日清紡ホールディングス株式会社 2009年3月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万円) |
2009年 3月期 |
2008年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 286,166 | 322,411 | (11.2) | -太陽電池製造設備が好調だったメカトロニクス製品事業が大幅な増収増益を達成したものの、ブレーキ製品事業・エレクトロニクス製品事業等が景気悪化の影響を受け、全社で減収減益となった。 |
営業利益 | 407 | 12,033 | (96.6) | |
経常利益 | 7,150 | 18,916 | (62.2) | |
当期純利益 | (1,285) | 12,289 | - | |
ブレーキ製品事業 | ||||
売上高 | 53,260 | 66,397 | (19.8) | ブレーキ製品 -世界経済の悪化により、期後半から自動車販売が急減、国内の自動車生産及び日系・韓国系カーメーカーの海外現地生産が落ち込んだ影響を受け、国内・海外子会社ともに減収減益。 ABS製品 -合弁会社のコンティネンタル・オートモーティブ(株)への事業移管が完了したため減収減益。 |
営業利益 | 3,309 | 8,871 | (62.7) | |
エレクトロニクス製品事業 | ||||
売上高 | 60,549 | 76,474 | (20.8) | -世界的な需要の冷え込みにより輸出が悪化。連結子会社の新日本無線も主力の半導体が顧客の減産により売上が減少。 |
営業利益 | (3,918) | 1,103 | - |
会社分割
-2009年4月1日をもって持株会社制へ移行し、「日清紡ホールディング株式会社」と商号を変更する。同社を持株会社とし、現在展開している繊維、精密機器、ブレーキ、化学品、紙製品の各事業を事業会社として新設分割する。なお、エレクトロニクス事業については、引き続き当社子会社である新日本無線株式会社を中心に運営する。 (2008年5月13日付プレスリリースより)
-2009年4月に分社化を実施するのに伴い、機構改革と分社後の新会社役員人事を決定したと発表した。新体制は、持株会社である日清紡ホールディングスの下に従来の事業部を会社組織として独立させ、繊維事業の「日清紡テキスタイル」、ブレーキ 事業の「日清紡ブレーキ」、紙製品の「日清紡ペーパー プロダクツ」、精密機器の「日清紡メカトロニクス」、化学品事業の「日清紡ケミカル」をそれぞれ設立して、それぞれで新部署の開設などを行う。日清紡ホールディングスでは、経営戦略や事業支援、新規事業開発などの部門を現日清紡からそのまま引き継ぐ。 また、事業会社では、日清紡ブレーキは、管理、R&D、生産部門をそれぞれ新設。生産部門には摩擦材とブレーキの2製造部を設置する。また、日清紡ケミカ ルでは、燃料電池事業部やエラストマー事業部などの新部署を新設するなど、各社で組織改革を実施する。(2009年2月28日付日刊自動車新聞より)
事業再編
-ABSの製造を2008年12月末をもってContinental Automotive Corporationへ移管した。
企業買収
-同社は2008年秋にも、インドでブレーキ摩擦材の生産に本格進出する。技術供与先の現地企業が 建設した新工場に近く同社の最新設備を導入、第1期分として年間190万個規模のブレーキ摩擦材を生産する。また、現地企業がブレーキ部門を分社化するのを機に、出資比率を順次引き上げる。同社がブレーキ事業を展開するのは、日本、米国、タイ、韓国、中国に次いで6ヶ国目となる。同社が技術供与する現地企業はラネ・ブレーキライニングス(ニューデリー市)。インドへの進出方法をラネとの間で協議してきたが、ラネがブレーキ事業を分社化し上場した上で、 同社が新会社に追加出資することで合意した。(2008年5月29日付日刊自動車新聞より)
-同社は、2008年10月1日を発効日とする株式交換により、連結子会社である日清紡ブレーキ販売株式会社を完全子会社化する。(2008年8月28日付プレスリリースより)
-同社は、韓国子会社セロンオートモーティブに約146億ウォン(約12億ドル)の増資を行い、同社持分割合を47.01%から65.0%に引き上げる。韓国におけるブレーキ事業強化が目的。(2008年11月4日付プレスリリースより)
売却
-同社は、韓国子会社の「SAERONオートモーティブ」(SAC、韓国天安市)とSAC の子会社である賽龍汽車部件(SABC、中国北京市)が、焼結製品事業を売却することを決めたと発表した。韓国のHSCに160億ウォン(約17億6千万 円)で譲渡する。SACとSABCは、自動車用摩擦材を主力商品として事業を展開しているが、経営資源の選択と集中を進めるため、ブレーキ事業に特化する ことにし焼結製品事業の売却を決めた。売却先であるHSCはパワートレーン部品の製造を手掛ける韓国ハルラと加スタックポールの合弁会社。(2008年6月20日付 日刊自動車新聞より)
2010年3月期業績予想 | (単位:百万円) |
2008年3月期 (実績) |
2009年3月期 (実績) |
2010年3月期 (目標値) |
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売上高 | 322,411 | 286,166 | 262,000 |
営業利益 | 12,033 | 407 | 5,000 |
当期純利益 | 12,289 | (1,285) | 7,000 |
事業別売上計画 | (単位:百万円) |
2008年3月期 (実績) |
2009年3月期 (実績) |
2010年3月期 (目標値) |
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売上高 | 営業 利益 |
売上高 | 営業 利益 |
売上高 | 営業 利益 |
|
ブレーキ | 66,397 | 8,871 | 53,260 | 3,309 | 40,000 | 1,380 |
エレクトロニクス | 76,474 | 1,103 | 60,549 | (3,918) | 55,000 | (2,500) |
ABS (メカトロニクス事業内) |
6,585 | 370 | 4,031 | (159) | 3,060 | (120) |
ブレーキ事業目標 | (単位:百万円) |
2008年3月期 (実績) |
2009年3月期 (実績) |
2010年3月期 (目標値) |
||||
売上高 | 営業 利益 |
売上高 | 営業 利益 |
売上高 | 営業 利益 |
|
日清紡/ 日清紡ブレーキ |
31,293 | 3,212 | 27,450 | 1,032 | 24,900 | 1,090 |
日清紡ブレーキ販売 | 29,297 | 218 | 25,599 | (56) | 25,280 | 25 |
小計 | 60,590 | 3,430 | 53,049 | 976 | 50,180 | 1,115 |
ABS | 6,585 | 370 | 4,031 | (159) | 3,060 | (120) |
国内計 | 67,175 | 3,800 | 57,080 | 817 | 50,180 | 1,115 |
海外 | 32,855 | 4,998 | 25,634 | 2,405 | 15,345 | (181) |
小計 | 100,030 | 8,798 | 82,714 | 3,222 | 65,525 | 934 |
内部消去 | (33,633) | 73 | (29,453) | 87 | (25,525) | 446 |
合計 | 66,397 | 8,871 | 53,260 | 3,309 | 40,000 | 1,380 |
開発動向
研究開発費 | (単位:百万円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 2007年3月期 | |
全社 | 11,932 | 12,479 | 12,244 |
ブレーキ製品 | 3,755 | 3,791 | 3,702 |
エレクトロニクス製品 | 6,095 | 6,452 | 6,414 |
研究開発拠点
事業部門 | 拠点名 | 所在地 |
ブレーキ製品 | 摩擦材・開発センター (館林事業所) |
群馬県 邑楽郡 |
エレクトロニクス製品 | (株)新日本無線 | - |
研究開発活動
ブレーキ製品
<摩擦材>
-高い安全性を確保するとともに、音・振動性能を向上させた高付加価値商品の開発に注力している。
-有害物質を使用しないグリーン材の開発や、欧州の新化学品規制であるREACHへの対応準備を進め、環境に重点を置いた開発を行っている。
-海外子会社への開発支援体制の強化をはじめ、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進、競争力強化を図っている。
<ブレーキ>
-グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進中。
-部品の標準化や開発業務の効率化により、開発段階からの原価低減を図っている。
エレクトロニクス製品
-オーディオ用DSP(デジタルシグナルプロセッサ)では、車載オーディオ市場等に焦点を合わせた製品の開発を継続中。
技術提携
-2000年にドイツのコンティネンタル・テーベス社と合弁会社を設立。ABS、TCS(トラクション・コントロール・システム)、ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)をはじめとする次世代ブレーキシステムの開発・製品化を推進している。
主な技術導入契約(2009年3月現在)
会社名 (国名) |
内容 等 | 締結年月 (有効期間) |
TMD Friction Holding GmbH (ドイツ) |
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術および原料配合に関するノウハウの提供ならびに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) | 1991年11月から10年間(2001年11月以降は 1年毎に自動延長) |
TRW Automotive Inc. (英国) |
乗用車用ドラムブレーキアッセンブリィ、ブレーキバルブおよびその部品の設計ならびに製造技術に関するノウハウの提供ならびに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) | 2006年10月 ~ 2009年10月 |
Meritor Heavy Vehicle Braking Systems (UK) Limited. (英国) |
ディスクブレーキアッセンブリィ、ドラムブレーキアッセンブリィ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 | 2003年11月 ~ 2008年11月 |
主な技術供与契約(2009年3月現在)
会社名 (国名) |
内容 等 | 締結年月 (有効期間) |
Rane Brake Linings Limited (インド) |
ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェーシングの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供 | 2005年1月~ 5年間 |
TMD Friction Holding GmbH (ドイツ) |
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術および原料配合に関するノウハウの提供ならびに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) | 1991年11月から10年間(2001年11月以降は 1年毎に自動延長) |
亨通機械股份有限公司 [Heng Tong Auto Parts Inc.] (台湾) |
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供 提携製品の工場建設の指導 |
2005年12月~ 5年間 |
亨通機械股份有限公司 [Heng Tong Auto Parts Inc.] (台湾) |
ディスクブレーキおよびその部品の設計ならびに製造技術に関するノウハウの提携 | 2007年7月 ~ 2010年6月 |
TRW Automotive Inc. (英国) |
乗用車用ドラムブレーキアッセンブリィ、ブレーキバルブおよびその部品の設計ならびに製造技術に関するノウハウの提供ならびに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) | 2006年10月 ~ 2009年10月 |
設備投資
設備投資額 | (単位:百万円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 2007年3月期 | |
全社 | 16,872 | 24,279 | 17,077 |
ブレーキ製品 | N.A. | 5,221 | 4,546 |
エレクトロニクス製品 | 2,843 | 4,847 | 3,592 |
エレクトロニクス製品事業
-連結子会社の新日本無線(株)による半導体製造設備への投資が中心。
国内投資
-同社はクラッチ用摩擦材から撤退するとともに、増加基調にあるディスクブレーキ用摩擦材の国内生産能力を増強する。館林工場で生産してきたクラッチフェーシングの生産ラインを廃棄し、跡地に2009年度にもディスクパッド用製造設備を新規に導入する。投資額は17億円を見込む。新ラインの生産能力は年間420トン規模で、10年3月期には館林のディスクパッド生産能力は約 12%増の3800トン強に拡大する。増産分の一部は、国内需要がライニングからディスクへとシフトする分に充てるが、大半は需要に供給が追いつかない海 外市場向けに充てる。国内でもディスクブレーキの比率が高まりつつあるほか、海外メーカーからの受注も拡大しており、館林の増強で当面は対応する。(2008年6月12日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画(2009年3月現在)
会社名 事業所名 (所在地) |
事業部門/ 設備の内容 |
投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
同社 (千葉県千葉市) |
化学品/ 燃料電池生産工場 |
1,925 | 2009年 3月 |
2010年 8月 |
- |
新日本無線(株) 川越事業所 (埼玉県ふじみ野市) |
エレクトロニクス/ 電子部品製造設備 |
696 | 2007年 10月 |
2010年 3月 |
- |