(株) TBK 2015年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 47,058 45,607 3.2 -国内:トラック製造業界における景気回復による代替需要等が増加。普通トラック (積載量4トン以上) の登録台数は前年比9.6%増。
営業利益 2,934 3,422 (14.3) -
経常利益 2,870 3,452 (16.9) -
当期純利益 2,152 2,675 (19.6) -


要因
1) 新商権の獲得

2) 市場適格商品および環境対応商品への開発部門の対応

  • 低価格が要求される新興国向けモデル
  • 省エネが求められる電動ポンプ等の環境対応商品の展開

3) 海外事業の拡大
-タイ、中国、インド、米国の業容拡大に努めた。

中期経営計画

-第12次中期経営計画 (対象期間:2013年4月-2016年3月) の最終年度の数値目標は売上高50,000百万円 (国内:30,000百万円、海外:20,000百万円)、海外売上高比率40%。売上高拡大の施策として以下2項目を掲げている:

1. 国内の新商品・新分野の拡大
-大型~小型トラック・バス向けに開発した「自己発電型リターダー (ブレーキ補助装置)」の提案活動を強化する。従来の電磁式リターダーや排気ブレーキに代わるエネルギー効率の高い制動補助装置として、幅広い車種での受注を目指す構えだ。国内の大型車メーカー4社などを対象に、2015年度に量産化を計画している。現在は、電磁式リターダーの納入先の次期モデルなどに向けて製品化を進めている。まずは、月産2千台を目標に国内での拡販を目指し、次のステップとしてグローバル化につなげる考えだ。将来的には、自己発電型リターダーの回生電力を活用した用途拡大なども図っていく。(2014年3月25日付日刊自動車新聞より)

-新たに開発した電動ウォーターポンプ、電動オイルポンプの量産体制を3月中にも福島工場 (福島県玉川村) で整える。今後、自動車メーカーなどから受注する見通し。既存の主力製品である機械式ポンプの技術を生かし、同社ではポンプを初めて電動化する。EGR (排出ガス再循環) クーラーや電気自動車 (EV) のインバーター冷却用などでの新規採用を目指す。当面は月1万個の生産を目標とするが、将来的には月10万個規模に拡大する計画だ。同社が開発した電動ポンプは、モーター一体型のシールレス構造を採用したキャンドタイプ。用途に応じて、アルミ合金製とポリフェニレンサルファイド (PPS) 樹脂製を用意した。現在は日系、欧米系の自動車メーカーや建機メーカーなど10社前後から引き合いを受けており、一部は量産化にめどがついている。(2014年3月14日付日刊自動車新聞より)

2. 海外売上高の拡大
-アジア商権の拡大、海外拠点の基盤強化・支援を推進する。

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 49,000 47,058 4.1
営業利益 2,300 2,934 (21.6)
経常利益 2,100 2,870 (26.8)
当期純利益 1,500 2,152 (30.3)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
ブレーキ部門 689 468 441
エンジンコンポーネント他部門 727 708 709
合計 1,417 1,177 1,150



研究開発体制

-第一開発部、第二開発部、新製品開発部および実験部により推進。
-研究スタッフは、グループ全社で78名、総従業員の約5.5%に相当。

-北海道帯広市に十勝試験場 (テストコース) を保有。

研究開発活動

-2015年3月期の主な研究開発活動は以下の通り:

部門 詳細
ブレーキ部門 -国内メーカー全社に採用されたエアウェッジドラムブレーキは大幅に軽量・低コスト化した次世代モデルの開発を進め、展開拡大を図っている。

-次期ブレーキとしてのエアディスクブレーキはモジュール化商品として、独自開発のパッド、ローターを含めた商品の開発を進め、採用に向けて展開している。

-新興国向けに、Sカムブレーキの構造合理化を行い、幅広いニーズに対応できる様に開発を推進している。
エンジンコンポーネント他部門 -小型、中型、大型トラック・バス用エンジンのウォーターポンプとオイルポンプの改良・開発を推進。
その他 -リターダーは排出ガス規制対応エンジンに適した補助ブレーキとして中型、大型トラック用に採用を拡大中。適用車種拡大に向けた研究・開発を実施している。



技術契約

-韓国のSangshin Brake Co., Ltd.との間で、商用車用自己発電型リターダーの開発に関する技術供与契約を締結した。契約金額は150百万円 (約1,500百万ウォン)。Sangshin BrakeはTBKに対して、リターダーの量産販売開始から10年間にわたって、販売価格の3%をロイヤルティとして支払う。本契約の対象地域は韓国とするが、現代自動車およびその関連メーカーが進出する海外地域も含まれる。Sangshin Brakeでは2018年の量産開始を目標とし、同年に年間600百万円 (約6,000百万ウォン) の売上を見込んでいる。なお、Sangshin Brakeは大邱 (Daegu) 市に本拠を置き、ブレーキパッド、ブレーキシューASSY等を生産。主な納入先には現代自動車、現代モービス、万都、韓国デルファイ、韓国GMが含まれる。 (2014年4月30日付プレスリリースより)

技術供与契約

(2015年3月31日現在)
相手方の名称 国名 契約品目 契約内容 契約期間
TBKK (Thailand) Co., Ltd. タイ 自動車用ブレーキ、カムシャフト、オイルポンプ、ウォーターポンプ 1. 工業所有権の実施権の設定
2. 技術情報の提供
3. 製造権および販売権の許諾
1990年3月29日
販売開始日より10年以後1年ずつ自動更新
Sangsin Brake Co., Ltd. 韓国 大型車両用ブレーキ 同上 1994年1月14日
量産時より10年以後1年ずつ自動更新
Full Win Developments Ltd. 中国 ブレーキライニング 同上 2002年8月1日
発効日より10年以後1年ずつ自動更新
Changchun TBK SHILI Auto Parts Co., Ltd. 中国 商用車用ブレーキ摩擦材 同上 2005年12月22日
量産時より10年以後1年ずつ自動更新
TBK America, Inc. 米国 自動車用ウォーターポンプ、オイルポンプ 同上 2006年11月15日
頭金支払い後10年以後1年ずつ自動更新
Sangsin Brake Co., Ltd. 韓国 電磁式リターダー 同上 2010年9月30日から
販売開始日より10年以後1年ずつ自動更新
TBK India Private Ltd. インド 自動車用ウォーターポンプ、オイルポンプ 同上 2011年6月28日から
新製品量産時より10年
Changchun FAWSN TBK Co., Ltd. 中国 商用車用ブレーキ 同上 2012年7月5日
量産時より10年以後1年ずつ自動更新
Sansin Brake Co., Ltd. 韓国 自己発電型リターダー 同上 2014年4月30日
発効日より10年以後1年ずつ自動更新



設備投資額

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
自動車部品等製造事業 6,791 4,673 2,899
セグメント別設備投資額
-日本 2,159 2,214 1,982
-アジア 4,604 2,420 873
-北米 76 73 55


-2015年3月期の主要な設備投資 (自動車部品等製造事業):

  • 日本:エンジンコンポーネント他生産設備 447百万円
  • アジア:エンジンコンポーネント他関連1,484百万円、ブレーキ生産設備 301百万円



海外投資

<タイ>
-タイ連結子会社のTBKK (Thailand) がチョンブリ県Amata Nakorn工業団地に新工場を建設中と発表。ウォーターポンプ、オイルポンプ、ブレーキなど自動車関連部品を生産する。投資金額は10.79億バーツ (約37.77億円)で、土地面積は93,000平方メートル、建屋延面積は32,500平方メートルとなる。2015年9月竣工、2016年前半の本格稼働を目指す。 (2015年5月8日付プレスリリースより)