。シート事業は中核の懸架ばね事業と並ぶ同社の主要事業。日系自動車メーカーが新興国を中心に海外で生産を増やすことに対応して受注拡大を目指している。主要取引先の日産が新興国での生産・販売を一段と強化することに対応し、提携先と協力して供給体制を拡充する。(2012年11月26日付日刊自動車新聞より)
事業再編
-トヨタ自動車東日本向けの懸架ばねの生産を横浜工場から岩手県の製造子会社に移管する。新たに開発したコンパクトラインをトヨタ東日本向け専用ラインとして子会社の工場内に導入し、2013年10月に納入を始める。トヨタ東日本はコンパクト車のコスト競争力強化のため、東北地域で調達基盤を確立していく方針を示している。ニッパツは初期投資を抑えることができる新ラインで現地生産を実現し、現地調達化のニーズに対応する。新ラインは月間約14万本の生産能力を持つ冷間ラインで、横浜工場から供給しているコイルばねのほぼ全量を移管する。(2013年1月16日付日刊自動車新聞より)
2014年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2014年3月期 (予測) |
2013年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 570,000 | 507,985 | 12.2 |
営業利益 | 38,000 | 30,020 | 26.6 |
経常利益 | 40,000 | 34,907 | 14.6 |
当期純利益 | 27,000 | 20,333 | 32.8 |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
全社 | 11,750 | 10,055 | 9,786 |
対売上高比率 (%) | 2.3 | 2.3 | 2.1 |
研究開発体制
-本社研究開発本部および技術本部技術開発部、各生産本部および事業本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また各子会社の開発部門により推進されている。-2013年3月31日現在、研究開発スタッフは全体で852名であり、全従業員数の5.5%に相当。
研究開発活動
懸架ばね事業-研究開発費: 1,687百万円
-主要課題:コイルばね・スタビライザーはテーパー化・低廉化・高強度化、板ばねは低廉化・高強度化。
-主な成果:耐久性の向上、品質確保および低価格化の向上を実現。
-今後の課題:高強度で軽量かつ低廉な材料と低コストな加工法の開発。
シート事業
-研究開発費: 4,375百万円
-主要課題:軽量化については新構造フレーム、ハイテン材応用、鉄に代わる新素材の研究および機構部品の改良。また、疲労低減、乗り心地改良、デザイン等、シートの基本性能および商品魅力度向上についても、研究開発を推進。特に、乗り心地評価の定量化に関する取り組みでは、走行時の乗員の動的姿勢安定性能を予測する手法および合理的な性能開発に目途をつけた。一方、低コスト化については、溶接工法の開発改良、自動化検討に取り組み生産性を向上。
-主な成果:薄板板金とCFRP材料を組み合わせた工法の確立と、標準シートフレームおよび乗用車向け完成シートの新規受注。
精密部品事業
-研究開発費: 3,165百万円
-精密ばねについては、自動車のエンジン、トランスミッション関連部品の製品開発を実施。次世代自動車分野では、高精度プレス加工技術を応用したモーターコア、燃料電池用部品の開発、および燃費向上に寄与する軽量化技術の開発。
技術提携
-同社と中央発條は、自動車用懸架装置に使用されるコイルばねとスタビライザーに関する特許の一部について相互に利用することに合意し、クロスライセンス契約を締結したと発表した。(2013年1月17日付プレスリリースより)設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
全社 | 25,506 | 20,370 | 20,538 |
懸架ばね事業
-新製品の受注および既存製品の生産性向上を主な目的に、グループで4,312百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社滋賀工場、NHK Spring (Thailand) Co., Ltd.、NHK Spring India Ltd.、New Mather Metals, Inc.の懸架ばね生産設備。
シート事業
-新製品の受注、既存製品の生産性および品質向上を主な目的に、グループで6,824百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社豊田工場、群馬工場、NHK Spring (Thailand) Co., Ltd. および、NHK Seating of America Inc.のシート生産設備。
精密部品事業
-新製品の開発および受注、既存製品の生産性および品質向上、生産能力の増強などを主な目的に、グループで10,618百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社駒ケ根工場、株式会社トープラ、NHK Spring (Thailand) Co., Ltd.、日発電子科技 (東莞) 有限公司の精密部品生産設備。
海外投資
<タイ>-タイで自動車用懸架ばねの生産を拡大する。日本から最新の生産設備を移設し、現地で需要が高まる乗用車用コイルばねの生産能力を2013年に現状に比べ5割増強する。懸架ばねのほかシートなどを生産するタイニッパツで乗用車用のコイルばねの生産ラインを1ライン増設。現行の2ラインでの生産体制を13年から3ラインに移行する。新ラインは生産スピードを高めた最新鋭の熱間ラインで、横浜工場から今秋、移設した。量産立ち上げ準備を急ぎ、年明けから生産を始める。新ラインは生産能力が月間20万~25万本。タイの既存設備よりも生産スピードが速いため、現地工場の生産性向上につながる。タイではコイルばねをトヨタ自動車、日産自動車、マツダのほか、ホンダ系緩衝器メーカーのショーワなどに納入しており、これら日系メーカーへの販売が増える。(2012年11月7日付日刊自動車新聞より)
<インド>
-生産量を柔軟に調整出来るコンパクトラインを、2014、15年をめどに懸架ばねの工場に導入する。設備投資を従来の半分以下に抑えることで、立ち上がりの生産量が少ない新興国でも早期に生産を現地化出来るようにする。メーカーが新興国での生産を拡大することに対応して導入するもので、14年の生産開始を目指すインド第2工場に導入する予定。今後新設を計画する工場や生産能力を増強する工場にはコンパクトラインを導入し、投資負担を減らしながらメーカーのニーズに対応する。国内の工場でも、生産量の減少に対応するためコンパクトラインへの切り替えを行っていく方針だ。(2012年6月22日付日刊自動車新聞より)
<中国>
-2012年に稼働する予定だった中国広東省広州市のシート工場の稼働時期を16年に延期した。納入先メーカーの生産計画変更に伴うもの。量産開始に先行し、開発センターは13年に稼働する。中国では市場の成長に合わせ、日系メーカーの生産が大幅に増えていく見通しで、同社もシートの現地生産を増やす計画。12年に稼働を予定していた2工場のうち、湖北省襄陽市の工場は計画通り、2012年から量産を始める。 同社は中国にシート子会社を相次いで設立しており、12年以降、日系合弁メーカー向けに生産を始める計画。湖北省襄陽市の湖北日発が12年に稼働するほか、14年には河南省鄭州市の鄭州日発が生産を始める。広州市の広州日発は12年の生産開始を予定していたが、稼働時期が4年遅れる。同子会社は10年12月に設立し、12年の生産開始に向けて準備を進めていた。約39億円を工場や開発センターに投資し、13年に約83億円の売り上げを計画していた。生産開始時期の延期を受け、業績計画を見直している。(2012年5月29日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2013年3月31日現在) |
会社名 事業所名 (所在地) |
設備内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
NHK Spring (Thailand) Co., Ltd. ウェルグロー工場 (タイ チャチェンサオ県) |
精密部品生産設備 | 734 | 2013年 1月 |
2013年 12月 |
- |
NHK of America Suspension Components Inc. (米国ケンタッキー州) |
工場等の新設 | 3,207 | 2011年 2月 |
2014年 | - |
広州日発汽車零部件有限公司 [NHK Seating (Guangzhou) Co., Ltd.] (中国広東省) |
工場等の新設 | 3,189 | 2012年 9月 |
2015年 8月 |
- |