日本ピストンリング (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 49,168 47,411 3.7 -
営業利益 3,847 4,195 (8.3) -
経常利益 3,336 3,298 1.2 -
当期純利益 4,118 1,666 147.2 -
自動車関連製品
売上高 42,532 41,768 1.8 -震災やタイの洪水による減産の影響を受けたものの、自動車の生産挽回により増収。
営業利益 3,447 3,736 (7.7) -

海外事業

-エンジン用バルブシートの生産規模を2014年度に現在の約5割増となる月産2500万個に引き上げる。約30億円を投資し、インドでの製造会社を新設するとともにアメリカと中国の現地工場の生産設備を増強する。バイオ燃料など多様な燃料に対応するバルブシートを中心にグローバルで新規受注が増えており、増産による安定供給と受注数増加に対応する体制を構築して、売上高拡大につなげる。インドではバルブシートを製造販売する「NPRマニュファクチャリングインディア」を設立し、13年1月に操業を開始する。また、タイの「サイアムNPR」で製造するインド向けバルブシートの生産の一部を移管することで、月産300万個のバルブシートを生産する。タイは、インドへの移管分は新規受注分を対応し、フル稼働状態を維持する。米の「NPRマニュファクチャリングミシガン」では、製造ラインの新設により、12年後半から生産規模を現在の月産200万個から400万個へ倍増させる。また、中国の「日環汽車零部件製造(儀征)有限公司」では、現在の月産70万~100万個から、受注状況に応じて順次、14年をめどに生産規模を3倍に引き上げる。(2011年12月27日付日刊自動車新聞より)

国内事業

-今秋以降に予想される自動車メーカーの増産を見据えて一部の製品で見込み生産を実施する。同社はすべての製品について受注生産で対応している。しかし、取引先から入ってくる生産計画通りに発注が来た場合、国内外の生産拠点をフル稼働しても供給が追いつかない可能性がでてきたことから緊急措置として見込み生産と受注生産を混在させることにした。(2011年6月23日付日刊自動車新聞より)

新会社

-インド共和国タミル・ナドゥ州に焼結製バルブシートなどの自動車部品を製造・販売する新会社を12月にも設立すると発表した。自動車生産の拡大が見込まれるインドで、エンジンの基幹部品であるバルブシートの拡販を目指す。新会社は「NPRマニュファクチャリング・インディア・プライベート」(仮称)でチェンナイ市に設立、資本金は6億ルピー(約11億円)、NPRが99%、子会社の日ピス福島製造所が1%を出資する。また、約18億円を投資し工場を建設、2013年1月の操業開始を目指す。従業員数は約80人で、15年には月間約300万個の生産を予定している。(2011年10月5日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-完全子会社の日ピス川口製造所と日ピス物流センターの2社を3月1日付の予定で吸収合併することを決めたと発表した。同社は、ピストンリングの加工を手がける日ピス川口製造所の業務を日ピス岩手に統合している。また、日ピス物流センターが手がける製品管理と発送業務はNPR栃木工場内の管理センターで行っており、両社ともに現在は休眠状態にある。そのため、両社の資産を集約してグループ内の経営効率化を図ることにした。(2012年1月28日付日刊自動車新聞より)

-同社とTPRは、インドネシアの共同出資会社「NTピストンリングインドネシア (NTRI)」でのピストンリング事業の合弁関係を解消することで基本合意したと発表した。同社は、TPRが保有するNTRIの株式を全額取得して完全子会社化し、TPRは、新たにピストンリング生産拠点「TPRインドネシア」を設立する。両社が独立した事業形態に移行することで現地の需要増加に迅速に対応する体制を整えて、事業規模の拡大につなげる。(2012年1月5日付日刊自動車新聞より)

-中国・江蘇省の完全子会社2社を合併すると発表した。ピストンリングの製造と販売やバルブシートの販売などを行う日環汽車零部件製造(儀征)有限公司が存続会社となりバルブシートを製造する日塞環汽車零部件製造(鎮江)有限公司を吸収合併する。合併予定日は3月31日で、合併後も鎮江でのバルブシート製造は継続する。完全子会社の合併により、顧客サービスの強化と経営の効率化を図る。(2011年12月28日付日刊自動車新聞より)

業務提携

-業務提携関係にある独KSコルベンシュミットとのビジネスを強化する。2015年に売上高20億円の達成を目標に掲げて事業を推進する。両社は2009年の提携以降、欧州や中国などで量産品の受注を獲得するなど着実に実績をあげている。今後も共同で立ち上げた研究開発拠点で製品開発を積極的に進め、欧米を中心とした海外自動車メーカーからの新規受注獲得につなげる。(2011年6月29日付日刊自動車新聞より)

2013年3月期の見通し

(単位:百万円)
2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 49,000 49,168 (0.3)
営業利益 3,500 3,847 (9.0)
経常利益 3,000 3,336 (10.1)
当期純利益 2,300 4,118 (44.1)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 1,361  1,280 1,290
自動車関連製品事業 1,306  1,229 1,238

研究開発活動

次世代溶射ボア用ピストンリング
-欧州顧客との溶射ボア向ピストンリングの開発、量産実績を通して培われた技術ナレッジを背景として、欧州・国内顧客との間で各種次世代溶射ボア技術に対する製品仕様の最適化開発を推進中。

耐久性にすぐれたディーゼルエンジン用ピストンリング
-Euro-VI、US10等の排ガス規制および重量車燃費規制として、ナノレベルの皮膜特性制御技術を適用した、耐摩耗性、耐剥離性に優れたPVD皮膜付TOPリング、および低張力でも高い潤滑油調整機能を持つ新形状のOILリングの開発を完了し、クリーンな排ガスと低燃費が両立できる製品として市場投入を開始。

バルブシート
-ガソリンエンジンでは低燃費化(空燃比λ=1領域拡大)を可能とする耐摩耗材を、また各国で導入台数の増加が顕在化しているマルチ燃料(ガソリン、エタノール、ガス)機関対応材の改良開発を完了し、欧米を含む国内外の顧客による採用が拡大している。

組立式焼結カムシャフト
-近年、増加傾向にある直噴エンジンには、高圧燃料ポンプ駆動用カムロブの装着されたカムシャフトが使われており、これは高い耐ピッチング性、耐摩耗性、さらに軽量であることが求められる。同社の組立式焼結カムシャフトは、これらの技術ニーズを高次元で満たすことができる製品仕様であるため、直噴ガソリンのみならず、同様の機構でポンプ駆動されるディーゼルエンジンにおいても有効。現在、更なる価格競争力の向上を図るため、工程改善や素材ニアネットシェイプ化の追及に取り組んでいる。

新規焼結製品
-断熱・放熱性に優れた高機能多孔質金属に関する研究、マーケティング活動を進めており、既に非自動車エンジン分野を含めた複数の市場ニーズの具現化に対する取り組みに着手。

シリンダーライナー
-ポスト・ポスト新長期排ガス規制対応で懸念される高温摩耗対策ディーゼルエンジン用ライナーの量産化開発を推進中。また、2015年の重量車燃費規制に対応するため、同社固有のトライボロジー技術に基づく、燃費低減技術を開発中。

技術供与契約

(2012年3月31日現在)
相手会社名 国名 契約年月 内容 契約期間
株式会社瑞進カム
[Seoin Cam Co., Ltd.]
韓国 2000年07月01日 焼結カムシャフトの製造法 契約更改交渉中
Henan Zhongyuan Engine Fitting Co., Ltd. 中国 2005年09月02日 シリンダーライナーの製造法 製品供給終了迄
儀征双環活取塞環有限公司
[Yizheng Shuang Huan Piston Ring Co., Ltd.]
中国 2005年12月27日 ピストンリングの製造法 7年
IP Rings Ltd. インド 2003年12月01日 組合せオイルリングの製造法 契約更改交渉中
2008年02月21日 スチールリングの製造法

5年

2008年04月01日 クロームメッキリングの製造法 5年
2008年12月22日 スチールリングの製造法 6年
2010年03月01日 窒化リングの製造法 5年
2010年04月01日 オイルリングの製造法 5年

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 2,169  1,642 1,519
自動車関連製品事業 1,963  1,466 1,404

-自動車関連製品事業は、維持更新を主たる目的として設備投資を実施。

設備の新設

(2012年3月31日現在)
会社名 所在地 設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着工
年月
完了
年月
完成後の
能力
NPR Auto Parts Manufacturing India Pvt. Ltd. インド
タミル・ナドゥ州
工場新設 1,800 2012年
07月以降
2013年
01月
300万個/月