TPR (株) 2014年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2014年 3月期 |
2013年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 149,081 | 133,605 | 11.6 | - |
営業利益 | 13,554 | 10,085 | 34.4 | - |
経常利益 | 15,551 | 11,833 | 31.4 | - |
当期純利益 | 6,364 | 5,569 | 14.3 | - |
セグメント別売上高 | ||||
日本 | 42,302 | 41,446 | 2.1 | -エコカー補助金終了の反動があったものの、減速していた国内自動車生産が年度後半に回復したことを受け、増収。 |
アジア | 19,516 | 12,319 | 58.4 | -中国における自動車販売の伸びが鈍化したものの、受注が堅調であったことが寄与。 |
北米 | 9,077 | 7,179 | 26.4 | -堅調な経済状況が売上高増加に寄与。 |
その他 | 2,162 | 1,361 | 58.9 | -新規受注効果。 |
ファルテック | 76,022 | 71,299 | 6.6 | -海外子会社の売上高増加。 |
海外事業
<米州>ブラジルでシリンダーライナー生産子会社設立
-ブラジル・サンパウロ州にシリンダーライナーの製造子会社を2014年8月に設立すると発表。同国での需要増が予想される自動車用アルミブロックエンジンの生産需要に対応するため、2016年1月に自動車エンジン用シリンダーライナーの生産を開始する。2018年に従業員数70人を予定し、同年の生産規模は年300万本を計画している。(2014年2月25日付日刊自動車新聞より)
米国テネシー州でシリンダーライナーの生産開始
-2014年、Federal-Mogulとの合弁でシリンダーライナーを生産する子会社「TPR Federal-Mogul Tennessee, Inc.」が操業開始。すでに量産を開始しており、生産体制が整い次第、生産規模を拡大していく。
<アジア>
インドネシアでピストンリングの生産量倍増
-インドネシアのピストンリング生産拠点「PT. TPR Indonesia」で、2016年度までに四輪車向け製品の生産量を倍増させる計画。現在の月産40万~50万本から、月産90万~100万本まで大幅に引き上げる計画。同社では、インドネシアの「ローコストグリーンカー」やタイの「第2期エコカー政策」により、15年以降もASEANで小型車向けのピストンリング需要が伸びると予測。交通渋滞など両国のインフラ問題の深刻化は懸念材料だが、その他の新興国を含めれば全体では自動車の生産量が確実に増えると想定し、生産能力を増強していく。(2014年1月16日付日刊自動車新聞より)
ベトナムでASEAN向けバルブシートの生産拡大
-2014年6月頃にベトナム工場 (ホーチミン市) でバルブシートの本格的な量産体制を整え、東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けに供給を開始する予定。日系自動車メーカーなどから大口の受注があることから、月間300万本の生産能力を整える計画。早期に新ラインを全面稼働させ、15年後半をめどにフル生産に近づけていく。ベトナム工場は従来からASEAN向けの生産拠点として位置付けているが、粉末冶金の設備を持たないため、途中過程の焼結加工までは岐阜工場 (岐阜県可児市) で行っている。現在は同地域での需要が月40万~50万本と少なく、国内工場と協力して生産する方がメリットが多いという。しかし、15年以降は同国やタイ、インドネシアなどで需要が拡大する。このため、現地で材料の配合から焼結、仕上げまで一貫生産できる設備を整え、各社の供給ニーズに柔軟な対応を図る。(2014年1月8日付日刊自動車新聞より)
中国でプラスチック部品に関する合弁会社設立
-中国安徽省安慶市にエンジニアリング・プラスチック工業製品の製造販売を行う合弁会社を設立すると発表。現地の自動車部品メーカーに向けてプラスチック部品を供給するほか、工業用樹脂製品などを生産する計画。2014年1月に安徽省安慶環新集団 (ARN) と合弁会社「安慶帝伯功能塑料有限公司 [Anqing TPR Engineering Plastic Co., Ltd.]」を設立する。資本金は200万ドル (約2億円) で、TPRが60%、ARNが40%を出資する。稼働時期は同年4月の予定だが、生産規模や売上高は未定。(2013年11月20日付日刊自動車新聞より)
2015年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2015年3月期 (予測) |
2014年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 158,000 | 149,081 | 6.0 |
営業利益 | 17,200 | 13,554 | 26.9 |
経常利益 | 19,300 | 15,551 | 24.1 |
当期純利益 | 10,000 | 6,364 | 57.1 |
-既存のTPR国内事業の売上高は横ばいだが、海外はアジアを中心に増収・増益。ファルテックグループ分も増収・増益を見込んでいる。
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
中期経営計画
-2015年3月期を最終年度とする中期経営計画「14中経」の連結売上高目標は150,000百万円 (既存TPR事業およびファルテックグループ分:ともに75,000百万円)。-中期経営計画の最終年度の主な課題は以下の通り:
- ピストンリング・シリンダーライナー・焼結部品・樹脂部品の圧倒的な競争力 (性能・品質・コスト) の実現
- 急拡大する自動車の世界市場でのビジネス拡大
- 軽量化ニーズに適応した応用新商品の開発、商品化による売上高拡大
- ファルテックを軸とした新規事業の展開による経営基盤の安定化
- 生産拠点のものづくり力強化
- ゴム・樹脂等、事業多角化による業容拡大
受賞
-2014年3月期の主な受賞:授与社 | 賞 |
トヨタ | 品質管理優秀賞 |
原価改善優秀賞 | |
ダイハツ | 品質優秀賞 |
いすゞ | 品質優秀賞 |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 3,605 | 4,034 | 1,892 |
-TPRグループ (ファルテック除く) | 1,826 | 1,921 | 1,892 |
-ファルテックグループ | 1,728 | 2,060 | - |
研究開発拠点
-技術センター (長野工場内)。研究開発活動
-低フリクション化、熱制御、軽量化への取り組みに加え、排気ガスクリーン化、代替燃料 (バイオ、CNG) 使用に対応した新製品の開発を推進している。-製品の高精度化に対応したインラインでの計測自動化、革新的コストダウン、生産エネルギーの極小化へ対応した新工法の開発を進めている。
-急速なEV化に対応し、非パワートレイン部品への取り組みを強化。アルミ、樹脂を中心とした軽量化複合製品とゴムを中心としたシール製品への新技術導入を積極的に実施している。
開発の主な成果
<パワートレイン部品>
1) ピストンリング
-超低フリクション & 低LOCリングの開発 (低燃費対応)
-高機能オイルリングの製品化 (信頼性向上)
-ピストンリング革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格対応)
2) シリンダーライナー
-小型エンジン用小径超薄肉、高熱伝導ライナーの製品化 (低燃費対応、信頼性向上)
-高耐腐食摩耗ライナー材料の製品化 (代替燃料対応)
-高強度ライナーの製品化 (信頼性向上)
3) バルブシート、バルブガイド
-高耐摩耗バルブシート材料の製品化 (代替燃料対応)
-バルブシート革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格対応)
-焼結バルブガイドの製品化
<非パワートレイン部品>
1) アルミ製品
-新鋳造方案構築および設備導入実施による、EVモーター用モーターフレームの製品化
-遠心鋳造スパイニ形状FC材の応用による、アルミブレーキドラムおよびベアリングキャップの製品化
2) 焼結機械部品
-ターボチャージャー用小径シールリングの製品化
-ショックアブソーバー、カップリング部品の精度改善および高強度化工法の開発
3) 樹脂、ゴム製品
-変速機用樹脂シールリングの製品化
-電磁弁スプール樹脂化およびゴムシール部品の高精度化
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
日本 | 2,112 | 2,514 | 3,066 |
アジア | 2,501 | 2,767 | 1,097 |
北米 | 2,692 | 973 | 319 |
その他 | 9 | 47 | 0 |
ファルテックグループ | 3,073 | 3,666 | - |
合計 | 10,389 | 9,968 | 4,483 |
-2014年3月期は、海外生産拠点の拡充整備を引き続き実施し、増産投資を中心に設備投資を実施。
海外投資
<中国>-2014年に中国工場 (安徽省安慶市) でシリンダーライナーの生産ラインを増設し、生産能力を約3割高める。現在の月産190万~200万本から250万本まで生産能力を引き上げ、日系、欧米系、ローカルなど幅広いメーカー向けに供給する。アルミ合金エンジンに対応できる製品の強みを生かし、右肩上がりの需要増に対応していく。(2014年1月10日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 (自動車関連製品事業) |
(2014年3月31日現在) |
会社名 事業所名 |
所在地 | 設備の内容・ 目的 |
投資予定 金額 (百万円) |
着手予定 年月 |
完了予定 年月 |
完成後の 増加能力 |
同社 長野工場 |
長野県 岡谷市 |
研究開発、ピストンリング生産設備等 | 1,700 | 2014年 4月 |
2015年 3月 |
生産能力に影響を及ぼさない |
TPR工業 (株) | 山形県 寒河江市 |
研究開発、シリンダーライナー生産設備等 | 1,200 | 2014年 4月 |
2015年 3月 |
生産能力に影響を及ぼさない |
安慶帝伯格茨缸套有限公司 [Anqing TP Goetze Liner Co.,Ltd.] |
中国 安徽省 |
シリンダーライナー生産設備 | 1,600 | 2014年 1月 |
2014年 12月 |
20%増加 |
安慶帝伯粉末冶金有限公司 [Anqing TP Powder Metallurgy Co., Ltd.] |
中国 安徽省 |
焼結製品生産設備 | 800 | 2014年 1月 |
2014年 12月 |
20%増加 |
(株) ファルテック 北関東工場 |
群馬県 館林市 |
めっき設備 | 735 | 2014年 4月 |
2014年 10月 |
100%増加 |