日本発条 (ニッパツ) (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 440,752 456,198 (3.4) -
営業利益 22,493 32,757 (31.3) -
経常利益 23,884 33,407 (28.5) -
当期純利益 16,741 19,420 (13.8) -
懸架ばね事業
売上高 90,334 91,206 (1.0) -海外での顧客自動車メーカーの減産により、減収減益。
営業利益 6,814 7,168 (4.9)
シート事業
売上高 175,714 181,426 (3.1) -海外での顧客自動車メーカーの減産により、減収減益。
営業利益 8,134 9,842 (17.4)
精密部品事業
売上高 99,961 113,306 (11.8) -海外での顧客自動車メーカーの減産、HDDの減産、業界再編の影響による受注減および円高により、減収減益。
営業利益 3,508 11,818 (70.3)

海外事業

-同社とFaureciaは、折半出資による合弁会社Faurecia NHK (FNK)が日産向けサポート強化のため、事業を拡大すると発表した。新たに締結された契約により、中国および米国に支社を設立する計画。FNKは、自動車用シートの開発・生産を行っている。2011年の売上額は600百万ユーロを超え、2015年は10億ユーロを見込んでいる。(2012年3月29日付プレスリリースより)

-海外で完成シート事業を拡大する。タイに2011年度にも立ち上げる新工場で完成シートを生産し、三菱自動車とゼネラルモーターズ(GM)の現地生産拠点に納入。中国でも河南省に完成シートの工場を新設し、日系メーカーの現地生産拠点に納入する。需要の拡大が見込まれる新興国で、クッション材まで組み付けた完成品をメーカーに直接納入する事業を広げることにより、シート事業を中心に売り上げ規模を一段と拡大する。(2011年11月25日付日刊自動車新聞より)

買収

-インド市場で自動車エンジン用バルブスプリングなど精密ばね事業の展開を目的にインド現地会社のボンベイ バーマ トレーディング(BBTCL)から同事業を買収すると発表した。新会社を設立し、精密ばね事業を買収する。事業譲渡は10月に完了する見込み。新会社の「NHK オートモティブ コンポーネンツ インド」は7月に設立した。資本金は50万ルピー(約85万円)で、出資比率はニッパツ99.9%、香港日発0.1%。買収に伴い増資する予定。買収する精密ばね事業はマハラシュートラ州オーランガバードに立地。バルブスプリングやオートマチックミッション(AT)用のばねなどを製造、販売する。2011年3月期の売上高は11億ルピー(約18億7千万円)。(2011年9月13日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-グループ会社のニッパンとトープラを2012年4月1日付で完全子会社化すると発表した。ニッパツを完全親会社とする株式交換により2社の株式を取得する。国内市場の成熟化に伴う事業再編や新興国向けなど成長市場に向けた戦略を迅速に具体化するとともに、商品開発や品質保証の一層の強化を目指す。(2011年11月21日付日刊自動車新聞より)

新会社

-中国河南省鄭州市に、自動車用シートの新会社を設立すると発表した。2014年から生産を開始し、15年に5億600万元(約66億円)の売り上げを目指す。新会社「鄭州日発汽車零部件有限公司」を、資本金8200万元(約11億円)で12月に設立する。董事長には梅村太郎ニッパツ常務執行役員シート生産本部長が就く。生産能力は年間20万台とし、完成シートを日系自動車メーカーに納入する。投資額は1億4600万元(約19億円)を計画している。中国の関連会社はこれで9社目。自動車用シートの製造会社は4社目となる。12年春にはグループ会社を統括する「日発投資有限公司」を設立する。(2011年11月12日付日刊自動車新聞より)

-中国広東省の広州(Guangzhou)市に統括会社を設立すると発表。資本金は30百万米ドルで、2012年春に設立する予定。新会社「日発(中国)投資有限公司(仮称)」は、中国における投資対応、中国グループ会社の統括および管理支援、事業拡大支援等を行う。(2011年8月8日付プレスリリースより)

2013年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 530,000 440,752 20.2
営業利益 38,000 22,493 68.9
経常利益 39,000 23,884 63.3
当期純利益 27,000 16,741 61.3

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 10,055  9,786 9,612
対売上高比率 (%) 2.3  2.1 2.4

-2013年3月期の研究開発費は、9,717百万円を予定 (対売上高比率:1.8%)。

研究開発体制

-本社研究開発本部および技術本部技術開発部、各生産本部および事業本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また各子会社の開発部門により推進されている。

-2012年3月31日現在、研究開発スタッフは全体で820名であり、全従業員数の5.8%に相当。

研究開発活動

懸架ばね事業
-研究開発費: 1,491百万円
-主要課題:コイルばねに関して、テーパー化・低廉化、スタビライザーは高耐久化・3次元曲げ対応、板ばねは高強度化等。
-主な成果:耐久性の向上、品質確保および低価格化の向上を実現。
-今後の課題:高強度で軽量で低廉な材料と低コストな加工法の開発。

シート事業
-研究開発費: 3,346百万円
-主要課題:軽量化については新構造フレーム、ハイテン材応用、鉄に代わる新素材の研究および機構品の小型化、改良等。低コスト化については、標準化、溶接工法、一体化(薄板と厚板を混合で使用)等を含めた生産性の向上。
-主な成果:標準シートフレームおよび乗用車向け完成シートの新規受注。
-疲労低減、乗心地改良、デザイン等、シートの基本性能向上についても研究開発を実施。

精密部品事業
-研究開発費: 3,365百万円
-精密ばねについては、自動車のエンジン、トランスミッション、安全装置等に使用される新たな機構品開発、燃費向上に寄与できる軽量化技術の開発、次世代自動車に対応する高精度プレス加工技術を応用したモーターパーツ、コネクタパーツ等の開発を実施。

製品開発

中空コイルばね
-サスペンション用コイルばねの新開発品として、棒材の中心部を空洞にした「中空コイルばね」を東京モーターショー2011で展示している。新開発品は、通常のばね鋼に代わり、高強度のパイプを材料に使い、性能を維持しながら重量を従来品に比べ25%軽減した。乗用車用に2013年の製品化を目指しており、メーカーへの提案活動を行っている。(2011年12月8日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 20,370  20,538 15,695

懸架ばね事業
-新製品の受注および既存製品の生産性向上を主な目的に、グループで3,786百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社滋賀工場、横浜工場および、NHK of America Suspension Components Inc.の懸架ばね生産設備。

シート事業
-新製品の受注、既存製品の生産性および品質向上を主な目的に、グループで4,813百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社豊田工場、群馬工場、NHK Spring (Thailand) Co., Ltd. および、NHK Seating of America Inc.のシート生産設備。

精密部品事業
-新製品の開発および受注、既存製品の生産性および品質向上、生産能力の増強などを主な目的に、グループで8,946百万円の設備投資を実施。

海外投資

<中国>
-2014年の稼働を目指し、中国に懸架用コイルばねの新工場を建設する方向で検討を始めた。内陸部の湖北省武漢市などを候補に、今後、新工場用地の選定に入る方針。中国では広州市で同ばねを生産しているが、日系メーカーの増産により、2年後の14年には生産能力が不足する見通し。今後も広州市のほか、内陸~北東部で日系メーカー各社が生産能力を増強する計画で、中国で同ばねの需要が高まることに対応する。(2012年1月10日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-インドに第2拠点を新設するとともに現行工場の生産能力を増強すると発表した。第2工場はインド南部のチェンナイ近郊のスリシティーの約7万3千平方メートルの敷地に建設する。投資額は約13億円。年間生産能力は、コイルばねが330万本、スタビライザは150万本。コイルばねは2014年に、スタビライザは15年に生産開始する予定。一方、現行のマネサール工場では約3億円を投資し、新規コイルばね生産ラインを導入、年間生産能力を現在の570万本から830万本に引き上げる。新ラインでの生産開始は12年10月を見込む。(2011年8月12日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2012年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
同社 厚木工場
(神奈川県厚木市)
モーターコア用生産設備、工場等の新設 649 2012年
4月
2012年
12月
-
NHK Seating of America Inc.
インディアナ工場
(米国インディアナ州)
シート生産設備 603 2012年
4月
2013年
10月
-
NHK of America Suspension Components Inc.
(米国ケンタッキー州)
工場等の新設 3,207 2011年
2月
2014年 -
湖北日発汽車零部件有限公司
[NHK Seating (Hubei) Co., Ltd.]
(中国湖北省)
工場等の新設 3,942 2010年
11月
2012年
9月
-
広州日発汽車零部件有限公司
[NHK Seating (Guangzhou) Co., Ltd.]
(中国広東省)
工場等の新設 3,981 2012年
9月
2016年
4月
-