大同メタル工業 (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 77,350 70,886 9.1 -
営業利益 7,368 6,286 17.2 -
経常利益 8,063 6,935 16.3 -
当期純利益 4,735 4,385 8.0 -
自動車用エンジン軸受事業
売上高 50,021 44,364 12.8 1)
営業利益 6,632 5,345 24.1
自動車用エンジン以外軸受事業
売上高 14,992 13,769 8.9 2)
営業利益 4,053 3,480 16.5

要因
1) 自動車用エンジン軸受事業
-欧米地域や中国をはじめとしたアジア地域での堅調な受注に加え、円安効果とも相まって、海外売上高が増加。
-国内は、当連結会計年度の後半より自動車の需要が増加したことなどから、前年度を上回り推移。

2) 自動車用エンジン以外軸受事業
-海外では、拡販の成果等により売上増。
-国内売上高も、当連結会計年度の後半より自動車の需要が増加したことなどから、前年度を上回り推移。

中期経営計画

-2014年秋までに中期経営計画 (2013年3月期~2018年3月期) を修正し、世界戦略を拡充する。2016年3月期から中期経営計画の第2ステージへ移行することに合わせ、ローリングプランを策定する。北米、中国市場の伸びが従来の想定以上で推移していることに対応し、メキシコと中国での生産基盤の拡充に向けたプランを練る。メキシコ工場は2017年3月期までにエンジン軸受の生産能力を年500万台分に引き上げることを決めているが、日米の自動車メーカーからの受注ペースが計画を上回っている。このため、もう一段の投資計画を策定する。中国では第3工場の建設を検討する。 (2014年5月14日付日刊自動車新聞より)

-チャレンジ目標
  • 連結売上高:111,000百万円
  • 営業利益額: 16,700百万円
  • 営業利益率:  15%以上
-第1ステージにおける生産拡大
2012年
  • Dyna Metal Co., Ltd. (タイ) の第3工場完成
  • 大同精密金属 (蘇州) 有限公司[Daido Precision Metal (Suzhou) Co., Ltd.] (中国) の第2工場完成
2013年
  • Daido Metal Czech s.r.o. (チェコ) の第2工場完成
  • PT. Daido Metal Indonesia (インドネシア) の第2工場完成
  • Daido Metal Mexico S.A. de C.V. (メキシコ) の新工場完成
  • Daido Metal Russia LLC (ロシア) において、日系以外の自動車メーカーの本格生産やトラック市場を睨んだ生産対応を進める。

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 80,000 77,350 3.4
営業利益 7,800 7,368 5.9
経常利益 8,100 8,063 0.5
当期純利益 4,800 4,735 1.4

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
合計 1,319 1,251 1,214

研究開発体制

-研究開発センター、生産技術センター、設計センターの3部門による体制。
-2014年3月31日現在、研究員70名が在籍。

研究開発拠点

<日本>
-世界でも数少ない総合的トライボロジー研究開発機関となる中央研究所 (愛知県犬山市) を設けている。

<チェコ>
-チェコBrnoに欧州テクニカルセンター「The European Technical Center (ETC)」を設置すると発表した。同社の連結子会社Daido Metal Czechの建屋敷地内に設置され、設計・開発・技術サービスの提供を行う。2014年3月に稼働を開始する予定。 (2013年12月20日付プレスリリースより)

研究開発活動

アイドリングストップおよびハイブリッド機構用の耐摩耗性に優れたエンジン用軸受の開発
-耐摩耗性、耐焼付性を向上させた樹脂オーバレイを開発した。

新鉛フリーオーバレイ付軸受の開発
-欧州鉛規制に対応する、アルミ合金史上最高の耐疲労性を持つ高耐久性の自動車エンジン用アルミ合金軸受を開発。
-劣悪環境下での使用に耐え得る新しい鉛フリーオーバレイおよび銅合金を開発。

低フリクション軸受の開発
-エンジンの低燃費化の加速に対応すべく、軸受のフリクションを低減させた新しい樹脂オーバレイを開発。

レース用軸受の開発
-F1レース等に使用される、超高回転に対応する耐久性と耐焼付性に優れた軸受を開発し提供。

新樹脂材料の開発
-自動車用部品や一般産業用部品および発電機用部品などにおいて、さらなる性能向上を図るべく、新樹脂材料を用いた軸受を開発中。

ショックアブソーバー用軸受乗り心地向上材料の開発
-自動車のショックアブソーバー用軸受における乗り心地 (操舵安定性、振動吸収など) 向上に寄与する鉛フリー樹脂系軸受材料を開発。

製品開発

自動車用エンジン向け樹脂コート軸受
-自動車用エンジン向けに樹脂コート軸受「DLA02」を開発し、自動車メーカーから初受注した。樹脂コート軸受は耐摩耗性能の向上とともにエンジンの振動低減などに貢献する付加価値品。競合の大豊工業が先行している分野に市場参入する形となる。大同メタルはエンジンが頻繁に始動と停止を繰り返すアイドリングストップ車向けに新製品を開発した。独自の試験モードで測定した際の摩耗量を樹脂コートを実施しない未処理品の26~27マイクロメートルから3~4マイクロメートルに低減した。2014年から欧米メーカー向けに供給を始める。 (2013年12月5日付日刊自動車新聞より)

生産技術開発

エンジン用すべり軸受け (エンジンメタル) 用コンパクトライン
-エンジン用すべり軸受け (エンジンメタル) のコンパクトラインを開発し、2013年秋、岐阜県関市の子会社の工場で稼働させる。設備投資を従来の3分の1に低減するとともに、ラインの長さも3分の1に短縮し、初期投資や製造コストの大幅な低減を図る。同社は2018年3月期までの中期経営計画でエンジンメタルの世界市場シェアを40%に高める目標を掲げている。新開発のコンパクトラインは、新製品の導入タイミングなどを捉え、海外の生産拠点にも順次展開し、グローバルでの競争力向上につなげる。自動車用エンジンメタルを生産する大同プレーンベアリング (DPB) でコンパクトラインを稼働させる。 (2013年8月28日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 10,838 10,040 5,596
自動車用エンジン軸受・自動車用エンジン以外軸受 8,502 6,574 2,768
バイメタル (軸受材料) 製造設備 165 247 1,861

設備投資状況

対象 内容
自動車用軸受事業
-加工専用設備 -同社および国内連結子会社 (大同プレーンベアリング (株) とエヌデーシー (株)) において生産能力増強を目的とした設備投資を実施。
-海外連結子会社では、アジア拠点、欧州拠点での生産能力を増強するための設備投資を実施。
-Daido Metal Mexico S.A.de C.V.で新工場が完成。
-バイメタル (軸受材料) 製造設備 -国内および海外生産拠点で使用するバイメタルの大半を同社から供給。生産能力の増強を目的として、同社を中心に設備投資を実施。

海外投資

<インド>
-インド合弁会社のBBL Daido Private Limited (BBLD) において、自動車エンジン用軸受の生産工場を新設すると発表。新工場は、2015年中に操業を開始する予定。同子会社は、インドのAmalgamationsグループとの間で2001年に設立され、自動車ショックアブソーバー用ブシュを生産している。今回の工場増設を機に、大同メタル工業はBBLDへの出資比率を40%から50%へ引き上げた。 (2014年6月10日付プレスリリースより)

<チェコ>
-チェコでターボチャージャー用軸受を2014年から生産する。エンジンのダウンサイジング化に伴って、ターボチャージャーの需要が増加しているためで、生産国を増やすことにより、軸受の供給能力を高める。ターボチャージャー用軸受は日本など3カ国で生産している。チェコを加えた4カ国で生産することにより販売数量を拡大し、同製品で17年度に世界市場シェア40%の獲得を目指す。同社はターボチャージャー用軸受を日本、英国、タイで生産しており、33%の世界市場シェアがある。エンジンのダウンサイジング化が進んでいる欧州で生産体制を強化することにより販売数量をさらに増やし、2018年3月期のシェア目標を達成する。 (2013年6月11日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-エンジン用軸受のメキシコでの生産体制拡充を急ぐ。2015、16年をめどに、同国で年間500万台分を生産できる体制を整え、北米でのエンジン用軸受の需要増加に対応する。2013年夏から生産を始めるメキシコ工場では米、メキシコ向けのエンジン軸受を生産する計画。米国向けに加え、2014年以降は日系自動車メーカーのメキシコ進出拡大に伴ってメキシコ国内向けの生産が大幅に増加していく。生産設備に約30億円を追加投資し、生産能力を順次、増強していく。 (2013年5月31日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画 (自動車用軸受メタル部門)

事業所名
(所在地)
設備の内容 投資
予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
バイメタル製造所
(愛知県 犬山市)
バイメタル (軸受材料) 製造設備 268 2010年7月 2014年5月 バイメタル (軸受材料) 生産能力が約8%増加
建物 170 2014年4月 2015年12月 建屋の再構築のため増加はありません。
生産技術センター
(岐阜県 関市)
試験研究設備 234 2012年9月 2014年5月 -
研究開発センター
(愛知県 犬山市)
その他設備 215 2014年4月 2014年9月 シート生産能力
100千~150千m/月
犬山工場
(愛知県 犬山市)
半割軸受製造設備 318 2013年4月 2014年6月 半割軸受生産能力が約60%増加
半割軸受製造設備 190 2013年4月 2014年12月 現状維持のため設備増加能力は無い
半割軸受製造設備 604 2013年1月 2014年6月 適地生産移行のため増加能力は無い
半割軸受製造設備 247 2013年7月 2014年7月 半割軸受生産能力
895千pcs./月
岐阜工場
(岐阜県 郡上市)
半割軸受製造設備 118 2013年7月 2014年5月 軸受生産能力
293千pcs/月
大同プレーンベアリング(株)
(岐阜県 関市)
半割軸受製造設備 247 2012年9月 2015年2月 半割軸受生産能力が
約5%増加
半割軸受製造設備 500 2012年12月 2014年11月 半割軸受生産能力が
約20%増加
半割軸受製造設備 130 2013年1月 2014年9月 半割軸受生産能力
700千pcs/月
半割軸受製造設備 340 2013年12月 2014年6月 半割軸受生産能力
700千pcs/月
半割軸受製造設備 250 2013年12月 2014年11月 半割軸受生産能力
600千pcs/月
大同精密金属 (蘇州) 有限公司
(中国 江蘇省)
半割軸受製造設備 240 2013年2月 2014年9月 半割軸受生産能力が
約25%増加
半割軸受製造設備 608 2014年1月 2014年10月 半割軸受生産能力
5,650千pcs/月
Dyna Metal Co., Ltd.
(タイ国 チャチョーンサオ)


半割軸受製造設備 263 2013年4月 2014年6月 半割軸受生産能力
460千pcs/月
ターボチャージャー用軸受製造設備 377 2013年6月 2014年9月 ターボチャージャー用生産能力が約53%増加
半割軸受製造設備 177 2014年1月 2014年12月 半割軸受生産能力
809千pcs/月
半割軸受製造設備 121 2014年1月 2014年10月 半割軸受生産能力
162千pcs/月
Daido Metal Mexico S.A.de C.V.
(メキシコ ハリスコ州)
半割軸受製造設備 279 2012年11月 2014年8月 半割軸受生産能力
700千pcs/月
半割軸受製造設備 432 2013年2月 2014年12月 半割軸受生産能力
1,000千pcs/月
Daido Metal Russia LLC
(ロシア連邦 ニズニーノヴゴロド州)
半割軸受製造設備 863 2013年3月 2014年12月 半割軸受生産能力
367千pcs/月
Daido Metal Kotor AD.
(モンテネグロ共和国 コトル市)
半割軸受製造設備 336 2013年8月 2014年11月 半割軸受生産能力が
約87%増加
Daido Metal Czech s.r.o.
(チェコ共和国 ブルノ市)
ターボチャージャー用軸受製造設備 283 2013年7月 2015年3月 ターボチャージャー用軸受生産能力80千pcs/月
エヌデーシー(株)
(千葉県 習志野市)
半割軸受製造設備 372 2014年3月 2015年4月 半割軸受生産能力
4,000千pcs/月